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浮ついた判断が死につながる――生粋のRPGファンなら「ウィズダフネ」で最上級のリスクを味わえ【PR】
Wizardryの最新作「Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ)」(iOS / Android / PC版は後日配信。略称,ウィズダフネ)が,ドリコムから2024年10月15日にリリースされた。
Wizは1981年から続く歴史の長いシリーズで,日本においては「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」など,後続のRPGたちに多大な影響を与えてきた。とはいえ,RPGファンでもそろそろWizのことをよく知らないという世代も増えてきただろう。近年では新作展開が途絶え,あっても過去作のリメイクくらいだったわけで。
そんな人からすればWizは,古くさい,堅っ苦しい,めっちゃムズいといった認識かもしれない。だが今回のウィズダフネは,「不条理さ」や「シビアさ」などの“らしさ”を残しながら,誰でも理解しやすいモダンなダンジョンRPGに仕上げてきた(でも優しくはない)。
というわけで今回は,「生ぬるいRPGでは満足できない!」なんて悩みを持ちつつも,Wiz世代でなかった人たちに向けて,ウィズダフネの魅力を説いていく。リスクまみれの濃密な死線は,ここにある。
なお「俺は生粋のWizファンだ!」という人はこちらの記事も。
「Wizardry Variants Daphne」はちゃんとWizで,ちゃんとダンジョンRPGしてるのか――そこには往時を彷彿とさせる死線があった【PR】
Wizardryシリーズの最新作「Wizardry Variants Daphne」は,ちゃんとWizで,ダンジョンRPGをしているのか? このテーマに沿ってウィズダフネを解剖する。私はスマホ向けという点で疑惑を覚えていたが,なるほど。これはWizで,DRPGだ。
「Wizardry Variants Daphne」公式サイト
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レトロだが味わい深い。ダンジョン探索とRPG
まずは,Wizに代表されるジャンル「DRPG(以下,DRPG)」について解説しておこう。俗称に関しては3DRPG,3DダンジョンRPG,ダンジョン探索型RPGなどいろいろあるが,本稿ではDRPGとする。
DRPGとは,さまざまなダンジョンに潜り,そこに生息するモンスターと戦い,レベルアップや装備品入手でキャラクターを成長させ,探索範囲を広げながらゲームを進行させていくRPGの一種だ。
世界中を旅して魔王を倒しにいく,といったJRPGの王道型とは異なり,迷宮内の閉鎖された空間を冒険するため,世界観がダークな傾向で,冒険中の景色にもあまり変化がないのが大方の特徴と言える。
もちろん,いずれも良き意味でゲーム体験を高めてくれるものだ。
日本では,アトラスの「世界樹の迷宮」シリーズ,「ウィザードリィ エクス」の開発陣を擁するエクスペリエンスのDRPG展開,スターフィッシュ・エスディの「エルミナージュ」シリーズなどが代表例だろう。
ただ,上記を含めて世間的に人気な作品は多いものの,認知度の高いジャンルかというと,近年では下火に見えるかもしれない。
なにより,今回のようなスマホゲームの枠組みで考えると,現在は「空き時間に楽しめるカジュアルさ」が定番の勝ち筋だ。構造からして「腰を据えて遊びたいハードコアさ」であるDRPGないしWizは,昨今のスマホゲーム市場においては逆向きに突き進んでいるとも言える。
しかし,本作はスマホゲームっぽさを強調しようとはしていない。それは実際に遊ぶだけで伝わってくる。ウィズダフネは,スマホ市場では使い古された定型句である“コンシューマRPGのような”に真摯に向き合い,ボリュームも歯ごたえもそこに準じようとしている。
