プレイレポート
あなたには助ける理由がある。スマホ版「htoL#NiQ -ホタルノニッキ-」を遊びましょう
暗い廃墟の底の底。「ミオン」が目を覚ましたのはそんなところでした。なぜこんなところにいるの? ミオンにはなんにも分かりません。
ミオンがとまどって震えていると,「あなた」がやってきました。暗闇を照らす光に安心したのか,ミオンはあなたについてきます。
ホタルのあなたは思いました。ミオンをここから連れ出してあげよう。わたしにはこの子を連れていく理由があるから。
ですが,ここは暗い廃墟の底の底。崩れたガレキも,壊れたキカイも,1人の少女と2匹のホタルのゆく道をいつだってジャマします。
ミオンの手すら引けないあなたは,光で導こうとします。必死になって。懸命になって。それはかんたんなことじゃありませんでした。
まって。そこはアブないよ? ほら,また,ミオンが――――。
ようこそ,暗い廃墟の底の底へ
みなさん,こんにちは。本日は日本一ソフトウェアが配信しております,スマホ版「htoL#NiQ -ホタルノニッキ-」(iOS / Android)をご紹介いたします。本作は2014年にPlayStation Vita向けに発売された,同名タイトルのスマホ版となります(PC版もSteamで販売中です)。
このゲームは,廃墟から少女を導く横スクロールアクションです。後に続く「ロゼと黄昏の古城」や「void tRrLM(); //ボイド・テラリウム」など,幼い少女をひどい目にあわせるゲームなら日本一,ゲームディレクターの古谷優幸氏が描く,柔らかで残酷な世界のお話なんです。
この世界には,ツノの生えた少女「ミオン」がいます。彼女は貧弱で,弱虫で,無力です。当然,ひとりではなんにもできません。
そこに,あなたもいます。あなたは光を放って闇を照らす「ホタル」,モノの影に潜って仕掛けを動かす「影ホタル」として,ミオンを廃墟から脱出させます。ホタルのあなたには,それしかできません。
あなたはミオンを動かすのではなく,ミオンに動いてもらえるよう,行動しなければなりません。ミオンに危険が差し迫っても,手を引いて走ることすらできないあなた。なんて無力な存在なのでしょう。
ホタルのあなたは「画面を指でなぞる」と飛んでいきます。するとミオンは,あなたがいる場所までトコトコと歩いていきます。夜道のまばゆい街灯のように,あるいは夜中の自販機に集うあなたの親戚のように,ミオンを安全な道に誘いながら,先へ,先へと進んでいくのです。
キャラクターを操作できない代わりに,キャラクターを一所懸命に誘導する。「ぐっすんおよよ」の現役プレイヤーなら余裕ですね。
ときおり,ホタルにはどうしようもない道もあります。そんなときは,もうひとりのあなたである,影ホタルの出番です。
画面右上のアイコンに触れると影の世界に入ります。脆く儚いオブジェクトの影を伝い,あやしげな場所を探しましょう。
先に進めなくなったら,まず影を疑いましょう。影から影へと移動し,「扉を開けるレバー」「壊れそうな留め具」を動かすのです。進むべき道が分からなくなったときは大体これが解決策です。
ホタルに導かれるミオンの姿は,まるでピクニックをしているかのように微笑ましいですが,残念なことにこの世界は命を冒涜します。
巨大な歯車,切り裂くノコギリ,圧し潰すプレス機,命を食らう影のバケモノに,人類が安寧のために生んだのでしょう,歪な機械のガラクタ。それらは意志の有無などかかわらず,あなたたちを襲うのです。
はさまる。きられる。つぶれる。くわれる。やかれる。長いこと役割を忘れていた古い足場からも,何度となく落ちてしまうでしょう。
なんて,ひどい世界なのでしょう。どうしてこんなことになってしまったのか。それは今のあなたには分かりません。ですが,そこら中に散らばっている「記憶のカケラ」をのぞけば,少しくらい分かるかも。
少女と両親と犬のありふれた生活。とても大きな筒が,どこからか飛んできて,大きく真っ黒な雲になったというニュース。回想に言葉はありませんが,言語以上に物を言う表現手段なんていくらでもあります。
ちょっと,ほんの少し,わたしたちの世界の話もしましょうか。
本作は元々,PS Vitaの斬新な画面タッチ機能を用いたゲームとして生まれました。すでにハードの生産も終了しているものですから,個人的にぶっちゃけますが,PS Vitaのタッチ機能は可もなく不可もなくといった印象で,さらに言うと背面タッチ機能など,ゲームのオプション画面でOFFにできるのならOFFにしてしまうくらい,わたしにはスマートに活用できない代物でした。あくまで個人的にと念押ししておきますが。
当時の携帯ゲーム機の遊び方としては魅力的でしたが,本作は少しばかり「操作につらいものあり」だったのは確かです。ミオンに動いてもらうのは及第点としても,箱の乗り降り,クリックポイントのタッチなどは精度が「うーん」で,なによりPS Vitaの画面を指でなぞると,キャラクターやギミックの姿が見えなくなり,あら大変。そこはスマホもあまり変わりませんけど。こういった操作面は「たどたどしい少女に一筋縄ではいかないコミュニケーションでどうにか分かってもらう世界観作り」としては素晴らしいものの,美術と体験が両立していたかというと,ね?
