企画記事
「アオペラ -aoppella!?-」制作陣インタビュー。キャスティングの理由からシナリオ,キャラクター,楽曲の制作話までお届け
KLabが展開する音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」が,2022年3月4日に1周年を迎えた。1周年当日には「アオペラ -aoppella!?-放送部〜1周年記念!重大発表スペシャル〜」が実施され,ヴォーカルグループ「ゴスペラーズ」とのコラボや,1stアルバム「A(エース)」の発売などを明らかにし,ますますの盛り上がりを見せている。
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「アオペラ -aoppella!?-」がちょっとでも気になる人へ。青春×アカペラをテーマとした話題の音楽プロジェクトを紹介
KLabがおくるアカペラを題材にした音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」が,2022年3月4日に1周年を迎えた。本稿では,プロジェクト1周年を迎えたお祝いの意味も込めて,世界観やキャラクター,これまでに公開された楽曲を紹介していく。
そんな「アオペラ」の1周年と,6月15日に迫る1stアルバム発売を祝って,4Gamerではプロデューサーの横山憲二郎氏,シナリオライターの中越麻朝氏,イラストレーターのしろばみ氏,さらに作詞・作曲・編曲を担当するzakbee氏へのメールインタビューを行った。
各々の貴重な制作話を知ることができるので,ぜひ最後までチェックしてもらいたい。なお,中越氏へのインタビューはシナリオの一部ネタバレを含むので気になる人はご注意を。
■もくじ■
※タップorクリックでジャンプします
・プロデューサー横山憲二郎氏
・シナリオライター中越麻朝氏
・イラストレーターしろばみ氏
・作詞・作曲・編曲担当,zakbee氏
・1stアルバム「A(エース)」商品情報
「アオペラ -aoppella!?-」公式サイト
1st ALBUM「A(エース)」特設サイト
新たな発表も考えております。
「アオペラ」プロデューサー横山憲二郎氏
4Gamer:
「アオペラ -aoppella!?-」1周年おめでとうございます。まずはあらためて,“青春×アカペラ”をテーマにした音楽原作プロジェクト発足の経緯をお聞かせください。いつごろから計画していたのでしょうか。
横山憲二郎氏(以下,横山氏):
原作開発の企画を考えている際に,10年前からいつかやりたいと思っていた「ぺらぶ! a cappella love!?」という作品のリブートを今こそやるしかないと思い,企画書を作ったことが始まりです。今見返したら2020年の始まりくらいからその企画書の元は作っていました。その後各所もろもろの調整があって,正式に動き出したのは2020年の初夏くらいだったかと思います。
4Gamer:
なぜ,“今”だったのでしょうか。
横山氏:
昨今はYouTubeやTwitterなど各種SNSの存在感が10年前よりも拡大していたことが要因としては大きかったかなと思います。当時ももちろんプラットフォームとしてはあったのですが,より今のほうが作品だったり音楽の魅力をダイレクトに伝えることができるという環境があり,他の音楽プロジェクトなども多くなったのかなと考えています。
ですので,YouTubeやTwitterなどをとおしての皆さんとの交流については特に気をつけている部分です。
4Gamer:
キャスティングのポイントはなんでしょうか。全体的な決め手が何かございましたらお聞かせください。
横山氏:
まず,前作に出演いただいていたキャストさまにはやはりご一緒したいという思いが強くありお声かけさせていただきました。新キャストについてはアカペラという特性上,声の高さや低さは気にしていたのですが(特にベースやボイスパーカッションについてはできそうな人を気にして選びました),基本はキャラクターに演技が合いそうかという観点でお声かけさせていただきました。
4Gamer:
ゴスペラーズさまとの大型コラボや,各種イベントを実施されてきましたが,今後のプロジェクト展開について可能な範囲で教えてください。
横山氏:
基本的にはこれまで通り11人の彼らの歌とドラマ,その成長を楽しんでもらえればと思います。詳しいことは伝えられないですが,新たな発表も考えておりますので楽しみにしていてくださいませ。
4Gamer:
読者へのメッセージをお願いいたします。
横山氏:
1周年を迎えられたとはいえ,まだまだドラマCDとグッズ展開が中心の新規のコンテンツでございます。これまでの応援に感謝しつつ,これからもぜひずっと応援いただければ,きっと楽しい展開が待っていると思いますので,引き続きよろしくお願いいたします!
