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印刷2022/12/28 16:33

プレイレポート

[プレイレポ]“ローグルーターTPS”「SYNCED(シンクド)」。時は技術暴走を迎えた電子的世紀末。倒れた敵を“シンクド”せよ

 NExT Studiosが開発する,Level Infiniteのオンラインシューティング「SYNCED」のオープンβテスト(以下,OBT)が2022年12月10日から2023年1月15日の期間で実施されている。

 本作は暴走したテクノロジーに翻弄され,「大崩壊」と呼ばれる世界的大災害を経た近未来を舞台とする“ローグルーターシューティングゲーム”。プレイヤーは「ランナー」と呼ばれる“なんか凄いヤツ”になり,立ち入り禁止区域となった「メリディアン」の地へ赴き,PvP/PvEのバトルに身を投じる。そして人類に反逆を起こしたナノテクノロジーの生物兵器「ナノ」を相手に,主に銃をぶっ放し,時にカタナやバットを振り回して,そして敵である「ナノ」を“瀕死状態”にしたら「シンクロ」し,味方につけて戦う。

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そもそも「SYNCED」ってなんぞや


 遡ること約3年。gamescom 2019にて発表された本作(当初は「SYNCED Off-Planet」という名称だった)は,2021年に北米を主な対象地域としたクローズドテストを開催したり,以降もトレイラーやゲーム情報を小出しするなどしていたものの,正直に言って“パッとしない”タイトルであったことは間違いない。というのも,オフィシャルから公開される情報が全体的に少なく(特に日本向けの情報はもはや皆無に近かった),「一体全体このタイトルはどんなゲームなんだ?」以前に「そもそもSYNCEDって何?」という“認知”の段階で停滞していたからである。

 そして去る9月に開催された東京ゲームショウ2022で,本作はLevel Infiniteブースの一角として出展された。展示は基本的にデモ映像のみで,体験版のプレイこそできなかったものの,それまでの情報公開とは温度差を感じる「かなり力が入っている」ことをうかがわせる区画だった。

 それ以降は大きな情報公開もなかったが,近頃になって突然「OBT開催! 開始は12月10日から!」と告知がされたので,「いよいよOBTか」「一体なんだこのゲームは」と思っている未来のランナー候補も多いはず。実は縁あってクローズドテストに参加していた筆者にも,いよいよニケによる長い酔いを覚ます時が来たというわけだ。前置きが長くなったが,ここからは“暴走したナノテクノロジーで世紀末を迎えた未来のローグルーターTPS”「SYNCED(シンクド)」のプレイフィールを紹介していこう。


ランナー:「オメーの力はオレのモンだァ!」


 本作を簡潔に表現するなら「雑魚敵を殲滅し,強敵を瀕死状態にしたら取り込み,己のパワー兼シモベにするTPS」(収集要素や装備のアップグレードもあるよ)である。PvEのミッションでは目標達成が課せられたり,PvPモードでは他のプレイヤーとの戦闘が起こったりするが,基本となるのは「雑〜(以下略)」で,これはプレイするうえで欠かせないものになる。

PvPではもちろん対プレイヤー戦闘も起こる
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 ゲームスタートの場面は架空のニュース番組から始まり,なぜ世界がこのような変貌を遂げたのかが,プレイヤーに向けて簡潔に説明される。ガソリンスタンド(?)をナノの群れが襲撃していたり,“2年後〜”というテロップが出たりと,まるでどこぞの映画のような演出を経て,すぐさまチュートリアルに突入する。

たった2年でかなり世界は荒廃したらしい。この世界的規模のナノの暴走が恐らく大崩壊なのだろう
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 そうして始まるチュートリアルは,序盤のストーリーも兼ねているが,ゲームシステムの解説がメインとなる。本作は単純にひたすら銃を撃ち合うTPSというわけではなく,ゲームプレイ中に取れる行動はそれなりに多い。しかし,ゲームの根本的な部分に触れてくれるチュートリアルがあることによって,いきなりフィールドに放り込まれて何も分からないまま倒される……ということは少ないはずだ。先に述べた「強敵の取り込み」もしっかり含まれているので,確実に操作を習得しておこう。これ以降も新たな要素がアンロックされるたびに解説や動作説明が入る。この点は操作やシステムの引継ぎなどもない新規タイトルとして,非常にありがたいポイントである。

