プレイレポート
影のあるベテラン騎士か,強き意志を秘めた少女か……「シン・クロニクル」の“やり直せない選択”の重さに震えた
本作は「あなただけの、一度きりの物語を」というコンセプトのもと,やり直しができない究極の選択を求められるRPGで,「チェインクロニクル」で培われたRPG体験を継承し,新たな物語を届ける“後継作”だ。
4Gamerではこれまで,総合ディレクターの松永 純氏へのインタビューや序章までの先行体験レポートを掲載したが,今回はそのコンセプトに深く直面する最初の一歩“メインストーリー1章”を遊びきって感じた選択の重さや,強化システムの補足などをお届けする。
「シン・クロニクル」が掲げる,決断の先のRPG体験とは? 発表後の渦中で松永 純氏にインタビュー
セガが2021年12月15日に配信する,新作スマホゲーム「シン・クロニクル」が目指すRPG像を知るべく,総合ディレクターの松永 純氏にインタビューをした。プレイヤーに選択と決断を強いることで与えたい,新たなRPG体験とは?
「シン・クロニクル」序章を先行プレイ。一人一人のプレイヤーが選んで掴み取る,自分だけのストーリーを体験
セガが2021年12月15日に配信する,新作スマホ向けRPG「シン・クロニクル」のゲーム序盤を先んじて遊んだ。やり直しのきかない一度きりのストーリー体験はもちろんだが,テンポよく進むコマンドバトルもよい出来だ。
「シン・クロニクル」公式サイト
「シン・クロニクル」ダウンロードページ
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影のある経験豊富なベテラン騎士か
幼くも強い意志を秘めた少女か
選べるのも救われるのも2人に1人
あらためて,シンクロ世界の基本情報をおさらいしておこう。
この世界「へルドラ」は,瘴気で満たされた巨大な大穴「奈落」から無限に現れる「黒の軍勢」によって脅かされている。
人類は奈落周辺を囲む巨大な障壁を打ち立て,その境界線を守護する「境界騎士団」により,かろうじて生存のための均衡を保っていた。
プレイヤー=主人公は,境界騎士団に所属する新人騎士の1人だ。
あなたは「蝕」と呼ばれる大侵攻の最中,不思議な本「クロニクル」を手に入れ,侵攻の一端を抑えて無事に生還したことで一躍英雄と呼ばれた。その功績から「探査騎士隊」の隊長に任命されたあなたは,これから謎多き奈落を切り拓くという,命がけの使命をまっとうする。
物語のポイントとなるのは,クロニクルの力で幻視する「死の未来」。やがて迎える破滅を回避するため,あなたは自らの言動で仲間との絆を深め,破滅の原因となる「運命の言葉」を書き換えていく。
そして物語を進めた先,各章のクライマックスではやり直しもできず,いずれか一つしか選べない,大きな運命の選択に迫られる。
ゲームのプロローグでは,疑心暗鬼に陥りかけていた仲間たちとの信頼関係を築くことからはじまり,奈落表層に巣食っている脅威を見事な連携で退けた……といった物語展開が描かれていく。
そして1章では,いよいよ本格的な奈落探索に乗り出すことになるが,その矢先,あなたは同じ任務を受けた別の探査騎士隊と出会う。
そこで現れるゲストキャラクターが「ギュンター」(CV:中村悠一)と「アンネ」(CV:花澤香菜)である。2人はパーティにも加わり,クエストごとにいずれか1人がゲスト枠でバトルに参加してくれる。
ベテラン騎士「ギュンター」(CV:中村悠一) |
少女騎士「アンネ」(CV:花澤香菜) |
別部隊の隊長ギュンターは,奈落での戦闘経験も豊富なベテランの騎士だ。アンネをはじめとする隊員たちからの信頼も厚く,場の判断も的確で頼りにされている。輪がまとまってきたとはいえ,隊としての経験も浅いあなたたちがギュンター隊と合流できたのは渡りに船だった。
