インタビュー
「野狗子: Slitterhead」クリエイターの外山圭一郎氏と作曲家の山岡 晃氏にインタビュー。謎多き“ホラー×エンタメ”作品に込めた思いとは
その名はBokeh Game Studio。「SILENT HILL」や「SIREN」,「GRAVITY DAZE」などのディレクションで知られる外山圭一郎氏が,共に作品を手がけてきた佐藤一信氏,大倉純也氏といったクリエイターたちとともに立ち上げた開発会社だ。
そのBokeh Game Studioが,デビュー作となる「野狗子: Slitterhead」(やくし。以下,「野狗子」)を制作している。外山氏にとっても久々となる,ホラー要素のあるアクションアドベンチャーゲームで,2021年12月に開催されたゲームの表彰式典「The Game Awards 2021」で公開されたティザートレイラー(関連記事)を見て衝撃を受けたという人も少なくないだろう。
かつて香港に存在した九龍城砦を思わせる風景に,人間に“擬態”し,人々の生活に溶け込むように棲息している怪物。そして,その怪物に立ち向かう人々。それらは1分20秒ほどの動画の中で断片的に映し出され,どんなゲームなのか“的を絞らせない”ような内容となっている。
そんな,謎めいたところの多い「野狗子」について,同作を手がけるBokeh Game StudioのCEO / クリエイターの外山氏,音楽を担当する作曲家 / 音響監督 / ゲームデザイナーの山岡 晃氏の2名にインタビューを実施。「野狗子」誕生の経緯や制作にかける思いを聞いた。
「Bokeh Game Studio」公式サイト
“九龍的な何か”を舞台に,消えゆく文化や風景をテーマに物語を描く
4Gamer:
よろしくお願いします。まず,「野狗子」という作品の構想がいつ生まれたのかについてお聞きできればと思います。この企画は,独立以前からあった企画なのでしょうか。それとも,Bokeh Game Studioの立ち上げ以降に誕生したものなのでしょうか?
外山圭一郎氏(以下,外山氏):
“いつかはあらためてホラーに向き合いたい”とは考えていて,「独立し,その最初のゲームを作る今がそのときだな」と。具体的にはホラーではなく,“ホラー要素もあるエンターテイメント作品”なんですけどね。
4Gamer:
まだトレイラーの映像から想像できる範囲ではありますが,グラフィックスやキャラクターの動きから,なかなかの規模の作品になるのかなと思いました。ゲームの“規模感”も,構想の時点から固まっていたのでしょうか。
外山氏:
いえ。最初はそこまでではありませんでしたね。そもそも独立自体も,当初はスタジオを持って……みたいなところまでは想定していなくて,僕個人か数人集まったくらいの,小規模のインディータイトルを企画するような会社のイメージだったんです。
それが,長らく一緒にやってきたスタッフたちが加わることになり,「それなら開発スタジオとして動けそうだ」「このメンバーなら,これまでやってきた規模に近しいゲームを制作できそうだ」となった感じですね。
4Gamer:
初めて公開されたときのトレイラーを見て,最初に「これは!?」となったのですが,ゲームの舞台って,香港の九龍城砦なんですか?
怪しげなネオンが光る夜の街に巨大な集合住宅,建物の屋根スレスレを飛ぶ旅客機……と,九龍城砦好きがしびれるような映像になっていましたので,まずこれは聞かねばと思いまして。
外山氏:
これがちょっと説明が難しくて。九龍城砦がイメージの大元にあることは間違いありませんが,かつてあった現実の九龍城砦を舞台にしているというわけではないんです。
ゲームの中でどう呼ばれるかについてもまだちょっと悩んでいて,今のところは,九龍城砦をモチーフにそのエッセンスを昇華した場所……“九龍的な何か”と思っていただければ(笑)。
4Gamer:
なぜそこをモチーフにしようと思ったのでしょう。
外山氏:
元々,香港が好きだったというのがありますね。すごくモダンなものと猥雑なものが混ざり合っていて,独特の文化があるところが。
ここ十数年で開発が進み,そういった“いかがわしさ”がなくなってきていますが,香港から感じるような“消えゆく文化”をモチーフにした作品を制作したいという気持ちは,けっこう前からあったんです。
4Gamer:
実際に香港へは行ったことがあるんですか?
