企画記事
分からないからこそ面白く,理解したときの驚きがある。コッソリ覗き見てほしい,謎多きホラーアクション「野狗子: Slitterhead」の楽しみかた
外山圭一郎氏らが立ち上げたゲーム制作スタジオBokeh Game Studioのデビュー作で,「サイレントヒル」「SIREN」で知られる外山氏によるホラー作品というところでも注目していた人はたくさんいるだろう。
そんな「野狗子」だが,「作品の雰囲気はなんとなく分かったけど,どういうゲームかがまだ掴めていない」という人もまた多いのではないか。では実際どうなのかというと,「困惑のなかで始まり,進めていくうちに物語とゲームの両方の面白さが理解できてくる」という導入がとても絶妙なバランスでできたゲームなのだ。
そんな本作を,作品の雰囲気はもちろんなによりアクションが面白いゲームの魅力を紹介していきたい。その面白さを損なわないよう段階的に伝えていくが,ある種ネタバレに当たる部分もあるかもしれないのでご注意を。そして本稿を読んで興味を持ったら,ぜひ自身で暗く怪しげな混沌の街へと足を進めてほしい。
「野狗子: Slitterhead」公式サイト
「野狗子: Slitterhead」でなにより大事にしたことは,アクションゲームとしての面白さ。キーマン3名に聞く,謎多きホラー作品のこれまでの歩み
Bokeh Game Studioのデビュー作「野狗子: Slitterhead」の奇妙な視点で描く街の物語,そして音と人はどう作られたのか。久しぶりのホラー作品を手がけた外山圭一郎氏,音楽/サウンドの山岡 晃氏,キャラクターデザインの吉川達哉氏に,謎多き「野狗子」のこれまでの歩みやゲーム制作の考えなどを聞いた。
困惑から始まり,やがて街の一員になる
まずはシステムなどの詳しい部分に触れず,どのような雰囲気のゲームかを伝えたい。
かつて香港に存在した九龍城砦を思わせる混沌の街・九龍。そこでは犠牲者が脳を失った状態で発見される連続変死事件が発生し,「まるで中国の古典小説に出てくる野狗子のようだ」と人々は恐れおののいていた。
そんな九龍の一角で,肉体を持たない霊魂のような「憑鬼」が覚醒。記憶を失ってはいるものの,野狗子を倒さなければならないという使命感に駆られて動き始める。
冒頭でも紹介したとおり,「野狗子」は“五里霧中の困惑から始まり,分かってくることが楽しい”ゲームだ。
主人公の憑鬼は記憶を失った意識体であり,なぜ自分が九龍の街にいるのか,自分は何者であるか,自分に何ができるのかも覚えていない。ただ理解しているのは,人間に擬態した謎の敵・野狗子と戦わなければならないということだけである。
つまり,本作をプレイする人の多くと同じように,憑鬼もまた何も分からない状態というわけだ。やがてさまざまな謎が明らかになっていき,プレイヤーと憑鬼は自分の能力を使いこなし,九龍の街で活躍できるようになる。
プレイが進むまでプレイヤーと憑鬼が五里霧中なのは意図的なものであり,この時期があるからこそ,分かってきたときの喜びと感情移入は深くなるのだ。
要するに,ゲームを始めて「分からない……」と思っても,それでなにも間違いではないということ。分からないからこそ楽しみになる人,設定や雰囲気,物語にビビッときた人であれば,きっと面白く感じられるはずだ。
ゲームに限らずさまざまなエンタメで分かりやすさが重視される昨今。ユーザー側もそれらに触れる前にある程度“分かる”状態にもっていきがちだ。こういう企画をしていてなんだが,ここはある程度情報を遮断し,五里霧中からの解放を味わってみてはどうだろうか。
少し個人的な話をさせていただければ,筆者自身もこの解放される感覚を味わった一人だ。2022年に外山氏と山岡氏をインタビューした(リンク)際,ゲームのジャンルすら明らかにされていなかったため,まさに五里霧中の状態だった。
そして,2024年のメディア向け試遊会(リンク)に出席する前も,Summer Game Fest 2024のトレイラーこそ見ていたものの,まだまだ“霧”は晴れていなかった。2022年のインタビューや公式の「Q&A Session」動画ではアクション要素があるという話は聞いていたが,トレイラーのイントロが野狗子に襲われた犠牲者の現場検証だったこともあり,編集者と「推理要素の強いゲームなのだろうか」などと話し合っていたことを強く記憶している。
