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「SCARLET NEXUS」プレイレポート。“超脳力アクション”と仲間との“絆”や“縁”を描いたシナリオが光る,正統派な遊びごたえの完全新作
「SCARLET NEXUS」の世界において,人類は二千年以上もの歳月にわたり,成層圏に広がる「断絶の帯」から降りてくる「怪異」の脅威にさらされている。国は,脳の力を引き出して戦える“超脳力者”のみで構成される「怪異討伐軍」(以下怪伐軍)を結成し,それに対抗。いつしか自然災害と同様に,対処可能な存在として認識されるようになっていた。
物語の主人公は,幼いころに怪伐軍に命を救われ,自らも志願したユイト・スメラギと,脳力の高さから軍にスカウトされたカサネ・ランドールだ。ともに「念力」(サイコキネシス)を操る2人は,怪異との戦いの中で,それぞれの戦う理由を見出していく。
軍や国の上層部が隠蔽する真実とは,人類の長い歴史に潜む謎とは,そしてユイトとカサネが持つ真の力とは──。
人類の命運を左右する事件の最中,主人公たちの秘められた過去にスポットが当てられる。
……というように,本作は独特の世界観で繰り広げられるストーリー展開が魅力の1つとなっている。設定だけ見ると複雑なSFに見えるかもしれないが,決して難解ではない。
物語の舞台となるニューヒムカにしても「超脳力で怪異と戦う者たちがいる」という以外は,現代の日本にかなり近く,都市の景観も1990年代の日本をモチーフにしつつサイバーにアレンジされている。近未来というよりもむしろ「別の世界線の日本」といった表現が正しいかもしれない。
また,怪伐軍の実力者たちが,アイドルやYouTuberのような存在として世間で注目を集めていたり,マスコミがその動向をドローンを使って取材していたり,「ブレインメッセージ」と呼ばれる「LINE」のようなアプリを末端の軍人どころか政府高官までもが(脳内で)使っていたりと,情報技術やネットワークが社会に及ぼしている影響も,どことなく現代日本に通じるものがある。
ユイトの幼馴染で明るく一生懸命な少女・ハナビ,エリートとしてカサネに強いライバル意識を持つものの,言動がツッコミどころだらけの残念な青年・シデン,若き隊員たちの優しい先生ポジション……どころか母親代わりになろうとして若干迷惑がられる小隊長・キョウカなど,主人公をとりまく仲間も,皆親しみやすい。
念力,発火,超高速……さまざまな超脳力を使って敵を圧倒しよう
本作は,ユイトとカサネ2人の主人公から1人を選んでゲームを開始する。ユイト編とカサネ編ではそれぞれ別の視点から物語が描かれるので,両方プレイすることで,より深く「SCARLET NEXUS」の世界を楽しめる構成になっている。
ストーリーは基本的に出現するロケーションを探索し,怪異を討伐していくことで進行していく。メインストーリーは複数のフェイズ(章)に分かれており,ある程度進めていくと,次の章に移るので,どうすれば先に進むのか分からないということにはならないはずだ。また,メインストーリーの合間には,クリアしたロケーションに行って怪異と戦ったり,武器やアイテムの素材を集めたりできる。
さて,“ブレインパンクアクションRPG”と謳われているとおり,本作の核ともいえるのが,念力をはじめとしたさまざまな超脳力を駆使して戦うバトルだ。
操作方法は,左スティックでキャラクターの移動,右スティックでカメラ操作,各ボタンで武器攻撃や回避を行う。
特に重要になるのは「武器攻撃」と「念力」の使い方だ。武器攻撃はいわゆる普通の攻撃で,ボタン連打で連続技を使用できる。念力は,文字通り念力を使った攻撃で,周囲に落ちているガレキや車をぶつけたり,電柱を空中で振り回して周囲の敵を一掃できたりできる。使用には念力ゲージを消費するが,遠くの敵にもダメージを与えられるし,威力も高い。
念力がヒットした直後に武器攻撃を行うと,敵との間合いが自動的に調整され,「ラッシュ追撃」が発生する。また,物理攻撃の直後に念力を使うことで,スキの少ない「念力追撃」を行える。
念力ゲージは武器攻撃をヒットさせると回復するため,2種類の追撃を連鎖させていくことで,攻撃を途切れさせることなく,スムーズに敵を倒せる。
さらに,敵は体力ゲージとは別に「クラッシュゲージ」というものを持っている。このゲージをゼロにすると,必殺の一撃「ブレインクラッシュ」を決めるチャンスが発生。
クラッシュゲージは念力による攻撃だと削れやすいが,時間経過によって回復するため,追撃の仕組みを活かして一気に減らしきるのがコツだ。
さらに敵の中には「外殻」を持つものもいて,倒すにはまず外殻を破壊し,弱点を露出させる必要がある。外殻の破壊に関しても,武器攻撃より念力が有効なことが多い。
外殻を破壊すると敵はダウンするので,一気に畳み掛けるチャンスとなる。その場にいるほかの敵の動向次第ではあるが,可能な限り攻撃を続けたいところだ。
バトルを有利に進めるうえで役立つのが,仲間キャラクターの持つ超脳力だ。ユイト/カサネは「SAS(ストラグル・アームズ・システム)」を介して味方の超脳力を一時的に借りられる。タイプを見極めて適切な超脳力で応戦すれば,すみやかに外殻を破壊したり,ブレインクラッシュを決めたりできるのだ。
使用できる仲間の超脳力の例は,以下の通り。
各ロケーションにはドラム缶や水タンクといった,敵をオイルまみれや水浸しにできるオブジェクトが落ちていることもある。「発火」や「放電」に弱い状態にできるので,発見したら使わない手はない。