これからも追いたいと思っていただけるシナリオを。
シナリオライター中越麻朝氏
4Gamer:
世界観や設定,キャラクターなど作品への第一印象をお聞かせください。
中越麻朝氏(以下,中越氏):
10年前に「ぺらぶ! a cappella love!?」という作品があり,そこからコンセプトを踏襲して産まれ変わったコンテンツが「アオペラ -aoppella!?」となります。そのため,第一印象はどちらかというとその「ぺらぶ!」の印象が強く,これをどうアオペラへ落とし込めば良いのかとしばらく模索しました。ですが,会話のテンポ感,世界観などは,「ぺらぶ!」のおかげで最初からつかみやすかったです。
4Gamer:
これまで描かれたボイスドラマのそれぞれのテーマや,見どころを教えてください。
・1stCDのボイスドラマ「都立音和高校アカペラ部始動!」
中越氏:
1stCDは「アオペラとは」の説明もですが,11人の自己紹介CDでもあります。このため,発言や行動で個々の性格や性質が伝わるよう書かせていただきました。
例えばドラマがスタートしてすぐには,わざと壱を登場させませんでした。そうすることにより,彼の性格や行動パターンが伝わるかな,と思ったからです。
ストーリーによってはメインとなる子もいますが,11人のなかでこの子がアオペラの主人公と固定させるわけではなく,全員が主人公であるという部分も伝えられるよう気をつけました。
・2ndCDのボイスドラマ「都立音和高校文化祭開催!」
中越氏:
雨夜が初めて作曲し,それを文化祭で披露するために奮闘するシーンは当然ながら,わちゃわちゃシーンにそこそこの文数を割いたCDとなっております。1stCDでも2グループは仲良くなっていると分かりますが,さらに距離が縮まっていると感じていただけるよう,執筆させていただきました。
音和の文化祭をFYA’M’も楽しみましたが,そこは朝晴率いるグループなので,最後の最後にある「らしさ」も感じていただければな,と。
また,特別ドラマとして「Ordinary day -燐&道貴編-」も書かせていただいたのですが,燐をシャンシャン先輩と呼ぶまでの過程で,道貴は「あ,ボク,この人といっぱい一緒に居たい!」と自分でも認識し,燐も最終的に「こいつ,俺にすげえ尻尾ぶん回してんな」と思ったのではないでしょうか。好意の表現方法は違えど,2人の相手に対する想いはここで出来上がったのかな,と思っております。
・3rdCDのボイスドラマ「アオペラ地区予選開催!」
中越氏:
アオペラの地区予選が始まり,その緊張感もですが,ルカの成長部分も前面に出てくるストーリーでもあるため,そのあたりのバランス。そしてルカは明と,明はルカと出会えて良かったね,という部分も,限られた文数のなかで可能な限り書かせていただきました。
他,壱の「奇跡の方向音痴」が発揮されるシーンもあるのですが。雨夜に「なんであの子は,丁寧にちゃんと迷うの……」とさめざめと言わせ,壱が見つかった後は「いぃやったぁぁ……! 言質取ったー……!」と叫ばせてしまった時には,壱にそういう設定をプラスして本当に申し訳ないと謝罪したくなりました。
特別ドラマの「Ordinary day-ふかみ&光緒編-」の2人は,FYA’M’のメンバーになる前から相手を認識し,接触がないころから好感度がほぼMAX状態という極めて稀なコンビです。その状態でメンバーになり,ようやく一歩踏み込んだ話となりますが,ふかみが想像以上に光緒に対しての好きをストレートに伝えたので,光緒は一生ふかみにはあんな感じかもしれません。
「Ordinary day-雨夜&朝晴編-」は,雨夜には弱い朝晴を明確にしました。顔色が悪いと雨夜に指摘され,「部屋がいつもより暗い,そのせいでは」と朝晴は返しますが,誰がどう聞いても苦しい言い訳です。雨夜でなければ相手を論破していたはずで,雨夜も雨夜で,朝晴に対して強く出るべきところではしっかり強いので,余計に朝晴は「はい」とうなづくしかなくなるのではないかな,とも。
・スペシャルボイスドラマ「FYA’M’結成秘話」
中越氏:
朝晴が,のちにFYA’M’となるメンバーをスカウトしに行くお話なのですが,すでに関係性があるキャラ。まだ関係性がほとんどないキャラといたので,そのあたりが伝わりやすいよう,朝晴には各キャラへの誘い方を変えさせました。
例えば舞斗と由比とは同級生ですでに相当の関係があったので,朝晴の態度は変えず命令とし,逆にほとんど接点のなかったふかみには,問いかけからの興味を引く言葉を残していくといった具合です。
そしてたぶんですが,FYA’M’が結成してからのほうが朝晴は大変だったのではないでしょうか。回想明けに,壱から「思い出し血反吐しそう」と言われていたぐらいなので。そのあたりもいつか書けたらなと思っております。
4Gamer:
6月15日発売の1stアルバムの特典CDに収録されるボイスドラマ「合宿での夜-今までの僕らとこれからの僕ら-リルハピver.」「合宿での夜-今までの僕らとこれからの僕ら -FYA’M’ver.」についてもポイントをお聞かせいただけますか。
中越氏:
「箱根に別荘持ってる宗円寺家の本気の接待」「雨夜が○○を買おうとするのを速攻阻止する燐」「ふかみの腹筋」「朝晴の口の達者ぶりが絶好調で,舞斗の胃が心配」「ふかみに背負われる由比」など,どちらのver.にもあるわちゃわちゃなやりとりを,単純に「なんかすごいな」と思っていただけるよう書かせていただきました。なので聞き終わった後,「なんかすごいしみんな練習頑張ってるし仲良いね」と笑っていただければうれしい限りです。
4Gamer:
読者へのメッセージをお願いいたします。
中越氏:
シナリオライターの,中越麻朝と申します。これからも追いたいと思っていただけるシナリオを書き続けられるよう精進いたしますので,今後ともアオペラを,そしてアカペラを楽しむ彼らを応援していただければ幸いに存じます。
最初は「ただの高校生感」を大事にしたかった。
イラストレーターしろばみ氏
4Gamer:
世界観や設定,キャラクターなど作品への第一印象をお聞かせください。
しろばみ氏:
ただの高校生が部活動でアカペラをやるところが良いなと思いました。きっと良いコンテンツになるだろうと思っていたので,一番はじめに目につくイラストで,その入口を狭めてはいけないということは常に考えていたと思います。
4Gamer:
キャラクターデザインはどのような流れで今の形になったのでしょうか。
しろばみ氏:
最初は「ただの高校生感」を大事にしたかったので,髪色などで個性を出さず,制服の着こなしや髪型などで変化をつけようとしました。ですが,自分の絵柄的にも,2次元という少ない情報量でそのような設定にしてしまうと本当に地味になってしまい,これは良くないということで,髪色を自由にした今の形に落ち着きました。
4Gamer:
もっとも苦労したキャラクターは誰でしょうか。
しろばみ氏:
是沢舞斗です。「バイトをしている普通の高校生感」と「個性の強いFYA’M’のリードボーカル」という立場でバランスが難しかったです。自分の飲食バイトの経験から,バイトをする人の髪色や髪型に関しては固定概念が強く,かといって黒髪単色だと,チームの中心人物でありながら個性的なFYA’M’のなかで埋もれてしまうということで,ご意見をいただきながら少しずつ調整し,本当に最後まで髪色も服装も悩んだキャラクターでした。
4Gamer:
それぞれのキャラクターのデザインのポイント,気に入っている点をお聞きしたいです。
しろばみ氏:
【鈴宮 壱】
ぼんやりした柔和な顔つきですが,物語が進みキャラクターが分かってくると,柔らかさが逆に不敵というか無敵さが出てて面白いなと思っています。
【丹波 燐】
私服のデザインはデザインの方が別にいらっしゃるので自分の仕事ではないですが,毎回中二病とオシャレが良い塩梅で,服を選ぶのも描くのも楽しいです。
【雁屋園道貴】
髪色のピンクベージュが気に入っています。かわいい系の男の子ですが作画の際にかわいくなりすぎないように気を付けています。
【四方ルカ】
垂れ眉につり目の組み合わせが,うまく性格を表せてるのではないかなと思っています。意外と表情豊かなのも描くのが楽しいです。
【宗円寺雨夜】
デザインはしっかりしつつも抜けている感を意識しています。朝晴と共通する部分,共通しない個の性格をデザインに入れられたのは良かったなと思っています。
【是沢舞斗】
デザインの話ではないですが,作画の際にはアイドルっぽくならないように,親近感が湧くようなナチュラルにかっこいい男子高校生を意識しています。
【綾瀬光緒】
自我を持ってかわいいをやっているところがとても好きです。内面や口調が度々粗々しいので,かわいい外面と粗野な仕草で,甘いと辛いのバランスが描いていても楽しいです。
【紫垣 明】
清楚な印象ですがよく見るとガチャガチャアクセサリーがついている,ギャップが面白い子になりました。設定と外見イメージで一番衝撃を受けたキャラクターです。
【宗円寺朝晴】
自分が思う強そうな要素をたくさん入れました。髪型はK-POPアイドルを参考にした記憶があります。程よく清潔感があって気に入っています。
【猫屋敷由比】
真面目な性格ですが,趣味で武士っぽいのが面白かったので,見た目の武士要素は後付けっぽく,髪色を金髪にしました。結果,一番2次元キャラクターらしい髪型になったかなと思います。
【深海ふかみ】
黄緑色の髪色ってどうなのかなぁと心配でしたが,一緒にいることが多い光緒と色合いが合っている気がして良かったと思います。最近では少し表情がやわらかくなってきてうれしいです。
4Gamer:
読者へのメッセージをお願いいたします。
しろばみ氏:
クリエイティブチームも,キャラクターやコンテンツとともに成長していけるように引き続き精一杯頑張っていきます。成長するアオペラを今後ともよろしくお願いいたします!
