プレイレポート
[プレイレポ]HoYoverse最新作「ゼンレスゾーンゼロ」のディープな世界にゾッコン! CBTで分かったのは圧倒されるほどの作り込み
「ゼンレスゾーンゼロ」公式サイト
まずはゼンレスゾーンゼロをざっくりと紹介
本作の主人公はレンタルビデオ屋を営む青年・アキラと妹のリン。プレイヤーは兄妹のどちらかを選んで物語を進めていくことになる。
兄妹には“プロキシ”という裏の顔がある。プロキシとは,“ホロウ”と呼ばれる危険地域に入る人々を遠隔でサポートし,無事に帰還させる脱出請負人だ。兄妹はそのスジでは知られた存在で,ホロウ探索を生業としているエージェントたちからは厚い信頼を寄せられている。
だが,ある事件を機に,これまでキャリアを重ねたアカウントを失ってしまう。兄妹は依頼をこなしながら,再びプロキシレベルを上げていくことにするのだが……。
プロキシとして依頼を受けたら,まずはエージェントたちをホロウ内の目的地へと誘導する。このシーンでは,マス目状のエリアを移動するパズルが待っている。
その道中で敵と遭遇すると,今度はバトルが発生。プレイヤーは3人チームで編成されたエージェントを操作して敵を一掃するのだが,シンプルなシステムでありながら爽快なアクションが楽しめる。
ミッションを進めると,同時にストーリーも進行する。ストーリーはコミック風イラストで描かれるシーンと,キャラクターモデルが動くムービーシーンを織り交ぜている。キャラクターの動きも一つひとつのポーズが強調されており,コミカルなCG映画のようだ。
兄妹が暮らす新エリー都の“六分街”(ろくぶんがい)は,小さいながらも個性的なお店や人々が集まっている。歩くだけでも何らかの発見があったり,ときにはトラブルに巻き込まれたりすることも……?
本作はメインストーリーだけでなく,サブクエストでもさまざまな人から依頼が舞い込む。
このように本作の基本サイクルは,
- メインストーリーやクエストの依頼を受ける
- パズルとバトルをクリアする
- 日常に戻って次の依頼に挑む
という流れになっている。そのほか,エージェントの強化や彼らとの交流,ホロウの最奥を目指す挑戦モード,ビデオ屋の運営,ミニゲームなどもあり,やり込み要素やお楽しみ要素もたっぷりだ。
磨き上げられたアクションが気持ちいい!
ここからは強くプッシュしたいポイントをお伝えしていく。
やはり真っ先に挙げたいのが,バトルでのアクションの素晴らしさ。キャラクターの個性,武器の特徴を肌で感じられるような操作感覚に加え,一連のモーションがどこを切り取っても絵になるほど美しいのだ。
本作のバトルスピードはなかなか速く,素早いタイプのキャラクターになると「これ以上は目で追えなくなるかも」というくらいの体感なのに,なぜかその一挙手一投足が脳裏に焼き付いているのが不思議だ。回避アクションや,必殺技の演出によるメリハリがしっかり効いているからだと思う。
本作は「崩壊3rd」などでおなじみの「極限回避」システムを採用している。いわゆるジャスト回避に成功するとスローモーションになり,より強力な反撃ができるといった恩恵が得られるものだ。
極限回避が決まると,すこぶる気持ちがいい。これはバトルの要にもなっている部分で,極限回避を積極的にするとしないとでは,プレイフィールもリザルトも変わってくると思う。
そうなると操作に不安を覚える人もいるだろうが,本作では敵の攻撃が出る前に「ピカーン!」と十字の光が出るので,タイミングが取りやすい(筆者はジャスト回避やジャストガードが得意なほうではない。タイミングが合わない作品はとことんダメ……)。
一方,アクションが得意な人は「エフェクトがあるなら簡単なんだ」と思われるかもしれない。だが,複数の敵に囲まれることもあるし,背後からでも「ピカーン!」と攻撃されるので油断はできない。
アクションゲームではままある「ヒーローは背後から襲われない(はず)」というお約束に甘えていた身としては,ちょっと衝撃だったが,そのぶんバトルに集中するようになった。何よりも,攻撃を食らって華麗な立ち回りを中断されたくない! というのが一番の理由かもしれない。
