インタビュー
[インタビュー]「from ARGONAVIS」の2023年上半期の振り返りや今後の展開,制作中のアプリについて代表取締役・北岡那之氏に聞いた
アルゴナビスが展開中の「from ARGONAVIS」に登場するバンド GYROAXIAのライブツアー「GYROAXIA LIVE TOUR 2023 KICK-START」が,本日(2023年8月12日)開幕する。GYROAXIAとしては二度目となる今回のツアー開催を記念して,4Gamerでは,プロジェクトの音楽統括プロデューサーでアルゴナビスの代表取締役でもある北岡那之氏にインタビューを行った。
「GYROAXIA LIVE TOUR 2023 KICK-START」だけでなく,これからの音楽展開や,年内リリースを控えたアプリゲーム「アルゴナビス -キミが見たステージへ-」についても聞いたので,チェックしてみてほしい。
Argonavis(アルゴナビス) |
GYROAXIA(ジャイロアクシア) |
Fantôme Iris(ファントムイリス) |
風神RIZING!(フウジンライジング) |
εpsilonΦ(イプシロンファイ) |
ST//RAYRIDE(ストレイストライド) |
「以前より音楽以外の比重は増えましたが,
自分の業務内容的には変わりません」(北岡氏)
北岡さんにお話をうかがうのは1年ぶりとなりますが(関連記事),アルゴナビスの代表取締役社長に就任されてからは初のインタビューですね。ますますお忙しくなったのではないかと思いますが,お仕事の内容は変わりましたか。
北岡那之氏(以下,北岡氏):
現場的な業務はあまり変わっていないんです。プロジェクトの方針を決めたり,予算を組んだりといったこと自体は,もともと自分も担当していました。いろいろなことへの責任は増えましたが,業務的には変わらないというのが正直なところです。
4Gamer:
そうなんですね。これまで関わられていた音楽統括的なお仕事はいかがですか。
北岡氏:
音楽業務に関して言えば現場にも出ますし,中身を考えたり作ったりする作業は変わりません。とはいえキャラクター展開やアプリゲーム(2023年リリース予定「アルゴナビス -キミが見たステージへ-」。以下,「キミステ」)なども含めた,プロジェクト全体に関わる方針の承認者のような感じなので,前より少し音楽以外の比重が増えたかなと。
4Gamer:
後ほどまたうかがいますが,アプリについては音楽だけでなく内容も見られているんですよね。
北岡氏:
はい,とくにストーリーと音楽に関わるところです。楽曲ストーリーに関しては,曲の制作の流れがdemoという形式で聴けるような仕組みのため,自分のほうで簡単なプロットを作ったりもしています。
2023年上半期のライブ活動を振り返る!
4Gamer:
今日のインタビューでは,音楽周りを中心にお話をうかがっていきたいと思います。今年の上半期も精力的にライブを行われていましたが,まずは年始の「レゾナンス」(2023年1月開催「from ARGONAVIS 2nd LIVE -Rezonance-」)から聞かせてください。
北岡氏:
「レゾナンス」はfrom ARGONAVISとしてのセカンドライブで,5バンドが集結しました。プロジェクトとして「今年は全バンドで活動してしていきたい」と考えていたんです。これまではArgonavisとGYROAXIAをメインに,続いてFantôme Irisがライブを行ってきましたが,まだ風神RIZING!とεpsilonΦについてはワンマンが組めていない状態で……。お客さんも彼らのリアルライブを待ち望んでいる方が多いのは重々承知していたので,そのテーマを年始からしっかり宣言しておきたかったんですよね。
それから,2月は舞台(2023年2月上演「ARGONAVIS the Live Stage2 〜目醒めの王者と恒星のプログレス〜」)がありました。見てくださった方は分かると思いますが,これまでのARGONAVISプロジェクトの集大成というか……。キャラクターを演じるキャストさんがいて,その人たちが演技も演奏もして……という,このプロジェクトならではの強みを活かしたステキな作品になったと思います。キャストさんはもちろん,スタッフ全員の熱量がすごく高かったですね。
4Gamer:
