プレイレポート
[プレイレポ]「ドラゴンズドグマ 2」は広大な世界を舞台に,自分だけの旅の思い出が紡がれる。誰かと語り合いたくなるドラマがある
「ドラゴンズドグマ 2」公式サイト
広大な世界に,自分だけのドラマが生まれる
「ドラゴンズドグマ 2」でプレイヤーが操作するキャラクターは,ドラゴンに心臓を奪われた不老の戦士「覚者」。異世界を渡り歩く従者「ポーン」とともに広大な世界を冒険することになる。
ポーンは外見から性格までカスタマイズでき,ネットワークを介して貸し借りできるというユニークなシステムを持つ。自身のポーンとほかのプレイヤーのポーンが紡いでいく旅の思い出は唯一無二のもので,過去作で評価されて以降,ずっと愛され続けている。
12年ぶりの新作となる「ドラゴンズドグマ 2」は,物理演算を駆使した遊びが大幅にパワーアップしており,例えば橋を破壊してモンスターを落とす,ダムを決壊させて水流を起こす,高低差を生かしてモンスターを押し倒すといった,プレイヤーが想像できるアクションが実現できるようになっている。ディレクターの伊津野英昭氏がインタビューでも語っていた「ファンタジー世界シミュレータ」とは,まさにこういった要素のことを指している。
[TGS2023]ファンタジー世界のシミュレータを目指して――「ドラゴンズドグマ 2」開発者インタビュー
現在(2023年9月24日)会期中の東京ゲームショウ2023でプレイアブル出展されている,カプコンのオープンワールドアクションRPG「ドラゴンズドグマ 2」のインタビューをお届けしよう。プロデューサーの平林良章氏とディレクターの伊津野英昭氏に,本作が目指すところについて聞いた。
本作の主人公は,記憶を失っている謎多き覚者だ。世に覚者は一人だけであるはずだが,舞台となる王国・ヴェルムントでは「覚者王」と呼ばれる人物がいる。これはいったいどういうことだろうか。なお,ヴェルムントは獣人の国バタルと隣接しており,そこら中にきな臭い匂いが漂っている。この風雲急を告げるヴェルムントとバタルの狭間で,プレイヤーは自由な冒険を繰り広げるのだ。
「ドラゴンズドグマ 2」ではプレイヤー自身のロールプレイが重視されており,そのコンセプトはゲーム開始直後,キャラクタークリエイトが充実しているところからも見て取れる。
「ドラゴンズドグマ 2」のキャラクタークリエイトを一足先に楽しめる「キャラクタークリエイター&ストレージ」を本日配信
カプコンは,2024年3月22日に発売予定の「ドラゴンズドグマ 2」(PC / PS5 / Xbox Series X|S)のキャラクタークリエイトを一足先に楽しめる「キャラクタークリエイター&ストレージ」の配信を,本日開始することを明らかにした。
体型や身長,眉や鼻の高さはもちろんのこと,「動作の大きさ」や「姿勢の傾き」といった項目も用意されており,自分だけの主人公やメインポーン(常に主人公に従うポーン)を作れる。細かい項目をいじらずとも,イメージに近い顔を選んでいくことで徐々に絞り込んでいくというキャラメイクも用意されているので,まずはこちらで感覚をつかんでいくのもよさそうだ(体型や髪型,顔といった部分は,ゲーム内通貨を支払うことでやり直せる)。
「ドラゴンズドグマ 2」の世界は風光明媚かつ広大。洞窟を目指して歩いていたはずが,物欲をそそる宝箱や意味ありげな立像,不気味な廃墟,待ち伏せしていたモンスターとのバトルなどあちらこちらと目移りしていき,気がついたら当初の目的を忘れて目の前の冒険を満喫していた……なんてことが当たり前に起こる。まさに冒険のビュッフェ状態だ。クエストがたくさんあるのはもちろんのこと,突発イベントやNPCとの共闘といったハプニングもひんぱんに起こるのが面白い。
本作の時間はリアルタイムに過ぎていき,昼と夜が訪れる。夜は明かりなしでは移動が困難なほど暗く,そのなかで危険な道を移動し,モンスターと戦わなければならない。プレイヤーが持つランタンはまさに命綱のような存在だ。
だからこそ,闇の中に明かりが見えるとホッとする。ただ,明かりと一口に言ってもその正体はさまざまで,人里の明かりや野営地の焚き火であればいいが,時にはゴブリンが掲げているたいまつや,正体不明の怪しい光に出会うこともある。
