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  • 発売日:2022/11/08
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[TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは
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印刷2022/09/16 21:24

インタビュー

[TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは

 TGS 2022の初日となった2022年9月15日,巨大なソニックのバルーンが来場者を出迎えるセガブースでは,「ソニックフロンティア」PS5 / PS4 / Xbox Series X / Xbox One / PC / Nintendo Switch)がプレイアブル出展され,試遊台は長い列を形成していた。
 長年のソニックファンにとって夢のような光景だが,それとはまた別の思いで,ブースを眺める二人がいる。「ソニック」シリーズの総合プロデューサーである飯塚 隆氏と,「ソニックフロンティア」ディレクターの岸本守央氏だ。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは

 開発に5年を要したという「ソニックフロンティア」だが,彼らはその間にどのようなことを考え,開発を続けたのか。そして,その結果としてどんなタイトルが生み出されたのか。プレイアブル出展された「ソニックフロンティア」に多くの人が興じるTGS 2022の会場で,お二人に話を聞いてみた。
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 セガから2022年11月8日の発売が予定されている「ソニックフロンティア」は,従来の3Dソニックのようにステージクリア型アクションを楽しめるだけでなく,それらをつなぐワールドマップが“オープンゾーン”へと進化した最新作だ。序盤を1時間ほどプレイする機会を得たので,インプレッションをお伝えしよう。

[2022/08/31 00:00]

「ソニックフロンティア」公式サイト



最初のテストプレイでは不評だった「オープンゾーン」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずは本作の大きな特徴である「オープンゾーン」についてお聞きします。ワールドマップ上にさまざまなギミックが点在するこのスタイルですが,どういった経緯を経て,現状の形にまとまったのでしょうか。

岸本守央氏(以下,岸本氏):
 一番最初に作った雛形では,もっと一般的なオープンワールド型のフィールドに,クエストの代わりに従来の3Dソニックが配置されたものだったんです。それを一般の人にテストプレイしてもらったところ……かなり不評でした(笑)。美しい緑の草原に絶景ポイントがいくつも用意してあって,オープンワールドとしてのツボは外していないつもりの作りだったんですが,まったく面白がってもらえなくて。

4Gamer:
 え,そうだったんですか。

岸本氏:
 オープンワールド型のゲームは目的地から目的地へ,徒歩や馬,車などで移動していく中で旅情を楽しむことができますが,ことソニックにおいてはそれが通用しなかったんですね。このプロジェクトはそんなところからのスタートでした。
 ゲーム作りは通常,α版とβ版で2回ほどテストプレイを行うものですが,「ソニックフロンティア」は5年にわたるプロジェクトの中で,数か月に1回はテストプレイを行って来ました。それくらい,アイデアを出しては壁にぶつかるサイクルの繰り返しだったんです。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは

4Gamer:
 かなりの試行錯誤があったんですね。

岸本氏:
 はい。例えばフィールドにアスレチックアクションを入れてみると,そこは楽しんでもらえる代わりに,バトルが単調という意見が出てくる。それでバトルを面白くしてみたら,今度は謎解きがもう一歩物足りない。ゲームというのは,プレイヤーの不満やストレスを解消するだけでは評価されません。期待をさらに越えてくるような驚きを作らなければ,喜んでもらえないものなんですね。

4Gamer:
 なるほど。しかし,それだけ開発期間が長いと,プロデューサーの飯塚さんとしては気が気でないのでは。

飯塚 隆氏(以下,飯塚氏):
 今回,普段の「ソニック」の倍くらいの制作期間をかけていますが,その半分以上が試行錯誤の期間でした。ただテストと改良を繰り返すごとに,ゲームとしては確実によくなっていましたから,不安はまったくありませんでした。だからスケジュールの心配だけでしたね(笑)。

岸本氏:
 恐らく会社の上層部は,なかなか完成しないのでヤキモキしていたと思います。でも飯塚さんが頑張って現場を守ってくれたおかげで,今日この日を迎えることができました。

