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印刷2022/09/12 22:00

インタビュー

[TGS2022]「FORSPOKEN」開発スタッフへのメディア合同インタビュー。プレイアブルデモの話題を中心に,気になるアレコレを聞いた

 千葉・幕張メッセで,2022年9月15日〜18日の期間で開催される東京ゲームショウ2022(以下,TGS 2022)のスクウェア・エニックスブースにて,2023年1月24日にリリースされる新作アクションRPG「FORSPOKEN」PC / PS5)のプレイアブルデモが出展される。
 本稿では,本作のCoディレクターを務める寺田武史氏と,クリエイティブプロデューサーの光野雷生氏に対して行われたメディア合同インタビューの模様をお届けしよう。

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 スクウェア・エニックスの新作RPG「FORSPOKEN」のプレイアブルデモが,開催予定のイベント,TGS 2022に出展される予定だ。それに先立ち,デモを試遊する機会を得た。プレイの軸となる,「魔法パルクール」「魔法バトル」を中心に,ゲームシステムの概要とインプレッションをお届けしたい。

[2022/09/12 22:00]

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寺田武史氏
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光野雷生氏


プレイアブルデモでは,魔法パルクールと魔法バトルを体験できる


──本日はよろしくお願いします。今回プレイアブルデモを体験して,「FORSPOKEN」の見どころは魔法パルクールの爽快感だと実感しました。この魔法パルクールのシステムを作り上げるうえで,とくにこだわった部分を教えてください。

寺田武史氏(以下,寺田氏):
 おっしゃるとおり,本作の一番の特徴は魔法パルクールです。これを強く体感してもらうための世界をデザインにすることを一番意識しました。例えば,移動のスピード感だったり,高低差のジャンプ力だったり,落下したときの感じだったりといったところを軸に,アーシアというファンタジー世界を作っていったんです。とくにフィールドの広さやコンテンツ配置などの検証は,魔法パルクールのスピード感に合わせて行っています。

──以前,「世界レベルの品質のオープンワールドを目指す」といったお話していたと思いますが,「ここは本当に世界一だ」とアピールできる部分はありますか。

寺田氏:
 繰り返しですが,自分達がオープンワールドを作るときに一番意識したのは魔法パルクールの部分でした。今やオープンワールドのゲームはいろんなタイトルがありますから,自分達も日々研究していますけれども,やはりアーシアには魔法パルクールのスピード感や,魔法を使った能力などを最大限に感じてもらえるように作っています。
 そのオープンワールドの中のさまざまなロケーションに,重力が乱れて浮いている岩や,見たこともない峡谷といったファンタジーの要素を組み合わせているところが一番の特徴なのかなと。魔法パルクールの遊び場として作っているというところが,自分達の胸を張って「ここはすごい」と言えるポイントですね。

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──研究した中で,影響を受けたオープンワールドタイトルはありますか。

寺田氏:
 「Marvel's Spider-Man」や「Ghost of Tsushima」,「Horizon Zero Dawn」など,皆さんが楽しんでいる多くのタイトルを,プレイして研究しています。

──攻撃魔法も支援魔法も種類が豊富で,本作の大きな特徴になっていると感じました。こちらも,こだわったポイントを教えてください。

寺田氏:
 本作の開発にあたっては,まず魔法というキーワードがあり,そこから魔法パルクールや魔法バトルが生まれました。とくにバトルの中で一番自分達がこだわったポイントは,最初のコンセプトとした「100種類の魔法を使ったバトルシステム」です。例えば,魔法の剣を使った近接攻撃,中距離からの自動攻撃,遠距離からの狙撃といったように,距離感に応じて魔法を多種多様に使えるよう作っていますので,魔法パルクールの高速移動と,100種類の魔法を組み合わせながら戦うという2つの要素を,プレイヤーの皆さんには体験していただきたいですね。

──魔法が100種類というお話がありましたが,魔法の属性は何種類あるのでしょうか。

寺田氏:
 大きく4つの属性が存在します。その中に攻撃系の魔法や支援系の魔法,全体的な魔法といったように,カテゴリーがどんどん分かれていく形になっています。

──バトル中は,魔法パルクールを使って回避したり,ヒットアンドアウェイで戦ったりする機会が多いですよね。魔法パルクールの機動力が高いので,アクションのバランス調整するうえで,少々難しかったのではないかと感じました。