チュートリアルでいきなりデカブツも出てくるし,大量のナノも襲ってくる。世紀末は容赦ない
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 今回のプレイ可能だったのはPvP,PvEモード。双方とも大まかなシステムは同じなので,まずは共通となるポイントから紹介していこう。ランナーの拠点となるのは「ヘイヴン」と呼ばれる居住地だ。武器の装備や操作の習得が行えるVRシミュレーター(訓練場),操作するランナーの変更,そして各モードのマッチメイキングもここで行うことになる。

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ランナーの拠点ヘイヴン
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キャロウェイに話しかけるとマッチメイキングができる
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 プレイヤーが操作するランナーはマッチ前の選択式。それぞれのキャラクターが固有の能力を持つ,いわゆる“ヒーロー系”のシステムだ。本作のゲームバランスは基本的に3人パーティーでのプレイを前提に設計されている。そのため,キャラの能力も戦闘,回復,索敵と,パーティープレイを前提にした役割分担がなされている。当たり前といえば当たり前だが,フレンドとのパーティ機能,他のプレイヤーとのマッチング機能も備わっているので安心だ。

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 そして本作の大きなポイントとなるのは「シンクロ」というシステムだ。PvP,PvE双方のモード共に,フィールド上には多くのナノがスポーンする。ただ単純に接近してきて近接攻撃をしてくるだけのタイプから,飛び道具で遠距離攻撃を仕掛けてくるタイプなど,さまざまな敵がランナーに向かって襲い掛かってくるが,特筆すべきは「ボスナノ」(名称は便宜上のもの)だ。他のナノと比較すると外観も耐久力も桁違いで,強力な攻撃を仕掛けてくる。しかも大抵は通常の個体も引き連れているため,討伐にはやや時間がかかる。

ボスナノはサイズが大きく,全体的にゴツゴツしている
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 しかし,他のナノは討伐するとエフェクトとともに消滅するのだが,このボスナノだけは消滅せず,地面に倒れてうなだれたような姿に。これこそ“瀕死状態”である。この状態で接近するとシンクロのアイコンが表示されるので,表示されるキーやボタンを押してみよう。

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 ナイフのようなものをグサッと突き刺し,一定時間が経過するとシンクロ完了。人類に仇なすナノテクノロジーを,再び人間のもとに屈服させる。これを果たせば,敵であるナノは「ナノコンパニオン」(以下,コンパニオン)としてランナーの頼れる味方となる。これによってランナーが得る効果は大きく分けて2つだ。

 1つ目はコンパニオンを呼び出し,戦闘を行わせる能力。敵の群れに突撃させたり(かなり暴れてくれるので頼もしい),PvPでは敵プレイヤーに直接攻撃をさせたりとさまざまな用途で使える。コンパニオンには体力があり,戦闘不能になると一定時間使用不可能になってしまうので,こまめに呼び戻しと展開を繰り返すのが良さそうだ。ちなみにコンパニオンは複数種が存在し,出撃前のロードアウトでセットすることが可能。それぞれ固有の能力を持っているので,自身の戦闘スタイルに合ったものを選択しよう。

少し見にくいが,数字の「248」下あたりに注目。何やら強烈なパンチを繰り出しているヤバいヤツがいないだろうか。そう,彼(?)こそがコンパニオンである
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各コンパニオンにはそれぞれ固有の能力がある。個人的に使いやすかったのはクラッシャーとガーディアンだ
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 2つ目は呼び戻し中(非展開時)に,ランナーがパッシブ能力を得る能力だ。これによって,コンパニオンを展開していない時でもメリットを生み出せる。この効果はコンパニオンによって異なり,移動速度の向上,エイム中にシールドを展開,付近の敵ランナーを検知するなど,個性的な能力が揃う。ただ単純にコンパニオンを展開して暴れさせるのではなく,状況に応じてパッシブ能力を活かすなど,使い分けることが重要と思われる。先述したランナーの固有能力とのシナジーも生み出せるので,いろいろと試してみるのもよいだろう。

