プレイレポート
[プレイレポ]カートゥーン2D動物格闘「Them's Fightin' Herds」のSwitch版は本日発売。ネタ系と思いきや格ゲーとして充実の機能に驚き
本作は,可愛らしいカートゥーン調の動物キャラクターによる対戦が楽しめる2D対戦格闘ゲームだ。開発しているのは,インディーズデベロッパであるMane6で,2020年にPC版が,2022年10月27日にはPS5/PS4版が発売されている。
元々は,玩具やアニメなどが展開されている「マイリトルポニー」を原作とした同人ゲーム「Fighting is Magic」として製作されたものだが,こちらは権利関係の問題などで公開が停止に。キャラクターを変更した形で,「Them's Fightin' Herds」へと生まれ変わった。
格闘ゲームとしては異色ではあるものの,システムやバランスの良さに固定ファンも多く,EVO Onlineの種目になるなど注目度も高い。見た目からは想像できないほど格闘ゲームとして本格的に作り込まれてもいるので,そのシステムや充実したゲームモードなどを紹介していこう。
※プレイ及び画面写真はPlaystation 4版を使用
「Them's Fightin' Herds」公式サイト
カートゥーン調の偶蹄類が戦う
ポップなビジュアル×本格派の格闘ゲーム
本作のプレイアブルキャラクターは,カートゥーン調で描かれたウシやシカ,アルパカといった偶蹄類だ。彼らのオーバーな動きと相まって,ビジュアルのインパクトに目がいくが,格闘ゲームとしても丁寧に作られている。
操作周りはオーソドックスで,レバー(十字キー)を動かすことで前後移動やジャンプ,ガードを実行,ボタンを押すことで攻撃を繰り出すといった,2D対戦格闘ゲームではおなじみの操作システムが採用されている。
【基本プレイアブルキャラクター】
アリゾナ |
ベルベット |
オーリアンダー |
パプリカ |
ポム |
ティアンフー |
シャンティ |
もちろん,特殊技(必殺技)も用意されている。基本は,レバーを真下から4分の1回転させる,いわゆる“波動(竜巻)コマンド”と,レバーを前・下・斜前+攻撃ボタンで発生させる“昇竜コマンド”の2種類だが,使用する攻撃ボタンの種類によって,技の性能が大きく変化するものも。難しいコマンド入力が苦手な人も,好きな技を簡単に出せるのがうれしい。
ゲームスピードは速めだが,技数は少なめでコマンド入力など操作面の難度は低い |
コンボ(連続技)もあり,こちらの重要度は高い。ただし,実戦で最も多く使うことになるであろう“基本コンボ”は,全キャラクターでほぼ共通なので,「なんとなくキャラクターを動かせている感」は,ほかの格闘ゲーム経験者であればすぐに味わえるだろう。
どのキャラクターも,レバー斜め右下+強攻撃ボタンは“ユニバーサルランチャー”という浮かせ技になっており,ヒットさせれば空中コンボを決められる。地上の弱〜強攻撃→浮かせ技→ジャンプ攻撃→必殺技とつないでいけば,それなりにまとまったダメージソースとして使っていけるので便利 |
デフォルトで7匹いるプレイアブルキャラクターは,操作方法に違いは少ないものの性能は個性的だ。スタンダードタイプのアリゾナを筆頭に,飛び道具タイプのベルベットとオーリアンダー,高機動タイプのティアンフーとシャンティ,設置タイプの技を持つポム,そして投げ抜け不可のコマンド投げ持ちのパプリカと,格闘ゲームで必要とされるタイプはひと通りそろっている。
見た目ではなく性能で使用キャラクターを選ぶ人でも,それほど悩まずに触ってみたいキャラクターが見つかるだろう。
レバー入力との組み合わせで,キャラクターごとに異なる攻撃や特殊行動(ワープや飛行)など,さまざまなアビリティを発動させられる魔法ボタン。ゲージを消費する技だが,短時間で回復するため気軽に使っていける |
ゲームへの理解を深め上達を促してくれる
チュートリアル&トレーニングモード
基本的な操作方法がシンプルなため,キャラクター操作に慣れるまでのハードルが低いと感じられる 「Them's Fightin' Herds」だが,固有システムの活用や,基本コンボ以上にダメージを取れるコンボを考え出すと一気に深みが増す。
そして,プレイを重ねていくと頭に浮かんでくる立ち回りのアイデアや疑問を“解決”する手段が充実しているのも,本作の特筆しておきたいポイントだ。
そのひとつとして,充実したチュートリアルモードが挙げられる。攻撃と防御システムだけでなく,キャラクターごとに大きく性能が異なる魔法の使い道,そしてコンボがどうすると途切れるかなどを丁寧に解説してくれる。また,技の発生や硬直,確定反撃が成立する仕組みなど,ほぼすべての格闘ゲームに共通するフレームまわりの知識もかなり詳細に教えてくれるのだ。
加えて日本語ローカライズの質も高い。テキスト部分は,かなり格闘ゲームに精通したスタッフが翻訳を担当したようで,チュートリアルの解説役であるオーリアンダーとフレッドは,キャラクターの性格に基づいたユーモアを交えた言い回しと,格闘ゲームプレイヤーが口にするスラングを使いこなしつつ,チュートリアルのお題に応じた情報を教えてくれる。これが非常に面白く,本編のプレイを忘れてついつい読み進めてしまうことも。もちろん,格闘ゲームが詳しくない人にも分かるようになっているので安心だ。
“波動コマンド”や“持続フレーム”といった,格闘ゲームのプレイヤーが日常的に口にする用語を使って分かりやすく(?)システムを説明してくれる |
トレーニングモードも充実している。ここでは,各種ゲージの量や溜まり方,技を受けた状態(カウンターヒットか否か),技のダメージ量やキャラクターの当たり判定など,基本的な情報はもちろん可視化できる。
また,ダミーの動きのレコーディングや,受け身を取る確率,受け身を取ったあとの行動を詳細に設定し,それらをランダムで実行させることもできるのだ。
コンボの練習やセットプレイといった攻撃に関するトレーニングだけでなく,実戦で重要になる守りの練習も行なえるようになっている。
チュートリアルで教えてもらえる基本コンボ以外のコンボレシピも,トレーニングモードで成功サンプルを見ながら練習できる |
トレーニングモードの充実ぶりは,メジャーな格闘ゲームと比べても遜色がない。とくにダミーの行動,状態の設定の細やかさはトップレベルだろう |
