インタビュー
[インタビュー]「MARVEL SNAP」を手掛けたカードゲーム界のレジェンド,ベン・ブロード氏が考える“エレガントな”ゲームデザインとは
本作は,映画やコミックで有名なマーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe,MCU)のライセンスを受けて作られたゲームで,アイアンマンやスパイダーマンなどのヒーローや,悪役であるヴィランがカードとして登場する。
ゲームシステムにおける最大の特徴は,6ターンで決着が付き,その所要時間がたったの3分というハイスピードさにある。デッキを構成するカードも12枚しか無いなど,全体的にシンプルな造りだ。
その一方で,双方が同時にカードを繰り出すゲーム展開や,プレイヤー同士の駆け引きを際立たせる“スナップ”など,意欲的なシステムが盛り込まれている。
本作の開発作業を行うSecond Dinnerは,「ハースストーン」の元クリエイターとして業界内で有名なベン・ブロード(Ben Brode)氏と,ハミルトン・チュウ(Hamilton Chu)氏が設立した開発スタジオである。MARVEL SNAPのリリース前に,4Gamerではベン・ブロード氏に単独インタビューを行っているので,その内容を紹介しよう。相変わらずの太く良く通る声と,エネルギッシュな話術で本作についてたっぷりと語ってもらったので,氏のファンはそんな彼をイメージしつつ読み進めてほしい。
独立後に興したスタジオで4年半をかけて開発
4Gamer:
今回はよろしくお願いします。
まず最初に,2018年にSecond Dinnerを設立してから,どういった経緯でMARVELの版権を得て,「MARVEL SNAP」を開発したのかをお聞かせください。
ベン・ブロード(以下,Brode)氏:
4Gamer:
単独のヒーローやヴィランに焦点を当てたものを含めると,MARVELに関連したゲームは数多くありますよね。
Brode氏:
ええ。MARVELの映画が多数ヒットしているように,そのゲーム部門を担うMarvel Gamesとしても,さまざまなジャンルのゲームを展開したいと考えているようです。なのでSecond Dinnerとしては,他のMARVELゲームにはない,ユニークなモノを作りたいと考えていました。
4Gamer:
その結果,Second Dinnerはデジタルカードゲームを選ばれたわけですが,このジャンルとMARVELの相性について,どのようにお考えですか?
Brode氏:
MARVELには,スパイダーマンやアイアンマンをはじめ,誰もが名前を聞いただけで思い浮かぶような有名キャラクターがたくさんいますよね。なので,単独のヒーローやヴィランに焦点を当てるより,複数を同時に操るゲームのほうが,MARVELのIPをより活かせると思いました。その点でデジタルカードゲームは,多くのヒーローやヴィランによるカードを集めてデッキを構築できるので,MARVELとの相性はバッチリです。
そのうえで,それぞれのヒーローやヴィランの魅力を引き立たせられることを念頭に置きつつ,MARVEL SNAPの各種システムを突き詰めていきました。
4Gamer:
ゲームシステムについては後ほど詳しく聞きますが,Second Dinnerが設立されてからMARVEL SNAPがリリースされるまで,4年半近く掛かっています。デジタルカードゲームの開発期間としては,かなり長いですよね。
Brode氏:
先ほど話した元同僚とのやりとりも含めると,4年半どころじゃないかも(笑)。でも我々としては,開発期間が長くなることは特に気にしていませんでした。何より大事なのは,面白いゲームを作ることですから。
でも,こういったスタンスで長く開発し続けられたのは,パブリッシャのNuverseや,Marvel Gamesが我々のことを理解して,さまざまな面で支えてくれたお陰です。また,ファンの皆さんからも暖かい声援をいただき,これも非常に励みになりました。
4Gamer:
そんなMARVEL SNAPが,いよいよ10月18日に正式サービスを迎えます(※)。プレッシャーは感じていますか?
※インタビューは正式サービス開始前に実施
Brode氏:
ものすごく感じていますよ。
Secone Dinnerの設立直後は私とハミルトンの2人しかいなくて,どうすれば面白いゲームを作り上げられるか,毎日のように語り合っていました。でも,いくら我々が「これは絶対に面白い!」と確信していても,たった2人の考えでしかないわけで,それが多くの人に受け入れられるのかどうかまでは分かりません。
また,本格的に開発作業が始まった後も,莫大なコストや時間を費やすに値するゲームなのかどうかと,常に不安がつきまとっていました。
4Gamer:
ブロードさんほどのベテラン開発者でも不安を感じるものなんですね。
Brode氏:
ええ。ですがプレッシャーとは別に,自分達が信じるゲームを実現する喜びも常に感じていました。プレッシャーや不安,そして喜びなど,さまざまな感情が入り交じっていますが,それらを全部ひっくるめると,こうやって正式サービスまでたどり着けたことに対し,とても感謝しています。
3分間でどうやって決着を付ける?