舞台は楽曲の見せ方も面白かったですね。そして春は,ここ数年でおなじみとなったアコースティックツアー(2023年4月「アルゴナビス Acoustic Festival 2023」)です。
北岡氏:
今までも地方を回ってはいたんですけど,今回はもう少し規模を大きくし,バンド外からもゲストを呼びました。どちらかというとキャラ云々よりもプロジェクトの音楽的側面にフィーチャーしたイベントを組みたかったんです。
初日の名古屋はセンチミリメンタルの温詞さんにご出演いただいたんですが,以前Argonavisに楽曲を提供していただいたときに「ぜひステージでもご一緒したいですね」と話してくださったものが実現したんですよ。
そして大阪ではSHiNNOSUKEさん(ROOKiEZ is PUNK’D/S.T.U.W)に出演していただきました。結果としてすごく完成度の高いライブになったと思いますし,声優やキャラクター系コンテンツとは少し毛色の違う,より純粋なアーティストのライブに近いイベントになったんじゃないかなと。
4Gamer:
大阪公演は私も拝見しましたが,いつも聴いている楽曲に違うボーカルが入ることによって,新しい味わいが生まれたと思います。
北岡氏:
ありがとうございます。そしてArgonavisのツアー(2023年5月「Argonavis LIVE TOUR 2023 -スタートライン-」)は,ようやくフルメンバーのArgonavisとして声出しライブを開催できたのが大きかったです。このライブが久々の声出しというお客さんも多かったと思います。「ライブってこうだよね」というのを感じてほしかったので,セットリストもそういったコンセプトで組みました。
4Gamer:
ツアーのとき,ひときわ「すごいセトリだな」と感じました。今までの歩みを振り返る流れもありつつ,観客の歓声がよりその感動を増していたと言うか。ようやく披露できた楽曲もありましたしね。
北岡氏:
「Hey!Argonavis」ですね。あれはコロナ禍の前に「Argonavisコールができる曲」というコンセプトで作っていたのに,ずっと実現できなくて。むしろ数年温めた甲斐があったなというくらい盛り上がり,このツアーを象徴する楽曲になったなと思っています。もちろん,ツアーのタイトルでもある「スタートライン」もフィーチャーはしていましたが,裏の主人公が「Hey!Argonavis」という感じでしたね。
4Gamer:
反響も大きかったですね。そしてゴールデンウィークにはFantôme Irisのライブがありました。
北岡氏:
Fantôme Irisのコンセプトライブ(2023年5月「Concept LIVE 2023 Fantôme Iris in Wonderland」)は,以前に名古屋で開催した月光饗宴(2021年9月「Fantôme Iris Concept LIVE -月光饗宴-」)のように,キャラクターたちが考えそうな“非日常”を感じられるイベントにしたいなと。
以前から「不思議の国のアリス」の世界観のライブができたらいいなと思っていたこともあり,チャレンジしてみました。セットリストもお客さんが想像しなかったようなカバー曲を入れてみたりしたんです。
4Gamer:
ALI PROJECTの「聖少女領域」ですよね。いや,あれは本当にびっくりしました。
北岡氏:
ほかにも「不思議の国のアリス」に出てくるトランプ兵から着想を得て,Janne Da Arcの「BLACK JACK」のカバーを入れたり。あとL'Arc〜en〜Cielの「DRINK IT DOWN」は,アーサーさん(フェリクス・ルイ=クロード・モンドール役のランズベリー・アーサーさん)から雰囲気が合うんじゃないかとリクエストをいただいたんです。それで冬真さん(Fantôme Irisリアルバンドのサポートギター担当)に世界観に寄せたアレンジをしてもらいました。
4Gamer:
2023年上半期のライブと言えば,富士急(2023年5月「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023」。GYROAXIAとFantôme Irisが出演)も欠かせません。こちらについてもぜひお話を聞いてみたいです。
北岡氏:
