インタビュー
[インタビュー]2周年を迎える「PSO2 ニュージェネシス」の“これまで”と“今後”を木村裕也シリーズプロデューサーに聞く
アップデートでは,「クリエイティブスペース」や,キャラクターの新たな表現機能「トゥーン表示」などが実装されるほか,各クラスの大規模なバランス調整などが行われる。
クリエイティブスペースは,プレイヤーごとに用意された土地に対し,整地を行ったりビルドバーツを使って建物を建築したり,家具を設置したりできるもの。ほかのプレイヤーを招くことができるなど,現在も「PSO2」ブロックで遊べるマイルームを感じさせるコンテンツだが,その内容は大きくパワーアップしている。
「NGS」のアップデートの内容は,これまで月に1度配信される公式番組「NGS ヘッドライン」で紹介されてきた。しかし,4月にはシリーズプロデューサーである木村裕也氏が,アップデートや今後の展開に対するメッセージビデオを公開。久しぶりに登場した開発陣の姿に,プレイヤーの一部からは驚きの声もあがった。
本稿では,同番組を機に表に出ることになった,シリーズプロデューサーの木村裕也氏にインタビューを実施。3年目を迎えることになった「NGS」の“これまで”と,“これから”について話を聞いた。
「PSO2 ニュージェネシス」公式サイト
「NGS」のリリースから表に出ることのなかった開発陣
4月の公式番組から登場することにした理由は
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。木村さんをはじめ,開発者に直接インタビューするのはとても久しぶりですね。「NGS」のリリースから,開発陣が表に出てくることがなくなりましたが,何か理由があったのでしょうか。
シリーズプロデューサー・木村裕也氏 |
私は「PSO2」のシリーズディレクターとして,5年ほど前までは表に出ていました。
ただ,当時のゲーム内の状況があまり良くなかったことや,その状況に対して私自身がプレイヤーとうまくコミュニケーションを取れていなかったこともあり,タイトルにとってマイナスになることを懸念して表に出ることをやめました。また「NGS」サービスイン以降は,開発のほかのメンバーも,表に出ることを控えています。
4Gamer:
番組などへの出演を望んでいたプレイヤーもいたと思うのですが。
木村氏:
応援してくれるプレイヤーも多くいたのですが,そういった方々が私に嫌悪感を持っているプレイヤーの様子を見てモチベーションを下げてしまうなど,悪影響が出てしまったので……。私自身が批判を受けるのは仕方ないのですが,プレイヤー同士は仲良くしてほしいですし。
4Gamer:
「NGS」のサービス開始以降も表に出てこなかったのは,同じ理由ですか。
木村氏:
「NGS」からは,シリーズプロデューサーとして引き続き開発チームを代表する立場を務めることになりました。本来であればそこで顔を出すべきだったとも思うのですが,「PSO2」からの流れで様子を見たかったことに加えて,「NGS」が決していいスタートを切れたわけでなく,そのまま開発や運営改善に注力していたことで,単純にメディア対応する時間が取れなかったのもあります。
4Gamer:
先日の「NGS ヘッドライン」に,ビデオメッセージという形で木村さんが出演されましたが,表に出るきっかけはなんだったのでしょうか。
木村氏:
先ほど言ったような問題もあったのですが,「NGS」以降に入ってきたプレイヤーや,3年前から始まったグローバル版のプレイヤーは,そんな事情を知らない人も多いんです。ですので,開発者に顔を出してほしいという意見も多く届くようになりました。
そこで,当初計画していたボリュームのコンテンツが配信され,初期の要望に対してもある程度対応できたということもあり,「ver.2」という新たなスタートに向けて,私が直接お伝えするのがいいのではという話になったんです。もちろん,チームとして悩んだところではあるのですが,総合的に判断した結果ですね。
4Gamer:
確かに,いいタイミングだと感じました。ヘッドラインの雰囲気も良かった気がします。
木村氏:
思った以上にあたたかく迎え入れてもらいました。また,「おかえり」や「元気そうでよかった」といった声もあり,すごくホッとしました。
4Gamer:
今後,ほかの開発者が出てくることもあるのでしょうか。
木村氏:
今回のインタビューを含め試験的なものでして,まだ何も決まっていないというのが正直なところです。開発者は,コンテンツ開発やサービス運営に集中するのが基本方針ですので。ただ,必要に応じてこのように直接お話する機会も大事かなとは思っています。