寺田氏:
 実は開発の初期段階では,魔法パルクールで高速移動する部分と,シューターっぽく狙って撃つ魔法バトルを両立させようとしていたんです。が,この2つの組み合わせが悪かったため,すごく苦労しました。つまり,フィールドを魔法パルクールで高速移動しているのに,バトルに入ると隠れながらチマチマ撃つみたいなゲームプレイになってしまったんです。
 そこで,魔法パルクールはあくまでもバトル中の高速アクションや回避アクションであると定義しました。それを踏まえて,魔法パルクール中に魔法を撃つような部分をどんどん強化して融合を図っていきました。ここはとくに自分達が注力したポイントで,大きな手応えを感じた部分ですから,ぜひ楽しんでいただきたいです。

──魔法パルクールによる移動手段ですが,高速移動に加え,特定の岩に対するワイヤーアクションや,サーフボードのようなものを使って水面を移動するようなものがあります。ほかにも魔法パルクールによる移動手段はあるのでしょうか。

寺田氏:
 魔法パルクールは,ゲームの進行に応じて新しいアクションが手に入ります。製品版ではさらに多くのアクションを用意しているので,楽しみにしていてください。

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──操作についても少し教えてください。本作では,PS5のDualSenseで言うと攻撃魔法を[R2],支援魔法を[L2]でそれぞれ発動します。スクウェア・エニックスのゲームタイトルだと,メインの攻撃はボタンに割り振ることが多いという印象があるのですが,今回トリガーに割り振った理由を教えてください。

寺田氏:
 そこは自分がこだわったのですが,まず[○]を何に割り振るかをすごく考えました。[○]は一番押しやすいボタンですから,結論として本作の一番の特徴である魔法パルクールに割り振ると決めました。
 次に魔法を撃つことを最大限に体感してもらうには何がベストだろうかと考えたときに,トリガーでショットするのがいいだろうと。そういった感じで,ゲームの特徴を踏まえて割り振っていきました。

──プレイアブルデモに触れてみて,短時間のプレイでは操作を覚えきれないと感じたのですが,製品版では段階的に覚えていけるようになっていますか。

寺田氏:
 もちろんです。今回はデモなので,ある程度いろんな要素を開放した状態で,好きに遊んでくださいという意図で,こういう仕様にしました。製品版では,ニューヨークから始まって,初めてアーシアという世界に来て,街に行って……という感じで,現実の世界からどんどん丁寧につながっていく形になっているので,魔法や技,アクションを覚えていくところも順を追って開放されていきます。そこは安心してください。

──逆に言うと,操作をすべて覚えていなくとも何とかバトルに勝てるくらいのバランスに仕上がっているのかなとも感じました。製品版ではまた印象が変わるかもしれませんが,いわゆるソウルライクではなく,もっとカジュアルな,触っているだけでも自然に格好いいアクションができるゲームというような理解で間違いないでしょうか。

寺田氏:
 今回のプレイアブルデモは,プレイヤーの経験値がゼロの状態でも楽しく遊んでもらえるように,難度をあえてイージーモードに設定していまして,簡単に遊べるバトルバランスになっています。とはいえ,オープンワールドのゲームですから,突然強い敵が出てくるといったシチュエーションも用意しているので,そこも楽しんでいただければと。
 ゲームの基本的な方向性としては格好いいアクションを気持ちよく楽しでいただくためのアクションRPGなので,おっしゃるとおりの理解で正しいです。ですがそれだけではなく,歯ごたえのある仕様もふんだんに組み込んでいるので,いろいろ探索しながら楽しんでいただきたいと思っています。

──強い敵と言えば,プレイアブルデモではエリアボスのような大きめの敵と戦うこともできました。ああいった強めの敵を倒すと,例えば称号や実績のようなリワードを獲得できるのでしょうか。

寺田氏:
 今作は,バトルのスコアシステムを用意していて,そこで高得点を狙うような遊びができます。ただどちらかと言うと,各地域にいろいろな強敵を配置するようにデザインしているので,その地域を踏破する一環として,その強敵を倒すといったような遊び方になると思います。