なればこそ,生粋のRPGファンはどハマってしまう。
Wizらしくない丁寧なストーリー
あなた(主人公)は,この世の災の中心にあるダンジョン「奈落」の地下で目を覚ました。その見た目は,死体のような「屍人(しびと)」と化している。つまり,あなたは一度死んだのだ。
あなたが奈落をさまよっていると,浮遊霊の少女「ルルナーデ」と出会った。彼女は奈落から出られない呪いを受け,長らく暗い地下にとどまっていた。そしてルルナーデは,あなたが生き延びるための知識を授けてくれることに。つまるところ冒険のガイド役だ。
そしてあなたは,「逆転の右手」という力を持ち,壊れたものを修復するだけでなく,死んだ人間を蘇らせることまでできると知る。
ルルナーデの助力を受け,腐り爛れた体を隠すために仮面と鎧を身にまとったあなたは,地上に出て冒険者となった。そして「異形」のはびこる奈落に連れ去られた要人を救うため,騎士団と手を組み,己が目覚めた地下へと舞い戻ることとなる――これが物語の大筋だ。
ストーリーは,Wizらしくないほどに“JRPGらしい丁寧なシナリオ”が用意されている。序盤こそオーソドックスな物語展開に思うだろうが,奈落の深みに潜るほどに,驚愕の展開が連続して――。
よくある言葉だが,これ以上はあなたの目で確かめてほしい。こうして煽りつつ配慮するだけの仕掛けが,本作には仕込まれている。
いざ,奈落のダンジョンへ
ダンジョンはマス目構造になっており,進めば進むほど地図が埋められていくオートマッピングが導入されている。画面構成はシンプルで,基本はプレイヤーの主観視点(POV)で映し出され,HUDとして下部に現在のパーティ状況,右上にミニマップが表示される。
ダンジョン内の移動は,上下フリックで前進・後退,左右フリックで方向転換という直感的なものだ。画面両端にある矢印を押すと,視界の向きはそのままに「平行移動」することもできる。現代のDPRGにおいて搭載が必須であろう移動操作は完備されている。
また探索に慣れてきたら,フリック入力で慎重に進むだけでなく,「ホールド入力で前進し続けられる」ことに着目しよう。この操作に慣れることでいちいち指をピッ,ピッと動かさないで済むようになる。
さらに,マップの特定位置を指定して進む「オート移動」も,快適な探索には必須となる。これらを組み合わせて効率的に進むのだ。
ダンジョン内はシンボルエンカウント方式で,敵影にぶつかると戦闘開始となる。ただし,敵がいるほうを向いていても,敵影を必ず視界に捉えられるわけではない。突然現れて戦闘が始まることもあるので,ランダムエンカウントっぽい部分もあると言えよう。
さらに,ゲームの進行度が高まるにつれて“敵影があなた目がけて動いてくる”ことが増えていく。視認していないうちに側面や背面から襲われると,奇襲判定で凶悪なモンスターたちに容赦のない先制攻撃をされる可能性がある。奇襲されたら,パーティの半壊は覚悟したい。
戦闘は,画面左上に表示される行動順に沿って進んでいく。順番はキャラクターごとのパラメータ「行動速度」によって左右されるが,乱数の振れ幅があるので値通りの順番になるわけではない。
戦闘中のコマンドは以下の6種類だ。
攻撃:通常攻撃。武器と攻撃力を参照
スキル:SP消費。職業由来の技能行動
呪文:MP消費。攻撃・回復・補助の魔術
防御:敵から受けるダメージを減少
道具:キャラクターごとの手荷物を使う
逃げる:確率次第で戦闘から離脱
構造としては,スタンダードなコマンド選択型バトルだ。スキルや呪文の種類も豊富で,定番要素の属性相性もあり,シンプルながらも戦略的な戦いを楽しめる。けれども,ウィズダフネ引いてはWizにおける戦闘の特徴は,なんといっても“ひたすら難度が高い”ことである。
