このゲームの読者の評価
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これを肯定したら本当に終わってしまう 30 - 投稿者:2LH(男性/30代)
- 投稿日:2022/01/30
- 良い点
- ・「機動戦士Vガンダム」「重戦機エルガイム」の復活参戦
特にVガンダムに関しては担当声優の方が鬼籍に入られているキャラもGジェネのライブラリ音声を用いる事で違和感なく溶け込めている。
・「SSSS.GRIDMAN」関連のクオリティの高さ
本作の中でも明らかに力の入れようが段違いで、スパロボ戦闘アニメの極致が味わえる。
とはいえグリッドマンに注力しているせいでその他作品の戦闘アニメの品質が・・・。 - 悪い点
- ・タクティカルエリアセレクト
本作の中で一番拒否反応の多い部分ではないだろうか。
従来のスパロボのように一本道と数度のルート分岐があるシステムではなく、一本道の合間合間に自由時間がありそこで自分の好きなようにステージを選り取りしていくシステムだが、スパロボには余りにも噛み合っていない。
まずステージ選択時の操作感がとてつもなく不快。カーソルが直感的に動かないので手近なステージを選択するだけでストレスが溜まる。
その上で各ステージにどの種類のミッションがあるのか実際にステージ対象地域まで移動してカーソルを合わせるまで分からない上、勝利条件の表記も無く強制出撃のユニットは3機を超えると残りは画面に表示されない等真っ当なUIの作り方もしていない。
またプレイするステージを選り取り出来るのはいいが、そのせいで1ステージ辺りのボリュームが薄い。ステージをプレイする前にどういう展開になるのか、誰が加入するのかなども察せてしまう為ワクワク感もなにもあったものではない。
マジンカイザーやV2ガンダムなどの後継機に乗り換えるステージもこの仕様に組み込まれてしまったせいで、加入条件を早期に満たせる余地が生まれた以上に後回しにすればするだけずれ込んでしまう問題も出てきてしまった。
結果的に「プレイヤーの贔屓している作品を優先して遊んでもらう」というコンセプト実現の為に多くのものが犠牲になった。
・序盤〜後半の出撃枠数不足
これはもう最近の単体出撃を採用するスパロボでは常態化している悩みではあるものの、一向に解決される様子がない。
特に今作ではレイアースの魔法騎士に加えてマジェプリのチームラビッツが早い段階から加入する為、セット運用がメインである作品のファンは大いに苦しむだろう。
アニバーサリータイトルなのだから枠に余裕を出すか、奮発してかつての小隊制やトライバトルシステムを導入して欲しかった。
「様々な好きな作品・キャラ達で遊ぶお祭りゲーム」としては不満を感じずにはいられない。
・ヤケクソ気味に強くなる自軍
今回は繰り返し手に入る豊富な資金、PP、強化パーツのお陰で大抵の機体・パイロットを均等かつ大幅に強化可能なのだがそれが問題で、
1ステージ当たりの出撃の枠全てをフル改造・15段階改造済みのもので埋めるのも非常に簡単で、ラスト数ステージ前までは簡単にゴリ押せてしまう。
1周のみのプレイですら少しまとまった時間を注いで機体やパイロットを育成するだけで後半から終盤にかけての育成の楽しさが消失してしまった。
・戦闘アニメの品質低下
本作の戦闘アニメーションは「攻撃」にフォーカスしており、防御/回避以外の「アイドリング状態から攻撃に移行するアニメーション」等は全て画面暗転でカットされている。
画面暗転はシーンによってフェードアウトしたりカットインのような演出が入るのではなく、本当にただパッと暗転するだけなのでぶつ切り感が強く、違和感を禁じえない。
これは中期以降のGジェネシリーズにおける「演出上必要な部分だけを見せる」状態に限りなく近く、2機の流れるような攻防を楽しむのではなくなってしまった。
それだけ目玉タイトルの戦闘アニメに注ぐ人的コストを捻出したいのかもしれないが、一部にクオリティを極振りして細部を疎かにするやり方は歓迎できない。
付随して戦闘アニメの負担増によって機体毎の武装も目に見えて減っている。
主人公格ではない自軍ユニットは辛うじて武装が2つ()はあるが、敵勢力はボス格ですら武装一つとおまけの同名マップ兵器しか持たないユニットもザラ。