“倍プッシュ”を行うスナップの心理戦にも注目
4Gamer:
それでは,MARVEL SNAPにおける見どころについて教えてください。
Brode氏:
4Gamer:
本格的なカードゲームが“3分”で遊べるというのは,にわかに信じがたいです。これを実現するために,どういった工夫をされているのですか?
Brode氏:
多くのカードゲームは,2人のプレイヤーが交互にターンを迎えますよね。しかしMARVEL SNAPでは,2人がカードを裏の状態で同時に出し,そのあと一斉ににオープンします。こういったゲーム展開なので,多くのカードゲームの経験者がイメージするはずの6ターンよりもプレイ時間は大幅に短くなる寸法です。
4Gamer:
勝利条件はどのようになっていますか。
Brode氏:
画面内には3つの「ロケーション」が用意されていて,プレイヤーは任意の場所にカードを置くことができます。そして,各ロケーションに置かれたカードの,「パワー」の合計値が高いプレイヤーが,それを制圧するというルールです。
そうして6ターンが終了したときに,2つ以上のロケーションを制圧しているプレイヤーが勝利となります。
4Gamer:
ということは,相手のミニオンを倒したり,フェイス(プレイヤーキャラ)を直接攻撃したりする要素は無いんですか?
Brode氏:
ありません。この部分も,他のデジタルカードゲームと大きく異なる部分のひとつですね。そして次に紹介したいのが,「スナップ」による駆け引きです。
4Gamer:
ゲームのタイトル名にもなっていますね。どのようなシステムでしょうか。
Brode氏:
そしてここからが肝心なのですが,対戦中の各プレイヤーは1回だけ“スナップ”のコールが可能で,賭けるキューブの数を倍にできます。そのうえで勝利すると,相手から得られるキューブも倍になるんです。ただし,スナップをして負けた場合に減少するキューブも2倍になります。
また,対戦相手もスナップが行えますし,それとは別に最終ターンになるとさらに倍になります。具体的には,ゲーム開始直後に賭けるキューブは1ですが,双方のプレイヤーがスナップを行って6ターン目までもつれこむと,最大で8まで増えます。
4Gamer:
かなりのハイリスク・ハイリターンなシステムですね。
Brode氏:
たとえば対戦中に勝利を確信したときにスナップをコールすれば,より多くのキューブを獲得できるチャンスが出てきます。もちろん,対戦相手もスナップしてくるので,このときは緊張しますよ。
4Gamer:
話を聞く限り,ポーカーにおけるレイズを連想します。
Brode氏:
4Gamer:
単純な“逃げ”というより,“戦略的撤退”といった意味合いが近そうですね。
Brode氏:
スナップと撤退のシステムが合わさることで,繊細な駆け引きを実現しています。
普通に考えれば,有利な状況でスナップをコールしますよね。でも実は,それだけではありません。たとえ現在の手札や盤面が弱くても,相手の撤退を促す目的でコールする戦術もあるんですよ。
4Gamer:
なんと,ブラフまでできるんですか。
Brode氏:
こちら側が5ターン目まで有利に進めている状況を想像してみてください。このときに対戦相手がスナップをコールしたら,「ひょっとすると何か大技に向けて仕込んでいるのか……?」と訝(いぶか)しがりますよね。デッキ次第では,最後に一発逆転を狙うような戦術も可能ですから。
そうやって考えた末,「これは次の6ターン目で逆転されるな」という結論に至れば,撤退することで普通に敗退するよりもキューブの減少量を抑えられるわけです。このようにして,従来のカードゲームとは違った形での心理戦を楽しめるんですよ。
4Gamer:
スナップのネーミングも気になりますが,これは映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」でサノスが使った,“指パッチン”(Finger Snap ※注)に由来しているのでしょうか?
