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Microsoftがクラウドゲームサービスを日本でも2021年内に開始。iPhoneでもXboxタイトルが楽しめるブラウザ対応は今後数週間で実現の見通し
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印刷2021/06/10 22:00

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Microsoftがクラウドゲームサービスを日本でも2021年内に開始。iPhoneでもXboxタイトルが楽しめるブラウザ対応は今後数週間で実現の見通し

 Microsoftは2021年6月14日に開催する「Xbox & Bethesda Games Showcase」を前に,「What’s Next for Gaming」と題した対象者限定のデジタルイベントを公開した。そのなかで,Xbox Game Pass Ultimateメンバー向けのクラウドゲームサービスが日本でも年内に開始となることや,ブラウザへの対応を予定していることが明らかにされた。

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 MicrosoftとBethesda Softworksは,オンラインイベント「Xbox & Bethesda Games Showcase」を日本時間2021年6月14日2:00より開催すると発表した。Xbox Game StudiosとBethesda Softworksのほか,世界中のパートナー企業やクリエイターが制作する多くのゲームタイトルの紹介が行われるという。

[2021/05/27 11:58]

Xbox Wire「Bringing the Joy and Community of Gaming to Everyone」

Xbox Wire「Satya Nadella and Phil Spencer on Why Microsoft is “All In” on Gaming」


フィル・スペンサー(Phil Spencer)氏
画像集#001のサムネイル/Microsoftがクラウドゲームサービスを日本でも2021年内に開始。iPhoneでもXboxタイトルが楽しめるブラウザ対応は今後数週間で実現の見通し
 Xboxユーザーが期待している「Halo Infinite」や,傘下のパブリッシャとなったBethesda Softworksの動向(関連記事)などは,14日のイベントにて具体的に発表されるはずで,今回の「What’s Next for Gaming」は新作ゲームの発表ではなく,Xboxの開かれたプラットフォームとしての戦略を紹介するもの。Head of Xboxとしてゲームコミュニティにお馴染みのフィル・スペンサー(Phil Spencer)氏を中心に,同社CEOのサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏や,クラウドサーバーを統括するMicrosoft Azure部門のエクゼクティブバイスプレジデントであるジェイソン・ザンダー(Jason Zander)氏といった錚々たるメンバーが出演した。

 2001年(国内発売は2002年)に誕生した初代Xboxから数えて約20年が経過したことになるが,スペンサー氏に“Microsoftのゲーム”について述懐するよう促されたナデラ氏は,「Microsoftの初期にとってゲームは非常に重要であり,我々の最も古い,現行のソフトウェアフランチャイズは1985年からリリースされたWindowsではなく,その3年前に発売されていたMicrosoft Flight Simulatorだ」と語り始める。そのうえで,スペンサー氏が力説する「ゲームを地球上の全ての人へ」というXboxのミッションは,そのままMicrosoftのミッションでもあり,「ゲームの民主化」を促していくために一層の努力を惜しまないと語った。

 「ゲームの民主化」とは,ここ最近のゲーム業界でよく耳にする言葉だが,「居住地域や経済状況にかかわらず,高価なシステムを購入することなく誰でもゲームを遊べるようになる」「より多くの人が自分でゲームを開発できるようになる」といった意味を持つ。コンシューマ機の販売台数ではライバル達に遅れをとっているMicrosoftだが,「Xbox Network」(旧称:Xbox Live)と「Xbox Game Pass」を柱に,ハードウェアだけに頼らない“サービスとしてのゲーム”(Game as a Service)という戦略を加速させ,この分野のリーダーであることを今回も強調していた。

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Xbox Game Passがもたらすパラダイムシフト


 現在,1800万人の加入者がいるというXbox Game Passは,日本国内でも2020年4月に提供が始まった月額制サブスクリプションサービスだ(関連記事)。PCもしくはコンシューマ機(Xboxプラットフォーム),いずれかのサービスは月額850円,両方のプラットフォームに対応するXbox Game Pass Ultimateは月額1100円という価格帯で,新旧の数百タイトルが遊び放題となる。
 ソニー・インタラクティブエンタテインメントが提供しているPlayStation Nowと同種のサービスであるが,今回のイベントでナデラ氏は「このようなプラットフォームのパラダイムシフトは,今後10年で完全に達成すると予想されている」と述べた。また,スペンサー氏によると「Xbox Series X/Sのユーザーのほとんどが,Xbox Game Passを利用している」という。

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 そして,MicrosoftのクラウドサービスであるMicrosoft Azureのゲーム部門を統括しているサラ・ボンド(Sarah Bond)氏は,Xbox Game Passの最近の成果について以下のように述べた。

  • Xbox Game Passのメンバーはその3割がより多くのジャンルを,4割がより多くのゲームをプレイしています。また,9割はXbox Game Passが無ければプレイしようと考えなかったタイトルをプレイしたことがあると回答しています。

  • Xbox Game Passライブラリに収録されているパートナーのゲームタイトルは,エンゲージメントが平均して8倍以上に向上しています。

  • Xbox Game Passライブラリ内外のゲームの購入や,追加ダウンロードコンテンツの購入などにかかわらず,Xbox Game Passメンバーの消費額は非メンバーより5割近く多いことが判明しています。

  • Xbox Game Passは新たなゲームを発見する場所として,そして仲間とつながり,コミュニティを形成するプラットフォームとして,ゲームの販売を大きく促進しています。