「A」はアオペラの歴史が垣間見えるアルバム
作詞・作曲・編曲担当,zakbee氏
4Gamer:
zakbeeさんは,「アオペラ -aoppella!?-」プロジェクトにはいつごろから関わっていたのでしょうか。最初に“声優がアカペラを歌うプロジェクト”と聞いて,どんな印象を受けましたか。
zakbee氏:
プロジェクトが立ち上がって最初の曲をどうするかというタイミングで声をかけてもらいました。2020年の春ごろだったと思います。最初に話を聞いた時はメインパート以外のすべてを声優さんたちが歌うのはハードルが高い&負担が大きいのでは? と思いましたが,実現したらきっと楽しいことになるぞという予感のほうが遥かに大きかったです。ほんとにやるの? チャレンジャーだなぁ面白い! と思いました。
それと同時に「うちの推しがメインパートを一向に歌わないんだが?」的な命題もはらむのでは? という懸念も正直ありました。しかし蓋を開けてみたらそんな不安は消し飛ぶ程皆さん楽しんでくれていて,本当にうれしく思っています。
4Gamer:
プロジェクトに参加されてから,最初はどんなことをされましたか。
zakbee氏:
まずは世界観とキャラクターの把握やキャストさんたちの声のキャラクター,音域のチェック。同時に最近のアカペラの動向なんかをチェックしました。歌ディレクションのお話も最初からいただいていたので,どのようにRECの現場を進めていくか,必要な資料は何かなど,事務的なこともまとめていきました。
4Gamer:
6月15日に1stアルバムがリリースされます。zakbee氏が携わられた楽曲についてお聞きしたいです。
まずはFYA’M’の初のオリジナル楽曲「Think About U」(作詞・作曲・編曲)を作るにあたり,音楽性やコンセプト,意識されたことなどございましたら教えてください。
zakbee氏:
FYA’M’の基本コンセプトがやんちゃなR&B,ブラック・ミュージックとのことだったので,曲はわりと大人っぽくても歌詞で高校生っぽくすれば少し背伸びした感じにはできるのかなと曲作りに関しては比較的すんなりいきました。その段階ではアレンジまで僕が担当するのは決まっていなかったのですが,グループ曲は歌割りが一番楽しい作業なのでそこだけは自分でやりたいなと。
メインパートの歌割りをやりだすとアカペラの都合上,自ずとコーラスの分担が決まってくるので,1stデモの段階でアカペラアレンジにして出しました。FYA’M’の場合,声楽的な音の積み方よりはゴスペルやドゥワップ的なベクトルでどうかなと。そのまま僕がアレンジまで担当することになってホッとしています。
4Gamer:
収録時のエピソードなどお聞きしたいです。
zakbee氏:
アオペラとしては,「Think About U」の前に「白日/Pretender」のカバーメドレーのRECを最初に進めたのですが,メドレーなのでそれぞれ1コーラスずつと短いパートの収録でした。そのなかでどうやってRECを円滑に進めて行くかを試せたのでキャスト,スタッフ全員が良い試行錯誤と成功体験の両方を短時間に全員で実感できる機会となりました。
振り返れば,いきなりフル尺のオリジナル曲のRECだったら早々にここまでは無理,限界って線引きが決まってしまったと思います。小さなハードルを1つずつクリアしていく進め方ができたことが今のアオペラの広がりにつながっているのかなと思います。
特にボイパ担当の宗悟さん(深海ふかみ役 仲村宗悟さん),ベース担当の前野さん(宗円寺雨夜役 前野智昭さん),濱野さん(猫屋敷由比役 濱野大輝さん)には普段の喉の使い方とは全然違うことに挑戦してもらいました。声優業とはまた違うベクトルのことをお願いしているのですが,RECごとに進化しているのが如実に分かるので,スゴいなぁめちゃ積極的に取り組んでくれているなぁと毎回うれしく思っています。
声優業とはまた違うベクトルで苦労したのは上モノ※の皆さんも同じですが。本当に11人全員が高いモチベーションでアオペラに取り組んでもらえています。「今のスネア音色イマイチだったのでもう一回」とか「ベースの濱野よりだいぶ前乗りだな,もっかいいいすか?」「もっと胸で鳴ってる感じを聴かせたいんだよなぁ,もっかい!」など,キャスト側から言ってもらえたり。音楽的な時間の使い方にどんどん変わってきています。
