プレイレポート
都市創造トイ・クラフトゲーム「タイニートピア」プレイレポート。物理法則に基づいた箱庭でハッピーな街づくりを楽しもう!
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Steamの「タイニートピア」ストアページ
プレイヤーが作るのは,机の上に乗るくらい小さなおもちゃの街だ。街は空き地にただ家を作るだけでは発展せず,電気がないと住宅に人は住めないし,住民には生活のための仕事も必須だ。そのため,住宅,発電施設,仕事を提供する施設,基本的にこの3つは切り離せない関係にある。
また,発電施設ひとつとっても,火力,風力,ソーラーパネル,原子力とたくさんの種類が登場する。コストパフォーマンス,事故のリスクなど,施設によって長所と短所があるので,作りたい街に最も適した種類を選択しよう。市長の腕の見せどころだ。
小さい建物を適切に組み合わせると,建物レベルが上がり,さらにパワーアップした設備となる。なかには,別種類のオブジェクトと組み合わせることでレベルアップさせる建物もあるので,ややこしく思えるかもしれないが,アップグレードのヒントはメニューの“設計図”から確認でき,建物にカーソルを合わせると,組み合わせたときのシルエットや必要なオブジェクトの内容が表示される。実際は非常に親切なつくりになっている。
一度作った建物は設計図が開放され,全貌を見ることができる。80種以上ある設計図をコツコツとアンロックしていくのは,ミニチュアのおもちゃを集めるような楽しさだ。
本作独特の要素として,「すべてのオブジェクトが物理法則に基づいた動きをする」というものがある。つまり,バランスを考えずに建物を積み重ねていると崩れてしまうのだ。レベルの高い建物を作ったり,省スペースを狙ったりと,プレイ中にオブジェクトを重ねる機会は必ずあるだろう。そのとき,位置を揃えず適当に重ねてしまうと,建物は倒壊してしまう。そればかりか,ガレキが火災の原因になることもある。おもちゃの街という設定ではあるが,そういう点はリアルだ。
というわけで,安定感を重視した街づくりが無難ではあるが,構造的に危険を孕んだ巨大建造物をわざと作ってみるのも,スリルがあってそれはそれで楽しめる。
各建造物をどう配置するかということも,街の発展には重要なポイントだ。住民は公害を嫌い公園の近くに住みたがるし,火事や強盗などのトラブルが起こったときのため,消防署や警察署なども欠かせない。街づくりの指針になるのが,住民の幸福度,電力供給状況,防犯・防火状況,税収などがひと目でわかるようになっている“データビュー”だ。
右上の左右カーソルを押すと,参照するデータを切り替えることができる。緑がちゃんと供給できている場所で,赤が供給不足の場所だ。上のスクリーンショットの街では,電力はおおむね安定して供給できているものの,防犯状況はあまり良くないということが分かる。
これらのデータにより,「では警察署をアップグレードし,住宅街には防犯カメラを設置してみよう」といったように具体的な対策が立てられるのだ。これらのデータを参考に,快適な街づくりを目指していこう。
20以上あるステージには,それぞれ「特定の建造物を指定数完成させる」「人口を指定数まで増やす」など目標がいくつか設定されていて,達成すればステージクリアとなり,次のレベルがアンロックされる。クリア条件を満たしたあともプレイは続けられるので,気に入ったステージにはずっと手を入れ続けることも可能だ。
「パリ」「東京」「上海」など,実在の街の名が付けられたステージでは,凱旋門,東京タワー,オリエンタルパールタワーなど,各都市にちなんだランドマークが登場する。ほかにも,乱雑に本が積まれた“ブックトピア・タワー”や未確認飛行物体が登場する“UFOクラッシュサイト”など,子供のごっこ遊びのような夢のある設定のステージも存在する。なかには,シーソーのような土台の上に街を建設するというトリッキーなステージもある。シム系のシミュレーションゲームで,まさかバランス感覚を試されるとは思っていなかった。
ひとつのステージをクリアするまでの時間は短めなので,前半ステージであれば十数分程度でクリア目標を達成できるはずだ。
童心に返って無邪気に遊べるような雰囲気を持つ本作だが,テキストにはブラックジョークがたびたび挟まれる。チュートリアルを担当してくれるアシスタントのセリフは,軽快ながら皮肉が効いていて楽しめる。
ある程度制約がある中での街づくりは取り組み甲斐のある遊びだが,すべて好きなように街をクリエイトしたいのであれば“サンドボックス”モードがおすすめだ。このモードでは,建築のためのお金,目標,法律などを気にせず作成でき,キャンペーンステージをクリアすることで,より多くの建物がアンロックされる。オブジェクトは多いほうがサンドボックスでの街づくりにも広がりが出るので,最初はキャンペーンのステージに挑戦し,ゲームに慣れながら使える建物を増やしていこう。
最後に,本作にはなぜか,街を破壊するコマンドがやけに充実していることをお伝えしておきたい。隕石を激突させる,地震や火災,竜巻,爆発を起こすことのほか,巨大なトカゲ・モンスターを召喚して街をめちゃくちゃにできるコマンドが用意されている。
初めは,せっかくコツコツと作り上げた街をなぜ自ら台無しにしなければならないのかと思ったが,試しに破壊してみると,これがなかなかスカッとする。砂場に大きな城を作り,家に帰る時間になると派手に壊して楽しんだ子供時代を思い出した。おもちゃの街は,こうして子供の心になって遊ぶのが正解かもしれない。
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