  • Xbox Game Pass UltimateでEA Playとのパートナーシップを開始して以来,Xbox Game PassメンバーはEAのサブスクリプションサービスに大きな関心を寄せています。以前と比べて,EA PlayはMicrosoftプラットフォーム上でのプレイ時間が2倍以上になりました。パートナーシップにより,EAの錚々たるラインナップはXboxプラットフォーム上で,数百万人もの新しいファンを獲得することができました。

  • スクウェア・エニックスの新作タイトルである「OUTRIDERS」は,Xbox Game Passに収録されており,発売週にはXboxプラットフォームのデジタルタイトル売り上げが1位を獲得。4月におけるデジタルタイトルの売り上げでもトップ10に入りました。Xbox Game Passは同作を何百万人ものプレイヤーに紹介することになりました。

  • 「MLB The Show 21」は発売週に,Xboxプラットフォームの最も大きなスポーツゲームタイトルとなり,Xboxにおけるスポーツゲームでは歴代2位となりました。Xbox Game Passは同作を数百万人ものメンバーに向けて発信することで,プレイヤー層の大幅な拡大に貢献。4月のXboxにおける有料ゲームの販売本数1位となりました。

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いよいよクラウドゲーミングが日本上陸


 ゲーム産業に変革をもたらすものが「クラウドゲーミング」であろうことは,多くの業界関係者やゲーマーが認識していると思う。
 クラウドゲーミングとは,ゲームの情報処理が手元の端末ではなくクラウドサーバーで行われることにより,高価なプロセッサを搭載したゲームシステムを必要とせずに高品質のゲームをプレイできるというものだ。簡単に説明すると,プレイヤーのコントローラへの入力を逐一読み取って,サーバーに送信された情報に基づき,演算処理されたデータがプレイヤーのもとに圧縮されて配信されるという仕組みである。
 現在,Microsoftでは家電メーカーと協力し,「Xbox Game Pass Ultimate」アプリを搭載してコントローラと同期させることで,追加ハードウェアの必要がない新世代テレビを開発中であるという。

 Microsoftはクラウドサーバーのデータセンターを世界各地に構築しており,Xbox Game Pass Ultimateメンバーは「Xbox Cloud Gaming」(旧称:Project xCloud)というサービスを受けられる。2020年9月から欧米を中心とした世界22か国では提供されているが,2021年内に日本やオーストラリア,ブラジル,そしてメキシコでも,この正式サービスが追加されることが,今回表明された。

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 また,大きなトピックとしては,本日より数週間以内に,Azureのバックボーン技術がXbox Series Xに完全対応することがジェイソン・ザンダー氏より語られた。これに加えて,同時期にはEdge,Chrome,Safariなどのブラウザに対応し,アプリを介することなく,ブラウザから直接ライブラリにアクセスしてXboxタイトルをプレイできるようになるという。「Fallout 76」や「Minecraft」「FIFA 21」といったゲームをブラウザからプレイできるというわけで,ビジネス用ノートPCでAAAタイトルが遊べるだけでなく,高速ローディングやレイトレーシングなどのフィーチャーもサポートされる。

 iPhoneやMacなどのApple製品には,サードパーティが独自の課金システムを利用することに制限があり,それが発端となってAppleとEpic Gamesの法廷闘争が続いているのはよく知られるところだ。こうしたAppleの利用規約を回避できるのがブラウザを使ったサービスであり,「本格的なゲームが少ない」と嘆いてきたAppleユーザーもXbox Game Pass Ultimateの恩恵を最大限に受けられるだろう。
 スペンサー氏がイベントで語っていたことだが,コンシューマ機の市場は上限が見えつつあるという。ここからさらにゲーム市場を拡大していくためのMicrosoftの戦略というのが,今回のイベントで強調している「クラウドゲーミングとサブスクリプションサービス」の併用というわけだ。

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 「Halo Infinite」がXbox Series X/Sのローンチに間に合わなかったことは,多くのXboxファンを落胆させた。Xboxプラットフォームのロードマップにも少なからず影響を及ぼしたはずだが,Xbox Game Studios傘下の23ものスタジオから(関連記事)四半期ごとに少なくとも1本の新作をXbox Game Passにリリースすることを目標にしているという。

 現在,Microsoftの持つテクノロジーを最大限に活用しているのが,イベントの冒頭でも同社のルーツとして紹介されていた「Microsoft Flight Simulator」だが,近いうちにXboxプラットフォームへの対応が予定されている。Xbox Game Passのライブラリにも収録されるため,より多くの人が最先端の空の旅を堪能できるようになるだろう。

※6月11日1:00追記。「Microsoft Flight Simulator」の発売日について,日本マイクロソフトから発表内容に誤りがあったことが伝えられたため,該当箇所を変更しました。

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 また,インディーズゲーム開発者向けに提供されているID@Xboxプログラムは,2013年の発足から20億ドル以上の売り上げを達成しており,これまでに2000以上のタイトルが発表されてきた。こうした独立系開発者たちへのサポートも,Microsoftが取り組む「ゲームの民主化」の1つである。
 Microsoft Azureもクラウドサーバーとして,すでに5000作品をフィーチャーしているとのこと。25億アカウント分のゲーマーがクラウドサービスを使ったゲームをプレイしているという。Microsoftは今年に入ってから,新たにID@Azureと呼ばれるプログラムをスタートしており,クラウドを利用したゲームやアプリを生み出す開発者への支援を加速させていくとのことである。

Xbox 公式サイト

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