4Gamer:
ヘッドラインのほうは,これからもヒロ・アライ氏が担当するのでしょうか。
木村氏:
そうですね。ヒロ・アライは人気もありますし,今後も開発・運営チームとプレイヤーとの架け橋になってもらいたいです。ただし要所要所では,私がメッセージをお伝えすることもあるかもしれません。
2023年6月9日で2周年を迎える「NGS」
1年目と2年目の違いは
4Gamer:
「NGS」はもうすぐ2周年を迎えますが,1年目と2年目で感じることの違いはありますか。
木村氏:
正式サービス開始から半年後に配信されたリテムリージョンについては,期待にこたえるだけのボリュームがなく,プレイヤーの満足度がじゅうぶんに得られなかったという思いがありました。
そのため,1周年を迎えたタイミングのクヴァリスの配信は,リテムよりもボリュームを持たせるため,フィールドにギミックの追加なども行っています。その甲斐もあって,「リテムより良かった」という声を頂いたのですが,同時に「リテムと同じようなアップデートだった」といった反応も多かったんです。
4Gamer:
リージョンの雰囲気は大きく違いますが,ストーリーを進めた後は戦闘セクションでのレベル上げや緊急クエストへの挑戦など,プレイ内容の変化は少ないですからね。
木村氏:
物語の展開もありますので,リージョンの配信をスティアまでやるというのは最低限必要なことでした。ただ,「これをずっと続けていくのは違うんじゃないか」というのが,この1年で思っていた部分です。
またプレイヤーに対し,どのようなコンテンツを提供していくべきなのか,どれぐらいの頻度で配信していくべきなのかということも考えていました。1年目は,季節イベントに専用のクエストがないこともあり,マンネリ化もしていましたから。
4Gamer:
最近は,「PSO2」のように,期間限定クエストを用意してますよね。
木村氏:
1シーズンに複数の期間限定クエストを配信して,小刻みに新しいものを体験できるようにしています。内容も,シンプルな殲滅だったり,ギミックがあるものだったりと変化を持たせ,「何がユーザーさんに喜ばれるのか」を試しながらやっていますね。
4Gamer:
確かに,いろいろと試している雰囲気はあります。
木村氏:
最初は新鮮だった「キャノンボールランブル」のような遊びも,しばらくすると飽きられてしまいます。また配信後の反応を受けて,改善や軌道修正をしようと思っても,それが次のコンテンツに反映されるのは半年後ぐらいになってしまうこともあって,非常にもどかしさを感じるんです。
また,何も配信がない時期があるくらいなら,すぐに飽きられてもいいので何かしら小規模でもコンテンツを提供していったほうがいいと思ったりすることもあったりと。とにかく,考えないといけないことが多かったですね。
4Gamer:
この2年で,開発体制は変わりましたか。
木村氏:
まず,「NGS」サービス開始より少し前の段階で大きく変わりました。コロナ禍の緊急事態宣言によって,チーム全員を在宅勤務に切り替える必要に迫られましたから。なんとか「PSO2」のサービスを続けつつ,「NGS」の開発も進めるという体制は取れたんですが,リモートでの開発に慣れていなかったこともあり,スケジュール通りに進行できない状況が続いていました。
4Gamer:
変えたというより,変えざるを得なかった感じですね。
木村氏:
2021年は,とにかく「NGS」を,少しでも早くサービスインさせることを目標としていました。「PSO2」の大型アップデートは,すでに終了していましたし,ゲーム内に新しい要素が何もない状態でしたので,サービスを続けるには,とにかく「NGS」を形にするしかないと。
ただ,先の理由で開発が思うように進められず,プレイヤーには迷惑をかけてしまいました。
4Gamer:
サービス開始後も,アップデートのスピードは少しゆっくりでしたよね。
木村氏:
新しい開発体制に慣れるのに時間がかかったこともありますが,「NGS」の新しいグラフィックスやコンテンツスタイルに対して,「PSO2」でやってきたノウハウが,思った以上に活かせなかったのも理由のひとつです。
ただ,リテムの配信前後くらいから,徐々にリモートでの開発体制や「NGS」としての開発に慣れてきたこともあり,若干スピードが出せるようになってきたと感じました。
4Gamer:
1年目と2年目で,プレイヤーの傾向やゲーム開発への取り組み方は変わってきましたか。
木村氏:
リリース直後は,「PSO2」から続けてくれているプレイヤーはもちろんのこと,そのタイミングで復帰してくれた人や新規の人も多かったです。