極限回避と並び,とても気に入ったのが「極限支援」と呼ばれるテクニック。こちらは「ピカーン!」のタイミングで交代ボタンを押して,操作キャラクターを切り替えるものだ。この入れ替わるときに,パリィや回避が自動で発生するので窮地を切り抜けたい場面で重宝した。
紹介が前後してしまったが,バトル中はいつでも操作するパーティメンバーを交代できる。敵に対して有利なスキルを持つキャラクターで戦ったり,味方のHPを温存させたりするといったことも可能だ。
エージェントがミッションの推奨レベルに達していればそうそうピンチにはならないが,章のラスボスだったり,エンドコンテンツである「零号ホロウ」にチャレンジするときは,残りHPに注意しながらメンバーを回していくことになる。
それにしても,選手交代の速さが尋常じゃない。交代ボタンを連打してもポンポンと味方が切り替わるし,何なら前のキャラクターがまだフィールドにいるくらいのスピード感なのだ。筆者は「崩壊:スターレイル」における必殺技の割り込みの速さが,ふと頭をよぎった。
なお,今回はスマートフォン版をプレイしたが,まだ慣れないうちは回避するつもりが交代ボタンを押していた……なんてことも。だが結果オーライというか,それで問題なく戦えていたのも,交代がスムーズすぎるからだった気がしてならない。
交代と言えば,パーティメンバーが次々とスキルを発動する「連携スキル」も最の高。これは連続攻撃などで敵をブレイク状態にしてから,キャラクターの(必殺技的な)特殊スキルを当てると,味方が追撃できるシステムだ。2人目,3人目,さらに1巡して……といった形で,立て続けにスキルを放てることもある。
本作のバトルは,従来のHoYoverse作品の遺伝子を受け継ぎながらも,手触りや演出を突き詰めて上質に仕上がっていると思う。とはいえ,まだクローズドβテストの段階だ。これからもっとブラッシュアップされると思うと楽しみで仕方がない。
緊張感あふれるパズルはルールも多彩!
本作はパズルもなかなか奥深い。スイッチや障害物を押すだけでなく,敵や列車に追われたり,隠しエリアを探ったり,選択肢のあるイベントが起きたりと,かなりアドベンチャー要素が強いのだ。しかも,ちゃんとシナリオに沿った舞台とギミックになっているため,“プロキシ”としての没入感を高めてくれる。
また,パズルのお題を達成できたかどうかは,ミッションの評価にも影響してくるのでモチベーションにつながっている。
軽快なシナリオでキャラクターがどんどん好きになる!
今回のレポートで筆者が一番言いたいのは,「邪兎屋(じゃとや)が大好きだー!」ということ。邪兎屋は依頼があればホロウにも潜る何でも屋チームだ。銭ゲバなリーダーのニコ,どこかロボ味のある少女アンビー,特撮ヒーローに憧れる機械人のビリーという構成。決して悪役ではないけれど,昔懐かしタイムボカンのマージョ一味を思い出させる凸凹トリオといった印象だ。
お金に目がないニコに,ポソッとアンビーがツッコミを入れたり,気のいいビリーが2人をとりなしたりする光景が,本作のコミカルな雰囲気づくりに一役買っていると思う。また,プロキシである主人公たちと,実働する邪兎屋は持ちつ持たれつの関係であるところもイイ。
ちなみに,邪兎屋のトリオは最初から使用できるエージェントということもあってか,編成したときのバランスも良好だ。ニコは打撃とボムで敵を巻き込めるし,アンビーは斬撃で各個撃破に向いている。そしてビリーは銃撃で広範囲の敵に対応できるため,役割もハッキリしている。邪兎屋以外のエージェントは「変調」(ガチャ)で入手できるが,つい手に馴染んだこのトリオを使ってしまう。
なお,メインストーリーでは物語に合わせて,ミッション専用のエージェントが用意されている。プレイヤーが持ってないエージェントに触れる機会にもなっており,第一章では猫又こと猫宮又奈を操作できる。彼女が物語に絡むことで,邪兎屋のトリオの意外な一面が見えてきたりも……?
