プレイレポート
もふもふウサギがクールに決める「フィスト 紅蓮城の闇」プレイレポート。ディーゼルパンクな世界で繰り広げるメトロイドヴァニア
本作は,二足歩行で人語を話す動物たちが暮らす世界を舞台としたアクションゲームだ。文章で見ると可愛らしい印象を受けるかもしれないが,実際はその真逆。ハードボイルドなキャラクターたちによる,シブくてシリアスな物語が展開される。今回,発売に先駆けてプレイする機会を得たので,プレイレポートをお送りしたい。
PlayStation Store 「フィスト 紅蓮城の闇」
ディーゼルパンクな舞台で繰り広げられるメトロイドヴァニアスタイルのアクション
多くの動物たちが暮らしていた“紅蓮城”は6年前に機械軍団の侵攻を受け,動物たちはレジスタンスを結成して抵抗するも,敗北。以後,動物たちは機械軍団の支配下で不自由な生活を強いられていた。レジスタンスのエースであるレイトン(兎)も潜伏生活のような毎日を送っていたが,ある日,友人のウルス(熊)がレイトンの誕生日を祝い,ラーメン屋で会うことになる。
ウルスは機械軍団に屈しておらず,レイトンの「フィスト」はもう修理しておいたと,レジスタンスへの復帰を促す。それとは対照的に,「俺たちの時代は終わった」と,やる気のないレイトン。立ち去るレイトンを見て肩を落とすウルスに,ラーメン屋の店主であるフルス(アライグマ)が「あいつにはまだ時間が必要なんだ。もう少し,待ってやらないか?」と声をかける。
しかし,その翌日,ウルスが機械軍団に逮捕されてしまう。レイトンにとって,ウルスは唯一の友。ウルスが残した鋼鉄の巨大拳「フィスト」を背中に装備し,ウルス奪還のため,レイトンは再び立ち上がることを決意する。
……と,そんな感じで,見た目の可愛らしさに反してハードボイルドな導入で物語は始まる。舞台となるのは,タイトルにもある「紅蓮城」。1940年代の上海をモチーフに,ディーゼルパンクの味付けを施した世界だ。
ゲームシステムは,いわゆるメトロイドヴァニアスタイルのアクションだ。「壁跳び」や「二段跳び」など,少しずつ拡張される能力によって行動範囲が拡がったり,壁を壊した隠し通路の先に体力の最大値をアップさせるアイテムがあったりと,このジャンルでおなじみの要素は網羅されている。
タイトルにもなっている「フィスト」は,レイトンのメイン攻撃手段だ。□ボタンで弱攻撃(左右への攻撃),△ボタンで強攻撃(叩きつけ攻撃),○ボタンで掴み攻撃となっている。
個人的に気に入っているのが,掴み攻撃。掴んだ敵をほかの敵に投げてぶつけることができるので,複数の敵を同時に相手しなければいけないときに便利な攻撃なのだが,この掴み攻撃は,ダウンした敵も掴むことができる。
通常,攻撃してダウンした敵にはそれ以上攻撃が当てられず,相手が起き上がるのを待つしかないのだが,掴み攻撃なら当たるので,掴む→投げる→ダウン→掴む→投げる→ダウン,というハメ技のような一方的な攻撃が可能。もちろん,周囲にほかの脅威がなく,1対1の状況でないと成立しないが……。
ダウン後に素早い前転でプレイヤーの背後に回り込んでくる敵もいるため,この掴みハメは,そうした敵への対処が苦手な人のために用意された救済策のようにも思う。ちなみに,特定の敵は掴みが無効なので,あくまで一部の敵にのみ通用する方法だ。
また,敵をある程度弱らせると,派手な演出でフィニッシュを決める「ターミネイト」という要素がある。「トドメの一撃」のようなもので,演出時は無敵。複数の敵に囲まれているときにターミネイトできると,被ダメージを抑えつつ,ほかの敵も巻き込めることもあり,爽快感の高い要素だ。
豊富なスキルがもたらす,拡がりのあるバトルと探索
レイトンのアクションは,さまざまなスキルを習得することでどんどん拡張されていく。スキルの習得には,お金か「データストレージ」,またはその両方が必要になる。データストレージは,マップの各所に隠されていたり,ショップで販売していたり,レイトンの武芸の師匠であるヴァロの修練をクリアするともらえたりする。
最初は「フィスト」のみで,習得できるスキルもそれにまつわるものなのだが,ゲームが進むと「ドリル」を入手し,いつでも「フィスト」と切り替えながらプレイすることができる。ドリル入手後は,ドリルを使った新たなスキル習得も開放されていく。
スキルはかなりの数が用意されているが,これらのスキルを習得しないとバトルで苦戦する……ということはない。ストーリー上,必ず習得することになる溜め攻撃の「プレスブロウ」だけでも,意外となんとかなったりする。
習得できるスキルはコンボ攻撃が多いのだが,ヴァロ師匠の修練メニューを見ると,通常攻撃だけでも結構なコンボ攻撃が作れることが分かる。なかには,コンボ中にフィストからドリルに素早く持ち替えることで可能になるコンボもあり,さながら格闘ゲームのような奥深さがある。
一方,ボス戦は,最初は通常の敵をちょっと強力にしたようなものだが,たまに毛色がまったく異なるボスも出てきて,飽きさせない。どのボスも,観察すれば必ず隙が生まれる瞬間があるので,自分なりの攻撃パターン構築は比較的ラクな印象だ。通常の敵にしろボスにしろ,バトルの難度がネックで行き詰まるということはないのではないかと思う。
世界設定とキャラクターとゲームシステムがしっかりと作り込まれた,良質のメトロイドヴァニア作品
最初は,見た目可愛らしい動物たちがシブいトークをするギャップを楽しむ感じでなんとなく進めていたのだが,気付けば結構な時間が経っていた。「次の目的地が分からない」「ボスが強くて先へ進めない」といった,行き詰まる要素がなく,プレイにブレーキがかかることがないのだ。まさに,やめ時が見つからない感じだ。
ほどよく頭を使うパズル的なアクションとバトルが交互に来る感じで,適度なタイミングでボス戦が挿入される。ボス戦は,初見での突破がギリギリ難しいくらいの,カンタンすぎず,難しすぎずの絶妙な難度で,筆者の場合,だいたい,平均2〜3回以内のリトライで突破できた。オートセーブがあるので,やられてしまったとしても,だいたいボス戦の直前辺りから再開できるのもありがたい。本稿の執筆はPS5版でのプレイだったが,高速SSDの恩恵か,再開までの読み込みも非常に速かった。
逮捕されたウルスの奪還から始まるストーリーも,6年前の戦いや,「火種」と呼ばれる謎のアイテム,紅蓮城全体を巻き込む怪しげな計画の存在等,徐々にスケールが大きくなっていく。イベントシーンはどれもビジュアルに力が入っており,こういう作りはメトロイドヴァニア系作品では珍しいように思う。
メトロイドヴァニアに求められるポイントは的確に押さえつつ,アクションゲームとしてカンタンすぎず,難しすぎず,キャラクターや世界設定にも魅力があり,ストーリーに牽引力もある。総合的に見て,これといった欠点が見当たらない,非常に高いレベルの仕上がりとなっている。本稿を読んで,少しでも興味が出たら,ぜひ,プレイしてみてほしい。メトロイドヴァニア好きなら,必ず満足できるはずだ。
……いや,メトロイド“バニー”アかな……?
「フィスト 紅蓮城の闇」公式サイト
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