──アクションがそこまで得意じゃないというプレイヤーもいると思うのですが,バトル攻略上の救済措置などはあるのでしょうか。

寺田氏:
 今回,自分達が強く意識したポイントとして,アクセシビリティの設定があります。世界中の皆さんの中には,シナリオを中心に遊びたい方や,逆に目茶苦茶ハードなバトルを楽しみたい方などがいます。また移動時のカメラやキーコンフィグなどにもこだわりがある方もいらっしゃいますので,そうした皆さんが本作を全力で楽しめるよう細かくカスタマイズできる,セッティングの要素をしっかり入れて作っています。
 とくにアクションがあまり得意じゃない方に向けて,魔法パルクールや魔法バトルをシンプルに遊べる設定を用意しているので,そのあたりはいろいろ試して,ご自身のセッティングを見つけてくださると嬉しいです。
 また製品版ではハードモードにしたり,アクセシビリティの設定でダメージ計算ができたりもするので,やりこみ派もとことん楽しめるようになっています。

──今回のプレイアブルデモはTGS 2022に出展されますが,来場者に注目してほしいポイントを教えてください。

寺田氏:
 本作の一番分かりやすいポイントは,魔法パルクールと100種類の魔法を使える魔法バトルなので,そこは当然注目してほしいです。加えてLuminous Engineの特徴である圧倒的なグラフィックスも,しっかり見ていただければ嬉しいです。

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世界観やキャラクター,敵について


──今回のプレイアブルデモは,おっしゃったように魔法パルクールと魔法バトルを体験させる狙いがあるかと思うのですが,それ以外のアクティビティはどうなっているのでしょうか。例えば“人類最後の砦”と呼ばれるシパールでは,どんなことができますか。

寺田氏:
 おっしゃるとおり,プレイアブルデモはプレイヤーの皆さんに魔法バルクールと魔法バトルを一番分かりやすく伝えることをコンセプトに,ロケーションを選びました。
 そのため今回は登場しませんでしたが,シパールには生活感をしっかり感じられる広さがあって,拠点としての機能も当然あります。また“人類最後の砦”ですから,そのシチュエーションの中で暮らすキャラクターとの触れ合うところも意識しながら作っています。

──それではアーシア全体の広さはどうでしょう。例えば,プレイアブルデモで移動可能な範囲の何倍くらいになるのでしょうか。

寺田氏:
 具体的な数字までは出せないですが,自分達が意識したのは魔法パルクールを一番体感できる,一番気持ちよく楽しめる距離感でした。今回のプレイアブルデモの範囲はその中のほんの一部なので,全体としてはかなり広いと捉えていただいていいと思います。

──先日配信されたゲームプレイ紹介トレイラーでは,プレイノストやアーヴォアレットといった地域が出てきましたけれど,アーシアにはいくつくらいの地域があるのでしょうか。

光野雷生氏(以下,光野氏):
 大きく分けて,プレイノストやアーヴォアレットのような地域が4つ存在しています。今回のプレイアブルデモは,アーヴォアレットのごく一部が舞台となっており,この地域は重力が狂ってしまったがゆえに浮島があったり,水辺に代表されるように水の特徴があったりします。そういったように地域ごとに特徴があるので,活かせる魔法パルクールも変わるという遊びを入れていますので,いろいろ試しがいがあるかと思います。


── ゲームプレイ紹介トレイラーでは,アーヴォアレットに「瘴気の深淵」という,少し雰囲気の異なるエリアがあることも紹介されていましたが,そういったエリアは各地域にあるのでしょうか。

寺田氏:
 そのとおりです。そういうものが各地にあって,なかなか手応えのある敵が出てきます。ほかにもいろいろなやり込み要素が入っているので,ぜひ楽しんでください。

──地域による環境の差はどのくらいあるのでしょうか。例えば雪山があるとか,極端な例ではジャングルや水中があるといったような。

寺田氏:
 地域ごとにグラフィックスやシチュエーションが異なります。通常の天候変化はありませんが,ブレイクの濃度によってゲーム全体のシチューションが変化する,というのがコンセプトになっていて,そこが特徴になっています。

──ブレイクの影響で,同じ地域やエリアでも極端な環境の変化が起きうるということでしょうか。例えば,このエリアを最初に探索した時は晴れだったけど,次に来たときはすごい嵐になっているような。

寺田氏:
 すべてのエリアというわけではないですが,シナリオの進行によって,例えばあるエリアがブレイクに冒されてしまうといったことが起こります。そういったストーリーの展開に応じて変化する場所はたくさんあるので,ぜひ楽しんでください。

──各地域には,探索中の拠点として「巡礼者の宿」があるとのことですが,数はどのくらいあるのでしょうか。

寺田氏:
 厳密にいくつあるかは言えませんが,今回のプレイアブルデモの範囲では,1つか2つだったと思います。巡礼者の宿はファストトラベルポイントにもなっているので,そこを拠点に周囲を攻略すると,非常に効率的なプレイができる感じになっています。