呼び戻し中は右腕をナノが覆う。ナノが戦闘不能の時は効果が発動しないので注意
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 この他にもランナーやコンパニオンを強化するMOD(スロット)枠がある。難解なのが「マッチ前から持ち込めるMODと,現地で調達して使用する2種類のMODがある」「PvPモードとPvEモードでは別々のロードアウトになる」「PvPモードのMODは強化できないが,PvEモードのMODは強化できる」といった点。正直,この辺りは全体的に分かりづらく,プレイを経た今でも全容を理解したとは言い難い。もう少し簡略化するか,詳細なチュートリアルや解説の導入を期待したい。

PvPとPvEは別々のロードアウトになる
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PvPとやりこみ要素の強いPvEを体験


 さて,ここからは実際のプレイの流れを通じてゲームの流れを解説する。まずはPvPモード「ナーヴァ・ラッシュ」からだ。ルールは単純明快で,マップ内に出現する各種オブジェクト・イベントで「ナーヴァ」と呼ばれるポイントを回収すること。制限時間内により多くのポイントを回収していたプレイヤーがマッチの勝者となる。武器はメインウェポン,ハンドガン,格闘武器を1種類ずつ持ち込める(メインウェポンのみ,もう1つを現地調達可能で,持ち込みと合わせて計2つになる)。しかし,ナノも他プレイヤーもウロウロしている物騒なフィールドで,出撃したままの装備で戦うのは非常に厳しい。

出撃時も一応武器は装備しているが,丸腰に近い状態だといってもいい
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 そこで重要になるのが「レイディア」と呼ばれるクレジット。これはナノを討伐することでドロップするほか,地表の「レイディアスポット」,ランダムで出現する救援物資を開封することで獲得できる。マップ内の各地には購入ステーションがあり,より上位の武器やアーマーといった装備,新たなMODを購入し,終盤に向けての準備を進めていく。もちろん合間を見てボスナノを討伐し,シンクロするのも忘れずに。

様々なオブジェクトから回収できる。ナノを討伐することでもドロップする
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主に装備類は即席自販機っぽいもの,MODはポッドっぽいものから購入可能。基本的に現地で入手,購入したものは持ち帰れず,そのマッチのみ効果を発揮するようだ
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救援物資はレイディア抜きでも美味しい。本作には武器のレアリティがあり,持ち込める武器は一律で最下位のアンコモンとなるのだが,救援物資からは最高位であるレジェンダリーがゴロゴロ落ちる
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 戦闘不能になってもチャンスはある。本作はキル→即リスポーンではなく,ダウン→キル→リスポーンの流れとなる。ダウン中は移動速度が極めて遅くなり,射撃精度は極めて低いものの,ハンドガンが使用可能。パーティメンバーからの蘇生や,ハンドガンでナノを討伐することで蘇生が行われ,戦闘に復帰できる仕組みだ。時間内に戦闘復帰が行えなかったり,いわゆる“確キル”をされてしまった場合でも,2回は再出撃が可能である。しかし,回収済みのナーヴァを一部ドロップしてしまうので,むやみな突撃は控えるのが賢明だ。

ハンドガンは非常に弱いが,最後まで諦めなければチャンスはある
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 実質的にはPvPではなくPvPvEだが,資源の回収や戦闘など全体的に忙しく,「ただ移動するだけ」といったような暇になる時間は少ない。大量のナーヴァを獲得できる「ハーベスター」というイベントでは指定地点の防衛が一定時間必要であり,漁夫の利を狙うパーティとの戦闘も頻発するため,PvPを好むプレイヤーも大いに満足できると思う。

 次に紹介するのがPvEとなる「デッド・セクター」。どうもゲーム的にはPvEをメインコンテンツとしているようで,デッド・セクターのクリアでアンロックされる他のPvEモードも確認できた。