飯塚氏:
 我々が今回,目指したのはソニックの「第三の進化」だったんです。ドット絵から3Dに変わったときもそうでしたが,進化にはどうしても試行錯誤がつきまとうものなんです。上や周囲にはそう説明して,理解してもらいました。

4Gamer:
 その試行錯誤が,本作の独特のプレイフィールにつながったわけですね。フィールドの遠くに見えるオブジェクトに向かいたくて探索していたら,バンパーとかダッシュリングとか色んなギミックを見つけてしまって,ついつい乗って遊んでしまうみたいな。

岸本氏:
 まさにそれなんですよ。あちこちに寄り道したくなるギミックがいっぱい仕込んであるので,探しつつ楽しんでもらえたら嬉しいです。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは

4Gamer:
 今回のTGS 2022や先日ドイツで開催されたgamescomでは「ソニックフロンティア」がプレイアブル出展され,多くの人が本作に触れる初めての機会になりましたが,その様子を見た今の手応えはいかがですか。

飯塚氏:
 gamescomの一般公開日は,3時間待ちの大行列になってしまって大変申し訳なかったんですが,それでも多くの人が「ソニックフロンティア」を気に入ってくれて,絶対に買うという評価を多くいただけました。
 ただ,そういう反応は必然というか,これまでのテストプレイの評価で確信していたことでもあるんです。ですからTGS 2022でもぜひ多くの人に触ってもらい,その魅力を知っていただけたらと思っています。

岸本氏:
 gamescomの頃は,実はマスターアップ直前の追い込み時期だったんですが,これから最後のデバッグに臨むというタイミングで飯塚さんからgamescomの話を聞いて,奮起しましたね。
 今日だって試遊台の行列の制限がかるくらい多くの人にプレイしてもらえて,しかもセガブースのど真ん中にソニックが据えられている。それが本当に,本当に嬉しくて……まさに感無量ですよ。

飯塚氏:
 ここまで来るのが,本当に長かったよね。

TGS 2022のセガブース Photo by 佐々木秀二
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日本やアジア圏に受け入れられるソニックを目指して


4Gamer:
 本作が目指したという「第三の進化」についてもう少しお聞きしたいのですが,これはどんな狙いから生まれてきたんでしょうか。

飯塚氏:
 セガとしては作品をグローバルに展開することを基本戦略にしていて,それは日本で人気のある「龍が如く」シリーズ「ペルソナ」シリーズを海外にも広げていくことを目指しているわけですが,海外で絶大な人気のソニックを日本やアジアにも受け入れてもらいたい思いもあります。

4Gamer:
 確かに,ソニックは海外人気がすごいですよね。では日本で受け入れられるための「第三の進化」ということですか?

飯塚氏:
 そのとおりです。日本のプレイヤーにも届けたいという思いが,本作の企画の根底にはあります。むしろ,そのための試行錯誤を何年もしてきた,と言い換えてもいい。
 例えば,日本のプレイヤーの多くはコンシューマ的というか,ゆったり遊べるゲームが好きですよね。あとは話題性。皆で同時期に話題のゲームを,情報交換しながら遊ぶ楽しさって,あるじゃないですか。その二つを「ソニックフロンティア」では何とかしたいと考えていました。

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岸本氏:
 従来のソニックに“クセの強さ”を感じる人への答えが,今回のオープンゾーンでもあるんです。本作では,実はオープンゾーンを探索するだけでもお話を先に進めることもできます。電脳空間のプレイは必須ではなく,ストーリーを進めるための選択肢の一つでしかありません。

4Gamer:
 それは,ずいぶん思い切りましたね。

岸本氏:
 当初考えていたオープンゾーンは,もっとリニアで限定的なものだったんですが,テストプレイを繰り返すうちに自由度が高くなっていき,それだけでも遊べるものに変わっていきました。その結果として,電脳空間や敵とのバトルをすべて回避してもクリアできるまでになったという。だからプレイヤーそれぞれが好きな遊びを突き詰めていくだけで,スターフォール諸島を攻略していけます。