この時点でArgonavisもFantôme Irisも声出しライブができていたのですが,GYROAXIAだけは初お披露目のライブ(2019年12月「BanG Dream! Argonavis 2nd LIVE『VOICE -星空の下の約束-』」へのサプライズ出演)以来だったんですよ。お客さんにも楽曲のコールがほとんど染み付いていない状態で。
4Gamer:
しかもフェスなので「バンドリ!」やその他のプロジェクトのお客さんも多く,いつものARGONAVISプロジェクトのライブと比較すると男性の比率も高かったですよね。でも,掛け声の雰囲気がこれまで聞いたことのあるどれとも違っていたのがまた良かったです。感慨深くもあり,新鮮でもありました。
北岡氏:
そうなんですよね。とくに「MANIFESTO」は「Hey!」という掛け声を予習してきてくださった方がたくさんいらっしゃいました。ほかの曲でも,ワンコーラス目はそんなに声が出ていなくても,2コーラス目からどんどん熱量が上がっていく感じがあって,その瞬間にGYROAXIAの音楽を初めて聴いた人たちの暖かい反応がうれしかったです。バンドにとっても良い経験になったんじゃないかと思います。
4Gamer:
確かに。ちなみに裏話的なエピソードはありますか。
北岡氏:
実は,当初自分が出したセトリに「IGNITION」は入れていなかったんです。フェスでは初めてGYROAXIAを観るお客さんも多いうえ,イベント自体が「ロックフェス」と冠しているからこそ,“勢い一発”みたいな流れでやったほうがいいと個人的に思いました。
でも,メンバーたちから「どうしても『IGNITION』をやりたい」と言う話が出て,その場でオッケーとは言えず,いったん持ち帰ったんですよ。そのあとにしたミーティングで本人たちの口からはっきりと出たのが,「しっかりとGYROAXIAの音楽で勝負したい」ということでした。フェスを意識したセトリというよりは,GYROAXIAが単独ライブで見せている,“らしさ”をしっかり表現したいイメージなのかなと。ただ出演するだけじゃなくて,爪痕を残したいと。
4Gamer:
すごいですね……。
北岡氏:
今までもセトリに関する話し合いはしてきましたが,そこまでの熱量で来られたことは初めてだったので「だったらやりましょう」と。ほかにもお互いにアイデアを出し合ったり熱く語り合ったりもして,出来上がったセトリは「これが正解だったね」っていうものになった気がします。バンドとしての自我というか,演じるだけじゃなくて“GYROAXIAというバンドのメンバーとしての意見”……僕にもなかった発想が出てくるようになったので,ありがたいなと思いました。
4Gamer:
これは胸熱なお話ですね。順番が前後してしまいましたが,Fantôme Irisについてはいかがですか。トップバッターを務めたことに驚かされつつ,想像以上に盛り上がって,いちファンとしては観ていてものすごく痛快でした。
北岡氏:
僕ら自身も正直,どんな雰囲気になるか想像がついていなかった部分もありましたが,メンバーたちが「やってやりますよ!」みたいな感じで誰よりも頼もしかったです。富士急のステージは左右にウイングがあったんですが,楽器隊のメンバーもすごく良く動いてくれて。
4Gamer:
めちゃくちゃ走り回っていましたね!
北岡氏:
何往復してるんだ? っていうくらい(笑)。でもそれが映えたというか,彼らがイベントのスタートを切る火付け役になってくれたなと思いました。セトリに関してはアーサーさんやサポートメンバーと一緒に話をして,最初の案が満場一致で決まった感じでした。
そういえば今回「STAND PROUD」のカバーをやりましたが,あれは以前延期になったブシロックフェス(2021年開催予定だった「BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2021」)で準備していたものだったんです。本来のFantôme Irisのお客さんの層を考えると選択しない曲なんですが,ブシロックは男性客が多いだろうということで。
4Gamer:
そうだったんですね! 「STAND PROUD」は「月光饗宴」で初披露されましたが,確かに意外な選曲だと思っていました。
北岡氏:
お客さん的にはかなりの変化球だと思われたかもしれませんが,本来やりたかったタイミングでもあったので,あえて富士急でカバー曲を入れたのには,そういう経緯と理由がありました。
GYROAXIA,2回目のライブツアー,
「キックスタート」がいよいよ開催!