そんな邪兎屋推しの筆者だが,第二章で登場する白祇重工(はくぎじゅうこう)チームもかなり好きだ。彼らは建設会社の社員で,現場でバリバリ活躍する職人気質である。それでいて,個々に大きなギャップを持っていたりするのもまた魅力なのだ。
ふいにギュッとハートをつかまれたのが,クマな風貌のベンさん。現場の荒事に対処する姿は大迫力なのに,普段はものすごく丁寧で常識人。うーん,たまらない。
そしてもう1人,メカニック担当のグレースさんもジワジワと心に入り込んできた。“メカ好き”の次元をはるかに超えた変態さん(誉め言葉)なので,残念な美女とも見られるけれど,揺るがないメカ愛にはもう尊敬しかない。素敵。
ストーリーを進めていくにつれ,白祇重工の面々もこれまたいい関係性であることが見えてきた。本作にはさまざまな陣営が登場するので,彼らもまた箱推ししていきそうな予感がする。
メインストーリーでは各陣営にスポットが当たる形だが,主人公たちの行く末も忘れちゃいけない。彼らが新たに導入した超高性能AIのFairyには,何かウラがありそうだが……? メインストーリーの合間には,兄妹を主軸にしたクエストもあるのがまた良かった。
人々が息づく,街歩きが楽しい
本作の舞台は,プロキシという職業をはじめ,ビリーのような知能機械人が存在するといった近未来的な部分がある一方で,ブラウン管のテレビやビデオテープを貸し出すレンタルショップが残っていたりして,ちょっと不思議な世界になっている。そこには超自然災害であるホロウによって,現代文明が一度壊滅していることが影響しているようだ。
とはいえ,本作はそこまでシリアスな雰囲気ではなく,六分街は平和でちょっとゴチャついた街といった様相だ。ただ,そこになぜか妙な懐かしさを感じられる。
この街の雑貨店は秋葉原のジャンク通りを思わせるし,路地の奥に並ぶ住宅は,平成の日本の家といった佇まい。やたら電柱と電線が多く,高架や電波塔らしきものが見られるのも日本らしい。もちろん,まんま日本の風景というわけではないし,ほかの国の人が見れば,また違ったポイントに親しみを感じるのかもしれない。
とにかく,街を歩いているとワクワクすると同時に,すごく落ち着ける感覚があった。本作のサービスが始まった暁には,ぜひプレイして共感してほしい。
さて,ここからはお気に入りのショップを紹介しよう。まずは,ホロウ探索にも役立つ飲食店から。
ラーメン屋「麺屋錦鯉」では,チョップ大将の手打ち麺が食べられる。頼んだメニューによって,ホロウ探索時にかかるバフが異なる。
喫茶店「COFF CAFE」では,マスター・ティンのこだわりの1杯が楽しめる。こちらもドリンクによって,さまざまな効果がある。なお,彼の前では“インスタントコーヒー”は禁句のようだ。
六分街にはバトルの準備をするためのお店も揃っている。エージェントのスキルや装備を強化するならホビーショップ「BOX GALAXY」とCDショップ「吟遊ニードル」,前述した秋葉原っぽい雑貨店「141」だ。そして,探索のオトモである小型知能機械“ボンプ”を改造できるカスタムショップ「TURBO」もある。
レトロなゲームセンター「GOD FINGER」では,実際にミニゲームを遊べる。今回はヘビの身体を伸ばしていく「スネーク・デュエル」と,パズルゲーム「ソウルハウンドIII」をプレイできた。どちらもクラシックなゲームを思わせる作風で,くり返し遊んでしまった。
娯楽と言えば,主人公たちのビデオ屋ではちょっとした経営シミュレーションも体験できる。毎日,トレンドのジャンルのビデオを品出ししたり,映画好きのお客さんをバイトとして採用したりと,難しくはないけれどほのかにやりがいを感じられるものだ。
これらのお店だけでなく,人々との出会いも街歩きの醍醐味だ。本作には昼・夜・深夜の時間帯があり,それぞれに登場する人物が異なる。立ち止まっている人のほとんどにセリフがあって,なかなか興味深い独り言を聞ける。
もちろん,エージェントやクエストで関わるキャラクターと遭遇することもある。ささやかなサプライズがどこかに隠れているから,街歩きはやめられない。
今回,筆者は初めて「ゼンレスゾーンゼロ」を体験したわけだが,まだクローズドβテストだというのに,その作り込みのスゴさに驚かされる。キャラクターの仕草から背景の張り紙まで,随所から作り手のこだわりと情熱が伝わるうえに,クエストなどのコンテンツの物量も相当なものになっている。
ここから正式リリースに向けて,さらにボリュームアップを果たし,ユーザビリティが高まることを考えると,ますます完成が楽しみになってくるし,また主人公や邪兎屋たちの活躍を早く見たいと思う。今後も「ゼンレスゾーンゼロ」の動向に注目するしかない。
「ゼンレスゾーンゼロ」公式サイト
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