プレイレポート
PS4版「カプコンアーケードスタジアム」のプレイレポートをお届け。奥深く面白い,安心のカプコンアーケードゲームが手軽に楽しめる
「カプコンアーケードスタジアム」公式サイト
はじめに本作の製品情報を簡単に紹介する。「カプコンアーケードスタジアム」は,「1943〜ミッドウェイ海戦〜」付きの本体が無料ダウンロードでき,ここに有料のゲームパックを買い足すことで,遊べるゲームが増えていく方式となっている。収録タイトルは32本と記述したが,これは30本パックの「Capcom Arcade Stadium Packs 1, 2, 3セット」を購入した場合に遊べるタイトル数となる。
なお,ゲームパックは発表された時期によって分けられた「Capcom Arcade Stadium Game Pack 1:すべてはここからはじまった!」と「Capcom Arcade Stadium Game Pack 2:アーケード絶頂期!」,「Capcom Arcade Stadium Game Pack 3:アーケードはさらなるステージへ!」の3種類が用意されている。先述した30本パックは別々よりもお得な価格で購入できるパックとなっているわけだ。また,30本パックを購入すると初代「魔界村」が追加でプレゼントされる。こちらは単品での購入も可能だ。
■カプコンアーケードスタジアム本体+1943〜ミッドウェイ海戦〜
価格:無料
■Capcom Arcade Stadium:魔界村
価格:200円(税込)
※30本パック購入で無料プレゼント
■Capcom Arcade Stadium Pack 1:すべてはここからはじまった!
価格:1500円(税込) Nintendo Switch版 / PlayStation 4版 / Xbox One版
価格:1520円(税込) Steam版
収録タイトル
・バルガス
・ひげ丸
・1942
・戦場の狼
・セクションZ
・闘いの挽歌
・アレスの翼
・BIONIC COMMANDO
・フォゴットンワールド
・大魔界村
■Capcom Arcade Stadium Pack 2:アーケード絶頂期!
価格:1500円(税込) Nintendo Switch版 / PlayStation 4版 / Xbox One版
価格:1520円(税込) Steam版
収録タイトル
・ストライダー飛竜
・天地を喰らう
・ファイナルファイト
・1941 - Counter Attack -
・戦場の狼II
・チキチキボーイズ
・U.S. Navy
・ストリートファイターII - The World Warrior -
・キャプテンコマンドー
・バース - OPERATION THUNDER STORM ?
■Capcom Arcade Stadium Pack 3:アーケードはさらなるステージへ!
価格:1500円(税込) Nintendo Switch版 / PlayStation 4版 / Xbox One版
価格:1520円(税込) Steam版
収録タイトル
・天地を喰らうII - 赤壁の戦い -
・ストリートファイターII' TURBO - HYPER FIGHTING -
・スーパーストリートファイターIIX - Grand Master Challenge -
・パワードギア - STRATEGIC VARIANT ARMOR EQUIPMENT -
・サイバーボッツ - FULLMETAL MADNESS -
・19XX - The War Against Destiny -
・バトルサーキット
・ギガウィング
・1944 - The Loop Master -
・プロギアの嵐
■30本パック「Capcom Arcade Stadium Packs 1, 2, 3セット」
価格:4000円(税込) Nintendo Switch版 / PlayStation 4版 / Xbox One版
価格:4080円(税込) Steam版