4Gamer:
それでは,8月にスタートするGYROAXIAのツアーについて詳しくお聞きしたいと思います。
北岡氏:
お客さんもすでに想像しているかと思いますが,衣装はしっかり新しいものを用意しています。時系列に関してははっきり言えないんですが,少し物語を感じられるような内容にはしたいと思っています。
4Gamer:
なるほど。「キックスタート」と名付けたのはどういった理由なのでしょうか。
北岡氏:
Argonavisの「スタートライン」と対にしたかったのが大きな理由ですね。駆け出す踏み込みの強さを感じられる,GYROAXIAらしいものにしたくて。去年の10月にArgonavisが「RUN-UP」というツアーをやりましたが,あれが「助走」という意味合いだったんです。彼らが助走をつけてスタートを切って,その流れのなかにGYROAXIAも続くような形にしました。
4Gamer:
バンドとしてそこそこ長く活動はしているけれども,このタイミングで「スタート」というのはやはり「プロとしてのスタート」ということですよね。
北岡氏:
まさにそうです。最近では楽曲タイトルとライブタイトルを紐付けることが多かったんですが,先に言っておくと,今回に関しては「キックスタート」という曲はありません。とはいえ,もちろん新曲は用意してますし初披露の楽曲もあります。
4Gamer:
期待がふくらみますね……! ライブの準備的には今,どんな状況ですか。
北岡氏:
それこそセトリについて本人たちと打ち合わせをして,流れで演奏しながら曲を入れ替えたり,新たに足したりなどのアイデアを出し,ようやくまとまったのが2週間くらい前になります。なので今はそれに沿って曲間の演出だったり,新曲の練習を毎週している感じですね。
4Gamer:
とおしで演奏の練習をするなかで,主にどういったことを確認するのでしょうか。
北岡氏:
まずは演奏の体力的なところが持つのかどうかというのが1つと,あとは演奏している側しか分からない“しっくり感”です。僕も客観的にしか見られないんですが,やっている側としては「このテンションから次はこの曲をやったらしっくりくるよね」といったことですね。やっている側の感覚と見ている側のそれと,バランスが取れるようにしています。
4Gamer:
いわゆるプロと言うか,メディアミックス発ではないバンドもそういったやり方をするんですか。
北岡氏:
バンドによりけりだとは思いますが,似た感じだと思います。ただそうしたバンドと違うのは「自分たちで曲を作っているかどうか」で,それによって考え方が変わることはあるかもしれません。アーティストが曲を作ってアルバムを出してツアーをするっていう流れだと,制作段階からその“絵”が見えているはずなので。
このプロジェクトに関しては,僕や制作側の人間が考えるコンセプトや演出を提示して,キャストさんが理解して組み込んで作っていくイメージなんですよね。だからセットリストの全体像は,実際に演奏してみないと想像がつかないことも多いかもしれないです。
4Gamer:
よく分かりました。今回のツアーで目指すところや,これを達成したいといった目標などはありますか。
北岡氏:
一番大きなところは,やっぱり声出し解禁になって初めてやれるワンマンということです。この数年で何回も演奏してきた曲でも,化けるというか受け取り方が変わるだろうなと。なので,“楽曲の真の姿”を見せると言いますか……お客さんが声を出したい曲は基本的にみんなやると思っていただいて大丈夫なので,それが見せられればいいなと思います。
4Gamer:
確かにそうですよね。GYROAXIAは活動期間がほぼコロナ禍と重なってしまっていましたし。
北岡氏:
はい。これまでもセトリを決めていて,正直ほんのちょっとだけ「いつもの流れ」になりがちなところもあったんですよ。ただ今回に関してはそれがガラッと変わると思います。Argonavisのツアーのときもよく言ってましたが,今まで何度もやってきた曲でも新曲くらいの雰囲気でやろうと。
4Gamer:
それこそ5月のArgonavisのライブでは,昔からよくやっていた楽曲の流れがありつつも,ここ数年で聞けていなかった歓声が重なることによって,見えている景色が最近とはまったく異なっていました。あらためて曲の良さに気づくこともあったりして。