意見や要望は,コンテンツやバランス,遊びの部分についてなどさまざまでしたが,多くのプレイヤーで共通していたのは,ボリュームが足りないことと,不具合が多いということでした。そのため,最初の1年はその点を直すことを目標としました。
4Gamer:
最初の1年でリージョンやクラスが追加され,ある程度ボリュームも出ましたが,2年目で要望も変わってきたのでしょうか。
木村氏:
2年目という区切りからではないのですが,「NGS」から始めた人も含め,プレイヤー全体が徐々にコア化していくなかで,ボリュームは揃ってきたけれど,コンテンツひとつひとつの満足度や,同じものを何度も繰り返し遊びたくなる“リプレイ性”が不足しているという意見をいただくようになりました。
意見だけでなく,プレイの継続率という形で見えていましたので,ボリュームを増やすこと以外もやっていかなければいけないな,という考え方にシフトしています。
4Gamer:
現在でも,新規のプレイヤーは増えているのですか。
木村氏:
はい。「NGS」サービス開始初期ほどではないですが,この1年の間も多くの新規プレイヤーにゲームを始めていただいています。とくにグローバル版は去年の8月末にPS4版がスタートしたこともあり,新規のプレイヤーがかなり増えました。
ただ,既存プレイヤーに追いつけない,ついていけないという声もあることから,プレイ序盤の改善をしたり,ローディングバナーでコンテンツの補足説明をしたりと,遊びやすくなるような調整や改善を続けています。
4Gamer:
「NGS」からの新規と,「PSO2」経験者の割合はどのくらいですか。
木村氏:
月にもよりますが,国内版のアクティブ数だと,3〜4割ぐらいは「NGS」サービス開始以降にスタートした人です。「PSO2」の頃からプレイヤーの入れ替わりがかなり進んだというのは感じていますね。
4Gamer:
新規プレイヤー獲得のため,国内でSteam版を出す予定はないのですか。
木村氏:
今のところ予定はありません。グローバルのSteam版があるとはいえ,国内用にSteam版を作るのは,それなりにコストや時間がかかってしまうので,総合的に判断して考えたいと思っています。プラットフォームが増える分,サービスイン後も開発や運営の負担が増えるので,それでもプラスになるならという感じですね。
4Gamer:
これまでのアップデートで,当初の課題であったコンテンツ不足はかなり解消されたように思います。開発として,今後の課題だと考えているものはありますか。
木村氏:
先ほどの話にもありましたが,コンテンツのリプレイ性が低いと考えているので,今後はボリュームだけではなく,長く遊びたくなるようなコンテンツを設計していくのが課題だと思います。
現在の季節イベントのように,短い期間で遊んでもらうのを目的としたコンテンツも並行して配信しつつ,繰り返し遊びたくなるコンテンツ作りを意識して設計しなければいけないなと。
今回実装される「クリエイティブスペース」は,プレイヤーの自由度も高く収集要素もあるので,リプレイ性が高いコンテンツとして提供できるのではないでしょうか。
4Gamer:
「NGS」は,キャラクタークリエイトもすごくリプレイ性が高いですね。
木村氏:
キャラクタークリエイトやクリエイティブスペースは,プレイヤーが自由に工夫して遊べるという点で共通していますね。
それに比べて,バトル関連は“一過性の楽しさ”になってしまっているものが多いことが課題だと思っています。あまりプレイされなくなったコンテンツも,工夫次第で,また楽しめるようになる可能性があると思うので,うまくアレンジしたり,期間限定イベントのような形で再度楽しんでいただけるような配信もしていきたいと思っています。
4Gamer:
クヴァリスの「エンシェントエネミー」は,以前すごくやってました。いまはレイヨルド峡江に行くこともなくなりましたが。
木村氏:
エンシェントエネミーも,攻略方法などユニークなつくりになっているのですが,結局トレンドが過ぎてそこで入手できる武器が不要になると,プレイされる機会がなくなってしまうんですよね。
コンテンツを増やしても,後々遊ばれなくなるというのはすごく非効率で,もったいないと感じています。今まではボリューム重視で考えていましたが,それだとゲームとしても蓄積されていかないので,そこが課題だと思っています。
4Gamer:
コンテンツに対してですが,プレイヤーは,やはり報酬目的で遊ぶことが多いのでしょうか。
木村氏:
勝てない敵に何度も挑戦して,やっと倒せたという面白さよりは,勝てることは前提としてどれだけ効率よくやるか,そして当たり前ですが,大変さに見合った報酬が得られるかを気にする方が多いようです。