実際にプレイしてみると,アクションゲームとして新鮮さがあり,そして尖った作品ながら真っ直ぐなアクションの面白さがあることが分かる。そして,分からないから始まり,分かり始めていくゲームの流れがあるからこそ,憑鬼の能力や乗り移る対象の人となりを理解したときの驚きがあるし,感情移入が深まる。
今ではメディア向け試遊会に向かう前に味わった五里霧中の感覚もよい思い出と感じられるのだ。
「野狗子: Slitterhead」クリエイターの外山圭一郎氏と作曲家の山岡 晃氏にインタビュー。謎多き“ホラー×エンタメ”作品に込めた思いとは
Bokeh Game Studioが開発中の「野狗子: Slitterhead」とは,果たしてどんなゲームなのか。同作クリエイターの外山圭一郎氏と,音楽を担当する作曲家の山岡 晃氏に話を聞いた。インパクトのあるタイトル名とトレイラーで話題となった同スタジオのデビュー作は,どういった経緯で誕生し,どんな思いで制作されているのかをお伝えしよう。
[プレイレポ]「野狗子: Slitterhead」メディア向け試遊会インプレッション。人間に憑依し,身体を使い捨てながら謎の脅威と戦え
2024年6月22日,Bokeh Game Studioが11月8日に発売を予定している「野狗子: Slitterhead」のメディア向け試遊会が行われた。この試遊会は国内初のプレイアブル出展となり,ゲームの序盤と中盤を体験できた。
実はヒーローものであり,異生物バディもの
ここからはもう少し,ゲームの印象について踏み込んだ説明をしたい。「野狗子」はプレイする前だとなかなか分からないが,本作はヒーローものとしての側面,そして異生物バディものとしての面白さがある。
九龍には野狗子が人間に擬態して潜んでおり,市民をとらえては脳を食っている。プレイヤーは憑鬼となり,人間たちに憑依してその身体を動かし,野狗子を殲滅していく。
憑鬼に憑りつかれた一般市民は自我を失っていいなりになるが,中には自我を保ち,一般市民より優れた能力を持つ「稀少体」と呼ばれる者たちもいる。稀少体たちはそれぞれの事情から憑鬼を受け入れ,互いに協力して野狗子との戦いに挑む。バトルはアクションゲームであり,憑鬼と一般市民に備わった「血の力」をフル活用して戦うのだ。
夜の街,謎の味方と謎の敵の暗闘,輝くネオンの上を,血をロープとする特殊能力「ブラッドジャンプ」で飛び渡る主人公……とヒーロー要素は多いが,中でも面白いのが覆面だ。
野狗子は数が多いが,憑鬼と稀少体はお互いしか頼るものがない。稀少体は野狗子から襲撃されないよう,覆面で正体を隠して行動しなければならないのだ。どの覆面で顔を覆うかは,稀少体の身の上で変わってくる。学生は学校のジャージを顔に巻き付け,バイク乗りはヘルメット,ホームレスなら紙袋など,いかにも“普通の人がヒーローをやるのに身近な品物を持ってきた”感にグッとくる。
そして,憑鬼と稀少体はどこか公の機関から認められて野狗子と戦うわけではなく,野狗子を倒したところで誰かから称賛されるわけでもない。なにより憑鬼の存在自体,一般市民の身体を使い捨てる憑鬼の戦いには倫理的な問題もあり,清廉潔白とは言い難い。いわばバイオレントなダークヒーローものといったところだろうか。
価値観や常識が異なる憑鬼と稀少体が互いに影響を与えるのも,異生物バディものとしての側面もある。当初の憑鬼は野狗子殲滅のことしか考えておらず,人間も目的を果たすための道具としか考えていない。しかし稀少体たちの影響を受け,少しずつ人間のことを学んでいく。
一方,稀少体の側も憑鬼に影響され,野狗子との戦いをためらう気持ちがなくなっていく。ミッションの合間には彼らが会話するシーンも入るが,異生物バディものが好きな人にはたまらないはずだ。
憑依というフィーチャーが,本作にオンリーワンの個性を与える
ここからはアクションゲームとしての「野狗子」を掘り下げよう。