一方,ギュンターには「所属した隊が必ず全滅する」といううわさがつきまとい,よその騎士には“死神ギュンター”と揶揄されていた。
その真意を確かめようにも,本人は固く口を閉ざし,あなたにはいっさい語ろうとしない。ただ,クロニクルの不思議な力によって彼の悲壮な過去が垣間見える。多くの騎士たちの死を目の当たりしたこと,今度こそ仲間を守るため,並々ならぬ覚悟を持っていること。
同じ死地にいる同じ騎士としては,それだけ知れば信頼にたる。
彼の部隊に所属する少女アンネは,唯一の肉親である母を黒の軍勢によって殺され,幼いながらも騎士を志すことを決めた少女だ。
彼女は,瘴気に包まれる奈落調査には欠かせない精霊の加護を受けており,未熟な面はあるものの,母譲りの銃で戦い抜いてきた。
アンネの母は,最後まで村人たちを守るために戦いに向かった。
けれど,娘であるアンネだけは母の行動に納得がいかず,最後の別れの間際に「大嫌い」と言ってしまった。
そのときの後悔を胸に,彼女は母ともう一度会うため,死者の宿り木の伝説を信じて奈落を訪れた……という経緯があった。
2人が抱える複雑な胸中は奈落調査の最中のみならず,要所で発生する「キャンプ」でも語られる。ここでは仲間同士の交流イベントも発生し,ギュンターとアンネの場合は“特定のキーキャラクターの物語を終えたうえで話しかける”と「絆アビリティ」を獲得できる。
対象となるキーキャラクターを所有できるかはまちまちだろうが,縁がつながった人は,キャンプで積極的に話しかけてみるといい。
こうして奈落探索を進めていくと,その先で待ち受ける大きな選択の結果により,ギュンターとアンネのいずれかが正式な仲間として加わるが。選べる未来は二つのうち一つ。そして選ばなかったほうは――。
実際にこの瞬間が訪れると,想像していた以上に選択の決断が悩ましく,決定ボタンを押すまでにかなりの時間を費やしてしまった。
というのも,コンセプトを文字で読んだだけでもなく,序章のように決められたルートを進んだだけとも違い,ギュンターとアンネとはたくさんの時間をかけてともに歩んできただけに,「これからもずっと2人と冒険したいのに,1人を選ぶなんて……できない!」と思わされていた。
それに,交流していたのはなにも主人公だけではない。
冒険やキャンプをとおして「ギュンターはこの人を気にかけていたし,これからも見守っていたいだろうな」とか「アンネはこの子と仲良くしていたし,ここでお別れになったら2人とも悲しむだろうな……」とか,余計なことまで思い返してしまい,なかなか踏ん切りがつかない。
いっそのこと,ゲーム攻略的に割りきってバトル性能で決めようとも考えた。しかし,2人とも得意武器が銃であり,スキルもそれぞれ違って,それぞれいい活用法ばかりが思い浮かんでしまう。
ついでに,初期パーティには銃士のビスケがいるので,戦力的にはどちらも増強の助けになるが,どちらが加入しなくても大きな問題にはならない。そういったバランス感もあって,仕方ない理由で選ぶための言い訳も一つずつ丁寧に潰されていて,迷いに拍車をかけてきた。
■ギュンターのキャラクター性能
■アンネのキャラクター性能
運命の選択の先。あなたが危機を乗り越えた結末は,同じような最善の道へと収束するが,その乗り越え方は選択によって大きく異なっていたと思う。どちらが好きか,どちらが強いか,そういった選び方でも人それぞれだが,奈落という死地で光をつかむため,どちらの挑戦をするべきか。単純なストーリー展開の分岐としても悩ましくなってくる。
筆者は最終的に選んだ。それがどんな判断で,どんな結末だったかは書き記しはしないが,こうして考えた分だけその人の“自分だけの物語”が形作られていく。シンクロの狙いであろうそれはギュンターとアンネとの出会いからはじまり,これから先の物語がどれだけ長大になるのかは分からないが,私はずっと2人を忘れられないのかもしれない。
高レア&有能アビリティの武器を求めて!