しかし,強敵を四苦八苦しながら倒すといった楽しさというのは,ゲームとして大事だと思っているので,4月から配信されているソロプレイの「デュエルクエスト」のような高難度コンテンツも入れていきたいと思っています。
4Gamer:
戦闘面でのやり込み,達成感も大事ですよね。
木村氏:
6月にも新たなデュエルクエストを配信しますが,8月には多人数で挑戦できる,かなり高難度なクエストも用意しています。
こちらは今までにないタイプのコンテンツですので,実装後はプレイヤーからさまざまな反応や意見があると思っていますし,それを踏まえて今後どういったコンテンツを優先していくかを考えていきます。
4Gamer:
この2年のアップデートで,プレイヤーから好評だったものや不評だったものを教えてください。
木村氏:
我々が思った以上に厳しい意見を受けたのが,ストーリー要素です。お話が面白い面白くない以前に,ボリュームや密度がすごく足りない,期待していたものと違うといった反応が多かったです。
「PSO2」にもストーリー要素はありましたが,「NGS」とは違いメインのコンテンツと切り離されていたこともあり,ストーリーを進めないプレイヤーも多かったんです。
そのため「NGS」では,限られたプレイヤーにしか需要がないであろうストーリー要素は少し簡素にする方針でした。オープンフィールドやバトル,キャラクリといった進化があるなかで,開発の力を全方向に向けるのは厳しかったこともありますし。
4Gamer:
「PSO2」のプレイ状況から,ストーリー関連には開発のリソースをあまり振らなくてもいいと思ったわけですね。
木村氏:
そうなんです。ただ「NGS」をスタートしてみると,予想以上にストーリーや関連NPCの活躍を楽しみにしてくれるプレイヤーが多かったんです。そのためストーリーに関しては,元のボリューム設計が足りていなかったことと,先の理由で元の設計の配信ペースすら守れなかったことで,評価の善し悪し以前の問題があったと思っています。
リージョン開発の都合上,どうしても配信ペースが上げられないというなか,なんとかプレイヤーの期待や希望に答えたいという気持ちで用意したのが,去年の8月から配信している「ショートエピソード」です。サイドストーリー的なものですが,好評でしたので,進めてよかったです,
「NGS ver.2アップデート」について
4Gamer:
これまでのアップデートはバトル寄りのコンテンツ追加が多かったですが,「ver.2」では生活やコミュニケーション系のコンテンツがメインで実装されます。今後も,このタイプの要素を多く追加していくのでしょうか。
木村氏:
いままでは,バトル要素や冒険要素という部分を充実させるのことを最優先としていたため,非戦闘コンテンツの拡張が弱くなっていました。
「NGS」のリリースから2年経ち,バトル要素は最低限実装できたかなと思い,次に重要であるコミュニケーション系の要素などを充実させたいと考えています。
4Gamer:
最初から,2周年を目標に進めていたのですか。
木村氏:
「ポータブルホログラム」や「トゥーン表示」などは,実装時期を決めずに準備していたのですが,タイミングが合ったこともあり,まとめて実装することになりました。周年のタイミングである6月に寄っているのは,必然と偶然が重なった感じです(笑)。
4Gamer:
オブジェクトなどを設置できるポータブルホログラムは,ほかのプレイヤーからも見えるわけですが,負荷などの問題はないのでしょうか。
木村氏:
作りとしては,障子や囲炉裏といったオブジェクトを表示するロビーアクションに近いものです。もちろん描画負荷はありますが,極端に重くなったりはしないので安心してください。
4Gamer:
ポータブルホログラムを出せる数には制限があるのでしょうか。
木村氏:
1人で複数出すことはできますが,種類によってコストが決まっていて,たとえばシティやキャンプでは最大でコスト6ぶんまで同時に設置できます。コスト1のものであれば6つ,コスト3のものであれば2個といった感じですね。シティ・キャンプ以外なら,最大コストは12です。
また,ある程度離れると勝手に消えたり,たくさん置かれている場合は遠くのものが見えなくなるといった処理を行っています。
4Gamer:
ポータブルホログラムの種類はどのくらいあるのですか。
木村氏:
デフォルトで使えるものが40個ぐらいあります。あとはACスクラッチの景品として,新規で3〜5個ずつ追加していく予定です。ロビアクの配信に近い形を考えています。