「野狗子」には人間に紛れ込んだ野狗子を探し出すアドベンチャーパートと,正体を現した野狗子と戦うバトルパートが存在する。憑依という新たなフィーチャーで,本作ならではのアクションと感情の動きを味わえるのだ。
アドベンチャーパートでは,移動から探索まで,あらゆる場所で憑依が役立つ。憑鬼はいつでもどこでも今の身体から抜け出し,新たな憑依先を探すことが可能。憑依先が視界内にいて,壁にさえぎられていないなら距離も関係ないのだ。
例えば野狗子が逃げ出した場合,普通なら必死に走って追いかけなければならない。しかし憑鬼なら,野狗子が逃げていく先の一般人に憑依すればいい。魂のような憑鬼が夜の街をカッ飛んでいき,一瞬で憑依を終えるのは爽快だ。
野狗子からすれば,逃げても逃げても先回りされ,街に山ほどいる一般人の誰から襲われるのか分からないのだから恐ろしいはず。普通のSFやホラーなら敵方が使うような能力を駆使できるのがユニークだ。
一方,憑依だけでは解決しないこともある。目的地はそこにあるのに,壁に阻まれて進めない(憑鬼は壁を抜けられない),立ち入り禁止になっている……なんてときは頭の使いどころ。通風孔や空いたドアを探すこともあれば,時には身体から身体へと渡り歩き,その場所にいても咎められない人物やカギを持っている人に憑依するなど,本作ならではの解決法を探すのだ。
また,外部から野狗子の視界を乗っ取って情報を得る「鬼子眼」(サイトジャック)では,野狗子が見ている光景から居場所を類推し,特定に役立てる。特徴的なネオンや看板で彩られている九龍にはもってこいの手法で,ちょっと推理ものっぽいのが面白い。
バトルでも憑依は大活躍する。ごく普通のおばさんやどこにでもいそうな兄さんといった一般人も,ひとたび憑依されれば,野狗子と渡り合う戦士となる。血で作った「凝血武器」で攻撃し,凝血武器で攻撃を防ぐ「防御」や,攻撃された際にタイミング良く攻撃を弾く「ディフレクト」,周囲に飛び散った血を吸い込む「回復」といった手段を駆使して戦うのだ。
自分と同じ普通の人が戦う様には妙な感情移入が生まれる。さっきまでパンイチで煙草を吸っていた一般人が野狗子を血の棍棒でぶん殴り,攻撃を弾くさまはインパクト抜群だ。
といっても稀少体と比べてただの人。使い捨てられるような存在ではあるのだが,それでも上手くプレイすれば強い野狗子も仕留められる。
低レベルクリアや縛りプレイ,負けイベントに抗うのはゲーマーのロマンだし,クリア時のカットシーンも一般人が普通の顔で決めてくれるため,なんとかして彼らでクリアしてみたくなる。
上手く大型の野狗子を倒せたなら,きっとこの人は周囲からヒーロー扱いされるはず。ニュースで取り上げられ,「あの時は無我夢中で,自分が自分でないようだった。体が勝手に動いた」なんて自慢話をするのだろうか……などと妄想できるのは,本作ならではの楽しさといえるだろう。
とはいえ大型の野狗子は強いため,やられるときはあっさりやられる。しかし憑鬼は別の身体に乗り移って戦闘を続行できる。というか一般人を使い捨てするように乗り移って戦うのが本作のセオリーである。
一般人はいくらでもいるうえ,初めて乗り移った身体がしばらくパワーアップする初回特典のようなボーナスもあるのだから,使い捨てはゲームデザイン的に推奨される行為だ。
しかし,一般人でも憑依しているうちに愛着がわいてくる。さっきまで使っていた人が倒れたら蘇生してあげたくなるし,HPが減ったら,ちゃんと回復したうえで身体を返してあげたくなるのが不思議である。
いや,これは一種の偽善なのかもしれない……という迷いがよぎるのも確かだ。そもそも憑鬼が憑依しなければ,戦いに巻き込まれることはなかったかもしれないわけだし。
しかし,放っておけば野狗子に脳を食われて死んだ可能性もある。この辺りはヒーローものに付き物のジレンマというやつだ。
ヒーローものといえば,ピンチの時にヒーローが「待たせたな!」と駆けつけてくれるシーンが盛り上がるが,ゲームでは自分こそがヒーローであるため,こうした盛り上がりを表現するのは難しい。しかし,野狗子では稀少体のおかげで「待たせたな!」のカタルシスを味わえるのがユニークだ。
