Gotcha Gotcha Gamesは本日(2022年9月2日),開発中のゲーム制作ツール
「RPG Maker Unite」(
PC /
Mac)の新情報を明らかにした。合わせて,プロモーションビデオの第1弾も公開されている。
「大型パーツ」や「一枚絵マップ」「3Dキャラクターコンバーター」など,さまざまな情報を公開してきた「RPG Maker Unite」だが,今回はゲームバランス構築に役立つ機能
「オートガイド」の情報が公開されている。ゲームバランスが悪いとプレイに支障が出てしまうが,数値化するのが難しいため,とくにゲーム開発の経験が浅いビギナーにとってはハードルが高い。
基本は,試行錯誤することになるのだろうが,「オートガイド」はその手助けとして,「HPの上限」を主軸とした独自の計算式で標準モデルを作成。適切レベルの入力や,段階式のスライダー設定,強さの目安となる数値を設定するだけで,指針となる各種能力値を自動入力してくれるとのこと。 敵キャラのほか,スキルやアイテムなど,ゲームのさまざまな要素について,この「オートガイド」が役立ってくれるという。
ゲームバランスはゲームの評価に直結するだけに,ゲーム制作者にとってこうした機能は嬉しいはずだ。具体的な使用方法などは,本日公開された
開発日記の第6回,または以下のリリース文を参照してほしい。
「RPG Maker Unite」ファンのみなさま、こんにちは。バーチャルYouTuberの「みなみよつば」です。開発日記として、今月もクリエイターのみなさまに向けて、「RPG Maker Unite」の最新開発状況をお伝えします。
前回は「大型パーツ」と「一枚絵マップ」、外部ツールの「3Dキャラクターコンバーター」を紹介しました。いずれも「RPG Maker Unite」が得意とする、2Dゲームとしてのマップやキャラクター表現向上を支援する機能になります。まだ確認していない方は、下記リンクよりご覧下さい。
https://store.steampowered.com/news/app/1650950/view/3373776723232833370
今月はゲームバランス構築に役立つ新機能「オートガイド」を紹介します。また、みなさまの声を反映する形で開発開始した「アドオンマネージャー」の開発状況もお見せします。
自作ゲームでも重要なゲームバランス
「オートガイド」を取り上げる前に、ゲーム制作におけるゲームバランスの重要性を初心者向けに解説します。
みなさんはゲームのプレイ中に、次のような理由で、クリアせずにゲームをやめてしまったことはありませんか?
- 極端に一部エリアの難易度が高くなってしまった
- 一つ一つの戦闘が長くなってしまっている
- スキルやアイテムのバランスに偏りがある
この他にも、ゲームバランスが要因のゲーム中断要素は多数あります。これらの問題は、あなたが作るゲームにおいても同じように発生する可能性があり、プレイに支障が出てしまう恐れがあります。
ゲームクリエイターは、日々プレイヤーが楽しめる「ゲームバランス」を模索しながら制作しています。自分のゲームにあう難易度はどのようなものなのか。狙ったプレイヤー層のプレイスタイルをイメージし、最適なゲームバランスを考えながら制作しています。
一方で、目指すべきゲームバランスを実装することはとても難しいことです。具体的なイメージで考えてみましょう。例えば、「このダンジョンはレベル5でクリアできる」と決めたとします。レベル5でクリアできるダンジョンを作るためには、そのレベルの味方キャラクターにあわせた敵の能力、スキルの威力、装備品の効果量。様々な要素を意識しながら、ゲームのデータを決める必要があります。
経験豊かなゲームクリエイターであれば、過去の経験を通じてゲームバランスを取れるかもしれません。しかし、経験が浅いクリエイターにとっては、どのように調整をすればよいのかわからない、そもそもプレイヤーの想定に偏りが出てしまい、正しいバランスを構築できない可能性もあります。
新機能「オートガイド」でゲームバランス支援
RPG Maker Uniteでは、初心者から上級者までより適切なゲームバランスを実装できるよう、新機能「オートガイド」を搭載しました。共通設定で定める「HPの上限」を主軸とし、独自の計算式で標準モデルを作成。適切レベルの入力や、段階式のスライダー設定、強さの目安となる数値を設定するたけで、指針となる各種能力値を自動入力する機能です。
一例として、モンスターの「オートガイド」をお見せしましょう。こちらはRPG Maker Uniteのモンスター作成画面の一部です。新しく「オートガイド」と記載されたエリアがあるので、適正レベルや関連する項目を入力していきます。今回は次のように設定しました。
入力を終えたら、「反映」を押します。すると、基本能力値に独自の計算式から算出された数値が自動入力されます。
「オートガイド」は敵キャラだけではありません。スキルやアイテム、様々な要素に導入されています。もちろん、入力された数値は調整することも可能です。オートガイドに頼らず、ゼロから自身で決めていくこともできます。
クリエイターに計算式から算出された各設定値を提供することで、ゲームバランス調整を手助けしていきます。
具体的なオートガイドの流れ
とはいえ、オートガイドの設定が難しければ、初心者から上級者まで使えず、宝の持ち腐れになってしまいます。心配ありません、オートガイドの設定は非常にスムーズです。ここでは、RPG制作に役立つオートガイドの設定について、いくつかの項目をご紹介していきます。
