プレイレポート
終末世界の農家は超激務。ローグライクなファーミングアクション「Atomicrops」の日本語版を先行プレイ
パッケージのアートワークやタイトル画面からも異様な雰囲気が漂ってくる本作は,アメリカのBird Bath Gamesが開発する,ローグライク要素を持ったファーミングアクションゲームだ。プレイヤーはポスト・アポカリプス世界の農家となり,異形のミュータントと戦いながら,ドギツイ色合いの作物を育て,過酷な環境を生き延びることになる。スローライフとはかけ離れた“超ファストライフ”な終末世界での農家生活が楽しめるAtomicropsのプレイレポートをお届けしよう。
「Atomicrops」公式サイト
スローライフの夢は爆風の中に消え去った
残ったのはミュータントと不気味な作物!
Atomicropsの主人公(プレイヤー)は,祖父から農場を譲り受けた若者だ。都会の喧騒から離れた土地で農業を営み,作物を育てながらスローライフを満喫する……そんな有名牧場シムの主人公のような生活が始まるかと思ったそのとき。仕事を開始する直前に遠方で,大爆発とともに巨大な雲が立ち上り,爆風が農場を襲った。
地下に掘られたハッチ付きの穴の中にいたため命は助かったものの,この爆発によって農場の周囲の風景は一変。異形のミュータントと略奪者が跋扈する終末世界になってしまった。
プレイヤーの目的は単純明快。それは,汚染された土地で畑を耕して作物を売り,土地を襲うミュータントを撃退し,少しでも長くこの終末世界を生き延びること。1日の流れは,フィールドを探索して見つけた種やアイテムを使って畑の世話をする「朝」と,畑を荒らすミュータントを迎撃する「夜」という前後半に分かれており,これを繰り返すことでゲームが進行していく。
夜の襲撃を生き抜いた後には,次の仕事が始まる前に「街」を訪れて各種アイテムを購入できる。基本的にゲーム内の時間はリアルタイムに進み,夜に発生する襲撃はどんどん激化していくので,作物を売って手に入れたお金を使って武器やアビリティを強化し,襲撃に対抗できる戦力を整えていかなければならない。
シーズンごとに十分な作物を収穫すると,町長「豊饒のツノ」というアイテムがもらえ,これを使うことで自身のステータスをアップさせたり,家屋をグレードアップさせたりできる。1回のゲームで一定以上生き延びると,通常とは異なるアビリティを持ったキャラクターが開放されることも。育て上げたキャラクターはもちろん,新たなキャラクターでも過酷な農家生活に挑戦してみるといいだろう。
冒頭でお伝えしたとおり,本作はローグライク要素のあるゲームとなっており,体力が0になったら進行状況がリセットされてリスタートとなる。リスタートとなった際の引き継ぎ要素と呼べるものが少なく,ポップな見た目に反してなかなか硬派な作りとなっているのが印象的だ。
種がなければ奪えばいいじゃない!
時間を節約し,効率的な発展と成長を目指せ
ここからは,朝と夜それぞれでできることや“やるべきこと”や,インターバルとなる街での行動をとおして,終末世界の農家生活の暮らし方を紹介しよう。
●朝(リアルタイム:2分間)
ゲームを開始すると朝になり,プレイヤーは自分の農場に放り出される。まずは手持ちのツルハシを使って畑を耕し,最初から農場に用意されている種を蒔いて,水をやれば時間経過で作物が育っていく。放置していると畑周辺に雑草が生えて作物の成長を阻害するので,マメに取り除いてやろう。
ちょっと作業量が多いように感じるかもしれないが,本作では「畑を耕す」「種を蒔く」「雑草を刈る」といった動作を“農作業ボタン”1つで実行できるほか,水撒きに至っては井戸で水を汲んだ後に畑の近くに立っていれば勝手に実行される。最初はボタンひとつが持つ役割の多さに戸惑うかもしれないが,慣れればかなり手早く農作業をこなせるようになるだろう。
作物を収穫すれば自動的に換金されるので,どんどん新しい種を撒いていきたいところだが,種は基本的に使い切りなので初期から持っている種はすぐになくなってしまう。
ではどうやって新しい種を入手するのか。その方法はシンプルだ。農場の外を探索して敵を銃で倒し,ドロップした種を拾ってくればいい。
フィールドは農場を中心に東西南北に広がっており,各所にはミュータントが守っている野営地が存在する。野営地内のモンスターを撃破すると新たな種がドロップするほか,全滅させれば特別なアイテムを獲得できる場合もあるので,発見次第ガンガン破壊していこう。