ミッションは稀少体とともにスタートするのだが,何らかの理由によって一般人へ憑依しなければならなくなる。つまり憑鬼と稀少体が別れ別れになるわけだ。その後一般人の身体で野狗子を見つけ出し,戦闘に突入。苦戦していると稀少体が駆けつけてくれるのだが,これはまさに「待たせたな!」のカタルシス。憑依のフィーチャーがあるからこその面白さといえるだろう。
稀少体はHP,攻撃力,攻撃回数などすべてにおいて一般人を上回る,頼もしい存在だ |
ミッション内には追加のスキルポイントをもらえる高難度バトルが隠されているが,稀少体の能力をフル活用してもなお歯ごたえある戦いとなる |
とくに印象的なのが,戦闘における憑依の用途が広いことだろう。戦う場所には複数の一般人たちがいる。HPが減ったら別の一般人に憑依すればいいし,敵がガードを固めたら後方にいる一般人に憑依すれば背中から攻撃することが可能だ。
そして,憑依は制限なく立て続けに行うことが可能。これを理解するとアクションゲームとしての面白さがさらに広がる。野狗子に食われたとき,吹っ飛ばされた時,攻撃が空振りに終わった時など,アクションゲームにおける待ち時間はすべて憑依で“キャンセル”すればいい。あっちこっちの一般人や稀少体を飛び渡りながら攻撃するのは本作ならではの体験なのだ。
いろんな特性の身体を乗り換えつつ,それぞれの身体に備わったスキルで戦え
アクションゲームとしてバトルも重要になる野狗子だが,一般人や稀少体の身体を乗り換えつつ,それぞれの身体に備わったスキルで戦うのが面白い。
稀少体は一般人よりも強く,特別な武器と多彩なスキルを持っている。ミッションは最大2人の稀少体を連れていけるが,それぞれに使用感が変わってくるため,アクションゲーム好きにはたまらないはずだ。
例えば接近戦を得意とする稀少体の「エド」は,凝血武器は血のナックルで,リーチは短いが動きは素早い。持っているスキルも接近戦系で,「オートディフレクト」は一定時間あらゆる攻撃を自動で弾き,「エンジェルステップ」を使えば無敵時間のあるステップで野狗子の懐に潜り込むことが可能だ。
「ブレイク」は高火力だが暴発する血のリボルバー「ロトリーオブデス」と血のガトリングガン「リーサルバレット」を持ち,遠距離でも戦える。エドとブレイクを組み合わせて遠近のスキルを揃えるのも面白い。
「ドニ」は敵の攻撃を受けて逆襲する「リベンジガード」や,デバフを解く「レジストカース」を持ち,連れていくと生存性がアップ。「ジュリー」は,一般人の血液量(HP)を増やす「エンパワー」や,凝血武器の攻撃が一般人を巻き込まなくなる「コンパッション」を持っているため,ドニと組み合わせれば安定したプレイができるだろう。
つまり,稀少体はそれぞれアクションゲームのキャラクターとしての面白みがあり,2人を連れていけるため組み合わせを考えるのも楽しさの一つ。ミッションクリア時や,マップのどこかで手に入るスキルポイントを割り振り,彼らを育てていけるので,こちらもやりこみ要素となるだろう。
もちろん,稀少体は今回紹介したものがすべてではない。新たな稀少体を仲間にするには謎解きが必要なこともあり,これもなかなかのやりごたえがある。楽しみにしつつゲームを進めていこう。
また,一般人は全員共通のスキルに加え,稀少体が持つスキルの一部も使える。稀少体2人の編成によって,一般人の使い方も変わってくるということだ。
例えば,ショットガンで戦う稀少体「アレックス」は「タイムボム」という自爆のスキルを持ち,一般人もこれを使えるようになる。そしてすべての一般人は敵を引き付ける「ウォークライ」のスキルを使える。アレックスを連れていけば,一般人がタイムボムとウォークライを使えるわけだ。通常,ウォークライは蘇生の際に野狗子の注意をそらすなどに使う。しかし,アレックスがともにいるなら,ウォークライで敵をおびき寄せたのちタイムボムで自爆,憑鬼自身は別の身体に逃れるといった戦法もできる。戦場にいる一般人や稀少体の身体を自由に乗り換えつつ,本作ならではの戦法を開発していけるのだ。
九龍の混沌を楽しもう
ここではちょっと趣向を変え,九龍という街の楽しみかたの話。九龍は,かつて香港に存在した九龍城砦を思わせる混沌とした場所だ。夜には無数のネオンが輝く一方,大通りを一歩外れると薄暗い闇がある。そのコントラストは美しくも恐ろしい。