※ドラム,ベース,コードバッキングといった基本の音(リズム隊)の上に乗る,ボーカルやメロディ,ソロなどの音のこと。
4Gamer:
11人全員参加の「アオペラの「ア」-introduction song-」(作詞・作曲・編曲)はいかがでしょうか。楽曲の魅力,コンセプトを教えてください。
zakbee氏:
アオペラの「ア」は初の11人曲。「白日/Pretender」も一部2グループ合同ですが最大8人で,「ア」が初の11人曲となります。これまでの全曲の歌ディレクションで感じたキャラ感や,キャストさんたちの持ち味を1曲の中に詰め込みました。
合いの手で突っ込んだり盛り立てたり,お芝居の要素も入れられて楽しい曲になりました。楽曲とドラマパートとの橋渡し的な立ち位置にできたのもよかったです。あとタイトルが秀逸ですね。当初は「Introduction(仮)」だったのですが,Pの発案でアオペラの「ア」と決まりました。めっちゃキャッチー!
4Gamer:
制作時の苦労した点はありましたか。
zakbee氏:
リルハピパート,FYA’M’パート,11人パートと3部構成になっていて極力コンパクトにとは思いましたが,6分以内にするのが精一杯でした。できれば5分以内に収めたかったのですが(汗)。これでも削ったアイデアがいくつかあるんですよ。11人パートは正直もっと膨らませたかったです。それはまた次の機会に。
4Gamer:
収録時のエピソードがございましたらお願いします。
zakbee氏:
キャラソン感の強い楽曲なので,それぞれ芝居も入れてもらっています。どうやってニュアンスを出してもらおうか迷っていた箇所も,例えばKENNさん(雁屋園道貴役)に歌い尻をべそっかきにしてもらったり,逢坂さん(丹波 燐役 逢坂良太さん)にがなってもらったり。
小野さん(是沢舞斗役 小野友樹さん)や浦田さん(紫垣 明役 浦田わたるさん)にも情けない声を出してもらったりと,みんなの芝居に助けられました。豊永さん(綾瀬光緒役 豊永利行さん)のRAPもハマりましたね。壱の片言英語は想定外で良平さんの第1声からやられた! と思いましたよ。
ふかみパートは普段だと落ちサビとか歌い出しとか,パートの都合上そういう場面に振られがちなのですが,しっかり歌うふかみを聞かせられて良かったです。元々ソウルフルな歌声なのでそういう場面で使いたかった。「空気が震える〜」は震えているので,ここはビブラート強めでなど,そういうわりと直感的なディレクションをいつもしています。
4Gamer:
これまで編曲やディレクションに参加されている楽曲「Come on up,Baby」(編曲),「ひとり」(ディレクション)についても教えてください。
zakbee氏:
地を這うベースと美しいコード進行。和音が響く感じが印象的な曲でした。3連中抜きのハネたメロディも今っぽいです。ほんとにおしゃれな曲ですね。
4Gamer:
編曲作業で苦労された点を教えてください。
zakbee氏:
デモ楽曲は楽器の演奏だったのですが,そのなかでワウギターが印象的に使われていました。ワウの16分の雰囲気は外せなかったので,ふかみパートに「ワッチコ」として組み込みました。デモでは細かいハイハットワークもありましたが,そこもボイパに組み込むとうるさくなるのでスネア位置などで補完しています。
細かいハイハットの再現は今後,別曲とかでチャレンジしたい部分ですね。ベースもSUB BASS感のあるイメージだったので濱野さんにもそのイメージでやってもらいました。この曲のリズム隊がアオペラのなかで一番難しいです。FYA’M’の要ですね。
上モノは追いかけ合うメロディやドゥワップで構成しています。いわゆるアカペラ的な音の積み方はあまりしていないので,今後FYA’M’でもリルハピ的な音の積み方を試してみたいですね。
4Gamer:
続いて「ひとり」についてはいかがでしょうか。