外山氏:
はい。初めて行ったのは2003年だったかと思います。再開発が進んでからだいぶ年数も経っていて,書籍や映像に残されているような雑多な街並みやスラムのような風景はなくなっていましたが,現地にいることにはやはり感慨深いものがありました。
そうやって現地に足を運び,それこそ「建物スレスレを飛行機が飛ぶところを体験したかったなあ」と思いながら風景を眺めていたんですが,そのときふと「ゲームであれば,その場所に行けるんじゃないかな」という考えがよぎったんですね。そういった思いは,今回の「野狗子」につながっているかなと思います。
4Gamer:
九龍城砦自体はなくなっていても,まだそのころの香港には雑多な感じも残っていたかと思うのですが,そのあたりで影響されるものがあったのでしょうか。
外山氏:
そうですね。最初の印象は“とにかく人の熱気がすごい場所”で。ハイテク企業が入居しているような超高層ビルが立ち並ぶ一帯の片隅に,怪しげな看板がある店や屋台がある通りが残っている。そこにある精肉店の店先には肉が吊るされており,店主が大きな肉切り包丁を片手に,大雑把に肉を切り刻んでいる……みたいなところは刺激的でしたね。
この,“生活する人たちのエネルギー”が溢れている感じは,ゲームの世界に持っていきたいと考えています。
4Gamer:
その話ですと,スタジオの周りって,いかがわしさ……と言うと失礼ですが,それに近いものを感じる地域ですね。
取材前に時間があったので近くを歩いてみたんですが,古めかしい喫茶店に,年季の入った雑居ビル,人はいるけど開店しているのかどうか分からない真っ暗な店と,なかなかディープな街並みでした。
外山氏:
狙っていたわけではなく,条件的にも入居のタイミング的にもちょうどよくて決めた場所なんですが,結果的にはそんな感じですね(笑)。
駅の周辺は近代的なテナントビルもあって,ビジネスマンが行き交うような場所だけど,そこから少し離れてスタジオのある方に向かうと,古めかしい商店街や雑多な雰囲気の飲み屋があって。モダンなものと猥雑なもの,その両方が近くにあったというのは盲点でした。
今のご時世だとなかなか難しいところもあるんですが,スタジオに来た日の仕事終わりなどに周囲を“探索”しています。
4Gamer:
「野狗子」という作品を作るうえで必要な“街の空気”みたいなものを,すぐ近くで吸いに行けると。偶然というか,街に引き寄せられたようなものも感じます。
外山氏:
ああ,そうですね。街に呼ばれた感じ,ありますね(笑)。
4Gamer:
そういった街の雰囲気に惹かれるようになった,“原体験”みたいなものってあるんでしょうか。
外山氏:
そうですね……生まれ育った場所というのは,関係しているかもしれません。
僕の実家は宮崎県の都城で,米屋兼日用品雑貨店みたいな店をやっていたんですね。周りにも同じような個人商店があって,そこを近所の人たちが日々の買い物で往来しているという,人々の日常風景がありました。
4Gamer:
“昭和的”と呼ぶと,ざっくりし過ぎるかもしれませんが,そんな風景が想像できます。
外山氏:
はい。それが,年月が経って周囲の街並みが変わり,年齢的なこともあって父が店を畳んだことで,かつてあったそれらの風景がなくなったんです。そういった,“消えゆくものへのシンパシー”みたいなものはあって。
4Gamer:
それで言うと,東京や香港って,発展している街の中にそういった風景が切り取られたように残っていたりしますよね。
外山氏:
そうですね。地方だと経済的に立ち行かなくなるので,消えざるを得ないところがありますが,そういった意味では,都会のほうが古めかしい商店街や雑多な飲み屋街が残る余地があるんですよね。
ただ,「古きよきものを残そう!」みたいに残されている場所はあまり面白くないんですよ。作中でも,それを懐かしむようなものを描きたいというわけではなく,ノスタルジックなものとは違った形で“消えゆく文化”を表現したいと思っています。
鮮烈なデビューを印象付けた“ちょっとのズレの違和感”
4Gamer:
タイトルにもなっている野狗子といえば,中国の古典である怪奇小説集「聊斎志異」(りょうさいしい)に名前の出てくる妖怪ですよね。マイナーというか,けっこう珍しいところを持ってきたなという印象なのですが,なぜ野狗子だったのかが気になります。