さらに追加DLCとして,無敵プレイが楽しめる「Capcom Arcade Stadium:無敵プレイ」と,全タイトルのゲーム専用壁紙「Capcom Arcade Stadium:ディスプレイフレームセット1」が本日配信された。無敵プレイはその名の通り,キャラクターを完全無敵状態にするゲームモードを追加するDLCで,落下などを除けば何をされてもミスにならない。収録されているタイトルは高難度のものも多数収録されているため,気軽に思い出を振り返りたい人にオススメのDLCと言える。
便利な機能と筆者お気に入りの注目タイトルを紹介
今回配信されたタイトルがゲームセンターで遊ばれていた時代のカプコンと言えば,間違いなくアーケードゲーム業界のトップランナーだったメーカーの1つだろう。ベルトスクロールアクションの金字塔「ファイナルファイト」,そして2D対戦格闘ゲームの基礎を作り上げた「ストリートファイターII」と社会現象とも言えるムーブメントを2度も巻き起こしている。
筆者は当時のムーブメントの直撃世代であり,カプコンがゲームセンターでブランドを確立するところを目の当たりにしてきた。私見ながらその魅力をまとめるのであれば「やり込みを裏切らない信頼のブランド」といったところだろうか。練習すれば1コインクリアを狙えるバランス調整がポイントで,新作が出るたびに「カプコンのゲームだから安心」とばかりにプレイしていたのを覚えている。
作品のウリや特徴が分かりやすく整理され,少しプレイするだけでも魅力が理解できるゲームデザイン。筋肉や大爆発,デカイキャラクターといった男の子の心をくすぐる要素をフィーチャーしつつ,どこかユーモアが漂う作風など,カプコンアーケードゲームの良さを挙げていくときりがない。なお,今回収録される32タイトルをすべて紹介することも可能だが,さすがにそれはやりすぎだろうということで,便利な追加機能と,3パックそれぞれの筆者お気に入りタイトルを抜粋して紹介していきたい。
巻き戻しや便利機能で快適にプレイ
攻略に役立つさまざまな機能が追加されている「カプコンアーケードスタジアム」だが,そのなかでも最も便利なものは「巻き戻し機能」だろう。プレイ中にやり直したくなった時に[R2]ボタンを押し続けるとその分だけゲームが過去に巻き戻る(最大30秒前まで)。例えば,「魔界村」で拾いたくないたいまつを拾ってしまった場合や,「スーパーストリートファイターIIX」で豪鬼を出すのに失敗して茶リュウになってしまっても,即座にやり直しができるのだ。
これまでのアーケードゲーム移植でも,その場セーブとロードを使えば似たようなことはできたが,ロードセーブを繰り返すためテンポが悪かったのは否めない。今回の巻き戻し機能はそのテンポの悪さが解消されており,難所を抜けるための試行錯誤が格段にやりやすくなったと言えるだろう。
なお,本作にもどこでもセーブ/ロードができる機能は用意されており,巻き戻しと組み合わせることで難所や難しいコマンド入力を繰り返し練習できる。1つ例を挙げると,「天地を喰らうII - 赤壁の戦い -」の張飛は隠し技のスクリューパイルドライバーを持つ。コマンド入力と間合いが非常にシビアで,当時筆者の周囲では1プレイで複数回でも繰り出せれば大騒ぎになるほど難しい技だったことを記憶している。
もちろんその日に練習するだけであれば巻き戻し機能だけでも十分だが,繰り返し何日も練習したい場合は,どこでもセーブ機能が生きてくる。当時はなかなか精度が上がらなかったスクリューパイルドライバーだが,この環境であればと思い,筆者も連日練習を繰り返している次第だ。
また,[L2]ボタンを押すことでゲームの進行速度をアップ/ダウンできるのだが,これもまた便利なシステムだ。例えば,「ファイナルファイト」2面では“自分が樽の上に乗っていると,敵がこちらを攻撃できなくなり,そのまま待ち続けるだけでそのシーンがクリアできる”という小技が存在する。ふつうに遊ぶとこの待ち時間がかなり長いのだが,本作では進行速度をアップさせればあっという間に進行してくれる。
個人的には3Dグラフィックスで筐体が再現されているのもポイントが高い。デパートのゲームコーナーなどで稼働していた小型筐体「ミニキュート」や,音が良かった「インプレス」など,懐かしい筐体でプレイできるのはうれしいところ。仮想ゲームセンターに32台の筐体が並ぶ姿は圧巻で,個人的にはゲームセンター内を歩き回るモードや,壁にポスターが貼ってあるなど当時のゲームセンターを再現したモードも見てみたいと思ってしまった。