本作では,パーティメンバーを一撃で倒すモンスターがざらにいる。手番の選択を一手誤っただけで容易に大ピンチが訪れる。だからこそ,敵の数や行動順,全体の状況を冷静に分析し,今この瞬間になにをすべきか,リソースを管理しながら1つひとつの判断が求められる。
そこで間違っても,死ぬだけで済む。
ときには「HPが減ったまま進んでしまった」などの非がなくとも,妙に集中攻撃されてワンターンキルされたり,ギルドの依頼で向かったら勝てるわけがない化け物と戦わされたりと,あなたの死はいつだって軽快に転がり込んでくる。
Wizの伝統として語られることが多い「キャラクターロスト」も当然のようにあるが,その緊張感もまた,この世の危険性を示唆しており,同時に“死線で冒険している臨場感”をこれでもかと演出してくれる。
最善を尽くしても突然死ぬような難度なのがWizであるが,現代のゲームらしい救済措置は手厚い。まず,戦闘中にパーティメンバーが死亡したとき,画面中央で縮小する円を捉えるQTE(クイックタイムイベント)が発生し,成功すると仲間を即時に蘇生できる。
要するに,仲間の死を平然となかったことにできるのだ。
ただし,このQTEの難度はかなり高い。一度でも失敗するとあなたのHPが大きく削れて麻痺状態になり,失敗を重ねるとさらに疲弊して……死んだ仲間と仲良く,あなたも死んでしまうことだろう。
蘇生はできる。でも試みることに多大なリスクが生じる。どうにか成功したところで戦況によっては窮地に変わりない。敵にとってはたたける肉袋が増えただけ,といったことになりかねないシビアさだ。
QTEを失敗し,仲間が死んでしまっても即キャラクターロストとはならない。もの言わぬ死体を引きずり,街の「寺院」まで行けば,信仰へのお布施と引き換えに死んだ仲間を蘇生できる。
ただし,失敗する可能性もある。一度失敗すると死体は灰に。もう一度失敗すると灰は塵に。長い時間,苦楽をともにした仲間は完全にこの世から消え去ってしまう。「課金すれば消えた仲間も復活できます」なんてこともできない。存在自体の完全なる消失だ。
ただ,功徳を余分に積めば(=相応の痛い代価),寺院の者たちも景気よく完璧な蘇生を試みてくれる。実に寺院らしい仕草だ。
寺院での蘇生確率は,キャラクターごとの「メンタル」に左右される。これは常時変動する特殊パラメータで,敵からの攻撃で体が汚れたり,罠を踏んだり,死亡したりすると減少し,時間経過で回復する。この値を高く保っておくことで最悪の事態を防ぎやすくなる。
とくにQTEで蘇生した仲間は,一度死を経験したことで恐怖を感じて,メンタルが大きく損なわれる。多くの冒険者を束ねるリーダーとして,彼らのメンタルを管理するのは鉄則だ。生きる意思が弱まるほど心が荒んでいる仲間には,休息を与えてあげよう。
ときにはプレイヤーとしての都合を棚に上げて,最強編成であっても面子を入れ替えたり,プレイ自体を中断させたりも一案になる。
こうした“死亡からロストまでのリスクを管理できるリソース”が存在することで,慎重な人ほど安心を担保しやすい。逆に,慎重でなかった人は,事のすべてが運次第だったとしても,ロストしたことに対して言い訳できなくなる。我々にとっては非常に平等で公平で残酷な指標だ。
そしてウィズダフネでは,仲間がどれだけ万全に生存していようと,主人公が死亡した時点でゲームオーバーとなる。そのとき「再起」システムで復活するかどうかの選択を迫られる。
再起は,時間経過で回復するリソース「再起の火」を消費して,戦闘開始前のタイミングまで時間を戻すというものだ(その戦闘で死んでしまった仲間も復活する)。また再起の炎がないときでも,最後に通過したストーリー中のチェックポイントからやり直すこともできる。
このように,死亡周りのシステムについてはいくつか救済措置が用意されているため,Wizでよく語られる理不尽さもある程度はマイルドになっている。言うなれば,そこが現代的な仕様というわけだ。