戦闘アニメの観て楽しむ部分と、SRPGとしての遊んで楽しむ部分。その両方ともクオリティが維持できていない。
過去作からほぼそのまま参戦している枠も多い中でこの品質では、もうこれ以上作品作りをするのも限界なのではないだろうか。
・変わらないマップ演出
数パターンのマップを出撃位置とアングルを変えて使いまわし、背景は黒塗りで攻撃や撃墜は爆発エフェクトどーん。イベントはカラバリ豊富な謎の光ぎゅおーん。
相変わらずPS2時代から何も進歩しておらず化石もいいところ。いい加減こういう部分にも手を入れてもらいたい。
・スパロボアレンジBGMが少ない
年々プレミアムサウンドエディションに味を占めて従来の打ち込みBGMがどんどん減っているように感じる。過去作からの流用もちらほらあるため尚更である。
私は原曲でスパロボがしたいのではない。スパロボの為にアレンジされた名曲でプレイしたいのだ。
作品間の格差も今回は露骨で、Vガンダムでいつまでも「STAND UP TO THE VICTORY」1曲しか流れない一方でガオガイガーはなんと5曲。
無きゃ無いで困る各種武装専用曲が半分を占めるとはいえいくらなんでも・・・。
・録画/SSを許さない旧態然とした姿勢
ゲーム体験の保存とシェアが当たり前になった今の時代こんな事すら容認出来ないのかと。
シリーズのセールスポイントである戦闘アニメを各動画サイトにこれ以上載せられる事を嫌っての対策であるのは伺えるが、お気に入りのシーンや記念SSも保存させてもらえないのは令和の時代のゲームとして余りに不親切ではないか。
素直に回避方法を模索出来るSteam版にすればよかったと海よりも深く後悔した。
・評価出来ない追加DLC
今までは純粋な隠し機体として登場していたHi-νガンダムがまさかのDLC化。個人的にはこれだけでDLC展開の評価は地に落ちてしまった。
新規参戦枠も次回作への先行投資としか思えないラインナップ。鉄血を新規に加えて後は既存のガンxソードとナデシコで次回の火星周りはお話作れそうですねー。
無料アップデート()も至極どうでもよかった。登場作からしてクロスオーバーの塊であるギリアムとゲシュペンストが個別にただパっと追加されたところで何の感慨も湧きはしなかった。
・各作品の雑な扱い
これに関しては特に物申しておかなければ気が済まない。
・「コードギアス 復活のルルーシュ」
序盤で原作の99%を一気に消化してしまう。褒められる部分と言えばシャムナのギアスをゲームプレイ部分で上手く落とし込めていた一点のみ。
フォーグナー親子やコーネリアに至ってはスパロボ補正を得られずユニットもボイスもなく速攻で消化、あとは残りの1%であるシャリオとビトゥルをスザクとカレンの相手役としてダラダラと終盤まで生かし続けただけ。
作品のキモであるルルーシュの復活シーンやナナリーと共にCの世界から帰還する描写も(特に未視聴者に)上手く説明出来ているとは言い難く、無理やり力押ししている。
本作目玉である月虹影師も、活躍する原作(ないしオリジナル)シーンが特に無くアニメカットインの質感が原作のナイトメアフレームのそれとかけ離れすぎていて、新規に設定を起こす労力に見合ったクオリティではないと感じる。
これならより蜃気楼に近い真母衣波、そしてランスロットSiNと紅蓮特式のフレームコートをしっかりゲームに登場させた方が嬉しかった(どれも本作未登場)。
加えて劇場版「皇道」の版権を取得している理由が「ランスロット・アルビオンゼロを出す為」と「白衣姿のロイドを登場させる為」でしかなかったのもガッカリ。
前者はスザクを早期加入させる際(SiNに乗るまで)戦闘アニメが過去作から使い回せるアルビオンを使用する為、後者は「復活」で衣装の違うロイドを登場させるのは所謂メカニック枠としては無理があるからというのが簡単に想像がつく。
コードギアスという作品の扱い方はZシリーズやスパロボXの方が遥かに上等だった。
・「機動戦士ガンダムNT」
先ず、主人公ヨナが所属するイアゴ隊長率いるシェザール隊(と母艦であるダマスカス、乗機のジェスタ)が存在しない。えっ?
厳密に言えばイアゴ隊長はとあるステージで見ることは出来るが自軍で使用出来ないどころか不死鳥狩りに参加すらしない。なんで?
作中におけるオールドタイプ連邦軍人の代表者でもありキチンと役回りもある彼が実質存在を抹消された事には失望を隠せない。いやホントなんで?
