プレイレポート
「機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy」インプレッション&ミニインタビュー。ジオンの女性部隊視点で描かれる一年戦争の新たな形
「Code Fairy」は,オンラインゲーム「機動戦士ガンダム バトルオペレーション2」(PS5/PS4 以下,バトオペ2)の流れを汲むシングルプレイ用のアクションゲームだ。Vol.1,Vol.2,Vol.3の全3部構成で,それぞれ2021年11月5日,11月19日,12月3日に配信される。
10月19日の発表で明らかになった“ジオン公国の女性だけで構成される秘匿部隊の活躍を描く”というコンセプトが話題となっている本作が,どのような作品なのか気になっている人も多いだろう。
今回4Gamerでは,配信に先駆けてVol.1をプレイする機会を得たので,そのインプレッションをお届けしよう。さらに記事の後半では,本作のプロデューサーを務める藤山賢彦氏と,ディレクターの菱沼雄允氏に実施したミニインタビューも掲載しているので,最後まで読み進めてほしい。
PS5/PS4「機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy」が11月5日に配信開始。バトオペ2をベースにしたシングルプレイアクション
バンダイナムコエンターテインメントは,シングルプレイ用アクションゲーム「機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy」(PS4 / PS5)の配信を,2021年11月5日に開始すると発表した。豪華スタッフ陣によるアニメーションを交えつつ,ジオン公国軍のとある秘匿部隊の活躍が描かれる。
本作の舞台となるのは,一年戦争時代の北米地域。ジオン公国軍の女性だけで構成された秘匿部隊「ノイジー・フェアリー隊」が物語の中心となる。隊に着任したばかりの明るいリーダー,アルマ・シュティルナーを主人公に,天才肌の技術士官であるミア・ブリンクマンと,クールだが仲間思いのヘレナ・ヘーゲルといったメンバーが,一年戦争を戦う姿が描かれていく。
脚本を担当したB.Bスタジオの徳島雅彦氏は,「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」や「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」といった作品を手がけた人物で,公式配信では「硬派な戦記ものとして骨太なシナリオを書いた」と語っている。
本編は,全15話で構成されており,Vol.1は1〜5話を遊べる。各話はアニメーションや3Dモデルによって描かれるストーリーパートと,モビルスーツに乗り込んで戦うバトルパートの前半・後半に分かれており,バトルパートをクリアすると次の話に進む。各話の冒頭と終わりには,毎回オープニングとエンディング+次回予告が流れるという,アニメ番組のような演出で話は進んでいく。
難度はイージーとノーマルの2段階から選択でき,各話をクリアすると更なる難度ハードが解放される。また,クリアした話はストーリーをスキップしてバトルから始められる。まずはイージーで物語を楽しみ,あとからアニメをスキップしつつ,ハードでじっくりやり込むということもできそうだ。
ストーリーパートは,アルマ,ミア,ヘレナを中心としたノイジーフェアリー部隊の日常や戦いが描かれていく。新任のアルマがミアやヘレナと絆を紡いでいく様子は,正統なチームものという感じでほほえましい。
ほんわかとした描写だけでなく,何やらアルマに重い過去があるようなシーンも差し込まれるなど,物語の続きが気になる内容だった。
バトルパートでは,プレイヤーは,アルマの「陸戦高機動型ザク(AS)」を操作し,ミアとヘレナが乗る「ザク・ハーフキャノン(MB)」と「ザクII[狙撃型](HH)」を率いて戦う。
基本システムや操作は「バトオペ2」そのままで,同作のプレイヤーなら何の説明もなしに機体を動かせるだろう。最初に操作できる「陸戦高機動型ザク(AS)」は,バズーカを装備した強襲型の機体であり,射撃攻撃をヒットさせて,よろけ状態にし,格闘攻撃を叩き込むという,「バトオペ2」の基礎がしっかりと詰め込まれた構成になっている。
「バズーカを使う際には足元を狙うように」というアドバイスや,射撃→よろけ→下格闘(左スティック↓+格闘攻撃)というテクニックを教えてくれたりもするなど,チュートリアルの内容もかなり実戦的なので,未経験者なら,しっかり学びながらプレイできそうだ。
モビルスーツの挙動は「バトオペ2」同様,歩行している際の重量感と,高速移動時のスピーディさが両立したものになっている。デカい人型兵器がドスドスと歩きつつ,射撃や格闘で耐久力を削りあう姿にはロマンがあり,ロボットゲーム好きなら心に刺さるはずだ。