上記を読んで「なんだ,思ったより優しいじゃん」との感想を持つ人もいるかもしれないが,やはり実際のところは難度がシビアすぎるので,プレイしたらそうとは思わないだろう。むしろ「救済するんだから,苛烈さは据え置きでいいよね?」と言い張っているかのようだ。
例えば,「この先には強敵がいる」という警告がある場所。そこに軽い気持ちで様子見にいくと,順当に全滅する。これは台風がきているときに「ちょっと川の様子を見にいく」と同等の死亡フラグだ。
ほかにも,回復があふれて無駄になりそうだからと薬草をケチると,次の戦闘で奇襲を受けて突然死,なんてことも日常的にある。
魔物の巣窟ではいつでも死がすり寄ってくる。敵の強さが未知数な深淵に進んでも,万全でない状態で奥に進んでも,危険は見えないまま忍び寄ってくる。あなたの判断には仲間の命という重い責任がかかっている。いついかなるときも決断は慎重にすべきだ。
パーティは6人。考え抜いて力を合わせる
パーティメンバーは,あなたを含めた最大6人で編成する。
パーティの隊列には「前衛」「後衛」の概念があり,前衛は敵の攻撃を受けるタンク役を兼ねている。一方,近接武器で戦うキャラクターを後衛に置くと,与えるダメージが大幅に減少してしまうので,前後の役割分担を加味して,適切に配置することが重要である。
冒険者には「人間」「エルフ」「ドワーフ」「獣人」の4種族がおり,種族ごとにステータスに特徴が表れている。
人間はバランス型。エルフは器用さと魔力に優れる。ドワーフは信仰心が厚く回復が得意。獣人は肉体が強いなどなど。このあたりはおおむね,RPGファンのイメージ通りのステータスであろう。
種族に加えて,冒険者は「戦士」「騎士」「盗賊」「魔術師」「僧侶」の5職業のいずれかにつく。こちらは“種族を加味した役割の差”だ。
戦士:攻撃力と防御力を両立したファイター
騎士:仲間を守るタンク。防御的行動が得意
盗賊:弓や短剣で戦うレンジャー。罠解除が得意
魔術師:呪文で戦うマジシャン。後衛配置を推奨
僧侶:仲間を癒やすヒーラー。状態異常も回復可
冒険者はすべての職業が違う役割を担っており,基本的には全職業をパーティに編成するのがセオリーとなる(個人的な体感だと,戦士2・騎士1・盗賊1・魔術師1・僧侶1のバランスがよかった)。
もちろん,冒険に慣れてきたら短剣持ちの前衛盗賊や,ガチガチのタンク僧侶などでオリジナリティを出すのも乙なものだ。
仲間を増やすには「冒険者の遺骸」を蘇らせる必要がある。こちらは本作の“ガチャ要素”で,有償通貨で購入するか,ダンジョン内でまれに入手可能だ。最序盤は仲間が少なく大変だが,少し進むと遺骸を入手できるため,1パーティの6人分はすぐに集まるようになっている。
パーティの仲間には,それぞれ「好感度」が存在し,ダンジョン内のキャンプや街の酒場で言葉を交わすことができる。
同じ酒を飲み,寝食をともにして好感度を高めれば,はじめは疑いの目を向けてきていた彼らも少しずつ打ち解けてくれる。
ただ,性格の違いは不和をもたらすこともある。善な者と,悪な者が同じパーティにいれば,人格の不一致でイザコザを起こすことも。
こうした生きた動きに愛着が湧いてくるからこそ,死亡からのロストの恐怖と,率いる者としての責任感はより強くなっていく。
強敵と出会ったときは「頼む,仲間を殺さないでくれ……!」という,祈りにも似たヒリつく緊張感で,コマンドを選ぶ指が震えるほどだ。ウィズダフネ,本当に性格わるいぞ(褒め言葉)。
育成は本場ハクスラかつ“ガラクタガチャ”
育成は「戦闘によるExp獲得(=キャラクターのレベルアップ)」と「宝箱からの装備品獲得」の二軸がメインだ。このほかスキル継承やレベル上限を引き上げる等級昇格などもあるが,そこはシステム的なもの。育成のベースはあくまでExp獲得と装備獲得である。
経験値でのレベルアップはRPGで最も普遍的なシステムだが,Wizはシリーズ伝統として「宿屋に泊まるとExpが精算され,レベルアップ判定が下される」という仕立てになっている。冒険中にレベルが上がることはないので,必要Expがたまったら帰還するのが大切だ。
