プレイレポート
「アサシン クリード ヴァルハラ」,大型拡張コンテンツ「ラグナロクの始まり」先行インプレッション。“終末の始まり”をその目で確かめろ
“ラグナロクの始まり”とは?
まずは,コンテンツの名称にある“ラグナロク”というキーワードについて触れたい。神話などに深い見識のない筆者は恥ずかしながら,この単語について“北欧神話が出典で,小説やらゲームやら,ありとあらゆるコンテンツに幅広く使われている単語”程度の認識しかなかった。
しかし「ラグナロクの始まり」をプレイするにあたって,“そもそもラグナロクとはなんだ?”という疑問が湧いた。そこで,図書館で北欧神話に関する文献を漁ったりしたのだが,これを詳細に記すと,ただの「ラグナロクをライターが調べた記事」になってしまう。それでは本末転倒なので簡潔にまとめると,“ラグナロク”とは「北欧神話における神々が戦いを繰り広げた世界の終末」を意味することが分かった。一般的にはこれが転じて「終末」や「終焉」を意味する単語(もしくは響きがクールな単語)として使われているようである。
これを踏まえて本タイトルを見てみると,“神々による戦いの始まり”的な意味合いであることが分かる。ちなみに英語版のタイトルは「DAWN OF RAGNARÖK」であり,“dawn”には夜明け,始まり,兆しなどの意味が含まれる。こちらも訳せば,似たニュアンスを持つことがお分かりいただけるだろう。
さて,今回リリースされるDLC「ラグナロクの始まり」は大型の拡張コンテンツだ。価格は5280円(税込)なので,DLCとしては高めの価格設定と言えるが,“大型”を謳うだけのボリュームを期待させる。なお,スタンドアローンのDLCではなく,プレイには「アサシン クリード ヴァルハラ」本編も必須となる点には注意してほしい。
したがって,本コンテンツは「ヴァルハラ」をすでにプレイしている層が主なターゲットになっており,スタートするにはいくつかの方法がある。
まずは本編をすでにプレイしている場合。レイヴンズソープ(定住地)のレベルが3に到達すると,「ヴァルカの予言者の小屋」が建設可能になる。これを建造するか,もしくは建造済みの場合,クエスト「夢の中へ」をクリアし,戦闘力が340以上に達していると,「ラグナロクの始まり」の舞台である「スヴァルトアルフヘイム」へアクセスできる。戦闘力が340に達していないときは,進行ブーストを使用することで,エイヴォルと装備が強化されてアクセス可能になる仕様だ。双方とも拡張コンテンツでの進行は本編で反映される。
本編をプレイしていない,居住地レベルが3に達していないものの「ラグナロクの始まり」をプレイしたい場合は,ニューゲームを選択することで「ラグナロクの始まり」を始められる。この場合は拡張コンテンツでの進行が本編に反映されないものの,戦闘力340と相応の装備を携えてスタートできる。
いよいよコンテンツの内容に迫っていくが,ネタバレを避けるため,システムの紹介に焦点を当てている。ただし,序盤のストーリーに触れる部分もあるので,その点をご理解いただきたい。
物語はエイヴォルが見る幻視から始まる。その内容は「オーディン」の息子である「バルドル」が不死身の炎の巨人「スルト」に囚われてしまい,救出しようとするものだった。エイヴォルはヴァルカを訪ね,「ハーヴィ」として神話の世界に赴くことに。そのため,ひとまずは“息子を救うため”に奔走することになる。北欧神話におけるオーディンは戦と知恵の神であり,ハーヴィは“高き者”を意味するオーディンの数ある別称の1つだ。
こうして神話世界へと身を移したエイヴォル(ハーヴィ)だが,相手は“不死身の炎の巨人”スルト。ハーヴィと言えど簡単に戦いを挑める相手ではなく,さらにスヴァルトアルフヘイムはスルト率いる「炎の巨人の戦士」の軍勢によって荒廃しており,街は滅んでいる有様だった。文字通りの一匹狼になりかけたハーヴィだったが,とある出来事がきっかけでドワーフの「シグルン」と「ハルステイン」に出会い,彼らに助けられることに。そして2人から「魂剥ぎ」という名前の篭手を託される。
炎の巨人の戦士によって追われたドワーフたちは山奥に隠れ,小規模なコミュニティ「隠れ場」に身を隠し,“他の隠れ場がどこにあるのかも分からない”ほどの徹底した隠密生活を送っていた。最初に出会うことになる隠れ場の長「ブルッド」は,「スヴァルトアルフヘイムをドワーフの手に取り戻す」ことを望んでおり,ハーヴィは「スルトから息子を取り戻す」ことが目的だ。共通の敵であるスルトを打倒するために2人は協力することに。そういった経緯を経て,ハーヴィはスヴァルトアルフヘイムを駆け巡ることになる……というのが大まかなストーリーだ。