J-POPカバー ゴスペラーズ「ひとり」
作詞・作曲:村上てつや/編曲:村上てつや・北山陽一/アオペラSIDE/ディレクション:zakbee/ゴスペラーズSIDE/ディレクション:中山千恵子(Chinet)/ミキシング:松林正志
zakbee氏:
言わずもがなな名曲。しかも元々アカペラ曲。これをアオペラでどう歌っていくのか。下手したらただのカラオケになってしまうので少し心配しましたが,濱野さんの低音や豊永さんのハイトーンで元曲にはない色が付きましたね。歌い出しのサトタクさん(宗円寺朝晴役 佐藤拓也さん)もきちんと朝晴の「ひとり」にしてくれたので,後に続く逢坂さんカッキーさん(四方ルカ役 柿原徹也さん)もすんなりアオペラ色に染めてくれました。
4Gamer:
収録時のエピソードもお聞かせください。
zakbee氏:
RECのトップバッターはサトタクさんでした。ここでどういう方向でまとめていくのかが決まる大事な場面です。まずは歌い出しのメインパートからREC。1stテイクは,ゴスペラーズの大ファンである佐藤拓也が歌う「ひとり」で,それがまたとても素晴らしく,いやもうこれで良いでしょ! とも思いましたが,みんなで一度冷静になって朝晴が歌う「ひとり」の方向で仕切り直してもらいました。
サトタクさんも言っていましたが,一度“佐藤拓也少年の想い”を出し切っておかないと,次へ進めない大切な1stテイクだったんだなと。ほんと6人目のゴスペラーズでしたよ(笑)。
4Gamer:
zakbeeさんは普段,楽曲をどのように作っていくのでしょうか。
zakbee氏:
とにかく核になるLOOP(コード進行)を決めていきます。ここさえ決まればメロディは後からいくらでもバリエーションが出てくるので。最初のLOOPが決まらないとメロディの選択肢が無限過ぎて収拾がつかないことが多いです。開いている引き出しが多すぎて汚部屋になります。LOOPさえ決まれば開けるべき引き出しが自ずと整理されていくんですね。
ここ最近は,いつも共作しているKANさん(Producer / DJ:KAN TAKAHIKOさん)に最初のLOOPを作ってもらって,そこから広げていくやり方が多いですね。その過程でメロディが呼ぶコード進行に変更したり。1人の時もLOOPから作ることが多いです。
4Gamer:
アカペラならではの楽曲制作・編曲の違いや難しさはありますか。
zakbee氏:
アカペラも作曲に関しては基本は同じです。まずコード進行を決めてからですね。アオペラの「ア」なんかも基本の進行はずっと同じだけどメロのバリエーションで変化をつけています。この人はこの音域なのでTOPはここまで,という縛りのなかでメロディのストーリーを付けていくやり方。
編曲に関してはいろいろなアカペラ曲のアレンジを参考にしたりもしますが,基本はそれぞれ想定される楽器のセオリーに寄せてフレーズを考えます。ベースだったらこう,ドラムだったらこう動く的な。そこにベルトーンや字ハモ,追っかけなどのアカペラ特有のセオリーを織り交ぜたり。ただ人の声はどこへでも行けるのでセオリーだけで埋めても全然面白くないなと。アカペラは奥が深いですね。自分も歌を歌ってきた人なので,声でできることはもっともっと探究したいです。
4Gamer:
読者へのメッセージをお願いいたします。
zakbee氏:
いつもアオペラを応援してくださってありがとうございます。ましてや裏方の人間の文章まで読んでいただき,ほんと感謝です。アオペラの1stアルバム「A」は今回お話ししたアオペラの歴史が垣間見えるアルバムとなっております。
ゴスペラーズさんの提供曲も各グループに1曲ずつ。これが全部声優さんたちの喉や体から紡がれた音だなんて。全体を聴くもよし! 推しの声を探すもよし! 思い思いの楽しみ方で末永く親しんでもらえたらと思います。アカペラって面白いですね。
4Gamer:
ありがとうございました!
■商品情報■
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「アオペラ -aoppella!?-」公式サイト
(C)aoppella project