──主人公のフレイと相棒のカフのやり取りが代表的ですが,全体に洋画チックな印象を受けました。

光野氏:
 とくに洋画を意識したわけではないんですが,最初にプロジェクトを立ち上げたときに,せっかく新規IPを作れるのだから全世界の皆さんに届けたいと考えたんです。そのために何をするべきか考えたうえで,我々開発チームの今までの蓄積してきた経験やノウハウと,欧米のストーリーテリングを組み合わせたらどんなものが生まれるかというところから始まった取り組みなので,そういう印象を抱かれたのかもしれません。
 あとは多分,シナリオライターが海外の作家さんなので,おっしゃるような洋画テイストが自然に入っているんじゃないかと。一方で,開発スタッフが日本にいるので,JRPGらしい要素も結構入っているので,ある意味いい感じのミックスになっているんじゃないかと捉えています。

──フレイとカフのやり取りが軽妙で面白かったのですが,2人の会話のボリュームはけっこう多めなのでしょうか。

光野氏:
 あの2人の会話は,本当にいろんな場面で出てきます。もちろんストーリー進行に応じた会話だったり,普通に探索しているときの会話だったりと,シチュエーションによっても変わります。2人の関係性は,当初お互いに軽口を叩きあうようなものなのですが,フレイが成長していくと同時に少しずつ変わっていきます。そこも見どころの1つとして,いろいろなバリエーションを収録しました。

──エラ・バリンスカさんをフレイ役に起用した決め手を教えてください。

光野氏:
 最初にフレイというキャラクターを考えたときに,彼女の性格やこういう言動をしてほしい,こういう状況ではこういう姿勢を見せてほしいといった彼女のパーソナリティーを決めました。それをベースにいろんなアクターさんと会って話していく中で,エラさんがもうその場でカチッとハマったと言いますか,本当に「あ,この人だ!」って思うくらい自然で,すごくフレイのイメージに合っていたんです。
 またフレイって,根はすごくいい子なんですけど,仮面を被っているようなところもあって,少し強がったり本音じゃない発言をしたりと繊細な部分もあるんです。そういうニュアンスも,エラさんはすごく上手に表現できるし,さりげない演技もすごく魅力的だったので,「もう彼女しかいない」という感じで決めました。

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──エラ・バリンスカさん以外にも,ジョヘッディ役にキアラ・セトルさんを起用していますよね。「こんな大物が!」と少し驚きました。

光野氏:
 シナリオライターがキャラクターを考えるとき,具体的な誰かをイメージすることがよくあるんです。とくにジョヘッディの場合は,全員一致でキアラさんをイメージしていました。もちろんオーディションもやったんですけれど,やはり彼女が一番役にハマっていて。大物を選ぼうという意図はまったくなく,キャラクターの個性を一番出せる人を選定した結果,キアラさんにお願いした次第です。

──フレイはニューヨーカーという設定ですが,ニューヨークで遊べるパートは存在するのでしょうか。

光野氏:
 ゲームは,現代ニューヨークのステージからスタートして,そのあとフレイがアーシアに転移してしまうという展開になります。したがって,ニューヨークを舞台にしたゲームプレイも存在します。

──フレイがもともと猫を飼っていたり,シパールで猫がフレイを導いたり,あるいはゲームプレイ紹介トレイラーの最後に羽の生えた猫みたいな不思議な生物が出てきたりと,本作は猫が何かのキーになっているのでしょうか。

光野氏:
 スタッフに猫好きが多いんです。最初はフレイの飼い猫から始まったんですけど,だんだん皆で盛り上がり,どんどん猫に愛を注いでいった結果,いろんな猫が作中に登場することとなりました。
 また一般的に,猫はちょっとツンデレなところがありますよね。基本的には自由に行動しているツンとしたところがフレイらしさにも通じること,そしてフレイと猫が寄り添っているデレの部分が描けるということで,猫がいいんじゃないかとなった経緯もあります。

──現在,公式サイトではフレイとカフのほかに,「タンタ」という魔女のようなキャラクターが公開されていますが,彼女達はフレイの敵と見なしていいのでしょうか。

光野氏:
 世界設定の観点から説明しますと,もともとタンタ達はアーシアを統治していた善意の魔女だったのですが,ブレイクの影響もあって今は狂気に侵された状態になっており,人々に害をもたらす存在になっています。
 フレイはニューヨークに帰るためにタンタ達と対面しなければならないストーリー進行になっていますので,彼女達は敵側だとザックリ考えていただいて大丈夫です。

