プレイレポート
[プレイレポ]「FINAL FANTASY XVI」は大迫力の“召喚獣合戦”が最高。手厚いサポート機能で誰でも楽しめるアクションも好印象
1月から2月にかけて,世界各国のメディア向けに,本作のプレイアブルバージョンを初披露するメディアツアーが実施された。試遊の内容は,ストーリーを5時間ほど進めたところから始まる,ガルーダのドミナント,ベネディクタとの戦いをベースに,本来はこの時点で取得していないアビリティを特別に開放したものになっていた。
ナンバリングタイトル初の本格リアルタイムアクションを採用した本作はどのように仕上がっているのか,その気になる内容をお届けしよう。
※このバージョンはメディア体験用の特別版であり,リリース時のものとは異なる場合があります。
※画面はメディア体験用の特別版であり,リリース時のものとは異なる場合があります。
[インタビュー]「FINAL FANTASY XVI」のジェットコースター展開なバトル,召喚獣大決戦など“バカだな!?”と思える作り込みを聞く
スクウェア・エニックスは2023年1月末から2月にかけて,6月23日発売予定のPS5向けアクションRPG「FINAL FANTASY XVI」のメディアツアーを行った。世界最速の試遊の後,プロデューサーの吉田直樹氏,ディレクターの髙井 浩氏,バトルディレクターの鈴木良太氏にインタビューをする機会を得て,バトル周りを中心に話を聞いた。
舞台はクリスタルの加護を受ける世界「ヴァリスゼア」
まずは,本作のあらすじを簡単に紹介しておこう。舞台となるのは終焉に向かう大地「ヴァリスゼア」だ。ヴァリスゼアに生きる人々は「マザークリスタル」の加護により供給される「エーテル」により魔法を使い,日々を暮らしていた。
マザークリスタルを持つ地域は,それぞれ大国として成立し,さらに強大な召喚獣の力を宿す人間「ドミナント」を擁している。召喚獣の力は抑止力となり,召喚獣同士がぶつかるような戦争が起きるとは,誰も考えていなかった。
しかし,ある時からエーテルが枯渇していく現象が発生。限りあるその加護を求めて,国家による奪い合いが始まり,ついに召喚獣を使役した戦いが始まるのだった……という背景となっている。
要は,各国が油田と核兵器を持っているような状況で,世界の状況は均衡していたが,石油が取れなくなってきてエネルギー戦争が始まった,というようなイメージだ。
物語の主人公にして,ロザリア公国の第一王子である「クライヴ・ロズフィールド」もまた,召喚獣フェニックスのドミナントである弟のジョシュアとともに,巨大な戦乱の渦に巻き込まれてしまう。過酷な運命を背負ったクライヴは,やがて世界の真相を知り,マザークリスタルの破壊を目指すことになる。
本作は,6つの地域がある広大な世界を舞台にしているが,ゲームの進行は1本道の物語を追っていくリニア式を採用している。4つほど探索可能なそれなりの広さのフィールドがあるそうだが,オープンワールドを採用した前作の「FINAL FANTASY XV」とは大きく異なる形なのは確かだ。
しかし,数時間プレイしただけではあるが,めちゃくちゃに引き込まれるジェットコースターのようなストーリーとゲーム体験に触れて「このゲームにオープンワールドは必要ないな」と思える魅力があった。
快適+爽快感か,苦難+達成感か
万人が楽しめるリアルタイムアクション
さて,シリーズファンとして最も気になるのは,本作がリアルタイムアクションを取り入れたことだろう。敵に気付かれれば,周りの敵も連動して襲いかかってくるし,バトル中は横や後ろも警戒しながら立ち回る必要がある。
「FINAL FANTASY XV」もアクションRPGではあったが,あくまでRPGの中で,アクション性を重視した戦闘が展開されるといった雰囲気だった。
一方本作は,完全にアクションになったと思っていい。相手の攻撃を見てタイミングよく回避をする「プレシジョンドッジ」や,特定攻撃をつなげて繰り出せるコンボなど,反射神経や操作のうまさを求める要素も入っている。同時に,アクションが苦手な人向けにサポートする機能も充実していて,誰でも遊べるようになっているので,そのあたりは後述しよう。
バトルでは仲間とパーティを組むこともあるが,プレイヤーが操作するのは基本的に主人公のクライヴのみだ。仲間の動きはすべてAIで,通常の仲間とは別に,バディという扱いの相棒の狼「トルガル」も一緒に戦ってくれる。トルガルもAIで動くが,戦闘中に手動で指示を出して動いてもらうことも可能だ。