(※注:MARVELの公式設定では「The Decimation」)
Brode氏:
ええ,サノスのアレです(ニヤリとしながら指パッチンの仕草をしつつ)。
映画をご覧になった方なら,あのシーンは忘れられないですよね。このゲームのスナップにも,ピッタリのネーミングだと思います。
多数のロケーションによりランダム性を高める
4Gamer:
続いて,ロケーションの詳細について聞かせてください。盤面に3つあるロケーションに対して,双方のプレイヤーがカードを展開し,それぞれにおける合計パワーが多い側が制圧するというルールなんですよね。
Brode氏:
付け加えると,各ロケーションにはランダムで効果が付随しており,オープンになったときに発動します。1ターン目に左側,2ターン目に中央,3ターン目に右側のロケーションが順次オープンする流れです。
4Gamer:
ゲームプレイをする度に異なるロケーションを目にしますが,どれくらいの数が用意されているのでしょうか。
Brode氏:
正式サービスの開始時点では80種類あります。また,今後のアップデートでも続々と追加していきますよ。
4Gamer:
そんなにたくさんあるんですか。毎回新鮮な環境で楽しめそうですが,ランダム性が高くなりすぎたりしませんか?
Brode氏:
そこは懸念というより,明確な意図を持ってランダム性を高くしています。これは先ほどのスナップや撤退といったシステムも同様で,MARVEL SNAPは,プレイヤーにとって予測できない局面を迎えたときの面白さを際立たせたいと考えています。そのためにも,戦術性を高くするのと同時に,ある程度のランダム性が必要なんですよ。
正式サービスの開始直前に追加した「プロジェクト・ペガサス」は,このランダム性の高さを象徴するロケーションのひとつです。これがオープンになったターンは,双方のエネルギーが「5」増えるという効果があり,仮に1枚目のロケーションで登場すると,いきなり強力なカードを繰り出せます。極めて低い確率ですが,2個目と3個目のロケーションとしてプロジェクト・ペガサスが登場することも起こりうるので,このときのゲーム展開は誰にも予想がつかないはずです。
4Gamer:
なるほど。他のデジタルカードゲームとは少し違うスタンスのようですね。
Brode氏:
そうですね。一般的なデジタルカードゲームの常識で考えると,幅広いロケーションに対応できるデッキを組みたくなるでしょうけど,それはMARVEL SNAPでは難しいです。またeスポーツ的な観点においても,このようにランダム性が高いと,競技性がスポイルされるという見方もできますし。
4Gamer:
それを承知のうえで行われているということは,MARVEL SNAPのeスポーツ展開に対して否定的なのでしょうか。
Brode氏:
いえ,eスポーツ展開をないがしろにしているわけではなく,要はバランスの問題ですね。各ロケーションの効果や,それぞれの出現率,今後実装する効果など,プレイヤーの反応を見ながら必要に応じて随時調整していきますよ。
12枚構成のデッキに込められたブロード氏のこだわり
4Gamer:
Brode氏:
前々から,カードゲームにおけるデッキを構築するカードの枚数は多すぎるのではと感じていました。
たとえば「マジック:ザ・ギャザリング」における最低枚数は60枚ですが,そのなかで要といえるカードは実質4枚程度しかありません。リソース(土地)や,非常に限られた条件でなければ使いこなせないようなモノが多すぎると思うんですよ。
一方で「ハースストーン」のデッキは30枚ですが,そのなかには同じカードが2枚含まれることが多いです。レジェンドカードやハイランダーデッキなどもあるので一概には言えませんが,半分の15種類でデッキを組むことは十分可能です。
4Gamer:
でも,現在のこのジャンルを見渡すと,ある程度のカード枚数でデッキを構築するのが当たり前ですよね。
Brode氏:
MARVEL SNAPをデザインする際は,可能な限りシンプルなゲームにするべく,従来のカードゲームにおけるあらゆる常識を徹底的に見直しました。もちろん,何も考えずにシンプルにするとゲームの面白さもスポイルしてしまうので,高い戦術性とランダム性を両立することを踏まえて,どこまでカード枚数を減らせるかを突き詰めた結果,12枚に落ち着いたんですよ。
4Gamer:
過去に本格的なカードゲームを手掛けられているブロードさんが,新作でシンプルさを重視している理由が気になります。
Brode氏:
私はデジタルカードゲームのあり方として,従来型のスタイルがベストだとは考えていません。
たとえば,1回のプレイ時間が何十分にも及ぶカードゲームは珍しくないですが,それだけの時間を費やした挙げ句に敗退すると,どうしてもストレスを感じてしまいますよね。こういったことが当たり前のように起こるゲームだと,競技性を求めるごく一部のプレイヤーでもない限り,きっと多くが離れてしまうと思うんですよ。MARVEL SNAPは,そういったゲームにはしたくなかったんです。
4Gamer:
コントロールデッキ同士の対戦になると,たとえ勝ってもヘトヘトになるくらいですからね。その点,MARVEL SNAPなら3分で終わるから,負けても他のデジタルカードゲームほどのストレスは感じないというわけですか。
Brode氏:
しかも,敗色が濃厚になったと感じたら,自ら「撤退」も選べます。これはキューブの減少を食い止めるための立派な戦術でもあるので,普通に最後までプレイして敗退するよりも,受けるストレスは少ないです。
こうやって,ほかの各種システムも可能な限りシンプルにして,ゲームプレイにおけるストレスを減らして,より多くの人に長く遊んでもらえるゲームにしたいんです。
4Gamer:
PvPを主体とするゲームは,基本的に半数のプレイヤーが敗退,つまりストレスを抱える宿命にあります。勝つ喜びを突き詰める対戦ゲームは多いですが,負けたプレイヤーに対するケアをこのような形で実現したのは,もしかすると発明といえるのかもしれないですね。
ブロードさんにとって,プレイヤーのストレスを減らしたいという想いは,前職にいた頃からあったのですか?