1つ,面白い出来事を紹介したい。ある時,夜を徹して山を歩いていると,ぼんやりとした輝きが見え,喜んで近づくと,輝きの中に騎士のような姿が見えた。風変わりなポーンかとも思ったが,よく見ると首がない。手には自らの首らしきものを持っており,それが輝いているのだ。
この“悪霊騎士”は有無を言わさず襲いかかってくるのだが,こいつがまた強く,全滅を覚悟するも,戦っているうちに東の空が白んできた。「悪霊っぽいから,夜が明ければなんとかなるかもしれない」と踏ん張っていると,悪霊騎士は陽光の中に姿を消していった。一連の流れからはファンタジー世界らしさを感じられ,強く印象に残った出来事の1つとなった。
旅気分を演出する食と睡眠と荷物も印象深い。フィールドのあちこちには野牛や鹿,豚といった動物がいて,狩ると肉を手に入れられる。野営地でキャンプする際,肉を焼いて食べると攻撃力や防御力,スタミナの消費率に有利な補正が付く。肉焼きの際にはリアルな映像が流れ,見ているだけでお腹が空いてくる。
たっぷり眠ったあとは戦いで下がった体力がもとに戻り,気分もリフレッシュされる。肉は手軽に手に入るので,野営地を見つけるたびに野営をしたくなってくる。そして,フィールドではシリーズ名物のガライモを始め,りんごやブドウなどの食べ物も採取でき,食べると体力が回復する。あるだけ取りたくなるが,モンスターの素材や鉱石など,旅を続けると荷物はどんどん増えていく。
そんな時は,ポーンに荷物を渡すのもいいし,食べ物を調合するという手もある。食べ物は採取して時間が経つと「腐りかけの○○」「腐った○○」と変化していき,回復効果は「腐りかけの○○」が一番高い。本作では「腐りかけの○○」食べ物どうしを調合すると「干し○○」になって軽量化できる。腐りかけの肉なら干し肉,腐りかけのガライモなら干しガライモになるといった具合で,ここからさらに調合すればより軽量化できる。
歩きながら食べ物を干して加工しているわけで,アウトドア生活の気分を味わえる。旅が終わるころには荷物もパンパンになってしまうが,街の宿屋や自宅に帰れば荷物を下ろして一息付ける。旅行や出張から帰った時のような安堵感があるのだ。
旅を続けていると,NPCたちからクエストを頼まれることがある。首尾良く成功させると経験値やお金をもらえたり,新たなジョブが開放されたりするのだ。魔物討伐や建物への潜入,陰謀の調査など,クエストの種類もさまざま。街中が舞台になることも多く,プレイしていて飽きさせない。「複数の人物から同じアイテムの奪還を依頼される」など,プレイヤーに選択を迫るものがあるのも面白いところだ。
とあるクエストで築いた人間関係がほかのクエストで役に立つなど,クエストどうしが絡み合っていることもあるが,選択の結果次第で何が起こるかは分からない。つまりは覚者としてロールプレイをする楽しさを味わえるわけで,まずは予備知識を仕入れない状態でのプレイをオススメしたい。
クエストの中には,時間が経過しすぎると失敗になるものもある。ある村では心優しい少年が誘拐され,筆者は救出を頼まれた。拉致された場所について聞き込みを行うも情報が足りず,焦った筆者はアバウトに当たりを付けて探索に出たのだが,これがまずかった。初めての土地を歩き回ってもそうそう見つかるわけもなく,時間ばかりが過ぎていく。挙げ句の果てには霧深い渓谷に迷い込んでしまい,グリフィンやらキメラやらに襲われることに……。
結局,成果もないまま村に舞い戻ることとなり,もう一度聞き込みをやり直してみると,拉致された場所を特定できる情報が手に入った。慌てて救出に向かったものの,少年は既に……。つまり,土地勘のない場所で好き勝手に動き回っても上手くいくはずはなく,起こるべきことが当たり前に起こったということ。本作のリアルさを痛感した出来事だった。
冒険者が必死に戦う,荒々しいバトル
本作のバトルは荒々しい。冒険者が必死に戦う泥臭い闘いだ。しかし,「泥臭い」と「操作性が悪い」は同義ではなく,アクションゲーム作りを得意とするカプコンらしい手ざわりの良さがあり,ジョブごとに異なるバトルを楽しめる。