宿屋には「馬小屋」「エコノミー」「スイート」「ロイヤルスイート」の4種類の部屋がある。どの部屋に泊まってもHP/SP/MPが全回復し,レベルアップも行われるが,それぞれ部屋代が異なる。最安の馬小屋は無料だが,ロイヤルスイートは5000G。相場では恐ろしく高値だ。
しかし,馬小屋も“最強無料神話”は崩れている。冒険者の「汚れ」が取れないうえ,セキュリティがないに等しいため,悪いやつらにお金を盗まれやすい。本作における無難な選択は,料金はかかるが,お金を盗られる心配はないエコノミー以上の部屋に泊まることだ(どの部屋でも,しっかりと宝箱を拾っていれば収支はプラスになる)。
活動資金を得るための宝箱についてだが,こちらは「ウィズダフネの楽しさの基盤」の1つだ。ダンジョンに潜り,宝箱を拾って帰還するまでの流れが,本作ないしWizの基本的な快感装置となっている。
お宝を求めれば,そのあいだに敵とも遭遇する。そしてレベルアップによる成長も見込める。とはいえ,強敵との予想外の遭遇はもとより,宝箱からの報酬獲得も“安全とは言いきれない”のだが。
宝箱は,ダンジョンのマップ上に点在しているものと,敵からドロップするものがある。マップ上に置かれた宝箱は,街に戻るたびに位置と数がリセットされる。そして,すでにマッピング済みの場所であれば,再配置された宝箱もマップ上で確認でき,それからオート移動を使用すれば,戦闘以外の操作はほぼなしで宝箱回収を快適に行える。つまり……。
■ダンジョンをマッピング → 宝箱を取って帰還 → また潜って再配置された宝箱をマップで確認 → そこまでオート移動 → 以下,繰り返し
こうして宝を拾っては帰ることで,手軽に戦力アップにつなげられる。敵からのドロップは,運がよければ落ちるし,悪ければ落ちないというだけだ。ドロップ率の体感は2割ほどで,ダンジョン内をうろうろして戦っているだけでも,わりと宝は集まっていく印象である。
そしてここからが肝心だが,宝箱は無傷で開けられるとは限らない。宝箱の発見時,罠がかかっていれば,パーティから1人を指定して解除を任せることになる。このとき担当キャラクターの器用さに応じて成功率が変わるため,基本は盗賊に任せよう。そのための盗賊だ。
宝箱の開閉はすぐに成否判定が下されるパターンや,ここでもQTEが発生することがある。このQTEはタイミングよくタップを求められるミニゲームで,ゲージ上のバーが停止するまでに少し慣性が働くタイプだ。味方死亡時のQTEと比べると簡単だし,失敗してもダメージ少+メンタル小減少で済むので,リスクは低めである。
今回のゲーム進捗においては,キツい罠もあるにはあったが,「開けて死ぬくらいなら無視する」までいくものはなかった。旧来のWizと違ってパーティ全滅時も再開方法が優しいため,罠解除に失敗して主力が壊滅してモンスターの追い打ちで全滅,からの死体運びの決死隊を募る……といったアクションも必要ない。当時の恐ろしき無力感と絶望感とは無縁だ。もう一度言うが,今回のゲーム進捗においては,だが。
宝箱からは主に,「ガラクタ」や換金用アイテムが手に入る。ガラクタは街に持って帰り,逆転の右手の力で“ランダムな装備品”に変化させられる品々だ。これがハクスラ要素の中心である。
シリーズ的にも「“????”を街で鑑定する」といったサイクルだったため,大枠は変えずに細部を変更したと言えよう。
装備品には「グレード」があり,ときには「追加オプション」が付与されていることもある。強化値やオプション数,固定値か割合値かなど,同じ武器でもさまざまなランダム性がある。そのため,強い装備を狙ってガラクタ集めの周回をしているだけでも楽しい。
ガラクタなどの戦利品は,キャラクターごとの手荷物には入らず,パーティ全体の別枠で管理される。ゆえに「ダンジョンに長く潜りすぎて一部アイテムを捨てないといけない」なんて昔のWizみたいなことがない。手に入れられるだけ収集に明け暮れられる快適さがうれしい。