4Gamer:
 電脳空間を完全に極めないまでも,ある程度はクリアしつつ進めていくゲームだと思っていました。

飯塚氏:
 もちろん,それが王道の遊び方です。完全コンプリートを目指そうと思えば,たっぷり遊ぶこともできます。ただ今回は,何か苦手な要素で詰まってしまい,先に進めないという作り方は止めにしました。

岸本氏:
 オープンゾーンを探索するだけでも,十分に楽しめるんですよね。本作の電脳空間は,最新かつ最高の第二世代ソニックという位置づけですので,当然そちらも楽しんでほしいのですけど。ただそこにハードルの高さを感じる人が,とくに日本では多いようでして。

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4Gamer:
 ソニックはアクションゲームでありつつも,レースゲーム的なストイックさがありますしね。あと操作オプションの自由度がかなり高いのも気になったポイントです。カメラの描画角度からソニックとの距離,最高速度,旋回速度までプレイヤーが変更できてしまうので,かなり驚きました。

岸本氏:
 実はそれも悩んだ部分ではあるんです。操作感についてもテストプレイを重ねて模索したんですが,どうしてもベストな答えが見つからなくて。結果として,プレイヤーに委ねる形にしたんですが……。

4Gamer:
 難しい判断だったと。

岸本氏:
 ソニックらしい操作感というのは,色々なゲームを遊びこなす人には受け入れてもらえるのですが,一般的なアクションやアクションアドベンチャーを遊ぶプレイヤーさんには,どうしても難しいところがあるようです。それはどうやっても相反する部分でしたので,遊びやすい操作感を選ぶか,ソニックらしい操作感を選ぶかは,思い切ってお客さんに委ねることにしたわけです。
 ただ,電脳空間での操作感だけは譲っていません。ここだけは,ソニックの流儀で楽しんでいただきたい(笑)。

4Gamer:
 電脳空間は,イーブンな状態でタイムアタックが楽しめると。

飯塚氏:
 はい。コンマ1秒以下を詰めて競う遊びも健在です。

岸本氏:
 もちろんソニックの成長要素も,電脳空間には関わってきません。電脳空間は全プレイヤーがイコールコンディションです!

4Gamer:
 安心したファンも多いと思います。ところで,今回はストーリーも普段とは違った様子ですね。

飯塚氏:
 今回のゲームデザインでは,ゲームの舞台について何も知らないソニックがその場所を探索していくという,いわゆるナラティブなストーリーにする必要がありました。また海外でソニックのコミックを制作しているイアン・フリンというライターがファンから絶大な支持を受けていることもあり,ゲームでも脚本は彼にお願いすることにしました。

岸本氏:
 お話づくりについて自分からお願いしたのは,国内とアジア向けの味付けの部分ですね。基本の筋としてはソニックとして申し分ないものでしたので,日本版とアジア版のシナリオだけセリフに裏の意味を持たせたり,いろいろ想像をめぐらせる余地を用意したりという,日本のコミック文化的な面白さを付加しています。

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4Gamer:
 分かりました。では最後に,お二人からメッセージをお願いします。

岸本氏:
 圧倒的なスピードで,それまでのアクションゲームを一変させた第一世代ソニック,その魅力を3Dの世界に持ち込んで,新たなスタイルを作った第二世代ソニック。それと同じように,第三世代のソニックにおけるオープンゾーンは,アクションゲームの新たなフォーマットになると自負しています。ファンの皆さん,そして新たに興味を持たれた人も,ぜひ本作をプレイしていただけると嬉しいです。

飯塚氏:
 ソニックチーム久々の大作となる「ソニックフロンティア」が,11月8日にいよいよ発売となります。速く走る爽快さ,敵と戦う楽しさ,謎を解く気持ちよさが揃っているので,自分の好きな要素を遊びつつ,徐々に浮かび上がってくるストーリーの楽しさを感じていただけたらうれしいです。ぜひ楽しみにしていてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

画像集 No.002のサムネイル画像 / [TGS2022]「ソニックフロンティア」制作者インタビュー。クラシック,モダンに続く第三世代ソニックに込められた思いとは

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――2022年9月15日収録
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