Brode氏:
ええ。ずっと昔から考えていました。また,今回MARVELという世界的に知名度のあるIPを採用することが決まったときに,決して避けては通れない問題だと思ったんです。
4Gamer:
ブロードさんが考える,カードゲームのゲームデザイナーとしての信条について,もう少し聞かせてくれませんか。
Brode氏:
ゲームの戦術を深めることだけを考えればいいなら,複雑なルールやシステムをぎっしりと詰め込めばいい。我々にとって,それは別に難しい作業ではありません。
ですが,シンプルなルールで戦術性を実現し,ストレスなく遊べるのであれば,それがベストだと思うんですよ。そういったエレガントなゲームは,プレイヤーだけでなく我々開発者にとっても喜ばしいことです。
4Gamer:
大変すばらしいと思います。
確かにストレスフリーですし,エレガントなゲームですよね。マッチングも数秒で見つかりますし。
Brode氏:
あれは工夫をしていて,マッチメイクを始める前に,プレイヤーが所持しているカードやキューブ,対戦数や勝利数といった各種データをもとに,ある程度のグループ分けを行っているんですよ。同じグループ内のプレイヤーを探しに行くという仕組みを前提にして,6秒未満でマッチングできるようにチューンしています。
ジャイロセンサーを活用した“動く”カード
4Gamer:
Brode氏:
あんなデジタルカードは,今まで見たことないでしょ?(笑) これはスマートフォンのジャイロセンサーとも連動していて,端末を傾けると動いて見えるんですよ。
ちなみにカードを入手した直後は1枚絵なのですが,アップグレードすることで枠の色やキャラクター,背景,そしてロゴにエフェクトが掛かるようになります。これらを集めたカードの一覧画面は,まるでアメコミを飾った本棚のようで,とても見ごたえがありますよ。
4Gamer:
アップグレードされたカードは,ステータスや効果は変わりますか?
Brode氏:
いえ,そこは変わりません。あくまでも見た目の演出が変わるだけですね。
対戦中の相手のアップグレードも同様に反映されるので,余裕のあるときはチェックすると,「このキャラクターが好きで長くプレイしているんだな」というのが分かるでしょうね。
4Gamer:
同じヒーローやヴィランでも,複数のバージョンのカードが用意されていますが,これは?