まずは職業の「共通設定」を決めよう
オートガイドの初期設定として、職業項目に新設された「共通設定」を入力していきます。
共通設定では、「最大レベル」「クリアレベル」「経験値の上限」「HPの上限」を設定できます。ここで設定した数値は、オートガイドの計算式に大きく関係してきます。
噛み砕いて紹介すると、「ゲームのHP上限がこの値であれば、このレベルの標準的なHPや防御力はこの程度。ならばこの敵キャラクターの攻撃力はこの数値」といったイメージで、計算を行い数値を提供します。実際にはより細かい計算が行われますが、オートガイドは共通設定の数値を活用して、計算による最適なゲームバランスの目安値を提供します。
「共通設定」は、最初からサンプルの数値も設定されています。こだわりがなければ、初期設定のまま制作しましょう。
味方の能力値を決める!各職業の「オートガイド」を割り振り
次に、オートガイドを活用して味方キャラクターの能力値を決めてみます。RPG Maker Uniteにおけるキャラクターの能力値は、各キャラクターが属する職業の項目で決まります。
職業の能力値項目に「オートガイド」が新設されています。オートガイド項目を開き、HPとMPのバランスをスライダーで決めます。そして能力値が合計30以下になるように数字を割り振ります。「反映」を押せば、割り振った能力値の数値と、共通設定で定めた数値を活用して、各能力値を決めてくれます。
難しく見えるかもしれませんが、簡単に言えば「イメージした能力値を合計30以下になるよう割り当てるだけで、キャラクターの能力値が完成する」といった内容です。実際に画像では、物理攻撃に強い戦士をイメージして割り振ってみました。反映を押してみます。
各レベルにおける能力値が自動入力されました。攻撃力や防御力に高い数字を割り当てたため、この職業に属するキャラは、高い攻撃力と防御力が期待できる能力値になります。
キャラクターメイキングがあるゲームで、能力値を割り振る。そんな感覚で、自作キャラクターの能力値を決められます。直感的に能力値を決めることができることでしょう。
対峙するレベルから敵の能力値を決める!モンスターの「オートガイド」
冒頭で軽く紹介しましたが、モンスターにおける「オートガイド」は想定レベルやターン数、魔法に関連する設定を入力するだけで能力値を決めることができます。
想定レベルを入れて反映を押せば、想定レベルに応じて全体の能力値が決まります。攻撃ターン数や防御ターン数を入れると、攻撃力やHPに補正が入ります。魔法の使用や魔法防御のある敵を作る場合は、魔法力や魔法防御の設定をすればMPや魔法防御の値も入力されます。
もちろん、オートガイドから入力された各数値は手動で変更も可能です。オートガイドを活用した敵キャラクターを配置してテストプレイしていき、必要に応じて細かく調整していくとよいでしょう。
スキルや装備アイテムにも「オートガイド」項目が追加
この他にも、味方が装備できるアイテムを決める「武器」「防具」、味方が使用する魔法や必殺技を決める「スキル」にもオートガイドに関連する項目が用意されています。
「武器」「防具」は推定レベルを入れて、反映を選ぶだけです。能力値の上昇だけではなく、買値や売値も自動入力されます。
スキルにおけるオートガイドは、威力(ダメージ計算)を支援してくれます。スキルは独自に共通設定が用意されています。スキルの共通設定を行い、ダメージ項目の「オートガイドの使用」で「使用する」にチェックを入れれば、オートガイドを活用してダメージ量に関連する数値を決めてくれます。従来のRPG Makerと同じように手動で計算式による入力を行いたい場合は、画像のように自由入力を選べば、ダメージ計算の設定を自身で行うことも可能です。
オートガイドで変わるゲームバランス調整
RPG Maker Uniteでは、計算によって導き出すオートガイドによって、指針となるデータを提供することで、初心者でもゲームバランスがとれたゲーム開発ができるように支援していきます。上級者のクリエイターでも、計算によって導き出されるオートガイドの結果を基軸にし、クリエイターのみなさんが培ってきたゲームバランスの肌感覚も組み込みながら反映すれば、より効率的に魅力あるゲームを作ることができるでしょう。
繰り返しテストして掴まなければならないゲームバランス調整を、計算から導くオートガイドによる支援で、皆さんの制作を後押ししていきます。オートガイドは、ゲームバランスという要素に革新をもたらすかもしれません。
アドオンマネージャーで機能拡張を支援
ここからは、「アドオンマネージャー」の開発状況もお見せします。RPG Maker Uniteでは、クリエイターみなさまのお声に応え、拡張機能を導入できるように「アドオンマネージャー」を追加することになりました。
RPG Maker Uniteでは、アドオンデータを導入することで、標準機能では実装できない仕組みや演出を拡張できたり、制作を効率化する機能を導入することができます。アドオンはRPG Maker MVやMZのクリエイターにとって馴染みの深い、プラグインに代わるものというイメージです。
以前のQ&Aでは、「プラグインマネージャーに該当する機能」の開発について回答しました。アドオンを管理する機能として提供予定である「アドオンマネージャー」の開発状況をお見せします。