「Capcom Arcade Stadium Game Pack 1:すべてはここからはじまった!」
・バルガス
記念すべきカプコンのアーケード第1作目。地上/空中の撃ち分け(ショットの使い分け)が無く,敵をバリバリ撃ちまくる楽しさに焦点が当てられている作品だ。また,武装には弾数制限のある貫通武器の「キャノン砲」があり,敵が一直線に並んだところをタイミング良く狙い撃つ緊張感と爽快感が取り入れられている。プレイにメリハリがあり,ウリとなるアイデアがしっかりと打ち出された,カプコンらしいゲームと言えるだろう。
・フォゴットンワールド
アーケード版では,レバーで移動し,オーディオ機器のボリュームつまみを思わせる特殊デバイス「ローリングスイッチ」でショットの攻撃方向とサポート砲台「サテライト」の位置を決めていた。国内ではメガドライブやPCエンジンに移植されており,ローリングスイッチを左右に回転させる代わりに2つのボタンで操作していたが,本作ではRスティックを使えるため,より当時の感覚に近い形で操作できる。本作は敵を倒して手に入れたお金で装備を購入してパワーアップできるのだが,初心者は贅沢に装備を買いまくり,上級者は節約して最小限の買い物で済ませるという遊びも楽しめる。1Pと2Pでメインショットの性能や使えるサテライトが異なるのも面白く,当時の筆者らは2人プレイする際は,ソロプレイで使えない2Pの取り合いになっていた。
「Capcom Arcade Stadium Game Pack 2:アーケード絶頂期!」
・ストライダー飛竜
冷徹非情な暗殺者である飛竜が活躍する2Dアクションゲーム。本作のウリは高いアクション性で,垂直の壁を鎌でよじ登り,天井にぶら下がり,さらには斜面を駆け下りて大ジャンプするといった,多彩なアクションがシンプルな操作で楽しめる。プレイヤーはまるでアクション映画の主人公になったかのような気分を味わえるのだ。なお,主人公の飛竜は人気が非常に高く,「MARVEL VS. CAPCOM」や「NAMCO x CAPCOM」といったコラボゲームでは毎回登場するほどの定番キャラクターとなっている。
シーンごとにBGMが変わるという映画的な演出がなされているが,初期版には同じ曲が流れるという不具合があった。今回収録されているのはこの不具合が解消されたバージョンで,当時アーケード版をプレイした人には新鮮なはずだ。
筆者にとって思い出深い作品の1つで,ゲーム雑誌の記事を見て本作に惚れ込み,隣町のゲームセンターまで自転車で通って(近所のゲームセンターは入荷が遅れていたため)プレイしたことを今でも覚えている。
・ファイナルファイト
ベルトスクロールアクションの金字塔とも言える完成度の高い作品。多数の敵をいかにしてさばくかが本作の面白さの1つで,「投げの間は無敵」という性質を利用し,「通常攻撃から投げがつながる」「相手に近づくだけで投げに持ち込める」ことを理解すると,敵を1か所にまとめて安全に戦える。しかし,敵の中には後ろに回り込んできたり,動きが俊敏なもの,画面外から突進してくるものなどもおり,想定外の事態に対応する立ち回りも求められる。パターン化と対応のバランスがすばらしい作品と言えるだろう。
また,現在でも人気のキャラクターばかりで,“元プロレスラーかつ半裸で戦う市長”という設定は前代未聞。当時のゲームセンターでは,だれかがプレイしている際,順番待ちをしつつ観戦する人がいることも珍しくなかった。上級者がプレイしていると30分ほど待たされることもあったが,敵のまとめ方や無敵技の使い方などが人によって違っていて,見ているだけでも楽しかったのだ。
「Capcom Arcade Stadium Game Pack 3:アーケードはさらなるステージへ!」
・天地を喰らうII - 赤壁の戦い -
