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AMDの新世代CPU「Ryzen 7000」シリーズが9月27日に発売決定! 価格はほぼ据え置きで性能は前世代から最大29%向上
発表となった製品のラインナップは以下のとおり。
- Ryzen 9 7950X:16コア32スレッド,定格クロック4.5GHz,最大クロック5.7GHz,L2キャッシュ容量16MB,L3キャッシュ容量64MB,TDP 170W
- Ryzen 9 7900X:12コア24スレッド,定格クロック4.7GHz,最大クロック5.6GHz,L2キャッシュ容量12MB,L3キャッシュ容量64MB,TDP 170W
- Ryzen 7 7700X:8コア16スレッド,定格クロック4.5GHz,最大クロック5.4GHz,L2キャッシュ容量8MB,L3キャッシュ容量32MB,TDP 105W
- Ryzen 5 7600X:6コア12スレッド,定格クロック4.7GHz,最大クロック5.3GHz,L2キャッシュ容量6MB,L3キャッシュ容量32MB,TDP 105W
価格は先代からほぼ据え置き
Zen 4というアーキテクチャ名ではあるが,ZenシリーズはこれまでにZen,Zen+,Zen 2,Zen 3という流れで登場してきたため,Zen 4は実質,第5世代のZenアーキテクチャである。
そんなZen 4を採用するCPU製品には,3種類のバリエーションがあるという。今回発表となるデスクトップPC向けRyzenは「Raphael」(ラファエロ),サーバー向けCPUであるEPYCブランドは「Genoa」(ジェノア),データセンター向けEPYCが「Bergamo」(ベルガモ),そしてAPU向けRyzenが「Phoenix」(フェニックス)だ。
冒頭でも触れたとおり,今回発表となったのは,最上位の16コア32スレッド対応CPU「Ryzen 9 7950X」から,6コア12スレッドのミドルクラス「Ryzen 5 7600X」までの4製品だ。モデルナンバーの4桁数字が「7」から始まっていること以外は,従来製品の命名規則に沿ったものなので,クラス分けはイメージしやすいだろう。
世界市場での発売日だけでなく,米国における参考価格も明らかになっている。
多少,上下はしてはいるが,発表時点におけるRyzen 7000シリーズの価格は,Ryzen 5000シリーズの発表時点におけるとほぼ同じだ。Ryzen 5000シリーズの最上位モデル「Ryzen 9 5950X」は,発表当時の価格が799ドルだったので,むしろRyzen 9 7950Xは,価格が安くなった。
Ryzen 7000シリーズの注目ポイントは?
AVX-512命令に対応
Ryzen 7000シリーズを含むZen 4シリーズのアーキテクチャ面における概要も明らかになっているので,簡単に紹介しておこう。
まずZen 4では,1クロックあたりの命令実行数「IPC」(Instructions Per Clock)が,Zen 3に対して約13%向上したとAMDはアピールしている。
また,製造プロセスにTSMCの最新世代である5nmプロセスを採用したことによって集積度が上がり,動作クロックも格段に引き上げることができたと,AMDは述べている。実際,Zen 3世代に対しておよそ800MHzの動作クロック向上を実現したそうで,Ryzen 9 7950Xでは,最大5.7GHzのクロックで動作できる。
こうしたIPCの向上と,動作クロックの向上による相乗効果で,同クラスのRyzen 7000とRyzen 5000を比較すると約29%の性能向上を実現している,とAMDは主張する。
また,今回のZen 4は,「AVX-512」命令セットに対応したことが,大きなポイントでもある。AVX-512命令セットは,いわゆる行列同士のSIMD演算を行う命令セットだが,主な用途としては,推論処理のアクセラレーションに用いられる(関連記事)。Intelは,2017年登場の「Skylake-X」でAVX-512を実装しており,これを活用したCPUベースでのAI処理を実装したソフトウェアもそこそこに増えてきた。そのためAMDも,遅ればせながら業界からのニーズに応えた格好だ。
Core i9-12900Kとほぼ同性能なのは,Ryzen 9ではなくRyzen 5 7600X?
Intelが2021年に発売した第12世代Coreプロセッサ(開発コードネーム Alder Lake)に対して,AMDは,相当なライバル心を燃やしている。今回の発表では,Ryzen 7000シリーズの優位性を示す資料を多めに提示していた。
まず示したのは,Intel側の最上位モデル「Core i9
これだけに留まらず,AMDは「我々のRyzen 5 7600Xは,すでにCore i9-12900K相当の性能がある」という文脈で,異なるクラスのCPU製品同士の性能比較表まで示したのだ。AMDとしては,Ryzen 7000は「Ryzenキラー」キラーだ,とアピールをしたいのだろう。この,仲良くケンカしな感は,業界を盛り上げてくれるのでなかなか楽しい演出である。
プラットフォームはSocket AM5へ
すでに発表済みの話題だが,Ryzen 7000シリーズでは,プラットフォームをこれまでのSocket AM4から,Socket AM5へと世代交代する。
メモリシステムもDDR5メモリへと世代交代し,I/OインタフェースもPCI Express(以下,PCIe) 5.0となる。
Ryzen 7000シリーズ対応のチップセットは,最上位が「X670 EXTREME」で,「X670」「B650 EXTREME」「B650」という4種類がラインナップされており,それぞれの違いは,I/Oポートの種類や数,PCIe 5.0に接続できるデバイスの数にあるという。なお,オーバークロック機能に関しては,違いがないそうだ。
それに加えて,AMDは,DDR5メモリに関してメモリモジュールメーカーと協力して,独自のメモリオーバークロック用のプロファイル規格を策定して,これをSocket AM5プラットフォームで展開していく方針を発表した。
規格名は「AMD EXPO Technology」(以下,EXPO)で,DDR4メモリ時代における「D.O.C.P.」(Direct Over Clock Profile)や,Intelのメモリ規格「XMP」と似たようなものだ。
Navi 3世代の新Radeonは2022年末に登場?
AMDのCEOであるLisa Su氏は,イベントの最後に次世代の「RDNA 3」アーキテクチャを採用する新GPUとして,開発コードネーム「Navi 3」のティザー画像を公開した。開発は順調に進んでいるそうで,2022年末には,発売するとのことだった。Radeonファンは期待しよう。
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