基本操作は[□]で通常攻撃,[△]で通常魔法,[×]でジャンプ,[R1]で回避。[R2]を押しながら[□]か[△]を押すと召喚獣のアビリティを,[○]で「フィート」を発動できる。アビリティは強力だがクールタイムが存在する魔法で,フィートは召喚獣固有の特殊なアクションだ。
召喚獣は最大3体までセットでき,[L2]で切り替える。召喚獣を切り替えるとそれに連動してアビリティやフィート,魔法も切り替わる。アビリティは各召喚獣に4つほど用意されており,使う召喚獣ごとに2つまでセット可能だ。つまり,切り替えを駆使すれば,戦闘中に6つのアビリティを使えるということになる。各アビリティのクールダウンはそれぞれ個別なので,6連続での使用もできてしまう。
アビリティは通常攻撃に比べてかなり強力なので,アビリティを使ったら回避に専念して,クールダウンが終わってから攻撃に転じる,といった戦い方もできるだろう。
フィートは,たとえばフェニックスを選択した状態だと「フェニックスシフト」で敵に高速で接近でき,タイタンを選択すると「タイタンブロック」でシールドを展開して,ジャストガードを軸にした戦い方ができる。フィートを使いこなせば召喚獣ごとに違った立ち回りになるため,バトルがさらに奥深くなる。
相棒であるトルガルには,方向キーを使って,戦闘中に「攻撃」「回復」「突進」の3つの命令を出せる。トルガルはクライヴが戦っていない敵のターゲットを取ってくれるなどの仕事を自動でしてくれるが,命令を出すと今トライヴが戦っている敵にすぐ攻撃をしかける。トルガルの動きは,クライヴの状況に関わらず発生するので,コンボ中に割り込ませるなど,テクニカルな使い方もできそうだ。
そして,リアルタイムアクションらしさが最も顕著な部分が回避だ。本作はダメージを受けたあとのいわゆる無敵時間が短く,一部の敵の攻撃は一度受けると多段ヒットしてHPを一気に削られてしまう。また,HPを回復するためのポーションは所持数に制限があるため,ポーションを買いだめして回復しまくるゴリ押し戦術もできない。そのため,相手の攻撃をしっかりと回避していくのがとても重要になってくる。
……などと文章で説明しても,アクションのイメージが湧いてこないと思うので,今回の試遊範囲のバトルシーンを動画にまとめてみた。クライヴが敵の兵士やボス,召喚獣など,さまざまな敵と戦うシーンを紹介するので,本作のバトルの雰囲気を感じてほしい。
強敵と戦う場合,攻撃を与えてゲージを削り,無防備なテイクダウン状態にして一斉攻撃をかけるという流れになることも,動画で分かるはずだ。
ここまでの紹介だと,操作も多いし難しそうだな……とアクションが苦手な人は思ってしまうだろう。そこで重要になってくるのが「サポートアクセサリ」機能だ。ここは本作がかなり力を入れている部分に感じたので,詳しく説明していこう。
まず紹介したいのが「《オートスロー》の指輪」だ。これを装備すると,クライヴが攻撃を受ける数フレーム前から時間の流れが遅くなり,さらに画面上にタイマーが表示され,0になる前に回避ボタンを押せば攻撃を必ず避けられる。無駄な回避がなくなることでかっこよく動けるようになり,操作が1つ挟まることで自分で避けている感もあるため,とても爽快だった。
これすらもやらずにサクサク進めたいという場合には,すべての攻撃を自動で回避する「《オートドッジ》の指輪」もあるのだが,個人的にはオートスローがオススメだ。
次が「《オートアタック》の指輪」で,これを装備すると,通常攻撃のボタンを押すだけで,クライヴがアビリティやフィート,通常攻撃を自動で繰り出し,コンボを決めてくれる。要はボタン連打で勝手に戦ってくれるので,これを装備すると操作量が一気に減って退屈なのでは……と思ったのだが,このオートアタック機能での攻撃は,クライヴがめちゃくちゃ“映える”動きを披露してくれる。雑なAIではなく,かなり最適化されたコンボが繰り出されるので,新しいアビリティやコマンド攻撃を手に入れたあとに使ってみると,「なるほど,そう使えばいいのか」と先生役にもなってくれるだろう。アクションに慣れているゲーマーでも,一度は試してほしい機能だ。