Brode氏:
なおカードの枚数としては,正式サービス開始時点では計150種類の“ベースカード”が実装されています。また同じキャラクターでも,イラストが異なる“ヴァリアントカード”が1000種類近くあります。たとえば「ドクター・オクトパス」(※)に対しては,「チビ・ドクター・オクトパス」や,「ピンク・ドクター・オクトパス」などのヴァリアントバージョンがあります。
※スパイダーマンのシリーズ等に登場するヴィラン
4Gamer:
カードの効果についての質問です。ミステリオはカード名に「?」マークが付いていますが,これはどういった効果があるのでしょうか。
Brode氏:
このカードを置くと,対戦相手からは全部のロケーションに置かれているように見えるんですよ。どれが本物なのかはゲームが終了するまで分からないので,対戦相手は混乱しますよ。MARVELにおけるミステリオの神出鬼没さを表現できていて,私も好きなカードのひとつです。
4Gamer:
そのほか,ブロードさんのお気に入りのカードを何枚か紹介してください。
Brode氏:
個人的には「インビジブル・ウーマン」が好きですね。このカードが置かれたロケーションでは,それ以降に置くカードが相手にはオープンされません。対戦相手にとっては,カードが置かれたことだけは分かるけど,その詳細は分からないわけです。あえて弱いカードを並べるなど,トリッキーな使い方をするのが楽しいです。
次は「デアデビル」で,MARVELでは盲目かつ超人的なレーダーを持つヒーローとして知られています。本作においては,「ターン5を迎えると相手の動きが見える」という効果です。最終ターンの直前の動きが筒抜けになるので強力ですよ。
最後は「グリーンゴブリン」です。これはパワーの値が「-3」なのですが,相手のフィールドに跳んでいき,そこに居座ることで弱体化させられるわけです。しかも4枚しか置けないロケーションの1つが占有されてしまうので,相手にとってはかなり嫌らしいですよ(笑)。
4Gamer:
MARVELの作品では,同じ組織に属していたり,恋人関係であったりするキャラクターたちもいます。これをモチーフにした,複数枚のカードによるシナジー効果はありますか?
Brode氏:
それは面白いアイデアで我々も検討したのですが,あまりにも強力なシナジーを実装するのは止めました。このゲームのデッキは12枚しかないので,デッキ構成が偏ってしまいがちになるんです。
でももちろん,カード同士のシナジーはありますよ。ひとつだけ紹介すると,MARVELにおける「クローク&ダガー」の2人は切り離せない存在ですが,ゲーム内にも2枚のカードとして実装されています。
「クローク」の効果は,他のカードを自分のロケーションに引き寄せるというものです。そして「ダガー」は,このロケーションにカードが移動するたびに,パワーが+2されるという効果があります。これ以上は言わずとも分かりますよね(笑)。そのほかにも数多くのシナジーがあるので,ぜひ皆さん自身で発見していただきたいですね。
4Gamer:
日本においてはMARVELの映画はメジャーですが,コミックに関してはそれほどではありません。「コミックを知らないと楽しめないゲームなのでは?」と食わず嫌いをしてしまうことに対しては,どのようにお考えでしょうか。
Brode氏:
これはハッキリと伝えておきたいのですが,MARVEL SNAPをプレイするにあたり映画やコミックの知識は必須ではありません。むしろ,このゲームをきっかけにして,MARVELワールドを楽しんでもらえるように気を配って開発しています。
MARVEL SNAPのカードに描かれているヒーローやヴィランは,そのかなりの数がMARVELの映画シリーズにも登場しています。ゲームを続けると,自然と多くのカードに触れることにもなるわけで,そこでもし興味を持ったら,ぜひ映画やコミックと見比べてほしいですね。カードを盤面に出す際のエフェクトなど,元となったキャラクターらしさの反映にこだわっているので,きっと新たな発見があると思いますよ。
4Gamer:
ちなみにブロードさんは,どのMARVELコミックが好きですか?
Brode氏:
個人的には,アレックス・ロス(Alex Ross)氏による「MARVEL」のシリーズと,ハルクが主人公の「Planet Hulk」が好きですね。Planet Hulkのハルクは,地球上にいると危なすぎるという理由で,なんと宇宙に投げ出されてしまうんですよ(笑)。
コツコツ続ければ全てのベースカードを無料で取得可能
4Gamer:
カードパックの購入画面が確認できなかったのですが,どのようにして新たなカードを入手するのでしょうか。
Brode氏:
次に聞かれる前にお答えすると,ゲーム内でプレイヤーが購入できるのは,いわゆるシーズンパスや,カードのレベルを上げるためのトークン,そして特殊なイラストが採用されたヴァリアントカードなどがあります。なお,これらを購入してもしなくても,カードゲームとしての戦術に対する影響は一切ありません。
4Gamer:
シーズンに関しては,MARVELのIPにちなんだ内容になるのでしょうか。
Brode氏:
ちなみにですが,シーズンパスの報酬として用意されているカードも,一定期間経過後にコレクションレベルに追加するので,ゆくゆくは誰でも無料で取得可能になりますよ。