北岡氏:
そうですよね。お客さんもきっと「新たな発見」があったんじゃないかと思います。
4Gamer:
あと個人的に感じたのが,アコフェスの前にTwitter(現,X)で声出しのライブ映像をチラ見せしていたじゃないですか。あれが良いきっかけになったんじゃないかと。
北岡氏:
おっしゃるとおりで,あれで「声を出していいんだ」って安心してくれた方もいたんじゃないかと思います。まだお客さんのなかに声出しを戸惑っている方もいるのは重々承知しているんですが,やっぱりライブは観客が声を出したり,パフォーマンスに対するレスポンスがあって完成するものだと思います。
今回のGYROAXIAのツアーは,バンドとしての本来の形でライブができるので,ジャンプ禁止の会場もありますが,できるところでは飛び跳ねたり声を出したり,ペンライトやリングライトを掲げたりしてたくさん楽しんでほしいです。これも逆に,バンドがすごく力をつけた今だからこそ良いのかなという気もしますね。皆さんの想像以上のものがお見せできるのではないかなと。
4Gamer:
以前から「ArgonavisとGYROAXIAは週に一回はバンド練をしている」とおっしゃっていますよね。
北岡氏:
隔週になったり日によっては全員が集まれない日もあるんですが,そこはずっとルーティンでやってますね。メンバーもその日の練習だけではなく,持ち帰った宿題があるうえでそれをやっています。
4Gamer:
いや,本当にすごいことだと思います。メディアミックス系でそこまで取り組めるバンドはそうそうないような気もしますが……やろうと思ってもなかなかできないですよね。
北岡氏:
そうですね,もう「バンドリ!」自体がそういう座組でやっているので。ほかではマネできないブシロードの作品という点には,それもあるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
そういった練習の効果もあってか,GYROAXIAは観るたびに成長しているのがよく分かります。私も初お披露目から拝見していますが,あの頃とはもうまったく違うバンドと言っていいくらいに。
北岡氏:
ライブを重ねるごとにパワーアップしたのは間違いないですが,やっぱり去年のツアー(2022年8月〜9月開催「GYROAXIA TOUR 2022 -Freestyle-」)が大きな転換期になったかなと。いつもなら1回ワンマンをやって半年くらい期間が空いて次のワンマンという感じだったので,毎回ライブの感覚が少しリセットされてから作り上げることが多かったんです。
それがツアーでは,リアルタイムで反省点を修正することができました。それと最初の仙台が,ワンマン2daysという初めての体験でしたね。
4Gamer:
今回のツアーのスタートでもある仙台GIGSですね。
北岡氏:
はい。ライブ前は,メンバーに差はあれど緊張からナーバスな部分が出たりするんですが,非常にホスピタリティが充実した会場で,スタッフさんからたくさんおもてなしをしていただきました。そのおかげでライブ直前の楽屋でも良いメンタリティを保つことができました。初日からすごく良いライブをやれて,反省点はあってもすぐ反映して,良いサイクルとテンション感のまま進んでいけたんです。
あのツアーで得た時間は,大きな経験値になったと思いますね。今回のツアーも前回と近い日程の組み方になっていますが,要望としては最初から「仙台GIGSから始めたい」とリクエストしました。
4Gamer:
これはまたすごいツアーになりそうです。内容的にお話いただけることがあれば教えていただけますか? TwitterもといXでは,キャストさんがツアーでやる楽曲のヒントを出していましたが……。
先日のGYROAXIAのツアーリハにて。
— 橋本真一 (@shinichi1109) July 18, 2023
各地方によってセトリが変わるのですが
この日は大阪公演のセトリのリハを。
おっと、、、
橋本がスタンドマイクの前にいるぞ、、、
ということは、、、、??? pic.twitter.com/clBQu2UhsM
北岡氏:
全公演違う曲をセトリに組み込む予定です。それこそメンバー発のアイデアもあるので,自分も楽しみです。