ほかにも,「《オートポーション》の指輪」や「《オートトルガル》の指輪」が用意されており,どちらも戦闘中の操作量を減らしてくれる便利なものとなっている。消費アイテムの使用とトルガルへの命令はボタン配置が被っていて,もう一方の操作をしようとすると一度切り替える必要があるため,どちらも手動で活用するとなると,かなり忙しくなる。そのため,どちらかをオートにすると切り替えの必要がなくなり,遊びやすくなるのだ。
ただ単に難度を下げてしまうだけでは,ゲーム体験を損なってしまう可能性がある。だが,本作のサポートアクセサリ機能は,装備を1つ変えるだけでまるで別のゲームになるかのような操作感に変化し,爽快感が得られる仕組みになっていると言える。快適かつカッコイイ爽快なゲーム性か,苦しくも達成感を得られるゲーム性かを,プレイヤーの気分次第でいつでも変更できるのは斬新だ。これが「イージーモード」などの選択でなく,装備の付け替えで手軽にできるのもいい。
アビリティ周りの取得方法についても触れておこう。本作のアビリティやフィートは,アビリティポイントを消費して習得・あるいは強化ができる仕組みになっている。おすすめのアビリティを1ボタンで自動習得する機能もあり,振り分けたポイントはいつでもリセット可能だ。ビルド要素があるゲームでは,戦術をこだわって練るのも楽しいのだが,本作ではストーリーの足止めになるような要素は極力省かれているように見える。
こうしたサポートは装備にも共通していて,装備でも「おまかせ装備」や「おまかせアビリティ」といった機能がある。
特撮映像を動かしているかのような,激アツな“召喚獣合戦”
さて,本作のアクションの見どころとして,もう1つ外せないのが“召喚獣合戦”だ。本作では,クライヴが生身で召喚獣と戦うだけでなく,スケールが段違いの召喚獣同士が戦うシーンもあり,特撮映像さながらのゲーム体験ができる。
今回のメディア用デモで体験したのはイフリートvs.ガルーダで,怪獣プロレスといった雰囲気のバトルになっている。
なお,召喚獣同士のバトルは,相手ごとに毎回違うゲームデザインになっているらしく,ほかの召喚獣とのバトルでは3Dシューティングになるなど,まったく違うものも用意されているそうだ。
つまり今回のガルーダとの戦闘も,ほかに使いまわしのない個別のシステムで展開されるのだが,手抜き感は一切なく,これ1つだけでどれだけの手間がかかっているのかと思わずにはいられない出来だった。また,ガルーダの巨大な魔法弾をイフリートの火球で相殺できたり,ガルーダを掴んで投げ飛ばしたりと,同じスケール感の召喚獣同士だからこそのロマンを感じるアクションバトルはめちゃくちゃアツい。
また,対召喚獣戦に限ったものではないが,ボスとのバトルでは,敵のHPを減らすなどの条件でカットシーンに移行する。これのよいところは,自身も敵もすべてがリアルタイム処理なので,移行する際にも切れ目がなくつながっていく点だ。没入感を一切損なわない仕様で,召喚獣同士の大迫力のバトルをさらに魅力的にしてくれる。
妥協のない,ストーリーを楽しむためのゲームシステム
本作のデモをプレイして感じたのは,FFならではのリッチな体験を広く届けるために,ゲーム内のすべてに妥協がないということだ。アクションの手触りはよく,通常のバトルから召喚獣同士の戦いまで,どれを操作していても楽しい。
そしてボス戦は,途中でスムーズにカットシーンに移行し,その後は行動パターンが変化,戦っていると次のカットシーンが始まり,さらに新たな形態に……といった具合で,次から次へと新展開が待ち受ける,ジェットコースターのような体験が詰め込まれている。
FFに期待されているストーリーは,誰でも遊べるように,装備するだけで大きくゲームシステムを変えてくれるサポートアクセサリ機能で手助けする。
プレイヤーの体験を良くするために,ハンパない開発の物量が投入されていることがすぐに感じられるほどで,これはFFのナンバリングタイトルだからこそできることだろう。
発売まではまだ4か月あるので,実際にプレイするのはかなり先のことになるが,筆者はメディア用デモをプレイしてから,本作のことばかり考えてしまっている。今後公開されていく情報も,漏らさずにチェックしていきたいところだ。
「FINAL FANTASY XVI」公式サイト
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