プレイレポート
「テクテクライフ」CBTレポート。あの後継タイトルがついに再始動,地図を塗る楽しさに特化した内容をチェック
本作は昨年6月にサービスが終了した「テクテクテクテク」の後継タイトル。引き続き開発を手がけるゲームデザイナーの麻野一哉氏ら開発陣の手により,「テクテクライフ」として復活を遂げることになる(年内にリリース予定)。
筆者は前作となる「テクテクテクテク」をそこそこ遊んでいたこともあり,今回個人的にテスターに応募し,当選してプレイをしていたところで本稿のオファーをいただき執筆に至った次第だ。
現在の情勢下であまり遠出はできていないが,生活範囲の散歩や交通機関を使った移動だけでも,ひととおりのゲーム内容を把握できたので,そのレポートをお届けしていきたい。なお本稿では,iPhone 8にてiOS版をプレイしている。ゲームの仕様や課金における価格などはCBT時のものなので,正式リリースまでに変更となる可能性がある。その点はご了承を。
前作プレイヤーからの要望により地図を塗ることに特化し,余計な要素は排除
前作「テクテクテクテク」は,2018年11月にドワンゴが「一生歩けるRPG」として,鳴り物入りでリリースした位置情報ゲームだ。プレイヤーが実際に歩いて移動した地図の街区(がいく:道に囲まれたエリア)を塗りつぶし,アイテムなどを手に入れて,街中に存在する敵キャラクターと戦って成長していく「地図塗りRPG」というジャンルとしてサービスが展開されていた。
位置情報を利用した新作アプリ「テクテクテクテク」が本日サービスを開始。「牧場」「レイドバトル」など今後のアップデート予定も発表に
ドワンゴは本日(2018年11月29日),スマホアプリ「テクテクテクテク」の配信を開始した。本作は,スマホの位置情報を元に,プレイヤー周辺の地図の街区(道に囲まれたエリア)を塗っていくゲーム。塗られた街区はファンタジー化され,モンスターが現れたり,宝箱やゴールドが手に入ったりする冒険の舞台に変わるという。
本作はそんな「テクテクテクテク」の方向性を引き継ぐタイトルとなるわけだが,発表時の麻野氏の公式コメントには,前作の「地図をぬる(塗る)」ことの面白さが多くのプレイヤーに支持された要素だった旨が述べられていて,実際に今回披露されたCBT版は,その部分に特化したゲームデザインが施されていた。
「テクテクライフ」ゲーム画面。インタフェース以外の画面は前作とあまり変わりがない |
拡大するとマップが3Dになり,CGのキャラクターが移動している様子を見られる |
CBTでは,ゲームを最初から始めるほかに,前作のサービス終了時に手続きをして「プレイヤーID」を発行しているプレイヤーに限り,データを移行できた。データ移行した場合は,プレイヤーが前作で塗った街区が本作でも反映されるようになっている。加えて正式リリース版には前作の「プレイヤーID」で前作の塗った街区を引き継ぎ可能ということが公式にアナウンスされている。ただしCBTでのデータは正式リリース版には引き継げない。
主なゲーム画面やBGMは前作と大きく変わることはなく,当時遊んでいた人は懐かしく感じられただろう。ただしゲーム性が塗ることに特化されたため,前作の地図上に点在したモンスターや巨大なコラボキャラクターの姿はなく,バトルとそれに関連する要素もなくなり,見た目的には少々寂しくなった印象があるかもしれない。
メイン画面となる地図の上には,自分がいる現在位置にプレイヤーアイコンが表示され,その周囲にはサークルがある。サークルの範囲に入っている街区はタップすると色が変わって塗ることができ,ゲーム内ではこれを「げんちぬり」と呼んでいる。またサークルに入った街区はリアルタイムにタップをしなくても,24時間以内にタップすれば塗ることが可能で,これを「予約ぬり」と呼ぶ。「予約ぬり」があることで,常に画面を見ていなくても,ゲームさえ起動しておけば「げんちぬり」ができるというわけだ。
そんな「げんちぬり」に関連する新要素として,全国の駅やランドマーク,有名店舗などがスポットとして設定され,これらがサークル内に入ったときに「チェックイン」できるようになった。
共通する鉄道路線の駅やカテゴリ別のスポットなどにチェックインすると「スタンプラリー」のスタンプが押され,それが揃うとボーナスがもらえる。開発者の麻野氏は,自身のTwitter上で「テクテクは,思い出を残すアプリ」という旨を語っていて,このコメントから,どちらかというとプレイヤー自身が行った場所を記念に残すような意味合いが強い要素だと感じられた。
オレンジ色のマークがスポット。タップすると情報が表示される |
まだ実装されてはいないが,スポットには写真が掲載できるようだ |
スポットを巡るスタンプラリー。全国規模の範囲のものも見られる |
スタンプラリーをコンプリートするとファンファーレが鳴って知らせてくれる |
そして筆者も含め,前作の多くのプレイヤーが夢中になった「となりぬり」も健在である。こちらは塗った街区に隣接した塗られていない街区を「TTP」(テクテクポイント)を消費して塗るというシステムで,TTPさえあれば,プレイヤーが訪れていない場所も塗れるという仕組みだ。
画面上の「TTP」ゲージをタップすると「となりぬり」モードに。青い部分が「となりぬり」ができる場所だ |
フェリー航路が出ている街区を塗ると,その行く先を「となりぬり」で塗れる。遠方を塗るチャンスだ |
「となりぬり」をするための「TTP」は時間経過によるチャージや,複数の街区で構成されたエリアの「字(あざ)」を100%塗ったときに宝箱から入手できるボーナス,ランクアップ時のボーナス,そして課金アイテムの「歩行石」を消費してのチャージなどで入手できるが,前作の塗った字の数で「TTP」を含めたデイリーボーナスがもらえるという仕様はなくなってしまった。