ファイターやウォリアー,魔剣士といった近接系ジョブでモンスターと殴り合うのもいいし,メイジやソーサラーやアーチャーとして「カスタムスキル」を駆使した後方援護に徹してもいい。プレイヤーの得手不得手や好みに合わせて立ち回りを変えられるのが本作の醍醐味であり,楽しいポイントの1つとなる。
とくに荒々しくも泥臭い戦いを楽しめるのが,オーガやミノタウロスなどの中型モンスター,ドレイクといった大型モンスターとの戦いだ。空を飛んだり,火を噴いたり,大暴れしたりと,その巨躯も相まって正面から戦うと劣勢を強いられる。
もちろんプレイヤーは同じ土俵で戦う必要はない。突進してくるのであれば岸壁に衝突させて隙を作ればいいし,橋の上で戦っているなら橋ごと落下させればいいし,川で戦っているならダムを決壊させて水流で押し流してやればいい。戦う環境や地形が多彩なため,その状況に応じた立ち回りで有利に戦いを進めればいいのだ。足を掴んでバランスを崩して倒す,身体によじ登って弱点を攻撃といった基本的なアクションももちろん可能だ。
個人的に印象深いのが,モンスターの身体への仁王立ちだ。本作では物理演算の遊びが強化されており,モンスターの身体によじ登った際も,角度次第では手を離して仁王立ちできる。仁王立ち状態からはカスタムスキルなどを使って一方的に攻撃できるし,ファイターを始めとした近接系ジョブなら,剣を深々と突き立てて大ダメージを与えられる。
相手が疲れて体制を崩したところをポーンと協力して押し倒し,無様に倒れたところに仁王立ち,剣を突き刺すと真っ赤な血が飛び散り,体力ゲージが一気に減る。倒れた相手への仁王立ちには理屈を抜きにした勝利の感覚があり,血が滾ってくるのだ。
本作の驚いた要素の1つとして,モンスターが街で暴れていたことを紹介したい。
ある日,冒険に行くため家を出ると,そこには怯える街の人の姿が。何が起こったのかと周囲を見回すと,一頭のミノタウロスが暴れていた。戦おうにもここは民家が建ち並ぶ路地裏,通路は狭くてミノタウロスの突進を避けるのは難しい。反射的に民家の中へ飛び込んで突進をやり過ごすと,通り過ぎたミノタウロスの背中に一撃することができた。まるでアクション映画のようだ。
街と言えば安全地帯だったり,街での戦いは専用のマップが用意されたりといったゲームは多いが,そうした制限がないところに,“ファンタジー世界シミュレータ”を謳う本作らしさを感じられた。なお,街には衛兵もいるので,この時は覚者一行と衛兵で取り囲んでボコボコにして,街には平和が訪れることとなった。
個性の塊のポーンたちとともに,旅の思い出が紡がれる
シリーズの特徴であるポーンは今回も非常に強い存在感を放っている。パーティは最大4人で,自分とともに成長する「メインポーン」1人に加え,ほかのプレイヤーや公式が用意したポーン2人を編成できる。
プレイヤーが操作するのは覚者1人だけなのだが,道中ではポーンたちが喋っているので,実に賑やかである。フィールドでは採取ポイントや宝箱,ハシゴや看板などをめざとく見つけ,覚者に注意を促してくれる。
また,モンスターとの戦いではジョブの特性を生かして攻撃や援護に大活躍。弱点属性を優先して攻撃したり,覚者をアイテムや魔法で援護してくれたり,自分が足場になって大ジャンプさせてくれたりと,頭のいい立ち回りを見せてくれる。
ポーンには覚者に尽くす「献身」,採取重視の「純真」,賢く立ち回る「才略」,自由かつ攻撃的に戦う「奔放」という4種の性格が存在する。例えば純真のポーンだと周囲のアイテムを積極的に集めるなど,それぞれに行動が異なる。また,フリーダムな奔放のポーンがところ構わず座り込むと,真面目な献身のポーンが「統率を乱すな」と小言を言うこともあり,ポーンどうしの関係性も面白い。
ユニークなのがクエストに関する「知識」である。ポーンが知識を持っているクエストであれば,道案内をしてくれることがあるのだ。ネットゲームで先輩プレイヤーに先導をお願いしている感じ,といえば伝わりやすいだろうか。しかもこの先輩,こちらが気まぐれを起こして寄り道をしても,別のクエストに浮気しても,文句一つ言わない。人間には不可能な“都合の良さ”があるのだ。