外山氏:
その名のとおり,聊斎志異の野狗子をモチーフとしたものではありますが,決して“そのもの”ではありません。
ゲームでは,脳がなくなった死体が連続して見つかるという猟奇的な事件が起きるのですが,この事件を調査する人たちが「まるで野狗子の仕業のようだ」と言うんですね。聊斎志異の記述によると,野狗子は「身体は人間,頭は獣で,死人の脳みそを啜る」という特徴を持つ妖怪なんですが,それに被害者の状況を重ね合わせて,事件に関連する怪異が野狗子と呼ばれるようになるんです。
4Gamer:
伝奇に記されている,それに近しい特徴を持つ野狗子を,未知のもの,名前がないものの通称として使うようになると。
外山氏:
そうですね。この辺りは怪異モノというところで,諸星大二郎先生のメソッドみたいなところもあります。
あくまで聊斎志異の野狗子はモチーフであって,ゲーム自体を楽しむうえでは原作を知らなくても問題ないです。とはいえ,影響を受けている部分は出ると思いますし,オマージュみたいなところを出すことを楽しんでもいるので,聊斎志異に触れておくと面白いかもしれません。
4Gamer:
では時代背景はどうなのでしょう。トレイラーの印象だと,ちょっと懐かしい時代というか1990年代の雰囲気を感じました。
外山氏:
実際の九龍城砦が解体される1993年〜1994年より少し前,1990年代の前半をイメージしています。当時の香港や九龍城砦を取り巻く環境もありますが,若いころにウォン・カーウァイ監督の映画に影響を受けたというのも大きいですね。
4Gamer:
ああ,「恋する惑星」や「天使の涙」のような。いかがわしさの残る香港の街を舞台に,スタイリッシュな映像で物語が描かれる……あの感じでしょうか。
外山氏:
はい。そして,そんな映像のBGMとして,インディ/オルタナティブミュージックが流れるという。そんな,ウォン・カーウァイ作品に代表されるような90年代の世界観がイメージにありました。トレイラーで流れる激しいギターサウンドが特徴のBGMも,そのあたりの影響がありますね。
4Gamer:
あのギターサウンドの入り方は,場面転換と相まってたまらないものがありました。
その,インパクトのあるギターサウンドが特徴のBGMを制作された山岡さんですが,本作のプロジェクトにはいつから参加されていたんですか?
山岡 晃氏(以下,山岡氏):
正式にオファーをいただいたのは去年(2021年)で,最初に制作したのがあのトレイラーの楽曲です。ゲームの設定や世界観を聞き,実際にトレイラーの映像を見ながら,ここに入れるならどんなサウンドがいいかな……と考えながら楽曲を制作しました。
4Gamer:
ゲームの設定やトレイラーの映像を見たとき,最初はどんな印象だったんでしょう
山岡氏:
興味深い内容でしたが,初見で驚いた,みたいなのとはちょっと違いましたね。
それまでも外山さんとはもちろん交流はあって,「野狗子」につながるようなゲームの構想自体はけっこう前から聞いていたんです。なので,あらためて「野狗子」のオファーがあったときは「ああ,今まで話してくれていたアイデアが,ついにゲームになるんだ」という感慨深さみたいなものはありました。
4Gamer:
トレイラーは,奇をてらったというのとは違う,野狗子がどういうゲームなのか“的を絞らせない”という内容になっていましたよね。
そう印象付けた大きな要素が,あの印象的なギターの入り方とそのときの映像の場面転換だったと思うのですが,なぜあのサウンドにしたんでしょうか。
山岡氏:
1990年代のインディ/オルタナティブ系のバンドのギターサウンドって,ロックみたいなものとはちょっと違って,本気で「イェー!」ってやっていない感じがありますよね。そのあたりの“ズレた感じ”がいいなと。実際にそれが想定していたような,映像と絶妙な関係性にあるサウンドになりました。
4Gamer:
たしかにあのギターとガレージ系の雰囲気あるドラムの感じは,ストレートなロックサウンドといったものとは異なる,いい意味で不安定で“外れた”感じがありました。
外山氏:
実は最初に,真っ当にホラー的なバージョンも用意していただいていたんですよ。「置きに行ったらこうなるよ」って。
4Gamer:
置きに行く,ですか?