4Gamer:
ゲームのスクリーンショットを撮って楽しんでいるプレイヤーも多いので,演出に幅を出せるポータブルホログラムの実装はうれしいですね。前回の,顔の向きが変わる機能なんかも好評だったようですし。
木村氏:
このようなコンテンツや機能の追加は,プレイヤーの要望の中でも早めに叶えやすいんです。バトルやクエストの改善は単純に実装難度が高く,あるプレイヤーの意見に合わせるとほかの人が不満に思うようなこともあり、ゲーム全体のバランスといった配慮も多く必要になりますから。
その点,キャラクリやUI関係の追加や変更は,改善してマイナスになる人もほぼいないので,単純にやりやすいという面があります。なので,キャラクリなどに対する意見は,できる範囲で時間がかかっても実装していきたいと思っていますね。
4Gamer:
前回の「NGSヘッドライン」では,ゲーム内の被写界深度について言及していました。NVIDIAの公式ソフト「GeForce Experience」などで,被写界深度などのフィルタを適用したSSを撮ることができますが,そういったソフトでの使用はどうなんでしょう。
Geforce Experience内の機能「NVIDIA FreeStyle」を使用した加工の例。背景をぼかし,光量も調整している |
木村氏:
ソフトに限らず,トミリングやオリジナルロゴを貼ったり,最近だとAIでアニメ調にレタッチしたりと,いろいろな加工がありますよね。
著作物利用のガイドラインに沿った上,公序良俗に反したり,加工したものを使ってグッズを作って売ったりするのでなければ,こちらから何かを言うことはありません。
4Gamer:
SNSで公開して楽しむ分にはOKと。
木村氏:
ただ,我々が開催するコンテストに応募する際には,レギュレーション内でやっていただきたいと思っています。
4Gamer:
クリエイティブスペースは,「PSO2」のマイルームと比べてかなり手の込んだ仕様です。「NGS」の開発当初から予定していた内容なのでしょうか。
木村氏:
マイルームに代わるコンテンツは実装する予定でした。ただ,「PSO2」と同じようなものですと「NGS」側に入れる意味も薄いですので,内容をしっかり考えていく必要がありました。
時間はかかりましたが,プレイヤーが想像していたマイルームに対して,いい意味で予想を裏切るようなコンテンツになったのではないでしょうか。
4Gamer:
公開された動画を見るに,期待を大幅に超えて予想以上の内容でした。今の形での実装を考えたのは,いつ頃からなんでしょうか。
木村氏:
今の形になったのは,2021年の10月くらいですね。その時期に方針を決めて,制作の過程で,コネクトシステムやキャラクターを配置する機能などを増やしていきました。
4Gamer:
「NGS」をスタートする段階では決まっていなかったんですね。
木村氏:
マイルーム的なものを,いつか入れるというくらいしか決まっていませんでした。しかし,マイルーム自体が10年以上も前のものですし,当時でもそこまで新しいシステムではないんですよね。
今は,ハウジングやクラフト要素のあるゲームが数多くあり,さらに人気も高いです。後発としては,やはりそれを超えるものを作らないといけないと思い,環境的な分析も含めて「これぐらいはやらざるを得ない」という結論になったのです。
4Gamer:
クリエイティブスペースのビルドパーツや家具の追加はどれぐらい用意されるのでしょうか。
木村氏:
ビルドパーツは,床や壁,プリミティブな立体物といった建材タイプと,「PSO2」のルームグッズの移植を含む家具タイプの2種類があります。
デフォルトでは,建材タイプが35個程度と家具タイプが数種類用意されていますね。ジェネシスポイントやSG,報酬などで入手できるものについては,建材タイプがテクスチャ替えなどを含めて80〜100個ぐらい,家具タイプは,70〜80個ぐらいを2か月に1度くらいのペースで順次配信していく予定です。
4Gamer:
マイルームのように,ステージ全体の雰囲気を変えることはできないのでしょうか。
木村氏:
最初は,エアリオを思わせる草原をモチーフとしたスペースのみですが,今後は,リテムやクヴァリスといったほかリージョン風のものも追加していく予定です。もちろん,ビルドパーツもそれぞれに合わせたものを用意しています。
4Gamer:
クリエイティブスペースは,いくつスペースを使えるんですか。
木村氏:
無料でプレイしていても,ゲーム内で300m×300mぐらいの空間が1つ使えます。プレミアムセットを購入するとさらに1つ,さらにACでも追加でレンタルできます。
