プレイレポート
BL初心者にもオススメなSwitch版「古書店街の橋姫 々」を紹介。大正浪漫溢れる世界で大切な人達を死のループから救い出そう
「古書店街の橋姫」は2016年に同人ゲームとして発売されたBLゲームで,2018年にはPS Vita版が登場した。そして,Nintendo Switch版「古書店街の橋姫 々」が2021年12月16日にdramatic createから発売される。本稿では,本作がどんなゲームなのかをプレイレポートから魅力に迫ってみよう。
本作の物語は,大正11年6月――梅雨の東京・神保町を舞台にして巻き起こる。主人公は,会津から上京してきた玉森(CV:坂巻亮侑)という青年。帝大合格を目指す浪人生だが,勉学に勤しむというよりも底知れない空想癖や筆活動に熱を入れあげる日々を送っていた。
しかし,その平穏だった日々はある日,終わりを告げる。親友の自殺と怪死によって……。
突然のことに動揺を隠せない玉森に,さらに不思議なことが起こる。それは,雨の降る3日間をなぜか玉森だけが繰り返しているということだ。何度も目の前で起こる大切な人達の死。彼らを救うため,玉森は過去と対峙するのだったが……?
本作の攻略キャラクターは5人。物語を読み進めていくうちに,誰を信じていいのか,それとも全員敵なのかと疑心暗鬼になってしまうほど,ループする世界で5人ともさまざまな顔を見せてくれる。
ここではどんな人物がいるのかを確認してみよう。
◆水上(CV:神崎智也)
玉森と同郷で酒造家の長男。穏やかな性格で怒っているところを見たことがない。小説を読み始めると周りが見えなくなってしまうほどの愛書家。玉森が書く小説を生きがいにしており,駄文でもいつも肯定してくれる。
◆川瀬(CV:マルクス)
玉森と水上と同郷の幼なじみで帝国大学医学部に通う天才学生。美形だが極度の潔癖症で,口から出るのは嫌味な言葉ばかり。玉森の小説を読んでは酷評をし,馬鹿にするのが日課だ。そんな間柄あるにも関わらず,2人は毎日顔を合わせて茶を飲むほどの仲でもある。
◆花澤(CV:岡田 悠)
玉森たちと同じ会津出身で医者の息子。中学卒業後,陸軍士官学校へ行き,現在は陸軍少尉だ。しばらく疎遠になっていたが,8年ぶりに再会を果たす。正義感に熱い堅物だが,玉森にだけは心を開いており,弟のように可愛がっている。
◆氷川博士(CV:近野誠一郎)
玉森が下宿している古書店に,夕暮れに現れる眼帯の青年。常におどおどしており,ものすごく挙動不審。どこで目にしたのか,玉森の書く小説の熱狂的なファンで心酔している。玉森と1,2を争うほどの変人気質だ。
◆能面の男(CV:美藤秀吉)
玉森を追いかけてくる謎の大男。どうやら敵意はないようだが,玉森以外の人間には容赦がく,問答無用で殴り殺してしまう。目的,理由,素性,すべてが謎に包まれており,玉森にとって恐怖の存在でしかない。
久しぶりにプレイするBL作品だ! と安易な考えで飛びついた筆者だったが,本作の物語の深さに度肝を抜かれた。
先が読めないストーリー,主要人物たちが次々と死んでいく鬱展開,ミステリー小説を読んでいるかのような気持ちになりながらプレイをすることになった。個人的には玉森が変人すぎて前半は感情移入が難しかったのだが,物語が進み謎が紐解かれていくうちに,いつの間にか自分が玉森と同化……というか,攻略対象の男性達を助けたいという強い思いで胸がいっぱいになっていた。
本作の1周目は選択肢がなく,一本道で進む。1回クリアしたあとに,別のルートが開かれていくという流れになっているので,まずは玉森になりきってこの不思議なループを楽しんでみてほしい。
楽しむという言葉もしっくりこないほど,深いテーマの話だが,ループ先に待つ彼とのエピソードを堪能してほしい。
またNintendo Switch版では,新規シナリオ5編が追加になっているほか,英語・中国語にも対応。用語集やボイスセーブなどの機能も加わり,システム面が強化された。もちろん,PS Vita版で追加になった攻略キャラの後日談であるショートストーリーもばっちり収録! 隅々まで本作の世界に使ってほしい。
この年末は,玉森達が織りなす,ちょっぴり不思議な世界に足を踏み込んでみてはいかがだろうか。
「古書店街の橋姫 々」公式サイト
(C)adelta/dramatic create
(C)adelta/dramatic create