──シパールの外にいる人型の敵は,ブレイクに汚染されてしまった人間だと思うのですが,彼らはタンタの手下という位置付けなのでしょうか。それとも,単に野良の敵として遅いかかかってくるのでしょうか。

光野氏:
 シパールの外にいる人型の敵は「ブレイクボーン」と呼ばれていまして,おっしゃるとおり人間がブレイクに汚染されてモンスター化してしまったという野良の敵です。そして彼らとは別に,タンタの手下である敵も存在します。

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必要な調整はほぼ終わり,リリースまで不具合を潰し,最適化を図る段階に


──スクウェア・エニックスは,「FINAL FANTASY」シリーズに代表されるように世界的なIPをいくつも抱えていますよね。「FORSPORKEN」を新規IPとして世に出そうと決めた経緯などを教えてもらえますか。

光野氏:
 Luminous Productionsを発足させた目的の1つが,世界に向けてどんどん新規IPを作っていくというものでした。その目的のもと,ゴールをスクウェア・エニックスグループの「FINAL FANTASY」シリーズや「キングダムハーツ」シリーズと並ぶ新しいIPを作ることに設定し,その第1弾として「FORSPOKEN」が生まれたという経緯になります。

──と言うことは,気の早い話ですがヒットすればシリーズ化も当然あり得ると。

光野氏:
 そうですね,我々もまだ2023年1月24日のリリースに向けて日々頑張っている真っ只中ではありますが,シリーズ化できたらとても嬉しいことだと思います。そうできるよう,まずは「FORSPORKEN」をしっかり作って皆さんにお届けしたいです。

──本作は,「FINAL FANTASY XV」(以下,FFXV)の開発スタッフが中心となって作られていますよね。両者はかなり違うゲームに仕上がっていると感じましたが,逆にFFXVから本作に継承している部分などはあるのでしょうか。

寺田氏:
 自分がFFXVから受け継いだと思っている部分は,分かりやすさです。FFXVのときに一番意識していたのは,世界中にいろんなプレイヤーの皆さんがいて,「FINAL FANTASY」シリーズを知っている人も知らない人もいる中で,ゲームの魅力を分かりやすく皆さんに伝えることでした。それは本作でもきちんと継承して,実現できていると自負しています。
 ただ本作は,新規IPということも特徴ではあるので,「FINAL FANTASY」シリーズではできなかったことをいろいろ詰め込みましたから,ぜひそこを楽しんでいただきたいです。

──魔法パルクールにしろ魔法バトルにしろ,本作の根幹には魔法があります。そういった魔法主体のゲームを作ろうと考えたきっかけを教えてください。

寺田氏:
 最初のきっかけは,やはり魔法を軸にしたゲームを新規IPとして作りたいということでした。とにかく魔法を使ったオープンワールドのアクションゲームというのが,最初のコンセプトだったんです。魔法は,自分達が今まで作ってきたゲームの中でも得意としていた部分ですから,その表現に特化して作ってみようと。

光野氏:
 世界観の観点で言うと,現代人の女性を主人公にしているので,いきなり大剣を振りまわすイメージよりは,「体は生身だけど魔法が使える」という感じのほうがプレイヤーの皆さんの共感を得やすいだろうというところも,大事なコンセプトでした。

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──その魔法主体というコンセプトに,パルクールという要素を結び付けようと考えた経緯を教えてもらえますか。

寺田氏:
 普通のパルクールのアイデアは,最初の段階からありました。パルクールという地形に対するフィールドアクションはゲームとして絶対必要だったので,最初に作ったんです。ただそれだけだと普通なので,魔法を入れることによってどう進化させられるかブレストしたりもしましたね。それで最初の試作がいい感じだったので,これをもっと押し出していこうとチーム全体で膨らませていた結果,今の形になったわけです。
 ですから,どちらかと言うと普通のアクションから,魔法を組み込むことでどんどん進化していって,魔法パルクールになったというイメージが近いですね。

──現状公開されている情報ですと,まだ育成や成長要素的なものは少ないですが,本作はアクションRPGですから,基本的には戦えば戦うほどレベルアップしていくようなシステムなのでしょうか。