アドオンマネージャーはRPG Maker MVやMZで搭載されていたプラグインリストのように、導入したアドオン(機能拡張)を手軽に管理することができる機能です。
プロジェクトに追加したアドオンが一覧で表示され、アドオンのON/OFF切り替えや、パラメーターの設定が行えます。
リストに表示されたアドオンをクリックすることで、アドオンのパラメーターを設定できます。アドオン制作者がアドオン内に使い方を記載していた場合は、こちらの画面でも確認できます。クリエイターのみなさまは、各アドオンに決められた使い方に沿って、パラメーターの設定や、イベントコマンド「アドオンコマンド」を使ってアドオンを導入していきます。正しく設定できれば、自作ゲームの表現を拡張したり、制作効率化に繋がる機能を取り込むことができます。
従来のRPG Makerとは開発言語が異なるため、MVやMZのプラグインとの互換性はございません。また、アドオンの開発や、導入、動作に関しては公式サポートの対象外になります。
しかし、改造に関する知識や作成したアドオンデータを、UniteのEULAに従ってコミュニティ上で共有して頂くことは問題ございません。Unity上で動くRPG Maker Uniteは新しいクリエイターからも大いに注目されています。アドオン開発のコミュニティが活性化すれば、従来のRPG Maker同様に多彩なアドオンが共有され、様々な機能拡張ができるようになるでしょう。
第六回 RPG Maker Unite Q&A
1.過去のRPG Maker素材(公式DLC含む)をRPG Maker Unite用にコンバートする、またはRPG Maker Unite素材を過去のRPG Makerへの転用は、可能でしょうか?
原則は過去作同様に、規約の範囲内でコンバートや過去作への転用も可能です。「RPG Maker Unite」や当該DLCを所有していれば、ゲーム制作という目的に限り、改変することができます。
2.VRMモデルとはなんでしょうか? キャラクタージェネレータの実装について再検討は可能でしょうか?
VRMとは3Dモデル型式の名称で、現在でもVTuberや一部ソーシャルVRコンテンツの中でアバターとして利用されることが多いです。
■VRM参考サイト
https://vrm.dev/vrm/vrm_about.html
近年では、素材販売サイトでもVRM形式の3Dモデル素材の販売が増えており、気軽に入手が可能です。また、VRM形式の3Dキャラクターモデルを制作できる無料ソフトウェアも登場しています。こういった外部サービスを活用していただければと考えております。
ただし、「デフォルトキャラ素材に似せたホコグラやバトラーが欲しい」という意見が出てきております。この辺りも需要次第で検討させて頂ければと思います。Twitter上やSteamフォーラム上などで声を上げて頂ければ大変嬉しく思います。
次回は9月下旬に開発日記更新予定
今回は新機能「オートガイド」と「アドオンマネージャ」を紹介しました。「オートガイド」は効率化だけではなく、初心者が詰まりやすいようなポイントをより直感的に設定できるようにしました。誰でもゲームが作れるRPG Makerシリーズの特徴を大きく反映した新要素や改良になります。
「アドオンマネージャ」はみなさまからのお声を元に開発を始めた機能です。RPG Maker Uniteはこれからもみなさまのお声を反映し、より良いゲーム制作ツールになるように、改良を続けていきます。それゆえ、バグフィックスなどにお時間を頂いています。公開時期が気になっている方も多いと思いますが、もう少々お待ち下さい。
引き続き、みなさまのお声もSNSのハッシュタグ「#RPGMakerUnite」で募集しております。「アドオンマネージャ」のように、みなさまのお声も大切にしながら開発しておりますので、ぜひ気になることがございましたら、ハッシュタグをご活用ください。
次回の開発記事は、9月末を予定しております。今月は、収録素材も別ページにて紹介しています。収録素材が気になる方は、下記リンクよりご確認ください。
https://store.steampowered.com/news/app/1650950/view/3362519627187193645
それでは、また来月の開発日記をお待ち下さい。
■関連リンク
・ポータルサイト『RPG Maker Official』:
https://rpgmakerofficial.com/
・『RPG Maker Unite』公式サイト:
https://rpgmakerunite.com/
・RPG Maker Unite Steamページ
https://store.steampowered.com/app/1650950/RPG_Maker_Unite/
・RPG Maker Unite 公式Twitter
https://twitter.com/RPGMakerUniteJP(日本語)
https://twitter.com/RPGMakerUnite(英語)
・ツクールシリーズ 公式Twitter
https://twitter.com/tkool_dev(日本語)
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・ツクールブログ:
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