「PSO2」では,プレミアムセットを購入していないと小さな部屋しか使えませんでしたが,今回は無料の範囲で同じサイズと機能を使用可能です。
4Gamer:
家具は,ルームグッズの移植もあるとの話ですが,「PSO2」のルームグッズを直接持ってこられるわけではないですよね。
木村氏:
持ってくることはできません。見た目が同じものを,クリエイティブスペース用に新規で用意している形なので。
4Gamer:
クリエイティブスペースですが,すでに機能についての要望などは来ているのでしょうか。
木村氏:
クリエイティブスペースを最初に発表したのは2022年の10月です。それから内容を段階的に発表してきましたが,それに合わせてプレイヤーからもいろいろな要望を頂いています。
ある程度予想していたものもあり,キャラクターを置く機能や作ったデザインを保存・展開できる設計図などは,6月7日の段階で実装している感じです。
4Gamer:
要望のいくつかは,すでに実装されているんですね。
木村氏:
ただ,実際に触ってもらってからのほうが,いろいろな要望が出てくると思っています。特にコネクトシステムについては,まだピンとこないプレイヤーも多いでしょうし。こういったギミックやパターンが欲しいといった要望は,どんどん送ってもらえればと思います。
おそらくこれから要望が来るであろう機能としてどうしても実装できなかったのは,アンドゥ(戻る)です。これは,複数のプレイヤーが同じ部屋を同時に編集できるようにしたことが主な理由になります。全員の動作の同期を取って,巻き戻せるようにするのは非常に難しいんですよ。これについては,先に謝らせてください。
4Gamer:
設計図は,指定した範囲におけるビルドパーツの配置を保存するものですよね。どれくらいの数が保存できるのでしょうか。
木村氏:
こちらは,現状で20個を予定しています。
4Gamer:
キャラクターのトゥーン表示についてですが,プレイヤーの要望が多かったのでしょうか。
木村氏:
プレイヤーというより,開発内での要望ですね。「NGS」がスタートしたときに,キャラクタークリエイトもかなり進化したという自信はありました。しかし,次にどんな進化をすべきかという課題が同時に発生しました。
最近はトゥーンやセルルックのゲームが増えてきて,人気もあり若い人に受け入れられていますよね。そういった状況の中,もし「NGS」で,トゥーン表示ができるようになったら凄いよねという話になったんです。
4Gamer:
「原神」や「BLUE PROTOCOL」のキャラクターがそうですね。
木村氏:
ただ,トゥーン表示には最初からそういうシステムを組んだり,モデルデータやアセットデータ自体をそれ用に作ったりすることが普通は必要です。ですので,それを想定していないモデルが山ほどある「PSO2」や「NGS」では,途中からトゥーン表示にするのは正直無理だと思っていました。
とはいえ,我々は開発者であり同時に開発研究者でもあるので,「NGS」で採用しないまでも技術的な研究はしておこうと,デザイナーやキャラクターのシステムを作っている担当者に少しネタ振りをしておいたんです。
その後は進捗もなかったですし,忙しかったので手が出せていないだろうなと思っていたのですが,突然「ちょっと出来てきたので,見てもらえませんか」と言われて,「え?」と。
4Gamer:
担当者が,かなり頑張ったんですね。
木村氏:
ええ。初期の段階でしっかりとした仕上がりでしたので,そこから製品として実装できるまでのスケジューリングを行い,結果としてクリエイティブスペースとタイミングが重なったんです。
内容的に,クリエイティブスペースと同じぐらい大きな目玉になるねということで,「ver.2」での実装になりました。
4Gamer:
こちら,キャラクターや衣装のテクスチャを別で用意しているわけではなく,プログラムでトゥーン表示を再現しているということでしょうか。
木村氏:
私も専門ではないので詳しくは答えられないのですが,「NGS」仕様の顔だけは専用に用意しています。ただ,髪型やコスチューム,アクセサリーなどのデータは用意していません。
4Gamer:
表示が適応されるのはNPCを含むキャラクターだけですよね。今後は,建物など世界にも適用できたりするのでしょうか。
木村氏:
いまのところ,予定しているのはキャラクターだけですね。フィールドやエネミーについては,それほど需要もないと思いますし,今のところは考えていません。あと,キャラクター以上に難しいんじゃないかなと思っています。
4Gamer:
自分がトゥーン表示に設定しておけば,ほかのプレイヤーもトゥーンで見えるのでしょうか。