選択の苦悩はこれまでとして,ここからは快活に遊べるRPG面に関して,キャラクターの強化要素を深掘りしていく。
シンクロは3Dダンジョンをキャラクター移動で攻略する,シンボルエンカウント式のRPGだ。道中,敵と接触するとターン制コマンドバトルがはじまり,パーティメンバーは行動ポイント「BP」を消費してスキルを使い,敵味方の行動順を意識しながら敵を倒していく。
冒険中の主なドロップアイテムは「武器」である。
バトルに勝利したり,ダンジョン内で宝箱を開けたりすると多彩な武器が手に入るが,武器には「レアリティ」と「グレード」のほか,さまざまな「アビリティ」が備わっている。
・レアリティ:武器種の希少さ。★〜★★★で表記
★★ 短剣「大蛇の毒蛇」,★★★ 槍「トゥインクル」など
・グレード:武器個体の性能。G〜Sランクで表記
★★ 短剣「大蛇の毒蛇」Dより,★★ 短剣「大蛇の毒蛇」Aが強い
・アビリティ:ランダムで付与される追加効果
ステータス上昇,特定階層の特攻率上昇などさまざま
とどのつまり,高レアリティ&高グレードの優良アビリティ付き武器のドロップを狙う,というハック&スラッシュ要素がある。
原則,武器は価値基準となるレアリティやグレードが高いほど基礎攻撃力も高くなる。同じ武器を素材に使って性能を高めていく「限界突破」を行うにも,ベースとなる武器が強いに越したことはない。
しかし,付与されているアビリティは武器ごとにバラバラで,こちらは武器同士を重ねても引き継ぐことができない。
例えば「★★★Sだが弱アビリティな武器」「★★Bだが強アビリティな武器」など,掘ったら掘ったぶんだけ比較対象が増えていく。高レア&高グレードと優良アビリティの兼ね合い。これだけとってもどれを狙うか,どれを強化するかがとても悩ましく,とても楽しい。
集めた武器を分解すると,武器の強化用素材「鉱石」になる。
鉱石を用いた強化は,強化値が低いうちはゲーム内通貨「ゴールド」や低レアリティの鉱石でも100%成功するが,強化値が高くなっていくにつれ,成功率の値が徐々に下がっていく。
性能で選ぶにせよ,最高強化を目指すにせよ,高レア武器を強くするためにクエスト周回で高レア武器を求めるのもまたシンクロの華だ。
装備品には武器のほかに「精霊」「魔具」がある。
精霊はキャラクターと同じくガチャで入手でき,各キャラに装備するとステータスが上がるほか,レアリティごとに一定レベルまで育成すると「加護」が発生し,パーティメンバーに追加の恩恵を与えてくれる。
精霊に関しても,同一個体の精霊を消費することで限界突破が行えるため,入手次第どんどん強化していくといい。
なお,今回のプレイでは魔具を入手できなかったが,はてさてどのような特徴があるのか。手に入るその日まで楽しみにしておく。
CBTを遊びきって感じたのは,序章までをプレイしたときと同じく,すでにスマホゲームとしての完成度が高いことだ。
物語は言わずもがなだが,RPGとしての作りも高品質だった。
あえて苦言をていするなら,武器の所持数だろうか。1章では武器を集めようとする間もなく,すぐに所持上限に達してしまった。
一応,クエストクリア時に枠を超過したぶんは破棄されずに所有できるものの,武器所持上限を超えた状態だと注意メッセージが出て,クエストに挑むことができない。低レアリティの武器をこまめに分解してもほぼ埋まっている状態だった。といっても,自動分解機能をあらかじめ設定しておけば解決できるのだが,そもそもそれを“前提のように推奨”するか,あるいはもっと単純な解決方法として,所持枠を増やしてほしい。
といった感じで,ハクスラの魅力に取りつかれると周回がはかどって仕方ないため,サービス開始時には思う存分クエストを回り,心ゆくまで武器の厳選が行えるようになっているものと期待したい。
なお今回のCBTに関して,プレイヤーアンケートの結果と,今後の予定が記されたディレクターレターも公開されている。
ボイスの追加や物語のブラッシュアップなどの説明もされているので,気になる人はあわせてチェックしてほしい。
■CBTアンケート
■ディレクターレター
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