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印刷2024/03/28 16:41

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[GDC 2024]“砂の惑星”を生きのびるサバイバルMMO「Dune: Awakening」をGDC 2024で細かくチェックしてきた

 2024年3月18日〜22日にカリフォルニア州サンフランシスコで開催されたGDC 2024の会期中,近くのイベントスペースでFuncomが開発中のサバイバルMMO「Dune: Awakening」PC / PS5 / Xbox Series X|S)のライブデモが行われた。その内容をお伝えしよう。

「Dune: Awakening」公式サイト


 「Dune: Awakening」は,映画「デューン 砂の惑星 PART2」が公開されているフランク・ハーバートのSF大河小説「デューン」をベースに,映画制作会社Legendary Entertainmentの協力を得て開発が進められているタイトルだ。開発を担当するノルウェーのFuncomは,「Anarchy Online」(2001年)や「The Secret World」(2012年)などのMMORPG開発を経て,サバイバルアクション「Conan Exiles」(2018年)をリリース。2020年にはTencentの傘下に入り,「Dune: Awakening」はLevel Infinityからリリースされる予定になっている。

 「Dune: Awakening」のデモは,キャラクター作成画面からスタートした。エグゼクティブプロデューサーのスコット・ジュニア(Scott Junior)氏によると,「この世界で生きるプレイヤーが,自分のキャラクターに共感できるように」と,アトレイデス公爵家だけでなく,光の届かない惑星出身であるために白い肌を持つハルコンネン男爵家,さらに日焼けした砂漠の民フレメンといった,いくつかのルックスのベースとなる“ボディタイプ”が用意されている。基本の流れは,まずボディタイプを選び,そこから身長や手足の太さなどを決めていくのだが,顔のパーツのサイズや肌の色,シミやそばかすまで設定できる。
 カメラを動かしてキャラクターに近づくと,眉毛の1本1本や眼の水晶体まで確認できるほどリアルに描かれていることが分かり,NVIDIAの「Metahuman」技術を連想させる。接写時の焦点にブレなどがあり,まだ完全に調整できていないとのことだったが,パーツを変更するたび,瞳を閉じたり,髪の毛にフワッと風がかかったりするなど,細かな演出が施されていた。

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 続いて設定するのが,プレイヤーキャラクターのバックグランドだ。「ホームワールド」には,アトレイデスの故郷であるCaladanや,ハルコンネンのGiedi Primeのほか,xlKaitainChusukなど,かなりの砂の惑星マニアでもどんな惑星なのか即答できなさそうな選択肢が用意されていた。ホームワールドそれぞれに,例えばCaladanなら誇り高いとか,氷の惑星Kaitainなら技術力があるといった,特徴となるトレイトと専用のエモートが存在する。ただし,「Giedi Prime出身者は,白い肌でなけらばならない」といった制約はなく,自由にキャラクターメイキングができ,得られるミッションにも変化はないとのこと。

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 さらに,所属する勢力を選択して階級を選ぶ。階級には,農民の「Pylon」,貴族連合の「Na-Familia」,そして知識の豊富な官僚の「Bondsman」の3つがあり,NPCとの会話に変化が生じることなどがあるようだ。最後に職業能力で,こちらは戦略に優れた人間コンピュータとも呼べる「Mentat」,攻撃力や破壊力の大きな「Trooper」,剣の扱いに長けた「Swordmaster」,そして人心を操れる「Bene Gesserit Acolyte」の4種類があり,プレイヤーキャラクターの特殊スキルやゲーム開始時のアビリティなども選べるようになっていた。以上のように,キャラメイクには相当なバリエーションがあることが分かる。

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 こうしてキャラクターが決定すると,物語が始まり,惑星アラキスの某所に行く途中で何者かに宇宙船が撃墜されたプレイヤーは,自分の任務などの記憶がない状態で洞窟の中で目を覚ます。
 「Dune: Awakening」には最新の「Unreal Engine 5」が使われているが,公開された技術デモ「Lumen in the Land of Nanite」関連記事)そのままの,岩肌や砂などを緻密に表現した見事なグラフィックスが見られた。

 洞窟を進んでいくと,最初に見つけるのが「Fremen Kit」で,フレメンたちが砂漠で生きるために必要な最低限のアイテムを詰めたバックパックのようなものだ。ほとんど何も入ってないが,包帯のようなHealkit1つと,初期のツールとなるScrap Metal Knifeのブループリントで,すでに手にしていたスクラップメタルからナイフを作った。このようにして,さまざまなものをクラフトしながらゲームを進めていくことになる。
 水分が蒸発しないよう,フレメンたちが張った薄い膜をナイフで切り裂きながら進んでいくと,荒地に草が生える広い場所に出てきた。映画では「砂ばかり」という印象だが,原作小説には,こうした日陰の植生についての記述も多いのだとジュニア氏は話していた。「Conan Exiles」を踏襲した移動システムが採用されており,ほとんどの壁をよじ登れることも確認できた。