木村氏:
描画設定のようなものなので,自分が設定すればNPCを含む全キャラクターがトゥーン表示されます。逆に,自分がトゥーン表示にしていても,通常の設定をしているプレイヤーからは,そう見えない形になりますね。
4Gamer:
あくまでも,自分から見た表示のみが変わるわけですね。
木村氏:
この仕様を発表した後に,「自分の見た目を勝手に変えてほしくない」という意見や,「トゥーン表示で調整したものが,ほかの人の画面ではそう見えないというのはどうなんだ」という意見もありました。
そのため,将来的な拡張として自分だけ適用するなど,細かな設定ができないかを検討しています。ただ,少し時間が必用になるかと。開発内では,そこまで完成させてから配信したほうがいいという話も出ましたが,それを待って何か月も遅れるよりは,まずは今の状態で実装して,プレイヤーの意見を聞きながら考えようという判断になりました。
ハルファの謎が明らかに。これからのストーリーは
4Gamer:
先日のアップデートで,ストーリーの5章が配信されました。惑星ハルファの謎が多く解明されてきましたが,プレイヤーの反応はどうでしたか。
木村氏:
過去の章と比べて,配信後の反応が一番よかったです。いろいろな謎が解けたことだけでなく,演出面においても非常に濃い内容だったと好評でした。
4Gamer:
5章までで,ストーリーのどのくらいの位置にいるのでしょうか。まだまだ序章なのか,それとも中盤なのかが気になります。
木村氏:
全体としてどこまでということはお話できないのですが,4章まではリージョンを4つ配信して,それに合わせてストーリーを展開していくことが初期設計から決まっていました。
そのため,先に4章までのシナリオや台本を用意していたのですが,5章については,「NGS」のサービス開始後,プレイヤーのストーリーへの反応や,各章ごとの配信の間が空いてしまったことによる満足度の低下を踏まえながら内容を詰めていったという経緯があります。
4Gamer:
5章は先がかなり気になる展開でしたが,次のストーリーが配信されるのはいつ頃になるのでしょうか。
木村氏:
6章の配信が,6月の「ver.2」アップデートに合わせて開始されます。ただ,これまでのように1回の配信で章が完結するのではなく,6章の1節,2節,3節といった形で,2か月に1度ぐらいのペースで小刻みに話を進めていく予定です。
4Gamer:
ストーリーにはいろいろなNPCが登場していますが,特に人気の高いキャラクターはいますか。
木村氏:
キャラクター総選挙(https://PSO2.jp/players/news/30169/)を実施していて,その結果を見るまでは明確な回答はできませんね。ただ,新たなキャラクターの情報を出したときの反応が一番よかったのは,スティアのグレンとカヌイです。
この2人は,「NGS」リリース後のプレイヤーのキャラクターやコスチュームへの反応やトレンドを見た上でデザインしたので,人気が高いのであれば,狙ってできた部分なのかなと思います。
3年目を迎える「NGS」。今後の展開について
4Gamer:
「NGS」が始まってから,いろいろなコラボが実施されましたが,今後予定しているものがあれば教えてください。
木村氏:
6月には,お馴染みとなったソニックとのコラボがあります。「ver.2」アップデートのタイミングに合わせて,有料ダウンロードパックとしてソニックの着ぐるみやクリエイティブスペースでソニックのステージに近いものが作れるビルドパーツがセットになったものを発売します。
また6月27日には,「PSO2」でのコラボイベントのような大きな装飾的なものを用意しています。ソニックのゲームをオマージュしたようなコラボクエストも期間限定で配信しますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
他社コンテンツとのコラボはどうですか。
木村氏:
「攻殻機動隊 SAC_2045」とのコラボで,ACスクラッチを予定しています。また,具体的はお話はまだできないのですが,8月以降も半年先ぐらいまで,ほぼ毎月コラボが決まっています。
8月と9月はアニメ作品とのコラボでして,とくに8月のものは,一部プレイヤーから以前より要望が来ていた作品なので,喜んでいただけるんじゃないかなと思います。
4Gamer:
ゲーム外のイベントは,何か予定がありますか。
木村氏:
去年は「ARKS EXPO 2022」という大きなオフラインイベントをやりましたが,今年は大きなものは考えていません。ただ,何か小さくてもやれないかなと検討は進めています。
