インタビュー
Steam版「モンスターハンターライズ」開発陣へのメールインタビュー。開発に至った経緯や苦労話,サンブレイクの情報などを聞いた
今回4Gamerは発売を目前に控えた本作について,カプコンの開発陣にメールインタビューを実施した。開発に至った経緯や苦労話,発売後の運営方針,さらには夏に発売を予定している「モンスターハンターライズ:サンブレイク」の情報など,さまざまな気になる質問をぶつけてきたので,ぜひ読み進めてほしい。
「モンスターハンターライズ」公式サイト
4Gamer:
Steam版「モンスターハンターライズ」(以下,ライズ)の開発に至った経緯を聞かせてください。
開発陣:
Switch版の発表後,とくに欧米のユーザーの皆様からSteam版の発売を希望する声を多くいただき,その結果,制作することを決定いたしました。「モンスターハンター:ワールド」(以下,ワールド)でSteam版の展開を行ったことで,全世界のPCゲームユーザーのなかにも,モンスターハンターシリーズのファンになっていただいた方が多くいらっしゃったことが,「ライズ」でもSteam版の展開を決断するに至った大きな要因です。
4Gamer:
「ワールド」が発売されるまでは,モンハンと言えば携帯ゲーム機というイメージがあったと思います。同作の世界的ヒットが開発に与えた影響があればお聞かせください。
開発陣:
「ライズ」は,「モンスターハンタークロス」の開発が終わったタイミングから,「携帯ゲーム機で新しいモンスターハンターをつくる」という構想から動き出したタイトルです。開発初期には「モンスターハンターダブルクロス」や「ワールド」の開発が並行していたこともあり,その2作品との差別化をある程度意識しつつ,「ライズ」で新しくやりたいことを目指して開発する形になりましたので,そういった意味での影響はあります。
また,「ダブルクロス」や「ワールド」で遊びが完成したものから,携帯ゲーム機で作るにあたって適した要素は「ライズ」でも取り入れています。例としては,「シームレスなフィールド」です。もともと「ライズ」で検討していた,スタミナを消費せず駆け回ることができる「オトモガルク」に乗っての移動は,「シームレスなフィールド」とも非常に相性がよく,直近のシリーズ作品での新たな試みを取り入れつつ,さらに独自の要素を追加することで新たな境地に至ることができたと考えています。
4Gamer:
SwitchタイトルがPCに移植されるのは比較的珍しいと思うのですが,開発で苦労した点を聞かせてください。
開発陣:
「ライズ」は,Switchでの展開を前提に開発が始まったタイトルですので,Steam版ではPCゲームとして必要な追加開発を別途,新たに行う形になりました。つまり,「Switch上でいかにパフォーマンスを優先しながら,画づくりの表現の幅を広げるか?」という最適化が行われたあとに,「PCであれば何ができるか?」をあらためて考える形です。内容の精査や対応方法の検討という部分では,通常のPCゲーム開発とはまた違った難しさがありました。
実際には,高解像度対応やウルトラワイドディスプレイ対応といった,PCゲームとしてわかりやすく必要なもののほか,PCでは機材のスペックに応じて,使用できるグラフィックスメモリを増やすことができますので,グラフィックスオプションによってビジュアルを強化できる機能を追加していきました。とくに,レンダリング解像度の品質を変更できるオプション機能「イメージクオリティ」は,全体の画づくりが大きく変えられるようになっています。
また,決まった機材でのパフォーマンスが保証できればいいコンシューマ版と違って,Steam版はユーザーのプレイ環境もさまざまですし,たとえばOSやビデオカードのサポート状況や市場のシェアなども日々変化していますので,動作保証範囲の検討は慎重に進めました。発売にあたっては,社内で保有するできる限りの機材でのチェックを行っています。
公開している動作環境を満たすPC環境でのゲームプレイはサポートしていますが,お客様の個別環境(たとえばアンチウイルスソフトの設定など)によって動作が異なる場合もございます。何か問題が発生した場合は,公開予定のトラブルシューティングなども参考にしていただき,それでも解決しない場合はカスタマーサポートまでご連絡いただけたらと思います。
4Gamer:
国内ユーザーからの声はいかがでしたか。
開発陣:
2021年の東京ゲームショウでSteam版の発売日などをアナウンスさせていただきましたが,国内のユーザーの皆様からも非常に好意的なお声をいただいています。やはり,Steam版「モンスターハンター:ワールド」の発売以降,国内外問わず,シリーズ作品のSteam版にご期待いただいている方が増えていることをあらためて感じます。