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 これが終わると別のシーンが紹介され,そこでは,砂漠の生き方を教えてくれるらしきフレメンの男性と共にオーニソプターを操縦し,砂嵐に突っ込んでいくというムービーが展開した。なぜ,危険を冒したのかは判然としないが,プレイヤーは生き残ったものの,オーニソプターは砂漠に墜落。出現したサンドワーム(砂虫)に飲み込まれないよう,岩山まで走るというドラマチックな展開に発展した。オープンワールドで自由なサバイバルを楽しむ「Dune: Awakening」だが,キャンペーンストーリーにはいつでも参加できる仕組みになっているとのこと。

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 「Dune: Awakening」でユニークなのが,長時間,太陽光に晒されると熱射病(ヒートストローク)になってしまうことだ。これを表現するため,画面中央上部にあるミッションの方角を表すメーターの下に,熱射量メーターが用意されている。画面左下には水分の保有量も表示されており,これらは,サバイバルのために非常に重要な要素になっている。過酷な砂の惑星では,できる限り日陰で過ごしつつ,水分補給も怠らないようしなければならないのだ。

 日陰に生えている植物から摂取できる水分は少なく,その理由は「消化できない成分も混じっているから」という,原作小説どおりの設定になっている。倒した敵や動物の血から水を生成するほうが効率がいいというのも,原作を知るファンにはおなじみのことだろう。デモにおいても,水を求めて,どの勢力にも属さないアウトローたちが集まる「Scavenger Outpost」を見つけて,突っ込んでいった。
 この時点でプレイヤーは,「Cutteray」というツールを所有している。これは,採掘から手術まで広範囲に使用できる短距離専用レーザー銃のようなもので,砂漠にある残骸からアイテムを集めるのにも重宝するし,武器としても使用可能であるようだ。

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 戦闘シーンの紹介では場面が切り替わり,「Trooper」の職能を持つハルコンネン風のキャラクターが,敵のアウトポストへ乗り込んでいくミッションが登場した。青いケープを装着したキャラクターは,「Suspenser」という小さなデバイスを手にしており,これにより,高所から飛び降りても浮遊しながらゆっくり落下し,ダメージを受けなくなるという。
 クラフティングした武器は「Moula Pistol」という小型の両手銃で,ガスで発砲する。そのため,次弾までの発射時間が長めだが,建物の中で部屋を移動しながら戦うような近距離戦闘には効果的であるようだった。三人称視点の本作ではキャラクターがかなり左に寄っている印象だが,レティクルは画面中央に表示されるので,そのぶん,照準はつけやすい雰囲気だ。

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 「Mentat」の戦闘シーンも紹介されたが,こちらはステルスを多用して攻略していくストラテジックなスタイルになる。メンタットとは,脳が発達して計算能力が増大した新人類のような存在で,周囲にいる敵の人数や位置を察知し,どのように目標を達成していくのかを計画できるという。
 「ハンターシーカー」というアンドロイドのような兵器で敵を1人ずつ倒していくこともできるが,ターゲットが歩くのを止めると追跡不能になるという,まるでサンドワームのような機能が面白く,便利であるものの,敵の移動予想やタイミングなどに慣れる必要があるとジュニア氏は述べていた。

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 倒した敵から水分を集めるという,砂漠の惑星アラキスでサバイバルするために必要不可欠な作業も説明された。映画「デューン 砂の惑星 PART2」では,血から水分を直接取り出すような高度なデバイスをフレメンが使っていたが,少なくともこの時点のプレイヤーキャラクターにそのような技術力はなく,注射器で血を吸い出して袋に入れていた。これを自分の基地に持ち帰り,そこで水へ生成するという手間のかかるシステムだが,これが「デューン」の世界そのものだと考えれば仕方がない。直接血を飲んで水分を得ることもできるが,そうするとヘルス値が大きく減退するというシビアな設定になっていた。

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 プレイヤーの基地は,「Conan Exiles」のように最初に基礎を作って,その上に建て増していくのではなく,持っているブループリントの部屋や壁を,砂丘や岩山の地形に合わせて自動的に設置してくれるという,簡便なものになっていた。資材が足りなくても,未建設部分をホログラムとして保存しておけるため,当初のプランを忘れることはない。また,仲間と基地作りを楽しんでいるのなら,ホログラムを見た仲間が資材を出してくれるかもしれない。

 「Unreal Engine 5」の高度なグラフィックス技術により,今回のライブデモでも,非常にクオリティの高い照明効果が確認できた。窓から入ってきた太陽光は床や壁に当たって光源になり,間接照明のように部屋全体をぼんやりと明るく照らしている。そのため,映画のようにリアルで,非常にナチュラルな光景になっていた。

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 「Dune: Awakening」の発売時期については現段階で発表されていないが,本作と似た世界観を持つ「Conan Exiles」を開発したFuncomが,十分な資金と関係企業の協力を得て,「デューン」らしいサバイバルMMOをしっかりと作り上げているという印象だ。どれほどの規模のPvPが楽しめるのかなど,MMOらしい要素については,今回のプレゼンテーションでは触れられなかったものの,サンドバイクやオーニソプター,タンクなどを乗り回すことができるので,かなり大がかりなバトルを体験できそうだ。続報を楽しみにしたい。

「Dune: Awakening」のライブデモを紹介してくれた,Funcomのエクゼクティブ・プロデューサー,スコット・ジュニア氏
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