4Gamer:
そうえいば,先日まで実施されていた100時間カレーとのコラボは好評でした。開始からすぐに配布アイテムなどが切れてしまったようですが,用意していた数が少なかったのでしょうか。
木村氏:
それなりの数を用意していたのですが,想像以上に多くのプレイヤーが来店してくれたようで,ご迷惑をおかけしてしまいました。
店舗に行ったものの,コラボ商品を食べられなかったり配布物をもらえなかった人もおり,大変申し訳なく感じています。
しばらくして補充ができたのと,全国規模で展開している店舗さんだったので,東京以外の地域の方にも楽しんでいただけたのは良かったなと思っています。
4Gamer:
新クラスのスレイヤーが追加され,「PSO2」にある武器種はすべて登場しました。今後,クラスや武器種の追加はあるのでしょうか。
木村氏:
スレイヤーの結果を受けて,今後どうしていくかを検討中です。まだ決まっていませんが,ヒーローのような複合職のやり方もありますし,新武器が欲しいというユーザーさんの意見もあります。
ただ,考えないといけないのは,クラスを増やせば今後ずっとメンテナンスが必要ということです。10クラスから11クラスになれば,その分開発のリソースは分散されるので,その影響も考えながら進めていく必要があるんです。
4Gamer:
既存のクラスの調整や,スキル追加についてはどうでしょう。
木村氏:
当然,そこはやっていこうと思っています。6月にも新クラススキルが追加されますし,バランス調整も予定しています。
4Gamer:
スレイヤーのPVが,かなり格好良く仕上がっていましたが,どういった経緯で制作されたのでしょうか。
木村氏:
去年にウェイカーを配信したとき,「PSO2」のサモナーから名前や見た目を変えて,ケレン味を出したつもりだったんです。
しかし,思っていた以上にプレイしてもらえなかったんですよ。一度でも触って合わなかったということなら仕方ないと思うのですが,一度も触っていないプレイヤーも多くて。
4Gamer:
意外ですね。新クラスなら,無条件でみんな触るのかと思っていました。
木村氏:
クラスの見た目や性能云々ではなく,とにかく触ってみたいとか,遊んでみたいと思わせることもすごく大事だと反省しました。そこで,同じようなプロモーションではダメだと考えて,「NGS」をプレイしていない人にも興味を持ってもらえるようなPVにしようと。
4Gamer:
コンテンツの紹介だけでなく,新規獲得にもつながるPVに,ということですか。
木村氏:
過去に実装したクラスを含め,新規コンテンツのPVというのは既存のプレイヤーに向けて丁寧に説明する内容になっており,我々が伝えたいことを伝えるためのだけのPVになっているんです。
逆に言うと,「PSO2」や「NGS」から少し離れた人や,シリーズを知らない人から見るとピンと来ない映像なので,スレイヤーのPVに関しては,幅広い層に興味を持ってもらえるような形にしたかったという意図がありました。
4Gamer:
プレイしている身ですが,いままでのどのPVより,アップデートに対してワクワクしました。
では最後に、ユーザーのみなさんに一言お願いします。
木村氏:
おかけさまで,もうすぐ2周年を迎えることができます。これまで「NGS」を楽しんでいただいたプレイヤーのみなさんに改めてお礼を申し上げます。
サービス開始からしばらくは,ご迷惑とご心配をおかけしました。まだそれをすべて払拭できたとは思っていませんが,頂いた意見を少しずつではありますが反映してきたことで,徐々に良くなってきていると考えています。また,これからも,よりよい作品作りを目指していきたいと思っています。
今回のアップデートに「ver.2」と付けたのは,新たに「NGS」を楽しんでもらえる人が増えることはもちろん,初期の頃にプレイをやめてしまった人にも戻ってきてもらいたいという気持ちから,心機一転を意識してスタートするといった意味を込めてのものです。
いま遊んでいるプレイヤーに期待してほしいのはもちろん,よければ休止している人や新規の人にも声をかけてもらって,一緒に「NGS」を楽しんでもらえると嬉しいです。
開発のメンバーも今以上に頑張り,プレイヤーのみなさんとともにゲーム内外を盛り上げていきます。3年目を迎え,さらなる進化を目指す「NGS」を,よろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
「PSO2 ニュージェネシス」公式サイト
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