4Gamer:
正式サービス開始後のアップデート計画は,どのようになっていますか。
Brode氏:
10月18日にグローバルローンチを迎えるのはスマートフォン版で,PC(Steam)版はアーリーアクセスとなっています。まずは,PC版の正式サービスに向けた調整を行っていきます。
MARVEL SNAPは間口が広いゲームなので,将来的には対応プラットフォームをさらに広げて,より多くのゲーマーに触れてもらえるといいなと考えています。
4Gamer:
新たなゲームコンテンツやゲームモードに関してはどうでしょうか。
Brode氏:
メインコンテンツであるランク戦とは別に,キューブを消費することなくプレイできる「Unranked Mode」の実装を予定しています。
そのほかには,まだ実装時期は未定ですが,「Battle Mode」という新たなゲームモードを開発しています。ゲームの開始時に,双方のプレイヤーに10のヘルスポイントが与えられ,お互いにダメージを与えて削りきれば勝利,といった内容ですね。現在,社内でテストプレイを行っていますが,もう本当に面白くて。ぜひ期待してください。
4Gamer:
それは従来のデジタルカードゲーム寄りのゲームモードですね。ランダム性を重視しているゲームとはいえ,MARVEL SNAPのeスポーツ向けの展開にも思わず期待してしまいます。
Brode氏:
私は「ハースストーン」を見てきましたし,MARVEL SNAPのeスポーツ方面への展開もずっと考えていますよ。でも今は,メインコンテンツの完成度を高めて,プレイヤーの皆さんに楽しんでもらえることを最優先で考えています。
本当に「2回目の夕食」を食べていた
4Gamer:
MARVEL SNAPの開発作業を通じて,最も嬉しかったときのことを教えてください。
Brode氏:
「ハースストーン」の元ディレクターで,MARVEL SNAPではプロデューサーを担当しているヨン・ウー(Yong Woo)と一緒に,α版のテストプレイを初めて行ったときですね。あまりにも楽しくて,2人して徹夜でプレイしたんですよ。
4Gamer:
逆に,一番つらかったのは?
Brode氏:
コロナ禍のせいで,会社がリモートワーク主体になったことです。いまも全従業員の約90%がリモートワークを行っています。
でも,リモートワークを進めることで,世界各地の有能な開発者と一緒に働きやすくなるなど,メリットもあったので,受け止め方次第だと思います。今もこうやって,日本の記者の方とオンラインでインタビューを行えていますし(笑)。
4Gamer:
Second Dinnerという社名の由来が前々から気になっているのですが。
Brode氏:
私やハミルトンたちがBlizzardに在籍していた頃,よく一緒に夕食を食べながら話し込んでいました。でも,私達にはそれぞれ家族がいるので,彼等とのコミュニケーションを欠かさないために,帰宅後は一緒に夕食を食べるわけです。つまり文字通りの「2回目の夕食(Second Dinner)」を迎えていたわけです(笑)。
4Gamer:
ちなみにブロードさんは,どんな料理がお好きなんですか?
Brode氏:
メキシカンですね。
4Gamer:
それはカロリーが高そうですが,いまオンラインで拝見しているブロードさんは,引き締まった体型を維持されていますね。
Brode氏:
ありがとうございます(笑)。
私は昔からバスケットボールが好きなんですが,現在は仕事も趣味もカードゲームなので,外出する機会が少ないんですよ。そういったなかリモートワークが主体になって,このままではヤバいと思い,エクササイズ用の器具を購入して頑張っています。その成果が表れているのかもしれません。
4Gamer:
日本にはブロードさんのファンも多いのですが,これまで来日されたことはありますか?
Brode氏:
私が幼少期の頃に住んでいたカルバー・シティーという町は,日本の貝塚市(大阪府)と姉妹都市なんです。その関係で,12歳の時に2週間ほどホームステイを行ったことがありました。日本の住宅の2階に住ませてもらって,何もかもが大冒険で,あっという間の日々でしたね。
4Gamer:
機会があれば,ぜひ再び日本にいらしてください。
そろそろお時間のようなので,最後に日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
Brode氏:
MARVEL SNAPは1回のゲーム時間が非常に短いので,出歩くことの多い人や,ちょっとしたスキマ時間ができたときにもピッタリのゲームです。短時間で遊べるだけでなく,戦術もたっぷりとありますし,カードゲームの経験者なら少し触れるだけで,そのユニークさを感じてもらえると思います。
そして同時に,誰でも手軽に遊べることにも強くこだわっています。私自身,これは現在世にあるデジタルカードゲームのなかで,最も簡単にプレイできるゲームではないかと思っています(笑)。
決して頭でっかちなゲームではないですし,カードゲームやMARVELに触れたことがないという人でも,まったく支障はありません。楽しくて簡単に覚えられるけど,極めるには時間が掛かるゲームに仕上がっているので,ぜひプレイしてください!
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