4Gamer:
体験版から仕様を変更した部分はありますか。
開発陣:
ゲームプレイに関わる部分で大きく変更している点は基本的にありませんが,さまざまな雰囲気での映像やスクリーンショットの撮影が楽しめる「各種フィルター」機能などを製品版から追加しています。また,体験版で確認された一部不具合は製品版で修正しているほか,製品版の発売までの間に細かな調整やブラッシュアップを行っております。ぜひ体験版をお楽しみいただいた皆様には製品版もプレイしていただけますと幸いです。
また,製品版の購入を迷っている方は,まずは体験版で「ライズ」ならではの狩猟体験や,Steam版での独自要素をお試しいただけたらと思います。
Steam版「モンスターハンターライズ」,追加機能“各種フィルター”を紹介する最新プロモーション映像が公開に
カプコンは本日,2022年1月13日に配信を予定しているPC(Steam)版「モンスターハンターライズ」の最新プロモーション映像を公開した。今回の映像では,Steam版に実装される追加機能「各種フィルター」が紹介されている。また,カウントダウンプレゼントキャンペーンが1月12日まで実施中だ。
4Gamer:
スペックが低めのPCでもプレイできるようにするための工夫などがあればお聞かせください。
開発陣:
Steam版の動作保証範囲は前述のとおり,昨今のOSやビデオカードのサポート状況や市場のシェアなどを見極めたうえで設定を行いましたが,ハイエンドなPC環境でなければプレイできないような形ではなく,可能な限り間口を広くした形でユーザーの皆様にお届けすることを意識しました。この点については,元々Switch向けにパフォーマンスを優先しながらも,画づくりでは表現の幅を広げるべくさまざまな最適化を行っていた部分が活きています。
また,オンボードグラフィックスでの動作については保証対象外ではあるのですが,Intel社と協力して「インテル Iris Xe グラフィックス」では安定して動作するように,密にコミュニケーションをとりながら開発を進めました。
4Gamer:
Switch版では,さまざまなコラボやイベントクエストが配信されてきました。これらはSteam版ではどのように配信,運営していく予定でしょうか。
開発陣:
Steam版は,発売時にはSwitch版にて配信されている更新データVer.3.6.1までの内容を含む形でのリリースを予定しています。たとえばVer.2.0やVer.3.0で配信された追加モンスターや追加エンディング,Ver.3.6.1までに配信された各種イベントクエストなどを発売時からプレイしていただけます。もちろん,「大神」や「ストリートファイター」をはじめとしたCAPCOMコラボクエストや「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」とのコラボクエストもプレイできますので,ぜひお楽しみください。
また,2022年2月末にSwitch版との配信内容の同期を行うアップデートを予定しています。発売からそのアップデートまで,Steam版では新たなイベントクエストの配信はありませんが,アップデートが実施されたタイミングで,それまでにSwitch版で配信されていたイベントクエストなどが一挙に配信されたのち,以降に配信されるイベントクエストは,Switch版と基本的に同時に配信されていく形となる予定です。
4Gamer:
2021年のThe Game Awardsで「モンスターハンターライズ:サンブレイク」(以下,サンブレイク)の新映像を公開していましたが,登場している新モンスターなどの追加情報をいただけますか。
開発陣:
PVに登場した新モンスターは「氷狼竜(ひょうろうりゅう)ルナガロン」というモンスターで「サンブレイク」で初登場となるモンスターです。ただ,映像内でお見せしたのがこのモンスターのすべてではなく,意外な行動でハンターを追い詰めてくるので楽しみにしていただければと思います。
今作は新しい拠点「エルガド」が物語の舞台となります。エルガドは映像内で窮地のハンターたちを助けたキャラクターの拠点であり,また「ライズ」にも登場した「ロンディーネ」にもゆかりのある場所です。エルガドでどのようなストーリーが待ち受けているか,こちらも続報を楽しみにしていただければと思います。
4Gamer:
「サンブレイク」の続報はいつごろになるでしょうか。
開発陣:
春ごろに新たな情報をお届けできるよう,鋭意準備中です。楽しみにお待ちください。
「モンスターハンターライズ」公式サイト
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