4Gamer:
本当に楽しみです。また今回はFantôme Irisがゲストとして参加する回がありますが,ゲストを入れた理由を教えていただけますか。
北岡氏:
ライブで直接描くわけではないのですが,GYROAXIAとFantôme Irisが同じドレッドノートミュージックというレーベルに所属することになったので,世界観を紐づけしたいなと思いました。
4Gamer:
ファントムのレーベル加入の経緯に関しては,ボイスドラマ(2023年7,8月配信 メインストーリー第二部 第二章 ボイスドラマ「La fin du rêve-残英-」)で少し描かれていましたが,ドラマは今回のツアーに絡めたわけではないんですよね。
北岡氏:
そうですね。タイミング的には近いですが,ライブの中身としてリンクするのは「同じレーベルに所属したあと」という部分だけになると思います。
あとファントムはゲストアクトなのでボリューム的に長い時間ではないのですが,内容の濃いセトリになります。これからのFantôme Irisの名刺代わりとなるようなものも用意しています。あと,ツアー前日に公開するジャイロの新曲「ALL MY PARTS」も聴いてみてください(北岡氏が音源をかける)。
4Gamer:
紛うことなき“「Freestyle」以降のジャイロ”というイメージを受けました。初期とはまったく違うし,一段上がった“プロ感”がありますよね。すごく洗練されていて,知らずに聴いた人はメディアミックスバンドだと気づかないかもしれません。
北岡氏:
モダンな感じですよね。これはまさに「Freestyle」のアルバムの流れを組んでいて,全部が英語の歌詞になっています。この曲を書いてくださったのはNOISEMAKERという日本のバンドなのですが,英語の歌唱に関しては直接発音指導もしていただきました。苦戦はしましたが,小笠原さん(GYROAXIAボーカル・旭 那由多役の小笠原 仁さん)の対応力が高くて。
あと,歌詞では那由多の内面がかなり描かれているんです。「俺にはこういう過去があって,こういう傷や感情があって,それが全て積み重なって俺なんだ」っていう……。
4Gamer:
そこまで描かれているんですね! これは反響も楽しみです。
北岡氏:
ツアーでも重要な位置付けになる楽曲ですので,ぜひ楽しみにしてもらえればと思います。
4Gamer:
分かりました。そしてツアーのオーラスは,ArgonavisとGYROAXIA両バンドのツアーファイナルという形の対バン(2023年9月8日開催「Argonavis × GYROAXIA LIVE 2023 スタートライン × KICK-START」)ですね。
北岡氏:
Argonavisのツアーで東京公演ができなかったんですが,ちょうどGYROAXIAのツアーとのタイミングがうまく重なったので,ダブルツアーファイナルという形で組ませていただきました。ワンマンライブよりは各バンドの曲数は減ってしまいますが,できるかぎり詰め込む予定です。
この2バンドでのライブは2021年の富士急ハイランドコニファーフォレストでのJUNCTION A-G以来となるので,あのころから何段階もパワーアップした,バチバチの対バンにできればと思ってます。
4Gamer:
それこそセトリを考えるのが大変そうですね。そういえばArgonavisのツアーにはありませんでしたが,GYROAXIAのツアーやファイナルの対バンでカバー曲をやる予定はあるのでしょうか。
北岡氏:
予定はないですね。やっぱりオリジナルが増えてセトリ落ちする曲も増えてきましたし,「カバーフェスティバル」という形のイベントもやっているので,うまく棲み分けできたらなと。個人的にはストーリー性がないと,あまり(カバー曲は)ハマらなくなってきたかなとは思っています。
少し本題から逸れますが,カバー曲の元のアーティストさんと一緒に演奏するとか,それこそアコフェスのような形で楽曲提供者さんたちと絡んでいくのは今後,もっとやりたいですね。ほかにもファンクラブ限定の何かや,以前やっていた路上ライブとか。今言ったものに関してはいろいろと展開を考えているところなので,ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。