「となりぬり」で字を延々と塗りつぶして,もらえるデイリーボーナスの量をどんどん増やすという攻略手段が成立しなくなったため,機能自体の存在意義はかなり変わった印象を受ける。
システム的には「げんちぬり」で塗れなかった場所を補完するためのサポート的な役割となったが,ある意味本来の用途に戻ったと言えるかもしれない。
「げんちぬり」か「となりぬり」で字をすべて塗ると3つの宝箱が現れ,開けると100,500,1000のいずれかのTTPを獲得できる。2個以上開けるときは歩行石が必要だ |
街区に置かれた宝箱は,開けると歩行石が手に入る |
待望のバックグラウンド起動を実装。地図を塗るのにさらに便利な機能も
「となりぬり」の使い勝手が変わった一方で,本作は「げんちぬり」に関する機能が一気に充実している。現状,備えられた課金要素はこの「げんちぬり」に関するものが多い。
中でも最重要と思われる機能が「ディスカバリー・タイム」と「ディスカバリー・コース」である。これは課金アイテムである歩行石とは別の定額購入する要素で,前者は「3時間単位」と「8時間単位」,後者は「月単位」の購入で,効果中は「サークル2倍」「ぬり残し街区の表示」「バックグラウンド起動」の3つの恩恵がもたらされるというもの。
「ぬり残し街区の表示」は,字を80%以上塗ったときに,残り20%の街区を丸印で表示するという機能で,境界線などに隠れて見づらい小さな街区や飛び地,あるいは「となりぬり」ができない街区なども視認しやすくなった。
「バックグラウンド起動」は待望の機能であり,別のアプリ起動時やスリープ時もバックグラウンドで本作が機能し,そのあいだに移動をすれば「予約ぬり」も可能となった。
これらは塗りにこだわるヘビーなプレイヤーほど便利な機能だ。月単位の購入はサブスク的な自動延長制で,値段も時間単位よりグッとお得なので,筆者はサービス開始時に使ってみようと思っている。
iOS版でバックグラウンド起動しているときは,起動中の旨が画面に表示された。万が一アプリが落ちるとこの表示が消えるので分かりやすい |
「ぬり残し街区の表示」をオンにすると,見つけづらかった小さな街区も黄色い丸印ですぐに分かる |
本作には現状,特別な効果をもたらすアイテムは存在していないが,前作のサークルの範囲を広げる「サークルスプレー」の効果に近い機能として,「サークル1時間3倍」と「ハッピーボタン」が用意されている。
前者は,1時間のあいだサークルの範囲を3倍にするというもの。使用するには歩行石を300個消費する。前述の「ディスカバリー・タイム/コース」の「サークル2倍」の効果に重ねられるので,その場合は2倍のサークルをさらに3倍した範囲になり,長距離を移動するときなどに使うことで「げんちぬり」や「予約ぬり」がはかどるというものだ。
一方の後者は,使ったその場所でサークルを5倍の範囲まで広げるというもの。効果は一瞬で,「サークル2倍」や「サークル1時間3倍」のすべてに重ねられ,最大2×3×5で通常の30倍の広さまでサークルを広げられる。
サークルはすぐに元の大きさに戻ってしまうが,広げた範囲に入った街区は「予約ぬり」ができるので,例えば「げんちぬり」をしようと思っても,サークルが届かない少しだけ離れた街区や立ち入り禁止の街区などの近くで使って,そこを「予約ぬり」できるわけである。こちらは1回使うと12時間後まで使えなくなり,そのあいだに使う場合は歩行石を200個消費する設定となっている。
最後にもう一つ,「予約一括ぬり」の機能にも触れておきたい。これは「予約ぬり」をした街区を最大10000街区まで一括で塗るという機能だ。都市部などの街区の多いエリアを広範囲で「予約ぬり」した場合の予約街区を手動で塗るのは楽しくもあるが,手間もかかり,制限時間の24時間ですべてを塗り切れないこともあるだろう。その悩みを解決するのが本機能である。こちらは歩行石ではなく,1回610円の定額購入に設定されていた。
実際に遊び続けてみると,気になるところもいくつかあった。例えば「げんちぬり」で塗ったあとの“遊び”が少ないという点だ。昨今の情勢下で遠方へと気軽に出向くことができないときに,移動範囲は必然的に自宅の近所や通勤通学先などに限られ,早々にその範囲を塗ってしまうと,もうやれることがなくなってしまう。
そのため,このままだと自宅やその周辺でアプリを起動するモチベーションが失せてしまうような気がするのだ。塗った場所を歩くと新たな効果が発生したり,塗った場所をリセットできたり,あるいはもう一度塗ったりできるような要素があればいいように思う。
それと個人的な希望として,「予約一括ぬり」は一定額でなく予約街区の数に合わせた段階で設定してほしいのと,実行したときにもっとこう,カタルシスを感じられるような,気持ちのいい演出があればいいなと思った。
ちなみに「#テクテクライフ」のハッシュタグをTwitterで検索してみると,今回のCBT参加者からの多数の感想や要望が出ている。中には共感できるものも多数あり,それらは当然開発陣にも届いているだろう。そのあたりが正式リリース版やその後のアップデートなどで,どう反映されるのかも注目したい。
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画面は開発中のものです。
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