“ラグナロクに備えよ”。「スヴァルトアルフヘイム」を駆ける前に
序盤のストーリーを軽く紹介したところで,ドワーフの2人から託される魂剥ぎを紹介しよう。これは倒した敵の力を引き出し,己のものとするアイテムだ。ゲーム的に言い換えれば“特性”的なものを得られるようになる。
例えば炎の巨人の戦士から力を剥いだ場合,「ムスペルヘイムの力」が腕輪に宿る。この力をひとたび発動させれば,効果時間中は溶岩,火,爆発によるダメージを完全に無効化し,さらに擬態も行えるので,敵(炎の巨人の戦士)を欺くこともできる。
この力はスロット式で,初期は1つ,アップグレードによって2つまで得られるようになる。それぞれ任意で発動が可能だ(1度剥いだ力は永久に使えるようになる)。だが,使用には制限があり,「敵を倒す」「魂の花から回収する」といった手段で魂をチャージしておかねばならない。いつでも使えるわけではないが,効果は強力なので,“ここぞ”という時に使っていこう。
また,マップ上のアクティビティ「ミルナの襲撃」を行うと,新しい素材である「シリカ」が入手できる。このシリカと特定の素材を集めると,魂剥ぎのアップグレードが可能になり,効果時間の延長,追加効果などを得られる。アップグレードは後述する隠れ場の鍛冶屋に話しかけることで行える。
魂剥ぎの力は敵との戦闘を有利に進めるだけではなく,ゲーム内のギミックをクリアするのにも必要だ。ムスペルヘイムの力を使えば溶岩から受けるダメージを無効化できると前述したが,これを用いて溶岩地帯を突破しないとアクセスできない場所もあり,“パズル”的な要素も組み込まれている。さまざまな力を回収,利用して冒険に役立てていこう。
スヴァルトアルフヘイム各地には,ドワーフのコミュニティである隠れ場が存在する。ここでは鍛冶や商人などのサービスが利用できるのだが,隠れ場は自力で探し出す必要がある。自力で探し出すと言っても“大まかな位置”は把握でき,隠れ場付近の土地にはドワーフが設置した目印も置かれているので発見は難しくない。1度でも到達すれば高速移動(ファストトラベル)が可能になるので,どんどん各地を探索していこう。
そして探索の道中,危機に陥っているドワーフを発見することがあるかもしれないが,ぜひ手助けしてあげて欲しい。彼らは命を救ってもらった恩として,救出地点より最寄りの隠れ家へ逃げ込んだ後に謝礼を用意してくれる。
「ラグナロク」と「始まり」の物語
ここまではスヴァルトアルフヘイムへ飛び立つ前の予習的な情報を記してきたが,プレイ後の筆者の感想もお伝えしたい。
先にも触れたがゲームボリュームはたっぷり。すでに「ヴァルハラ」をプレイしており,更なるコンテンツを欲していたプレイヤーにはこの上ない“ご褒美”ではないだろうか。その世界を味わい尽くすとなれば優に30~40時間はかかるだろうし,ひとまずストーリーを楽しむと言っても相当の時間を要するだろう。
個人的には「まるっきりゲームが変わります!」のような内容でなかったことも嬉しい。たしかに冒険の手助けになる新要素はあるが,雄大なストーリーと世界で自由な冒険を楽しむという「アサシン クリード」シリーズの哲学は失われておらず,「フィクション,史実,神話の融合」と「拡張コンテンツとしての追加要素」のバランスを綺麗に落とし込んできたという印象を受ける。本コンテンツプレイ後も変わらず「ヴァルハラ」はプレイできるし,その光景は変わらない。加わるのはセーブデータと,プレイヤーの記憶である。
そして何より,“世界を駆け抜けるだけで楽しい”のは大事なことだと思う。ただ,5280円(税込)という価格はボリューム相応とはいえ決して安くないし,普通にゲームが1本買えてしまう金額。それでも,プレイしていると「気づけばこんな時間になっていた」となるのは,“ボリューム”だけでも,“追加要素”だけでも,“世界観”だけでもなく,すべてが高いバランスでまとまり,“始まり”に相応しい作品に仕上がっているからだろう。
最後になるが,本コンテンツで「北欧神話」について興味を抱いたら,ぜひいろいろと調べてみることをオススメしたい。一概に「北欧神話」と言ってもさまざまな伝承や説があり,それらを比較したり(もちろんゲーム内と照らし合わせてみるのもいい),考察してみるのも面白いのである。また,もし「ヴァルハラ」本編をプレイしていないのであれば,ぜひプレイしてほしいし,本編に登場する「ヴァイキング」に関連する書物も漁ると,よりゲームを楽しめると思う。そこには好奇心を限りなく刺激する,古からの贈り物が宝石のように詰まっているのだから。
「アサシン クリード ヴァルハラ」公式サイト
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