※後々のアップデートにより「十字キー操作の追加」もありましたが,想像以上に「これではまるで十字キーで絵画を描かなければならない試練のようではないか」といったように,直感的操作とは対極にある仕様であったために,個人的にはこちらも擁護しづらく。
それがどうですか。時代が変われば,ハードも変わる。今このスマートフォン時代になって,この作品は“タッチして遊ぶことが自然なゲーム”になりました。わたしの意識が追いついたのか,いたって普遍的な遊び方に感じられます。操作面の精度は相変わらずではあるものの,「誰かになにかをしてほしい」そのときの意外な困難さを演出していると思えば,ゲームから生じるストレスは許容の範囲に収まっている気がします。
なにより,ミオンはたくさんしにます。いっぱいしにます。そのたびに直前からやり直して,すぐさま違うやり方を試す。トライ&エラーの優れた快適性はそのままなので,何度だって気軽にしねます。基本的にパズル部分は難解ではありませんが,「その一瞬でどうにかしないと絶対しぬ」のパターンが多いため,反射神経と判断能力を試されるアクション的脳トレにズブズブはまっていきます。人によっては「クリアしとかないとなんか気持ち悪い」の気持ちで最後までやってしまうことでしょう。
ただし,収集要素である記憶のカケラをすべて集めようとなると,シューティングゲームのように記憶し,リズムゲームのように指を運び,レースゲームのようにコンマを刻む,物語の背景に合わせるかのようなストイックな気分で挑戦することになるのでオススメはしません。
さらに大切なお知らせです。はじめて遊ぶ人はそのままで構いませんが,遊んだことがある人,もしくはクリアを諦めた人は,絶対に,スマートフォン用の「タッチペン」を用意しましょう。用意しなさい。
本作はステージクリア型のゲームですが,一部のステージギミックがすごいです。そうとしか表現できないくらい,すごく難しいところがあります。道を,棒が,壁で,電気に,プシュ! っとなる場所とかがです。それらは偉大なるタッチペンさまの存在で克服されました。画面があまりに小さすぎるスマホでもないかぎり,指だと100回死んでもクリアできない場所も,タッチペンだと1回でクリアできてしまうくらいです。
もちろん個人差はあるはずと申しておきますが,それくらい簡単になります。通常操作も指よりよっぽど精度が高く,デリケートな部分だって繊細にタッチできてしまい,暇なときはホタルをぐるぐる飛ばしているだけで楽しめます。経験者はタッチペンを光の剣としましょう。一応,初心者の方々にもオススメしたいのですが,できればどうぞ,わたしどもが過去に味わった痛みも含め,オリジナルの体験を楽しんでください。
ボリュームはそれほど大きくなく,棒にどれだけ引っかかるかで変動するものの,クリアするまでのプレイ時間もさして長くはない。ひとめで分かる美術性の高さはわざわざ解説せずとも,きっとあなたがその目で感じているような,退廃的な魅力をじっくりと堪能できるはずです。
光と影のアクションゲーム「htoL#NiQ -ホタルノニッキ-」は,App StoreとGoogle Playで1960円(税込)で配信中。あなたもどうぞ,暗い廃墟の底の底で,幼いミオンの光と影になってあげてください。とっくに終わってしまった世界の末路に,あなたの理由が待っています。
まさかとは思いますが。こんなにもか弱い少女を,こんなところに置き去りにして見過ごしておける,そんなあなたではないですよね?
「htoL#NiQ −ホタルノニッキ−」公式サイト
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