外山氏:
はい。そのあとに「でも,本当にやりたいのはコレです」って,実際に使用することになるバージョンを持ってきてくれたんです。
山岡氏:
キャリア的に「こういう楽曲が欲しい」という要望にはすぐ応えられるし,それを作るのは簡単なんですよ。でも,それはやりたくないなと。それで外山さんには,「置きに行ったらこうですよ。でも,置きには行かないですよ」っていうのを伝えたんですね。
外山氏:
もちろん最初のバージョンも十分しっくりくる楽曲だったんですが,でも,そのあとに実際に使用したバージョンを聴いたとき,山岡さんが言う“違和感”が「なるほど」じゃないですけど,やはりとても印象的だったんですね。それで,聴いてみて「はい。こっちですね」と。
山岡氏:
多くの人が思い浮かべる「ホラーだったらこうだよね」「こういう場面はこういう音だよね」っていうイメージがあって,そのイメージに合わせて,多くの人たちに「いいね」って言ってもらえる楽曲は作れます。でも,そういう楽曲では,受け手の人たちにこの作品を印象付けることってできないんですよ。
僕らのことを知っている人には驚いてほしいし,知らない人には興味を持ってもらえるようにしたい。そのために“ちょっとのズレの違和感”って本当に大事なものだと思っています。
アクションと“耳から入る表現”へのこだわり
4Gamer:
ここからは,どんなゲームになるのかをお聞きしたいと思います。
まず,キャラクターなんですが,トレイラーでは京劇に出てくるような仮面をかぶった女性が怪物と対峙するシーンや,フルフェイスのヘルメットをかぶった人物が戦う場面がありました。本作には複数の主人公が登場するのでしょうか。
外山氏:
「SIREN」のような群像劇をやりたいと思っています。もちろん主人公と呼ぶべきキャラクターはいるんですが,ゲームの根幹に触れる部分でもあるので,まだお伝えすることはできないですね。このあたりは追々公開していけると思いますので,今後の情報を楽しみにしていてください。
4Gamer:
アクションはいかがでしょう。フルフェイスの人物の戦闘はなかなか激しく,また,血を固めて剣のようにするという“異能バトル”感のあるシーンもありました。
「SIREN」だと,戦闘に慣れていない人たちが戦いに巻き込まれることがありましたが,今回はどんな人たちを操作し,怪異と対峙することになるんでしょうか。
外山氏:
これも,具体的なところはまだあまりお話できませんが,アクションは強化したいと考えています。
ゲームを多くの人に楽しんでいただくうえでも,ストーリーや世界観だけではなく,プレイヤー自身が操作する部分はなにより重要ですから。ストーリー性のあるホラー要素とアクション,その両方をしっかり楽しめるよう,ゲームを作り上げたいと思います。
4Gamer:
音楽ですが,山岡さんはどのような思いをもって作曲に取り掛かっているのでしょうか。
山岡氏:
さっきのトレイラーの話と近いものにはなりますが,「『SILENT HILL』の外山と山岡だ」というところからイメージされるもの“以上”のことを,皆さんが想像されているものとは違う形で表現したいと考えています。
4Gamer:
かつて外山さんとともに制作した「SILENT HILL」での経験を,というよりは,全く新しい「野狗子」のための音楽を,ということでしょうか。
山岡氏:
どんな音楽が合っているかは,作品一つ一つで異なりますし,さらに場面によっても違います。「この場面に,この映像にはどんな音楽が入るとよいのか」という部分……BGMに限らず,SEをどう入れるか,そもそも音は必要なのかといった“耳から入る表現”すべてですね。それらは,実際に使用される場面や映像と向き合って制作しなければ,プレイしている人にその場面が持っているエネルギーを伝えられないと思うんです。
4Gamer:
「こういうシーンだと,だいたいこんな音楽かな……」じゃないですが,経験があると,先ほどの“置きに行く”みたいなことにもなりそうです。
山岡氏:
そうですね。そういった,「ホラーってこうですよね」「この場面に入るギターの音はこうですよね」っていう楽曲をやりたくはないし,何より「『SILENT HILL』の外山と山岡」みたいなところに,自分自身で乗っかっちゃう感じがすごくイヤなんですよ(笑)。
作品に向き合い,どんな場面で使われているかその一つ一つに向き合うって,頭もエネルギーもたくさん使うことなんです。ですが,作品全体やその場面で描かれていることを効果的に伝えるためにも,それはやるべきだと考えています。
今,ホラーとエンターテイメントに向き合うということ
4Gamer:
ホラーの部分の見せ方や演出について聞かせてください。
例えば,2010年代に入ってからは韓国や台湾といったアジアのホラー作品が人気となっていますよね。「野狗子」のトレイラーを見たとき,舞台がアジアというのもあって,それらの作品と近い雰囲気を感じたんですが,現代のホラーの潮流みたいなものからの影響ってあるのでしょうか。
外山氏:
あまり意識はしてないですね。今話題になっているようなホラー作品を見ることはあるので,影響を受けている部分はあるかもしれないですが,とはいえそんなにたくさんの数を見ているわけではないですから。何より,構想自体はけっこう前からある作品ですからね。
4Gamer:
それでは,映像表現についてはどうでしょうか。とくにグラフィックスは「SILENT HILL」や「SIREN」を制作されていたころから大きく進化していますが,ホラー作品は“ハッキリ見えないからこそ恐い”という部分がありますよね。
外山氏:
たしかに,フォトリアルなグラフィックスによって表現の可能性が上がっていますが,ホラーに関してはそれが一概に良いものというわけではないですね。ホラー映画の名作って,リメイクされると大抵「オリジナルの方がよかった」ってなりますし(笑)。
4Gamer:
まさにそういったところで,“グラフィックスがよくなったからこそのやりにくさ”ってあるのかなと思うのですが,そのあたりはいかがでしょうか。
外山氏:
今の技術で何ができるかではなく,今の技術で“どのように自分たちのやりたいことを表現し,それをゲームに落とし込むか”が大事なことだと考えています。
4Gamer:
現在はどれくらいのスタッフでゲームを制作されているのでしょう。コロナ禍でのスタジオ設立となりましたが,実際の制作作業や作品性に影響を与えた部分ってどんなところにありますか?