なお,選んだ主人公によって同行する仲間が変化し,ストーリーの進行によってもパーティ編成が変わるため,今いる仲間の超脳力をどう活用するか考えるのが非常に大切だ。
そしてゲームが進むといよいよ自由なパーティ編成と,使用する超脳力のセッティングが開放され,スキルの習得によって超脳力を最大4つまで同時使用できるようになる。やれることがグッと広がるため,ここから一気にバトルが面白くなっていく。
例えば,姿を消した敵を「透視」で発見しつつ,「発火」「超高速」「複製」を重ねがけして一気に攻め立てる……といった複雑な戦い方も可能になるのだ。
逆に言えば,その分敵も強くなっているので,無策のまま挑むと大惨事になりかねない。各超脳力の使い方をしっかり覚えつつ進めたいところだ。
さらにゲーム中盤以降は,超脳力を使う「超脳力者」との戦いもしばしば起こるようになる。超脳力者は怪異とは異なり,スキも少なく,単なる力押しは通用しない。
相手の行動の前兆を見て攻撃を回避し,スキの長さに応じて反撃方法を変えるといったように,戦い方を組み立てていく必要がある。
超脳力者との戦いは簡単には勝たせてもらえないが,うまくこちらの超脳力を使えば,勝てない相手ではない。敵の激しい攻撃を「超高速」「透明化」「硬質化」でしのぎ,チャンスが来たら「発火」「放電」「複製」できっちりダメージを与えるという具合に,いろいろ試しながら戦う楽しさを味わえるだろう。
なお,超脳力者との戦いが増える前後で,主人公は「脳駆動(ドライヴ)」と「脳内空間(ブレインフィールド)」という力を習得する。
ドライヴはドライヴゲージが溜まると自動発動し,戦闘能力全般がアップする。ブレインフィールドは,脳力の高まりにより,周囲の空間にまで影響を与えるという技だ。短時間しか使えないが,巨大なガレキで敵を薙ぎ払ったり,多数のガレキで敵を押しつぶしたりと,圧倒的な力を発揮できる。
ドライヴは自動的に発動するため,発動タイミングを調整することは難しいが,ブレインフィールドはストックしておけるので,強力な怪異が複数出現したときや,どうしても勝てない相手を倒す"切り札"となるはずだ。
仲間と育んだ“絆”が超脳力を強くする
メインストーリー以外にも主人公と仲間キャラクターのサイドストーリーが用意されている。仲間と一緒に戦ったり,プレゼントを贈ったりすることで仲が深まり,「絆エピソード」を楽しめる。
絆エピソードを進めて「絆レベル」を上げると,そのキャラクターの超脳力が強化され,それだけバトルが有利になる。
さらに,「プロテクトビジョン(確率で発生する自動防御)」「コンビネーションビジョン(プレイヤーが任意で発動する協力攻撃)」「アサルトビジョン(仲間から呼びかけてくる協力攻撃)」といった,追加アクションも開放されていく。
これら追加アクションの有無は,ゲーム後半の戦闘の難度を大きく左右する。つまり,キャラクターとの絆を深めることは,メインストーリーを進めていくうえでもかなり重要と言えるだろう。バトルが厳しく感じるようになったら,まずは仲間たちとの絆を深めてみよう。武器やプラグイン(ステータスを補助する装備品)を整えるのも大事だが,最も優先度が高いと感じたのは「仲間との絆」だ。
もちろん,バトルで特に苦労していないのであれば,メインストーリーを追うのに専念してもいいし,仲間と絆を深めたいという人は,絆エピソードを優先してもいい。そのあたりのさじ加減は自由なので,自分のプレイスタイル相談しつつ決めていこう。
なお,プレゼントに必要な素材をドロップする敵と,その居場所は,倒したことのある相手であればメニュー画面「ライブラリ」内の「エネミー図鑑」で調べられる。
一度戦って場所さえ分かれば,いつでもワールドマップから訪れて戦えるので,あとは素材が集まるまで倒し続けるだけだ。
こうした「絆」に関する要素は,仲間とのサイドストーリーであると同時に,プレイヤー自身が超脳力の使い方に慣れていくための仕掛けとしても機能しているように感じた。お気に入りのキャラクターを戦闘に参加させ,その超脳力を活用するごとにやれることが増えていき,テクニックもキャラに対する思い入れも育っていくわけだ。
また,一部の街には,クエストを依頼してくる人物も登場する。クエストの報酬として武器やプラグインを入手できるので,仲間との絆を強化するのと並行しつつ,挑戦してみて損はない。
筆者が本作を一通りプレイして抱いた感想は「意外にも正統派のRPGだった」ということだ。ブレインパンク・アクションRPGというジャンル名や和とサイバーを折衷した尖ったデザインワークや世界観,念力を絡めたアクションで新鮮な遊びごたえを感じさせながら,「主人公と仲間が力と絆を育みつつ,強大な敵を打ち破っていく」という正統派なポイントがしっかり押さえられていたのだ。
ネタバレになるのであまり深くは言えないが,展開していくストーリーも紆余曲折はあるものの,描かれているテーマは「絆」や「縁」といった爽やかなもので,片方の主人公で最後まで遊んだ人は,きっともう片方も遊びたくなるはずだ。
サイバーパンクな世界観に惹かれた人や異能者バトルものが好きな人は刺さる作品と言えるし,プレイフィールはとても親しみやすいので,純粋にアクションRPGが好きな人でもきっと楽しめるはずだ。各ストアで体験版も配信されているので,まずはそちらを遊んでみるのもいいだろう。
「SCARLET NEXUS」公式サイト
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