機体の種類が「強襲型」「汎用型」「支援型」に分けられ,それぞれの特性を生かして戦うという「バトオペ2」のセオリーは本作でも重要だ。汎用型の機体に乗ったミアと支援型機体に搭乗するヘレナは自身の判断で動く。仲間の攻撃で敵がよろけたところに格闘攻撃を叩き込んだり,自分が敵の注意を引きつけている間に,仲間が援護射撃してくれたりといった具合にチームプレイが決まると爽快だ。
そして,こうした連携の面白さを際立たせてくれるのが,本作独自の要素である「パイロットスキル」「ネクストターゲットリンク」「ボイスチャットコマンド」である。
「パイロットスキル」は3人が持つ特殊なスキルで,耐久力を回復させたり,防御力を上げたりすることができる。発動時には派手なカットインが挟まるが,その効果は超能力や必殺技ではなく,あくまで補助に留まる。この辺りは一年戦争の戦記ものとして,配慮されている印象だ。
「ネクストターゲットリンク」は,自分が指定したターゲットに仲間たちが集中攻撃を加えてくれるというもの。この状態で敵に攻撃を当てるたびに「チェイン数」が増加して威力が上がっていくため,仲間としっかり連携すれば,戦闘を有利に進められる。
「ボイスチャットコマンド」はミアとヘレナに簡単な指示を出す機能で,一緒に行動してもらったり,敵を攻撃してもらったりできる。
いずれのシステムも仲間との連携と助け合いという,「バトオペ2」の魅力を体験できると同時に,キャラクターものとしての面白さがあるのが印象的だ。
機体から降りて中継地点を制圧したり,敵の支援砲撃が降り注ぐ中で戦うといった「バトオペ2」ならではの要素も健在だ。スピンオフ作品でありながらも,1本のゲームとして差別化されているという印象を受けた。
ジオンの女性部隊をメインに据えた理由とは。藤山プロデューサーと菱沼ディレクターにインタビュー
ここからは,本作のプロデューサーである藤山賢彦氏と,ディレクターの菱沼雄允氏へのインタビューをお届けしよう。ジオンの女性部隊をストーリーの中心に据えた理由や,「バトオペ2」の未経験者に向けて意識したポイントなどを語ってもらった。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず「Code Fairy」の企画が立ち上がった経緯について教えてください。
藤山賢彦氏(以下,藤山氏):
今回の企画はそもそも,「バトオペ2」を盛りあげるための企画としてスタートしました。ゲーム内をアップデートでパワーアップさせる一方で,運営型のタイトルですから新規の方にも広くアピールしていく必要がありました。
4Gamer:
今回はこれまでの外伝作品とはテイストが異なり,キービジュアルからも明るく爽やかな印象を受けます。戦記ものなのに可愛い女性キャラクターが活躍するというギャップは敢えて狙ったものなのでしょうか。
菱沼雄允氏(以下,菱沼氏):
そうですね。キービジュアルを見ても,後ろに陸戦高機動型ザク(AS)がいなければ,ガンダム関連作だとは分からないんじゃないでしょうか(笑)。
4Gamer:
この陸戦高機動型ザク(AS)も,「ただ者じゃない」感がありますよね。
頭にバルカンがついた,いわゆる「ガルマザク」(MS-06FS)の高級機系列でありつつも,ショルダーアーマーがグフっぽく,手にはラテーケンバズを持っていますし,武器もヒートサーベルを使う。ザクとグフの間を繋ぐものなのか,統合整備計画で武装が統一された成果の先駆けなのか……など想像が捗ります。
菱沼氏:
設定については隅々までサンライズ様に監修してもらい,ガンダムというIPで守るべきところはしっかりと守ったうえで制作を進めています。
例えば,アルマたちの髪色ひとつとっても,ガンダムシリーズのほかのキャラクターたちと並んでも許されるくらいの色合いにしているんです。
4Gamer:
10月19日に配信された動画では,シナリオ担当の徳島さんが「硬派な戦記もの」だとコメントされています。一年戦争を舞台にした作品ですし,見た目から受ける印象に反して内容はかなりハードなものになるのでしょうか。
菱沼氏:
キャラクターがかわいくて愛される人物であることと硬派な戦記ものであることは,同時に成り立つものだと考えています。
確かにノイジー・フェアリー隊のみんなは戦争に翻弄されていくので,そういった意味ではハードな内容です。ただ,そうした過酷な現実をどう生きていくかを描き,もっと彼女たちを好きになってほしいという願いを込めて作っています。
4Gamer:
彼女たちが一年戦争をどう生きていくかを見てほしいということでしょうか。
菱沼氏:
これまで徳島が手がけてきた「ガンダム外伝」シリーズは,大人の男性軍人たちを中心とした物語でした。「Code Fairy」では,感受性が豊かでまだ少しあどけなさが残る純粋さを持った若いの女性の視点から見た戦争を描いています。
女性を主人公に据えることで,“仲間と力を合わせ,笑って生き抜きたい”というこれまでとはまた違った人々の姿を描けるんじゃないかと思っています。
4Gamer:
女性のキャラクターだからこそ描ける戦記ものもあると。
藤山氏:
この作品は,挑戦の側面もあると考えています。今までの外伝ものをご存じの方は,テイストが違いますので「おやっ?」と思われる方も多いと思いますが,これまでガンダムゲームをプレイするきっかけがなかった方にも,興味を持っていただいている手応えを感じています。
菱沼氏:
「ガンダムの物語は男性の軍人がメイン……」と思っておられる方にも,ぜひプレイしてほしいですね。脚本担当の徳島も「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」や「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」といった作品を書き続けてきた人間ですし。可愛いキャラクターにかまけた作品ではありませんから。
しっかり骨太のストーリーになっていますし,設定面も各種の文献を洗い直したうえで制作し,舞台が北米であることについてもちゃんと理由を持たせています。そこはストーリーが進むにつれて分かっていく点になりますので,楽しみにしていただければと思います。
4Gamer:
主人公たちの上官がキリー・ギャレットであるというのも,相当に濃いですよね。しかも,0079年9月の北米にいるジオン軍といえば,その後にオデッサ作戦や地球撤退といった負け戦が続くことになる,一年戦争屈指のハードコースですから,どんな物語が描かれるのか想像が膨らみます。
冒頭でもお話がありましたが,「Code Fairy」は「バトオペ2」未経験の方を想定して作られていると思います。「バトオペ2」への導線という役割を担う作品としては,どのような部分を意識したのでしょう。
藤山氏:
ゲームを進めていくことで自然と基本が身につくようにしたことですね。
今回チュートリアルの部分は,「バトオペ2」を遊んだことがない方を主体にしてにプレイしていただき,より分かりやすく作り直しながら完成させています。ノイジー・フェアリー隊の3機も,強襲型,汎用型,支援型という「バトオペ2」のチームプレイを意識した構成ですし,「ネクストターゲットリンク」や「ボイスチャットコマンド」を採用することにより,シングルプレイ用でありながらもマルチプレイのように仲間との連携ができるようにしています。
菱沼氏:
「バズーカでよろけを取り,下格闘で決める」という,セオリーについても,ゲーム内でしっかりと解説しています。少しずつ腕を上げて,しっかり自信をつけたうえで「バトオペ2」に参戦してほしいですね。
ハードランク以上は,すでに「バトオペ2」を遊んでおられる方にも歯ごたえがあるような内容になっていますし,シミュレーターモードでは連邦・ジオンを問わず140機以上のモビルスーツが出てきます。ぜひ活用して腕を磨いてください。
4Gamer:
未経験者だけでなく,既存のプレイヤーも楽しめる内容になっていると。。
さて,お時間もそろそろ迫ってまいりましたので,最後に読者へメッセージをお願いします。
藤山氏:
「バトオペ2」に興味があったけれど,プレイするきっかけがなかったという方は,ぜひこの機会に触れてみてください。「機動戦士ガンダム」の知識がないという人でも楽しめる内容になっていますし,深夜アニメを見るような感覚で楽しんでいただけます。
当然,「バトオペ2」プレイヤーの皆さんにはより楽しんでいただけると思います。ゲームを進めていき,特定条件を満たせばセーブデータ連動により,「バトオペ2」で使える「Code Fairy」に登場するオリジナルの機体が6機手に入りますし,まとめ買いのスタンダードエディションとデラックスエディションではさらにさまざまな特典がついてきます。とてもお得ですので,ぜひご検討ください。デラックスエディションには「31トークン」もついています!
菱沼氏:
感受性豊かな年代のアルマたちだけでなく,彼女らを支える大人たちも描かれていることによる,これまでになかった視点での一年戦争を体感してほしいと思っています。ゲームの後半には,今お話しできないのが歯がゆいくらい機体がたくさん出てきますし,ガンダムファンにはニヤリとできるマニアックなネタもいろいろと散りばめていますので,戦記ものとして考察しつつ楽しんでください。
「ガンダム外伝」シリーズでは恒例になっている,いろいろなキャラクターとのニアミスは本作でもあります。特にVol.3は,「ガンダム外伝」シリーズが好きな方にぜひプレイしてほしい内容になっています。私自身も映像を見て身体が震えましたから。
4Gamer:
これから描かれていく,彼女たちの物語を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
「機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy」公式サイト
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