外山氏:
スタッフの数は30人近くですね。現状は主にリモートワークで作業が進んでいますが,もともとそういった制作環境にも慣れているスタッフなので,そこまで大きな影響はないと感じています。
作品性への影響みたいなものもありませんね。こういう状況になる以前からある企画ですし,テーマや設定といったところも,現在の状況に左右されることはあまりないです。
4Gamer:
制作自体はどれくらい進んでいるのですか? シナリオはどの程度仕上がっているのか,アクションはどれくらい動くのかが気になります。
外山氏:
プロトタイプの制作とストーリーのプロットはだいぶ進んでいて,ストーリーをゲーム内にどう落とし込むか,アクションはどうするかといったことを確認しているような段階です。製品版に向けた作業というのはまだですね。
悠長にやるつもりはないですが,焦って進めた結果,やろうとしたことがおかしくなった……というのは避けたいので,内外のテストプレイを重ねながら“絶対いける”という確信を得たうえで本格的に動こうと思っています。
4Gamer:
最後に,読者にメッセージをお願いします。これを聞くのはまだまだ気が早い感じはありますが,本作に興味を持っている人たちに,何を期待してほしいか,ゲームのどんなところを楽しんでほしいかといったところがあれば,それもぜひお願いします。
外山氏:
興味を持ってくれた方々には,まず,自分自身でゲームをプレイしてほしいですね。ホラーゲームって,「興味はあるけど,恐くて自分でプレイできない。動画配信で見よう」ってなる人がけっこういると思うんです。でも,ゲームとしての面白さは,やはり自分で操作して感じてほしいなと。
4Gamer:
恐いのが苦手なのはしょうがないところではあるけど……と。
外山氏:
そうですね。最初に少しお話しましたが,僕らは「野狗子」を“エンタメ”だと思って制作しているんですよ。もちろんホラーのエッセンスはありますが,ホラー好きのための作品ではなくて,いろいろな人たちが手を伸ばせるようなエンタメ作品として制作しているので,そのあたりは注目していただけると嬉しいですね。
山岡氏:
外山さんのおっしゃったように,まずはゲームをプレイしてほしいです。そして,ゲームを実際にプレイして楽しんでもらえたからこその“我々作り手側が想像できなかったような楽しみ方”が生まれると面白いなと。
そういう盛り上がりを生むには,まず作品自体のエネルギーが必要ですが,ゲームを中心としたいろいろな形で,制作サイドとプレイヤーがお互いに刺激し合えるような作品になれるのではないかなと。そのあたりは私自身も楽しみにしているところですね。
外山氏:
ホラーって,「こういうことが起こるから,こういう表現があるからホラーです」というのではなく,「なんかイヤだなあ」「ちょっとドキドキするけど踏み込んでみよう」といった“気持ちの揺れ”みたいな部分が大事だと思っているんですね。そしてそれは,エンターテイメントにも通ずるものでもあると。
今までの作品もその考えに基づいて制作していましたが,「野狗子」はそれをより顕著に出した作品にしたいと考えてます。エンタメとしての入りやすさ,普遍的なテーマを持ちながらも,どこか表現し難い,モヤモヤする感情が織り込まれているような。世代に関係なく楽しめる作品となるので,ぜひ広い層の人たちに興味を持ってもらえると嬉しいです。
4Gamer:
今後の動きも楽しみにしたいと思います。本日はありがとうございました。
「Bokeh Game Studio」公式サイト
- 関連タイトル:
野狗子: Slitterhead
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(C)2021 Bokeh Game Studio Inc.
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