寺田氏:
 もちろんそれもありますが,探索により紐付けています。世界がすごく広いので,探索すればするほどクラフトの素材や新しい装備などが手に入ります。それらを使って,クラフトなどでプレイヤー各自のスタイルに合ったアビリティなどのカスタマイズを施し成長させていくというのが,基本のゲームサイクルになっています。

──公開されているトレイラーの中に,装備を付け替えるようなシーンもありましたが,装備によるカスタマイズはシステムとして大きな要素なのでしょうか。

寺田氏:
 まずマントやネックレス,ネイルには外見が変わる要素があります。また,それらは付け替えることにより魔法が強化されたり何かしら能力が上がったりというように,純粋なRPG要素としての側面もあります。つまり,装備を付け替えることで,いろいろな局面に対応できるようになるわけです。ワールドにはいろんな装備を用意しましたので,それらをたくさん手に入れてくださると,自分達も嬉しいです。

──アーシアという世界のアートを構成するにあたって,現実世界なりファンタジー作品なり,影響を受けたものはありますか。

光野氏:
 アート関連で言いますと,アーシアのデザインは中世ファンタジーをザックリとしたテーマで始めました。アートチームのスタッフが実際にクロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナなどヨーロッパの国々をロケハンして,昔の建築物とかを見たりその場の空気を感じたりしていたので,実際に存在する建築をベースに,いろんなところからインスピレーションを受けてアーシアや本作ならではのファンタジー世界を構築していった感じです。

──アートと言えばモンスターもかなり見どころだと思います。モンスターをデザインするにあたり,こだわった部分などを教えてください

光野氏:
 我々がデザイン面において大事にしているコンセプトが2つあって,1つは「現代とファンタジー」,もう1つが「美と残酷」でした。

 前者は簡単に言うと,現代人のフレイがファンタジー世界に行くというすごく分かりやすいところですね。ゾンビや人型以外のモンスターは,もともと生息していた野生の動物がベースになっていることが多いです。我々の中での認識できる生き物──例えば,オオカミがブレイクに汚染されたことによって,どんどん凶暴化していくというところが,現代らしさとファンタジーらしさをうまく融合した側面になっていると思います。

 後者の美と残酷についてはブレイクがキーとなっていまして,ブレイクによる汚染度に応じてよってモンスター化が進行していきます。本当に怖い化け物ですけれども,1つ1つのディテールを見ていくとすごく綺麗な部分もあるといったことを意識しながらモンスターをデザインしていきました。

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──そうしたアートを確認できるモードはあるのでしょうか。

寺田氏:
 アーカイブを用意しています。アーシアは滅びつつある世界なので,世界探索することによってさまざまなアーカイブを手に入れて,この地域にはどんなキャラクターがいたのか,現在どんなもモンスターが生息しているのかなどを知ることができます。もちろん,各モンスターの細かいところまで確認できます。

──2023年1月24日発売ということで,現時点での完成度と,残り3か月前後でどんなブラッシュアップを施していくのか教えてください。

寺田氏:
 ゲームの完成度をパーセンテージなどで表すのはちょっと難しいですが,制作や必要な調整は,ほぼ終わっている段階です。ここからは不具合を潰していく一番重要なフェーズですね。いろんなプレイヤーさんがいろいろな選択肢を選んで,結果いろいろなことが起きてしまう。そこには,どうやってもさまざまな不具合の可能性が存在するので,その不具合を可能な限り潰している最中です。あとは最適化もしっかりやらなければなりません。

──最後に,「FORSPOKEN」に注目している人や,TGS 2022の会場でプレイアブルデモを触ってみたいという人に向けて,メッセージをお願いします。

寺田氏:
 今回,TGSで初めて皆さんに触れていただく機会ができたということで非常に嬉しく思うと同時に,自分自身はすごく緊張しています。当日は会場に行くのですが,どういう反応を示してくださるかすごく楽しみです。魔法パルクールや魔法バトル,グラフィックスが,プレイしてくださる皆さんに響いてくれると嬉しいと思っていますので,ぜひよろしくお願いします。

光野氏:
 このゲームは魔法の種類や魔法パルクールなど,すごく魅力的な要素がたくさん詰め込まれていますが,やはり映像や説明だけでは伝わらない部分もあるので,実際に皆さんに直接感じていただける機会が設けられて,僕はすごくワクワクしています。実際に触れて感じるものは,かなり違うと思いますので,皆さんのリアクションを楽しみにしています。

──ありがとうございました。


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