バンダイナムコエンターテインメントが2022年10月13日(Steam版は10月14日)の発売を予定している
「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」(
PS4 /
Xbox One /
Switch /
PC)。本作の試遊バージョンが東京ゲームショウ2022の同社ブースに出展されている。
「ドラゴンボール」のゲームといえば,悟空やベジータなどの超人となり,天地を揺るがす大バトルを繰り広げるものを思い浮かべる人が多いだろう。しかし本作は,“戦闘力5”の一般人・サバイバーと,セルやフリーザといった大悪党・レイダーに分かれて追いかけっこを繰り広げるという非対称型対戦ゲームである。
発表されるや否や,そのユニークなゲーム性や,油断するとサバイバーがレイダーにあっという間にやられてしまう圧倒的な戦力差が話題を呼んだ本作。今回はプロデューサーの
原 良輔氏にインタビューを実施し,開発経緯や見どころなどを聞いた。
「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」プロデューサー 原 良輔氏
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“戦闘力5の一般人の目線”で描かれるドラゴンボールの世界
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」の見どころを教えてください。
原 良輔氏(以下,原氏):
本作は,超人「レイダー」と一般人「サバイバー」の圧倒的な戦力差を感じられる,「ドラゴンボール」ならではの非対称型対戦ゲームになります。レイダーとサバイバーのどちらになれるかはランダムですが,どちらをプレイされても,戦力差があまりに大きいことに驚かれると思います。
4Gamer:
TGS 2022の会場で試遊できるバージョンは,どういったものになるのでしょうか。
原氏:
レイダーとして「セル」と「フリーザ」が実装されています。中でもフリーザは8月の「CLOSED NETWORK TEST」で初お目見えした新キャラクターです。
4Gamer:
セルとフリーザの特性をそれぞれ聞かせてください。
原氏:
セルはオールラウンド型のレイダーです。進化が速いうえ,「幼虫」以降はどの形態でも索敵手段「気の探知」を使えるため,安定したプレイが可能になります。
一方でフリーザは,スキルの使い方が鍵となるテクニック型のレイダーです。索敵の「スカウター」を使えるのは第一形態だけですが,全ての形態で使える「ザーボンさん!」「ドドリアさん!」を使うと,2人の部下が索敵や攻撃手段として活躍してくれます。
4Gamer:
ザーボンやドドリアは,具体的にどういった性能になっているのでしょう。
原氏:
スキルで彼らを呼び出すと指示した方向へ飛んでいき,その先でサバイバーを見つけるとマーキングしたうえで攻撃してくれます。マーキングや交戦の音に注目していれば,フリーザ単体よりも広い範囲を探索できるわけです。
2人を別々の方向へ送り出し,自分はまた違った方向を探索するというように手分けするのもいいかもしれません。忘れずに2人を使っていけば,かなり強いレイダーになると思います。少し難しく感じられるかもしれませんが,うまく使いこなしてみてください。
4Gamer:
そもそも「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」の企画が立ち上がったきっかけは何だったのでしょうか。セルやフリーザが“戦闘力5”の一般人たちを狩り,一般人たちは力を合わせて立ち向かう。いままでの「ドラゴンボール」ゲームの文法からは考えられないゲームですよね。
原氏:
弊社ではこれまでも,いろいろな「ドラゴンボール」ゲームをリリースさせていただいてきましたが,強いキャラクターのバトルにフォーカスしたものがメインでした。しかし,「ドラゴンボール」の魅力はブルマやウーロンといった,超パワーは持たないが個性的なキャラクターたちにもあると考えていて,彼らが光るゲームがあってもいいんじゃないかと思っていたんです。
星をも破壊する超人たちのバトルを一般人の視点から見たら,そのすごさがより際立つ。同じ「ドラゴンボール」の世界にいるのに力の落差が大きいことをテーマにしたら,新しいゲームが作れるんじゃないかと。
4Gamer:
確かに「ドラゴンボール」の世界では必ず一般人たちが話に絡んできますからね。世界の危機をウーロンの機転が救った「ギャルのパンティおくれーっ!」などはいい例ですし。
原氏:
今思えば,そうした部分を扱ってこなかったのは,もったいないことだったなとも思います。
それを描くうえで目を付けたのが,当時流行していた非対称型対戦ゲームの仕組みでした。このシステムなら力の落差というテーマを描きながら,新たなシナジーを生み出せるんじゃないかと思ったんです。まだゲームで再現できていない「ドラゴンボール」の魅力もあるのではないかと。
4Gamer:
この企画を出した際の社内や版元の反応はどのようなものだったのでしょう。
原氏:
最初は微妙な顔をされましたね(笑)。サバイバーのスキンとしてブルマやウーロンを用意するという話をした時には「ドラゴンボールが好きな人は,強いキャラクターがカッコ良くバトルをするところが見たい。そこに戦闘力の弱いキャラクターを持ってきても,魅力に感じてもらえるのだろうか」と言われました。
その後,プロトタイプを試遊してもらったり,いろいろな議論を重ねたりしていくことで理解してもらえました。