4Gamer:
期待しています。そうするとこのあとは夏にGYROAXIAのツアーがあり,9月に対バンがあり,秋ごろにはなにか予定はありますか。
北岡氏:
ここから年明けに向けて,ほかにもいろいろと調整はしています。時期はまだ分からないんですが,ストスト(ST//RAYRIDE)のライブもやりたいですよね。まだ先の話になると思いますが,せっかくレーベルごとに分かれているので,そういったライブもいつかやってみたいと思っています。
6番目となる2人組バンド
「ST//RAYRIDE」について聞く
4Gamer:
せっかくなのでストストについても話をお聞かせください。そもそもなぜ新バンドを追加しようと思ったのでしょうか。
北岡氏:
この作品が「次はプロの世界で活躍する」という設定になって,プロとしての栄光や挫折を描くために構想しました。今出ている情報だと過去に何かあったらしいということくらいしか分からないと思うんですが,すごく現実的な側面を持ち合わせた設定を持っています。彼らに何があって,これからどうなっていくのかというところも楽しみにしてほしいなと思います。
4Gamer:
音楽性についてはいかがですか。
北岡氏:
ボーカルとMCがいて,ジャンルとしてはミクスチャーロックで,ArgonavisとGYROAXIAの中間を目指して作ったという感じです。今いる5バンドはジャンル的にけっこう差別化して作ったので,6バンド目を出すとなったとき,最初はそれこそ和楽器とかジャズとかも候補としてありました。
でも現実的にプロの世界を描くとなったとき,彼らの前に立ちはだかる可能性のある存在にするならば,近しいものでやったほうが説得力が上がるのかなと。それで,ストレートにミクスチャーロックにしました。
4Gamer:
発表会では楽曲(「STRAYDASH//STARTDASH」)の一部も公開されましたね。
北岡氏:
はい。フル尺はちょっと泣きの要素も入っていたりして,エモい構成になっています。この一曲で割としっかり,ストストが表現できているんじゃないかなっていう。あと,半端ないギターソロが入っています(笑)。
4Gamer:
なるほど。ちなみに,2人組にしようと思ったのは最初からなんですか。
北岡氏:
そうです。既存の5バンドそれぞれのキャラクターがまだ完全に描ききれている状態ではないので,さらにキャラクターの数を増やしてしまうのもな……というのがありました。なので5人組というのは当初から考えておらず,ARGONAVISの世界に新たに加わるバンドの構想をしていくなかで,2人組にして濃い関係性を描けたらなというところが決め手になりました。
4Gamer:
親しみやすさがありつつ,これまでにないバンド内の関係性になりそうですよね。キャスティングについてはいかがですか。発表会でキャストさんご自身から話が出ていましたが……。
北岡氏:
淀川麟太郎役のSHINさんに関しては,僕自身,ViViD(SHIN氏が所属していたビジュアル系ロックバンド)はリアルタイムで聴いていた世代でしたし,前職のときに少し面識もありました。
いろいろな偶然が重なって,新バンドのキャスティングが動き出すタイミングでご本人と会う機会があり,今回オーディションを受けていただくことになりました。
天王寺龍介役の林 勇さんについては,キャラクターのイメージにピッタリの声色でしたし,歌唱も圧倒的な方であったため,お声がけさせていただきました。
4Gamer:
まだ基本プロフィールと楽曲くらいしか公開されていませんが,アプリまでに何か情報を出す予定はありますか。
北岡氏:
今,キャラクターMVを制作していまして,そう遠くないタイミングで公開できると思います。あとはアプリリリース前に彼らのキャラクター性が分かるボイスドラマだったり,いろいろなメディア形式でストストの魅力をお伝えできればと思っています。
鋭意制作中のアプリ「キミステ」について
4Gamer:
5月の発表会でも新情報がありましたが,「キミステ」についても聞かせてください。
北岡氏:
いろいろと紹介しましたが,なかでも1つの楽曲で4つの制作過程を見られる楽曲ストーリーは,「キミステ」ならではの音楽の使い方かなと思っています。やっぱり作られる過程を知ったうえで曲を聞くと感じ方が変わりますし,キャラクターたちのリアル感をより出したかったんです。