畑に配置すると自動で敵を攻撃するタレット,農作業を手伝ってくれる家畜,使い切りだが強力な効果を発揮するスクロール(巻物)など,野営地を制圧した際に得られるアイテムの種類はいろいろとある。畑仕事の時短につながるアイテムが多いので,種を確保してもすぐには農場に戻らず,可能なかぎり野営地を制圧しておくのがオススメだ。
倒した敵からはピンク色の肥料が手に入る。作物に肥料を使うと完成時の売値が上昇するので,フィールド探索から帰ってきたら忘れずに使おう。同じ種がスクエア状(2×2マス)に撒かれている状態で肥料を与えると作物同士が合体してさらに価値が上がるため,種を蒔く位置を意識すると効率よくお金が稼げるようになる。
●夜(リアルタイム:2分間)
夜に入るとBGMが変化し,畑の周辺に大量のモンスターが出現するので,農場に戻り畑の防衛にあたろう。
防衛の際,とくに注意すべきなのが近距離攻撃型のミュータントだ。このタイプのモンスターが畑に到達すると,すでに実っている作物が食い荒らされるだけでなく,畑を耕す前の状態までリセットされてしまう。そうならないためにも,近距離攻撃型ミュータントは優先して倒すべきだ。
夜は防衛一辺倒ではなく,朝と同じく農作業が実行でき,また作物自体も朝と変わらずに成長するため,畑を守りながらも作物の面倒もみなければならない。防衛に専念すれば襲撃をさばくこと自体は難しくないが,効率よく作物を育てるためには襲撃されている最中も農作業をしないと時間が足りなくなる。つまり“いかに畑を防衛しつつ畑作業にも時間を使うか”が重要となるわけで,このバランスが絶妙だ。
収穫から種植えまで全部こなしながら戦うのは容易ではないが,これをやり遂げた一夜は格別なものがある。例えば「戦闘中はとりあえず水撒きだけは済ませて,それが終わったら収穫しよう」というように計画を立てて進めれば,それほど難しい操作を求められることはない。農場や作物の状況,襲い掛かってきた敵の数や種類などを見極め,最適な行動を選択しよう。
夜の襲撃は回数を重ねるごとに激化していき,画面右上に表示されたカレンダーがすべて埋まるとボスが出現する。このボスは単体ではなく,ほかの敵に紛れて現れるので,ボスが登場する日までに防衛の設備や装備を整えておかねばならない。ボスを被害ゼロで撃退するのは容易ではないので,貴重な種は植えずに温存するのも選択肢のひとつだ。
●街(時間無制限)
夜の作業が終了すると農場にヘリが到着し,生き残った人々が住む街へと連れて行ってくれる。ヘリでの往復と街での滞在時は時間が経過しないので,休憩しつつ次の朝が来る前の準備を整えよう。
街にはさまざまなショップが展開されていて,作物を収穫して入手したお金や,畑で栽培できる特殊な作物「バラ」を消費して種やアイテムを購入できる。
農場で得た各種のリソースをどこに投入するかは,本作の中でも悩ましい意思決定のひとつだ。とくに種やアイテムとの交換,プレイヤーの体力回復などさまざまな使い道があるバラの使い道には迷わされることになるだろう。
ボスを撃破すると季節が移り変わり,街でお祭りが開催される。お祭りの会場では,これまでに収穫した作物の量に応じた報酬が手に入るだけでなく,お祭り限定の豪華なショップもオープンするので,ボス撃破までお金を貯めておくのもアリだ。
やることは多いがゲームの基本構造はシンプルにまとまっている。チカチカするようなドギツイ色合いと独特なアートワークといったビジュアル面に目を奪われがちだが,ゲーム自体はしっかりと作り込まれており,かなり遊びごたえのある作品だ。
また,フィールドに出現する種やアイテム,街に出現する住民などは,新たにゲームを始めるごとにランダムで変化するので,遊ぶたびに新鮮な気持ちで楽しめるのではないだろうか。毎回異なる環境で新たな戦略を練り,手持ちの資源をやりくりするといった“ローグライク感”を求めている人にも,胸を張って勧められる。
朝と夜の時間が短めに固定されているため,1プレイの時間が短く済む手軽さも魅力のひとつ。短時間で密度の高い体験を求めている人は,本作をプレイしてみるといいだろう。
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Published in Japan by EXNOA LLC 2020 Copyright 2020 Raw Fury AB. All Rights Reserved.
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