4Gamer:
これまでに2021年12月のクローズドβテストと,2022年8月のCLOSED NETWORK TESTがワールドワイドで行われてきましたが,反響はいかがでしたか。
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原氏:
我々としては,ゲームコンセプトとしてレイダーとサバイバーの戦力差を大きくしているわけですが,この点がユーザーの皆様にどういった受け入れられ方をするかを気にしていました。実際,クローズドβテスト終了後に行ったアンケートでは「突然襲ってきたレイダーから逃げられない」というご意見も多くいただきました。
ただ,“サバイバー側は立ち回りの理解度によって勝率に大きく差が出る”というデータも出ていましたので,CLOSED NETWORK TESTではシステムを理解してもらえるような導線を作っていきました。その結果,CLOSED NETWORK TESTの後は,バランスが改善されたという意見をいただいています。
4Gamer:
確かに,最初はわけも分からずにレイダーに倒されることも多かったですが,システムを理解すれば,ちゃんと皆に貢献できる立ち回りができますね。
原氏:
じっくり練習できる「プラクティスモード」を実装したり,倒された仲間を蘇生しやすくするといった若干サバイバー寄りの調整も入れています。ただ,“レイダーとサバイバーに圧倒的な戦力差がある”という軸はブレないようにしたいと考えています。そのうえで,プレイヤーの方々からの意見を生かした調整を続けていきたいです。
4Gamer:
海外を含めて,地域ごとに反応の違いはありましたか。
原氏:
地域によって,非対称型対戦ゲームがどれだけ浸透しているかに差があったようで,アジア圏の方々には特に新鮮なものとして感じてもらえたようです。逆に,レイダーとサバイバーの圧倒的戦力差に戸惑われるのはどの国でも同じでしたから,今後もシステムの理解度を上げていく施策は続けていきます。
4Gamer:
新たなレイダーは誰が追加されるのでしょうか。
原氏:
本作は「ドラゴンボール ゼノバース2」と世界設定を共有しているので,同作に登場するキャラクターであれば「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」に参戦する可能性があります。現時点でお話しできるのは「魔人ブウ」ですね。皆さん「無邪気な状態のブウからスタートするんだろう」と思っておられますが,ちょっと違います。
4Gamer:
てっきりそうスタートするのだとばかり思っていましたが,違うんですか。
原氏:
最初に出てくるのはブウではなく,
スポポビッチです。スポポビッチを操作してサバイバーや一般人を倒し,ブウの卵にエネルギーを与えていくと,第二段階でブウが解放されるんですよ。
4Gamer:
確かにそれは想像できなかったですね。このほかにもゲームの内外にマニアックなネタが多く仕込まれていますが,開発チームの士気の高さというか……意気込みをすごく感じます。
セルの幼虫がプレイアブルになっているのはおそらく本作が初めてでしょうし,アソビストアの特装版には「セル抜け殻 フィギュア」が同梱されるとあって驚きました(
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アソビストアの特装版には「セル抜け殻 フィギュア」が同梱される(抽選販売は既に終了)
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原氏:
チームのみんなが「ドラゴンボール」好きなので,「ここをネタとして入れるんだ!」というアイデアがたくさん出てきて驚いています。例えば,ブウがスポポビッチからスタートするのも,「ドラゴンボール」愛ゆえのネタですし,個人的にも大いに気に入っています。
また,あの
「戦闘力5の男」,ゲーム内では「農家のおじさん」という名前なのですが,彼もサバイバー用のスキンとして登場します。ついにあの人を自分でプレイできるという,「ドラゴンボール ザ ブレイカーズ」ならではのネタだと思いますね。
4Gamer:
「ゴミめ……」と罵られる麦わら帽子の人ですね。ゲームのコンセプトを体現している,面白いネタだと思います。本作のサービス形態は基本無料ではなく買い切りですが,発売後はDLCやシーズンパスのようなものを配信していくのでしょうか。
原氏:
サバイバー用のアバターや新たなレイダーといった追加要素は,ゲーム内のショップにおいて,有償通貨「TPトークン」と引き換えに入手していただく形になります。TPトークンはお買い上げいただくこともできますし,プレイを通じて手に入れることも可能です。
4Gamer:
DLCではなく,ゲーム内でのアイテム販売になるということですね。さて,まだまだいろいろお話をうかがいたいところですが,そろそろお時間のようです。最後に,読者に向けてメッセージをお願いできますか。
原氏:
本作は,超人であるレイダーと,一般人サバイバーの圧倒的戦力差がテーマになっています。戦力差が大きいからこそ,力を合わせてレイダーに勝利した際は,言葉で表現できないくらいの気持ち良さを味わうことができますので,ぜひ一度プレイしてみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
TGS 2022に合わせて放送された公式放送では,戦闘力5の男「農家のおじさん」のスキンを始めとしたさまざまな新情報が公開されている。気になる人は,以下のアーカイブからチェックしてみよう。