アルバムや楽曲の制作ドキュメントであるような様子をストーリーで見せつつ,曲を作る過程で生まれるデモを聞いてもらったらどうだろうと。このキャラはこんなふうに仮歌を歌うんだとか,この人はピアノで曲を作るんだとか。実際のデモをそのまま出せるわけではないんですが,良いところまでお見せできたらなと思っています。
4Gamer:
それこそ先ほど話に出ていた舞台でも,そういった感じの演奏シーンがありましたよね。曲がだんだんできあがっていく感じの。
北岡氏:
はい,ちょっとあれに近い感じかもしれないです。とはいえ4段階あるので,1回横道に逸れたりするようなところも描けたらと。
ほかにも今,各バンド楽曲を制作しています。。Argonavisは「スタートライン」,GYROAXIAは「ALL MY PARTS」とMVを公開させていただきましたが,ほかの4バンドももちろん準備しておりますので期待してもらえればと思います。
はじめましての作家さんも含め,いろいろな面で新しいアプローチをしているので,“新たなステージに進むバンドの楽曲”に仕上がっております。
4Gamer:
良いですね! ちなみにアプリのなかでも曲を聴くことは可能なんですよね。
北岡氏:
はい。楽曲を聴ける機能には,各バンドの既存曲も入れる予定です。オリジナルと新しいver.をそれぞれ用意しています。
4Gamer:
そして繰り返しになりますが,今回のアプリはリズムゲームではないと。
北岡氏:
はい。リズムゲームを新たに開発するとなると,開発期間がより一層長くなってしまいますし,短い開発期間では「ダブエス」(「アルゴナビス from BanG Dream! AAside」※2022年1月にサービス終了)以上のものをお届けすることは難しいのが正直なところです。
なので今回は別のアプローチで,アプリゲームを通して今回はARGONAVISのキャラクターとストーリーを楽しんでもらうことを主軸においた内容となっています。その中で楽曲の扱い方はリズムゲームではなくても濃いものにできればと思っています。
4Gamer:
なるほど。そういえば以前よく行われていたSOL(サウンドオンリーライブ)をまたやる予定はないのでしょうか。SOLはコロナ禍だったから作られたところも大きかったと思いますが,独自のアレンジや聴かせ方がすごく良かったなと。
北岡氏:
かなり反響も良かったですし,やりたいなとは思ってます。これからライブやイベントがけっこうあるので,どこかのタイミングで差し込むことができれば……。あれは作ってるとどんどん欲が出てきちゃうんですよね(笑)。ライブ感を出すためにいろいろ足したくなってしまって,以前作ったときもスタジオに数日間こもりました。過去のライブからいろんな音を切り出したりして,すごく楽しかったです。
4Gamer:
ボイスドラマももちろん良いのですが,音楽そのものを聴かせるコンテンツもぜひ続けてほしいです。クオリティも完成度も高かったですし,何より誰でも見やすいのも大きいので。
たくさんお話をうかがってきましたが,最後にファンの皆さんにメッセージをお願いできればと思います。
北岡氏:
2023年も下半期に入りましたが,プロジェクトはここからアプリのリリースまで一気に駆け抜けていきます。皆さんが想像していなかったような展開もたくさんできればと思っていますので,これまで好きでいてくださった方も引き続き応援してほしいですし,良ければ周りの友達も誘ってライブを見たり,音楽やキャラクターに触れてもらえたらうれしいです。これからもよろしくお願いします!
4Gamer:
今後の展開も期待しています。本日はありがとうございました!
――2023年7月11日収録
「アルゴナビス -キミが見たステージへ-」公式サイト
(C)ARGONAVIS project. (C)Ambition co.,Ltd. (C)bushiroad All Rights Reserved.
(C)ARGONAVIS project. (C)Ambition co.,Ltd. (C)bushiroad All Rights Reserved.