戦いだけではないストーリーモード
では“未完”ながらも十分なボリューム
格闘ゲーム好きなら“トレモの充実ぶり”だけで,延々とソロプレイを楽しんでいられるだろう。ただ,「Them's Fightin' Herds」は,ストーリーモードも作りこまれているので,ひとりで遊ぶ際には,そちらもプレイしておきたい。
ストーリーモードは,ドット調のピクセルで描かれたフィールドやダンジョン,街を移動することで話を進めていくRPGのような形式になっている。
現在実装されているアリゾナの物語では,世界各所に現れた「プレデター」から有蹄類を守る救世主となるための旅が描かれており,断崖絶壁をジャンプで登っていくアクションパートや,狼,熊,蛇,巨鳥といったプレデターとのバトルなどを体験していく。
フィールドでは,NPCと会話をしたりキーアイテムを発見したりするとでストーリーが進む。完全にRPGのノリだ |
戦闘は,フィールドに表示されているプレデターのシンボルに接触すると発生する。キャラクターの操作は,基本的に通常の対戦と同じ。複数のプレデターとエンカウントした際は,1対1の戦いを繰り返す |
ダンジョンの道中には,小ジャンプやスーパージャンプを使いわけて崖を登っていくアクションパートも存在する |
ストーリーモードは現在(2022年12月上旬),アリゾナのチャプター1であるバイソン編のみの実装だが,複数の街やダンジョンを行き来して物語を進めたり,巨大プレデターや超強化されたベルベットやオーリアンダーと戦ったりと,通常の対戦とは毛色の異なったバトルを楽しむことができた。
チャプター2以降はアップデートで追加されていき,いずれは全キャラクター分のストーリーも用意されるとのこと。最終的には,かなりのボリュームがあるゲームモードになりそうだ。
キュートで独自性のあるビジュアルに,対戦格闘ゲームとして本格的で完成度の高いシステムが盛り込まれている「Them's Fightin' Herds」。オンライン対戦においては,国内のプレイヤー人口は少ないこともあり,海外勢と行うことが多くなる。ただ,ロールバックネットコードのおかげか,大きな遅延を感じることなく気持ちよくプレイできる。
とは言え,近しい人とワイワイカヤガヤと対戦を楽しみたくもあるので,Switch版の発売を機に,国内プレイヤーが増えてほしいところ。
2022年12月20日にアップデートが予定されており,新キャラクター“テキサス”の追加(660円:税込)などが行われる予定だ。雄牛のテキサスは,体格のいいパワータイプなので,現在実装されている7匹とは,また違った戦い方が楽しめるだろう。
本作のキャラクターやグラフィックス,システムにピンときたひとはもちろん,新しい格闘ゲームに手を出してみたいという人は,ぜひこのタイミングで「Them's Fightin' Herds」を触ってみることをオススメしたい。
現状(2022年12月上旬のPS4版)だと,地域を日本に絞ったオンライン待ち受けでの対戦は成立しづらくはある。しかしピクセルロビーに行けば,海外勢との対戦は楽しめる |
オンライン対戦のロビーでは,対戦を行なうだけでなく,ドット調のアバターのカスタマイズや,ほかのプレイヤーの試合の観戦,ミニゲームなども楽しめる |
「Them's Fightin' Herds」公式サイト
- 関連タイトル:
Them's Fightin' Herds
- 関連タイトル:
Them's Fightin' Herds
- 関連タイトル:
Them's Fightin' Herds
- 関連タイトル:
Them's Fightin' Herds
- この記事のURL:
キーワード
(C)2022 Developed by Mane6. All Rights Reserved. Published by Modus Games(TM).
Modus Games(TM) and the Modus(TM) logo are trademarks of Modus Games, LLC. All rights reserved. All other trademarks or registered trademarks belong to their respective owners. Published in Korea and Japan by H2 Interactive Co., Ltd.
(C)2022 Developed by Mane6. All Rights Reserved. Published by Modus Games. Modus Games and the Modus logo are trademarks of Modus Games, LLC. All rights reserved. All other trademarks or registered trademarks belong to their respective owners. Published in Korea and Japan by H2 Interactive Co., Ltd.
(C)2022 Developed by Mane6. All Rights Reserved. Published by Modus Games. Modus Games and the Modus logo are trademarks of Modus Games, LLC. All rights reserved. All other trademarks or registered trademarks belong to their respective owners. Published in Korea and Japan by H2 Interactive Co., Ltd.
- Them's Fightin' Herds: Deluxe Edition (ゼムズ ファイティン ハーズ デラックスエディション) -Switch 【特典】シーズン1パス※ゲーム内に実装(DLCプレイアブルキャラクター(4キャラクター)、追加パレットパック、追加ピクセルロビーアクセサリー) 同梱
- ビデオゲーム
- 発売日:2022/12/15
- 価格:¥3,064円(Amazon) / 3480円(Yahoo)