NTを象徴する存在でもあるリタもボイスが無いどころか明確なキャラクターとして描写もされておらず、非常に印象の薄い人物になってしまっている。
奇跡の子供達3人が丁寧に描かれないせいで「君が鳥になるなら・・・俺は、俺も鳥になる!」シーンも台無し。
今作におけるNTのシナリオは「「逆シャア」後にどうしてか生き残ったアムロとシャアの受け皿」という役目もあるためか、「復活」とは対照的に不死鳥狩り作戦〜IIネオ・ジオング登場までをゲーム序盤から後半まで薄く薄く引き伸ばしている。
そのせいでナラティブガンダムをいつまでもA/B装備のままで運用しなければならず、それでいて終盤の1ステージで原作と同じタイミングでC装備とフェネクス、そしてバナージの駆るシルヴァ・バレト・サプレッサーが一気に加入する。なんだろうこのバランスの悪さ。
戦闘アニメもフェネクスやシルヴァ・バレトはもう作画担当が力尽きたかのように動かない。毎回νガンダムに掛ける熱量を少しでも分けて欲しい。
これは本当に新規参戦枠なのか・・・?と疑いたくなる。
・「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
シャアがスバロボでも珍しい「原作通り人類に絶望しアクシズ落としを実行したシャア・アズナブル」であり、新鮮。
そんなシャアだが前述の通りどうしてか生き残り、再びクワトロ・バジーナを名乗って序盤から登場する。
「シャアが再起する」という展開自体はスパロボでは珍しくないが、すんなりと過去を振り払い盟友である竜馬と甲児で同窓会状態になる英雄アムロとは対象的に、
所業を考えれば寧ろ当たり前とはいえ序盤から味方にはなじられジオン残党には裏切り者と謗られ、にもかかわらず生来の不器用さを持ったままで目立たないシャア。
その被りに被った汚名を後半で一気に返上するかと思えばそうでもなく、時折戦場で人間の善意にバブみを感じながらもラー・カイラムで肩身狭く便所飯を食い続ける日陰者ポジション続きである。
これまでのシリーズにおけるシャアの扱いを知っていると正直な所不満の方が強く、わざわざクワトロとして舞い戻らせてまでシャアが必要になる場面が描かれていないし、
更に機体乗り換えもなく最初から最後までフルアーマー百式改を使い続けるので代表的なニュータイプパイロットとしてもパッとしない。
これならいっそもう一度裏切ってアムロとカミーユ、ヨナやウッソに修正された方が余程マシな扱いではないのか。
・本作オリジナル関連
ヒュッケバインが大手を振ってまたスパロボへ帰ってきてくれたのは嬉しいものの、どうして今作ではヒュッケバインが主人公機なのかという明確な理由付けがない。
また恒例である主人公機の乗り換え・強化イベントもとてもあっさりとしていて感慨も何もない。第二次OGのアッシュ→エグゼクスバインのような変化を期待すると痛い目をみる。
戦闘アニメも変化が無く使いまわしと指摘されても仕方がないレベル。
キャラクターや世界観も濃密さが無い。
あまりオリジナル勢が出張るとそれはそれで批判が出る事もあるが、今回のように薄味だとただ版権原作を軽く絡めて消化しているに過ぎない状態にもなってしまう。
従来作ではよくあった地球の別版権作品敵勢力同士の一大同盟組織やスパロボ世界独自の問題を扱ったストーリーテリングが殆ど無いのもそれに拍車をかけている。
自軍のドライクロイツはドライストレーガーの艦長であるミツバが実質主人公みたいなもので、本来の主人公であるエッジやアズを完全に食ってしまっている。
ストーリー中に主人公が受け持つべき役割の大部分をミツバが持っていっていくので必然的にそうなっているのだが、当初から明確にダブル主人公という宣伝もされていないので違和感が残る。
オリジナル敵勢力も驚くほどにユニットのバリエーションがなく、勢力・組織としての存在感が全く無い。
看板であるカールレウムと乗機のグラヴァリンも、最初のインパクトとは裏腹に出番が少なく、印象に残りにくい。ラスボスの存在が余りにも陳腐だったのが却って救いか。
そして何よりゲーム本編だけではストーリーが完結しない。 - 総評
- まさか据え置きスパロボで品質と商売のバランスがここまで崩れたものがリリースされるとは夢にも思わず、スパロボもいよいよここまで堕ちたか・・・という心地。
とりあえずもとより退社予定だった寺田P以外の開発陣は、一度しかないアニバーサリータイトルで何を思ってこんな作品をひり出したのか一度表に出て語ってもらいたいところだ。
今後もこのような作品作りを繰り返すようなら、いっそもう新作をリリースするのはやめて、過去作を掘り起こすだけのシリーズになってくれても全く構わない。むしろそっちの方なら期待したい。
それだけ辛辣な言葉を吐く気にさせるほどに、「スーパーロボット大戦 30」というタイトルには過去イチでがっかりさせられた。
もう二度とDL版を初週買いなどするものか。 - プレイ時間
- 60〜100時間
グラフィックス サウンド 快適さ/運営 熱中度/ストーリー ボリューム 2 1 2 1 1
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