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 本モードは3つのミッションによって構成されており,クリアするごとに順に次のミッションがアンロックされていく形式になっている。今回挑戦したのは第1段階となる「サージ掃討」。プレイ内容として端的に言うなら「マップ内を駆け巡ってボスを倒しつつ,最後に出現するヤバいボスを倒す」というものだった。

 時間経過とともに「サージレベル」と呼ばれる汚染濃度のようなものが増加していき,100%に達するとスリップダメージを受けるようになってしまうので,「ひたすら地道に遠距離から敵を削る」ようなプレイングはできず,時間との勝負になる。今回のプレイでは「最終ボスに到達はするものの,周辺へ大量に湧く雑魚敵の波状攻撃に耐え切れず全滅……」というのを繰り返したのだが,これは本作がパーティプレイを前提にしたレベルデザインになっているためで,3人であれば問題なくクリアできるはず。

とにかく凄まじい数のナノがランナーを襲う!
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一目散に突進してくるナノ。軽くパニックである
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 レイディアを使用したフィールド上でのアップグレードなど,PvPと全体的なシステムは似ているが,方向性の異なるゲームプレイを味わえる。恐らくだが,ステージが進むにつれてランナー自身の強化も求められるバランスになると思われるので,プレイヤースキルも勿論のこと,「PvEモードのMODを育成する」などのベース要素も考える必要がありそうだ。


「やりたいことは見える」意欲作。OBTを経て更なる進化に期待


 ここまで簡単に本作のプレイフィールを紹介してきたが,筆者の体感としては「開発陣が提供したいゲーム体験の方向性は打ち出されている」ことに尽きる。先に「PvPモードのMODは強化できないが,PvEモードのMODは強化できる」と記したが,これはゲームバランスを考慮したものであるらしく,「やり込んだプレイヤーが無双する環境ではない」というフェアなPvPバランスでのプレイとなる。対照的にPvEでは「やり込み」が推奨されるような仕様であり,一つのゲーム内で棲み分けが行われている。これらの“全部盛りました”と言わんばかりのゲームシステム,退廃的な世界観,クールなナノコンパニオンなど,開発陣の「こういうゲームを作りたいんだよ!」というビジョンは,画面越しでも強く伝わってくるものがある。

刺さる人にはぶっ刺さる世界観だろう
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 その一方で,課題となる点も見受けられないわけではない。まずは全体的にシステムが難解であること。たしかにしっかりしたチュートリアルや各種解説はあるが,それでもパッと見て瞬時に理解できるようなものではない。ゲーム性の根幹となる部分であり,これは仕方がないことでもあるが,「よく分からない」という第一印象を与える部分は確実にある(特にPvEで顕著だと思う)。そして,パーティを前提としたゲームデザインは,実質的にVCでの連携を求められる場面が出てくることも予想される。気の知れたフレンドとはともかく,見知らぬプレイヤーとVCでのコミュニケーションを取らざるを得ないような状況が頻発する場合は,好き嫌いがハッキリ分かれる要因の一つとなりうるだろう。

仲間は一人でもいたほうがいい。絵面も寂しいしね
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 このほかにも,全体的なUIの使いにくさや,リアル系の描写の中で銃器周りのチープさが目立ってしまうこと(例えばハンドガンのビジュアルリコイルはモグラ叩きのようにピョコピョコ跳ねるだけ),ゲームバランスなど気になる点はあったが,これらはすべて,OBT前の段階であることに留意しておく必要がある。

 本編は英語音声のみとなり,日本語音声こそないものの,ローカライズは高品質になされているので快適に遊ぶことができる。退廃的な世紀末,サイバーチックなビジュアル,銃,物騒でクールな敵“兼”味方,対照的なPvPとPvE…と,ロマン要素をこれでもかと詰め込んだ作品がリリースされるのは,一人のゲーマーとして素直に喜ばしい。必要・推奨動作環境も特別高いというわけではないので,少しでも気になる部分があれば,OBTに参加してみてもらいたい。

近接攻撃が予想以上の強さ。雑魚敵は一瞬で塵にできるので,いざという時に命を救ってくれる……かもしれない
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