本宮ひろ志の三国志コミックがゲーム化されたベルトスクロールアクションの2作目。敵が賢いうえに強く,こちらの射程範囲外から攻撃を加えてくるくらいのことは当たり前にやってのける。そのため「ファイナルファイト」以上に,敵の攻撃をかわしたり,一か所にまとめたりといった立ち回りが重要となる。プレイアブルキャラの黄忠はかなり特殊な性能となっており,通常攻撃が飛び道具の弓矢で,上手くいくと一方的に攻撃できるものの,カプコン製ベルトスクロールアクションの定番「通常攻撃からの投げ技」が使えない。つまり,ほかのキャラクターにも増して立ち回りの精度が重視されるわけだ。まさにいぶし銀で,当時は上級者の黄忠が多くのギャラリーを集めることもあった。そして,自分も真似しようとして黄忠を選んでめった打ちにされ,その難しさに愕然としたことは忘れられない。
本作は誇張された描写も特徴的で,張飛が野人のように敵に噛みつくと血しぶきがビュービュー飛んだり,必殺技でやられた敵が真っ二つになったりするのだが,あまりに演出がオーバーで残忍さは薄い。また,夏侯惇や許褚といったボスはこちらの数倍の体格を持っており,同じ人間とは思えない。とにかくインパクトを重視する姿勢が当時のカプコンらしいと言える。
・19XX - The War Against Destiny -
カプコンアーケードスタジアムで初移植された名作縦スクロールシューティングゲーム。本作の魅力が凝縮されているのが「マーカーミサイル」システムだ。タメ撃ちのマーカーミサイルを敵に撃ち込むとロックオン状態となり,自機からホーミング弾が放たれる。マーカーミサイルはボスの砲台など厄介な敵を狙うのが基本だが,中ボスやボスのパーツをロックオンした後,ロックオン対象と自機の間に雑魚を挟み込むように動き,ホーミング弾で雑魚を一掃するといった戦い方もできる。タメ撃ちでありながらもゲームのテンポを損なわないのもすばらしく,立ち回りの面白さが追及された良システムと言える。本作のエクステンド(残機増加)は点数ではなく,撃墜率で上昇する階級が一定に達した際に行われるため,自然と敵の出現パターンを研究,記憶してアグレッシブに戦うようになるあたりも面白い。
筆者は当時から本作の面白さを訴え続けてきたが,本作が発売された1996年は空前の格闘ゲームブームのまっただ中で,友人たちにはあっさりとスルーされてしまったことが思い出される。とはいえ,本作が25年を経て移植された意義は大きい。この機会に多くの人に遊んでもらいたい。
・ギガウィング
いわゆる弾幕要素を含んだシューティングだが,敵弾が多いほどこちらが有利になる「リフレクトフォース」システムが面白い。ボタンを押し続けると自機の周囲にフィールドが張られ,受けた敵弾を跳ね返す。跳ね返した弾が敵に当たると勲章になり,取ると得点の倍率が上がっていく。つまり,敵が弾幕を展開しようものなら,そのまま攻撃と高得点のチャンスになるというわけだ。リフレクトフォースはクールタイムさえ終われば再使用できるうえ,使用中は無敵になる。初心者は危機回避に使えばいいし,上級者は敵の攻撃パターンを記憶して大量の弾を撃たせてから跳ね返せばいい。プレイヤーのレベルに合わせた幅広い使い方ができるのも魅力の1つだ。
勲章で倍率が上がれば得点もインフレし,ふつうにプレイしているだけでも兆の桁に突入する。無数の敵弾がそのまま勲章になるさまは,まさに黄金の雪崩。弾幕シューティングと聞くと初心者お断りにも聞こえるが,個人的には初心者にこそ遊んでほしいタイトルだ。
プロジェクトは今後も継続。さらなる展開に期待
作品の紹介は以上となる。なお,PC版とPS4版,Xbox One版が発売されたばかりだが,「カプコンアーケードスタジアム」シリーズは今後も継続される予定とのこと。カプコンのアーケードタイトルは,「X-MEN CHILDREN OF THE ATOM」「エイリアンVSプレデター」「パニッシャー」「エリア88」といった版権ものや,「私立ジャスティス学園」「スターグラディエイター」といった3D格闘,多彩なアニメーションが度肝を抜いた「ヴァンパイア」など,いくらでも名作は残っている。本作を遊びつつ,今後の展開や続編のラインナップ発表を心待ちにしよう。
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