憑鬼は野狗子の足取りを探るべく,この九龍をさまよう。裏社会の者たちのアジトやいかがわしい風俗店など,近づくのも恐ろしい場所に踏み込んでいくのはドキドキするものがある。また,街ではギチギチに品物が詰め込まれた商店や露店などがあり,その雑然とした様にはなぜか懐かしさを覚える。
こうした感情移入を支えているのが,背景の作りこみだ。とくに看板や張り紙は派手かつバラエティに富んでいて,筆者のように3Dゲームで看板や机に置かれた本といった小道具を眺めるのが好きな人であれば,見ていて飽きないはずだ。
スマートフォンの翻訳アプリを使って看板や張り紙を読んでみるのもいいだろう。牙がどうこうという張り紙が歯医者のものだったり,病院の挿絵の下に書かれているのが性病についての話だったりと,いろいろな発見があって楽しい。この辺りは現代を舞台としている本作ならではの面白さだ。
こんな作品が好きな人なら「野狗子」も気に入るはず
最後にこれまた趣向を変え,こういう作品が好きならぜひプレイしてほしいという例を。筆者がまず名前を挙げたいのはやはり「寄生獣」だろうか。
人間と人外の存在が共生せざるを得なくなり,異なる価値観が互いに影響を及ぼしていくという,異生物バディものの王道であり面白さ。それは「野狗子」からも感じられるものだ。ほかにも,この作品が刺さるなら「野狗子」も気に入るはずというタイトルもあるが,ネタバレになるのでここでは出せない。いずれそういう話ができると面白そうだが……ぜひ「野狗子」をプレイして「あの作品のことかな?」と密かに納得してほしい。
そして当然だが外山氏の作品が好きな人は,間違いなく楽しめるだろう。
異質な存在が人間のそばにいるというホラーテイストに加え,「憑依」というワンテーマからさまざまなアクションが広がる様は,氏のファンにとってはたまらないはずだ。
山岡 晃氏の音楽……というか音も,これまでのゲームにないものを感じられる。このあたりは発売前に実施したインタビューで,山岡氏本人からその取り組みについて聞いているので,公開を楽しみにしてほしい。
吉川達哉氏のキャラクターデザインも注目だ。どこにでもいそうな沢山の一般人と,“特徴はあるんだけれど,九龍の雑踏に紛れていても違和感がないくらいに特徴がない”(こちらの試遊レポートより)稀少体のバランス感が興味深いところ。彼らに感情移入できるのは先に述べたとおりだ。なお山岡氏同様に,吉川氏にもインタビューで話を聞いている。
「野狗子: Slitterhead」でなにより大事にしたことは,アクションゲームとしての面白さ。キーマン3名に聞く,謎多きホラー作品のこれまでの歩み
Bokeh Game Studioのデビュー作「野狗子: Slitterhead」の奇妙な視点で描く街の物語,そして音と人はどう作られたのか。久しぶりのホラー作品を手がけた外山圭一郎氏,音楽/サウンドの山岡 晃氏,キャラクターデザインの吉川達哉氏に,謎多き「野狗子」のこれまでの歩みやゲーム制作の考えなどを聞いた。
そしていうまでもなく,かつての九龍城砦やアジアの街,そして日本を思い出させるようないかがわしくそして雑多な街の風景。この猥雑さを愛する人にも,「野狗子」はとても魅力的に映るだろう。
本物の九龍城砦に行ったことはなくても,かつて存在した九龍城砦モチーフのゲームセンター「ウェアハウス川崎店 電脳九龍城」の“探検”が楽しく感じられたのであれば,「野狗子」も面白いと感じられるはず。夜の街で戦いが繰り広げられる系の漫画やアニメが好きな人なら,ブラッドジャンプでネオンの上を飛び回る様や,薄暗い路地で異形と異形の力を宿す人間が戦う様にグッとくることは間違いないのだ。
「野狗子: Slitterhead」公式サイト
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野狗子: Slitterhead
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(C)2021 Bokeh Game Studio Inc.
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