それでいて,ポーンの知識には間違いがないし,何か上手くいくたびに「さすが覚者様!」とこちらを立ててくれる。先輩のように頼りがいがありつつも,後輩のようにこちらを慕ってくれるというわけ。筆者はもうおんぶにだっこ状態で,“ポーン先輩”と呼んであがめ奉っているような有様だ。
本作の発売前だが,今回の先行プレイではオンライン要素が機能しており,メディア関係者やインフルエンサーとポーンを貸し借りできた。そんな中に,忘れがたいポーンが1人いる。彼女とは森の中で偶然出会い,性格は奔放。歯に衣着せぬ物言いや,街中でも平気で座り込むなど,とにかくフリーダムだが,何となく憎めないところがある。
ある時,彼女にクエストの道案内を頼んだときのことだ。これが最短ルートだ,とばかりに山を登っていく彼女,あまりに自信たっぷりなので疑いもせずついていったら,その先にグリフィンがいた。グリフィンはこちらに襲いかかってきて,図らずも戦いになってしまったのだが,フィクションに出てくるフリーダムな先輩の後始末をさせられているかのようで,思わず「先輩,何やってんすか!」と声が出てしまった。
そんなこんなでそのポーンに愛着も湧いてきたのだが,メインポーンと違い,借りたポーンは成長しないため,戦力的に不足を感じ,筆者は別のポーンを雇うことにした。惜しみつつも別れを切り出したところ,憎まれ口の一つも叩くかと思いきや「自分が期待に応えられなかった」としおらしく,なんとも気まずい空気に。
とはいえ,敵も強くなっており,連れ回しても彼女のためにならない。心を鬼にして彼女と別れ,我々は別の道を歩むことにしたのだった。歩み去る彼女を見送ったあと,涙をこらえて我々も出発……したのだが先ほど別れたポーンがすぐ近くを歩いているではないか。実に気まずい。人間関係が綺麗に終わらないあたりがリアルで,筆者はコソコソとその場を去ったのだった。
また,メインポーンはオンラインでほかの覚者に借りられることがある。メインポーンは,ほかの覚者の世界で経験した出来事を話してくれるうえに,お土産として持たされたアイテムを持ち帰ってくるのだ。
筆者はゲームを始めたばかりだったので,メインポーンにオシャレをさせるような余裕はなかった。ローブ姿なのに騎士のような兜を被せ,「防御力が上がるからいいだろ」とうそぶいていたのだから,とてもいい覚者とは言えない。
そんなメインポーンがある日誰かに借りられたのだが,ローブに兜といういつもの姿ではなく,サークレットにお洒落なマントをあしらった小綺麗なファッションになって帰ってきたのだ。借りられた世界で,果たして何があったのだろう? 借りた覚者の本心は分からないが,普通に考えれば,「ださい格好のポーンを不憫に思い,お洒落にしてくれた」と考えるのが無難だろう。なんというか痛いところを突かれた思いで,筆者は大いに反省することになったのだ。
思い出を語り出すと止まらないのが「ドラゴンズドグマ 2」であるが,プレイ時間が20時間を超えても,その全貌はいまだまったく見えてこない。マップもまだまだ埋まっていないし,勝てないモンスターも多い。しかし,本稿で紹介した内容をはじめとした自分だけの思い出は着々と積み上がってきており,これからも刺激的な体験が待っているだろうことは想像に難くない。
本作について伊津野氏は,「人に話したくなるゲーム」であるとインタビューで語っている。発売後,世界中の覚者たちが旅の思い出を話しあう光景が,今から目に浮かぶようだ。
[インタビュー]「ドラゴンズドグマ 2」が目指すのは,プレイヤーごとに体験が異なる「人に話したくなるゲーム」
2024年3月22日の発売に先立って「ドラゴンズドグマ 2」のメディアプレビューが行われた。このメディアプレビューでは「魔剣士」と「マジックアーチャー」のプレイを体験できた。内容を踏まえ,プロデューサーの平林良章氏とディレクターの伊津野英昭氏にインタビューし,本作が目指すところについて聞いた。
「ドラゴンズドグマ 2」公式サイト
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