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[TGS2023]「GUILTY GEAR -STRIVE-」アーティスト座談会レポート。世界を構築する3名の開発者が,モノ作りへのコダワリを語る
登壇したのは「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐」(PC / PS5 / PS4 / Xbox Series X|S / Xbox One / AC)アートディレクターの坂村英彦氏と,同開発チームの背景担当アーティスト・平地史昴氏,エフェクト担当アーティストの白川靖幸氏の3名で,本作の背景やエフェクトといったビジュアル面について,開発の裏話などが語られた。
「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐」公式サイト
GUILTY GEARの世界を創るということ
開発者トークは,各々がGUILTY GEARシリーズに初めて触れた切っ掛けの話からスタートした。
坂村氏は,氏が学生だった時分,アーケードで「GUILTY GEAR X」を見たのが最初だったという。魔法と科学が入り交じった世界観とアニメ風のビジュアルに衝撃を受け,業界を目指す切っ掛けにもなったそうだ。アートディレクターとなった今でも,例えば小物であっても文化背景を感じられるようなディレクションを心掛けているとのことだった。
平地氏は,初代「GUILTY GEAR」のPlayStation版を遊んだのが最初だそうで,そのスピード感やユニークな背景美術に感銘を受けたという。氏は元々は漫画やアニメの背景を描いていた経歴もあり,本作の背景を自分が描くようになった今,魔法のある世界を表現するために,電線を極力描かないといった工夫をしているエピソードを語っていた。
一番若手の白川氏は,前作に当たる「GUILTY GEAR Xrd」(PC / PS4 / PS3 / AC)が最初のシリーズ作品だったとか。その作り込まれた世界観や手描きアニメ風のビジュアルに魅力を感じ,また学生時代にエフェクトデザインに一番手応えを感じたことから,今の仕事を志したそうである。
またMCから,デザイナーの仕事において最も大変な工程は何かと問われた3氏は,実現したいアイデアを考える“ネタ出し”が一番大変で,かつ楽しい作業であると口を揃えて回答。「物作りの根幹であり醍醐味」(坂村氏),「指示されたことを再現しつつ,アイデアを加えていく」(平地氏),「ユーザーに気持ちいいと感じてもらえるエフェクトを作りたい」(白川氏)と,それぞれの職分に応じたトークを展開した。
なお開発に先だって,デザイナーが集まって行う“夢の会”というものがあるそうで,そこで提案したものは,思い付きであっても,実際に採用されるケースが多いそうだ。その一つが前作でメイと一緒にいたラッコが,今作ではチップに弟子入りしているというアイデアだったり,ホワイトハウスステージの背景にいるロボットだったり,雷などの自然現象を伴った攻撃だったりするという。細かい部分ではあるが,いずれも本作の世界観を広げるのに一役買っている要素といえる。そうした各クリエイターのコダワリを集積して,GUILTY GEARの世界は創られているわけだ。
三者三様のコダワリと,モノ作りへの思い
お次の話題は,今作において一番大変だった要素について。ここでは3名がそれぞれ具体例を挙げながら,その苦労が語られた。
ここで声を大にして語ったのが,テスタメントの血液表現を苦労したポイントに挙げた白川氏だ。ここは坂村氏のコダワリがとくに強かったそうで,なんと1か月もの間,エフェクトにOKが出なかったといい,白川氏は笑いながら恨み節を口にしていた。
とはいえ坂村氏としては,キャラクターの魅力を伝えるため,どうしても新しい液体表現を突き詰めたかったそうで,結果白川氏は,粘性のある流体の表現を日々研究するハメになってしまった。
ちなみにテスタメントの飛び道具“グレイヴリーパー”には,小ネタが仕込まれている。この技は,消滅する直前にサキュバスに変化するのだが,その瞬間に血液が髑髏の形状になるのだ。このようなコダワリが,本作ではあちこちに仕込まれているそうだ。
一方で,やりがいを感じた要素についても,具体例を挙げつつ紹介が行われた。
坂村氏は,5月25日に配信されたDLCキャラクターである飛鳥=R♯(以下,飛鳥)を,思い出深いキャラクターとして挙げた。飛鳥は魔法使いのキャラクターだが,世界観的に得意なキャラクターであるため,火や水といった普通の魔法でいいのか,思い悩んだという。そのため,最初は物理法則を操作するような表現を考えたが,試行錯誤の末,現在のキューブ状のオブジェクトを操る形に落ち着いたそうだ。
なお,このキューブが何なのかは,前作「Xrd」のオープニング映像を確認してほしいとのことである。
続く平地氏も,坂村氏の話を受け飛鳥のステージである「ティル・ナ・ノーグ」をやりがいを感じたステージとして挙げた。スペースコロニーの中なのに,装飾は和風であったり,曲線を取り入れたデザインであったりと,さまざまなコダワリが込められているとか。背景のお手伝いロボが「GUILTY GEAR 2」からの引用だったりと,いろいろと想像できる余地も用意されているそうだ。
白川氏は,シン=キスクのバトルエフェクトへのコダワリを語った。シンの雷の表現は氏が考えたものだそうで,とくに新技であるタイランバレルはやりがいがあったそうだ。またシンは,気持ちの良いアニメーションのメリハリ(中割のツメ)を強く意識したキャラクターでもあって,思い入れが大きいとのとだった。
イベントの終わりには,MCから「モノ作りへのコダワリを一言で言い表してほしい」とのお題が投げかけられた。
白川氏は「不易流行」という言葉を挙げ,「いいものは残して新しいのは取り入れる。GUILTY GEARらしい言葉だと思う」と自身の考えを述べた。平地氏は,自身の哲学を「一工夫」という言葉で表わし,「普通に美しい背景ではなく,一工夫を入れた,味のあるものを大事にしたい」と話していた。坂村氏は,「モノ作りはモノ壊しと同じ。作っては壊しの繰り返しこそが大切だ」とし,「スクラップアンドビルド」こそがGUILTY GEARから学んだことだと語っていた。
最後に坂村氏は,「25年もGUILTY GEARが続いているのはプレイヤーの愛あればこそ。シーズン3も始まって,まだまだ新しい楽しさをお届けするべく頑張りますので,応援よろしくおねがいます」とコメントし,ステージを締めくくった。
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