宝箱集めでいうと,街とダンジョンの移動は「ハーケンの像」を使えばワープできる。これはいわば“ダンジョンの中間地点”で,進路のところどころに点在しており,触れればいつでも帰還・再開できるようになる。結果,ハーケンで最深部に移動→宝箱を回収→ハーケンで帰還の流れは,本作で最も効率的に宝箱を集めるための基本動作となる。
これも昔は「(簡単には開放されないエレベーターを見つけても)帰るためには毎回,入り口までひたすら歩かなければならなかった」ことを考えると,現代風の優しいゲームデザインだと言えよう。
序盤こそWizの醍醐味。1戦で逃げ帰る達成感
Wizの魅力は数あれど,一番の醍醐味は「最初の数時間」だと思っている。これはゲームの賞味期限が短いからではなく,シンプルに“最弱で進む序盤が,最も味が濃いから”である。類似例としては,戦略シミュレーションゲームの開始数時間などが挙げられるだろう。
DRPGの最序盤は,ザコ敵との1戦が命懸けであり,数戦もすればパーティ半壊といった状況に陥る。そのたびに街に帰り,微差の強化を探って,またダンジョンに挑む。未知の場所に進み,怪しい扉を開け,逃げ場のない橋を渡る。1レベル上がっただけで世界が変わり,数十分前の敵が文字通りのザコになる……と油断していたら絶望を味わう。
こうした冒険の立ち上がりの感覚は,まさに醍醐味であり,DRPG(やTRPG)における魅力の核と言えるだろう。
一点,残念なのは仲間がキャラクタークリエイトではなく,遺骸の有無と成果に依存してしまうところである。だが,これもまた出会いの定めと思うと,出足に感じる楽しさは損なっていない。
ウィズダフネは初心者だろうと上級者だろうと,“敵が序盤から容赦ない”のがミソだ。筆者の例だと,ホブゴブリンは大きいしタフそうだからと攻撃を後回しにしていたら,強烈な一撃でいきなりHPを8割吹き飛ばされて死んだ。おそらく,これがプレイ時間30分程度の最序盤で誰もが味わう最初の……いや,2度目か3度目の恐怖になるだろう。この苦い経験が,緊張感と慎重さを合わせ持つあなたの器をかたち作っていく。
本作のキャラクターたちは,選ばれし勇者でも,血筋に秘密を持つ覚醒者でも,努力と根性で立ち上がる熱血漢でもない(なかにはこれらくらい派手な背景を持つ固有キャラもいるが)。1回2回,凶器で殴られれば瀕死になりかねない,勇敢だがか弱い冒険者たちだ。一般的なJRPGのようにヒーロー的なバランス調整ではないため,不意に誰が死に体になってしまってもおかしくはない。それがとても,楽しい。
序盤の厳しさは,仲間の数が限られていることも要因だ(初っぱなに遺骸を大量確保するムーブ,もしくは運営がスタートダッシュの大盤振る舞いをしない限りは)。巡り合わせとして,“エルフの騎士”のように種族と職業の噛み合いが取れていなさそうな冒険者が仲間になるかもしれないし,ときには名もなき冒険者(※)までいる。
だが,冒険者のレアリティ間で大きな性能差はない。種族によって得意不得意はあるが,名も無い冒険者たちもしっかり運用すればちゃんと活躍してくれる。最初のころは戦力のやりくりも際立って楽しく感じられるため,その不自由さを一緒に味わってほしいところだ。
※仲間キャラクターは「背景を持った固有キャラ(中〜高レア傾向)」と「名もなき種族キャラ(最低レア)」がいる。いずれも加入時に名前を変更可能。最初にランダム値のボーナスポイントを自分で振り分けて,パーティにあった方向性に整えられる。基本は職業合わせのパラメータにして,安心したいぜい肉のぶんだけ生命力(HP)に振ろう
待ちに待ったWizの正統な新作,ウィズダフネ。リリース済みの現在はいたるところで阿鼻叫喚,もとい評判を聞けていることだろう。ダークでシビアなリスクだらけ奈落は,腕自慢のRPGファンを待っている。
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