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レトロンバーガーOrder 35:Atariが「PONG」や「Missile Command」の新作を出すから家でPlayStation卓球してろ編
手軽に楽しめるスポーツ,卓球。あまり運動に縁のないゲーマーでも,学生時代は卓球部だったという人は少なくありません。
4Gamer読者にも卓球部員として活動し,オオクワガタを採りに行って人骨を発見したり,死ね死ね団を結成してパンダカーにニケツしたり,「ルパン・ふじ子ちゃんゴッコ」をやったり,短パンから何かをはみださせることで相手の隙を作ってサーブを打ったり,はみださせると見せかけて尻で割り箸を折ってサーブを打ったり,そんな日々を送った人がいるのではないでしょうか。筆者は「行け!稲中卓球部」以外の卓球知識がありませんが,たぶんどこでも似たような感じでしょう。
卓球のゲームと言えば,Atariが1972年にリリースして,“商業的に成功した初のビデオゲーム”となった「PONG(ポン)」ですね。近年はカナダのUNIS Technologyによって「ATARI TABLE PONG」が制作されて,加賀アミューズメントが輸入,タイトーが販売していたりもします。お値段は59万1800円(税込)。基本的にアミューズメント施設向けの業務用機器なので価格は張りますが,頑張れば庶民でも買えなくはない! 頑張るところがそこで良いならば!
そんな「PONG」の新作,「PONG Quest」(PC / PS4 / Nintendo Switch / Xbox One)が2020年3月31日にAtariから発表されました(関連記事)。今回は今春リリースの予定だという,本作でやっていきましょう。
ワンス・アPONG・ア・タイム・イン・アメリカ
本作は,危機に瀕した「PONG」の世界を救うため,勇敢な若きパドルが「Asteroids(アステロイド)」や「Centipede(センチピード)」などの旧Atari(※)タイトルに基づく危険なダンジョンを冒険していくRPGとのこと。トレイラーには「Breakout(ブレイクアウト)」に基づいたステージも見られますね。……にしても,パドルって生き物だったのか。
※一部権利は継承しているが,旧Atariと現Atariは別法人。ちなみに現在,旧Atari Gamesタイトル(「ガントレット」など)の権利を有しているのはWarner Bros.グループ。
これがオリジナル版「PONG」のパドル(「Atari Vault」収録版)。アップにすると,もはや何なのか分からない |
こちらは「PONG Quest」のオシャレなパドル。カ〜ワイ〜 |
このパドルはプレイヤーのアバターでもあり,衣装やアクセサリーで着せ替えできるとか。「着せ替えできるパドル」って世界初でしょう。ていうか,日本人的な感性だとパドルをキャラクターとして,まず見ないじゃないですか。だからタイトーは「アルカノイド」で宇宙船(バウス)ということにしたり,同じくタイトーの「プチカラット」やキッド販売/ビスコ開発の「ぶろっけん」では魔法っぽいファンシーな何かにしてみたり,カネコの「さるかにハムぞう」はカニのハサミを頭の両脇に付けたサルが棒を持っていたりしたのに,Atariは全然平気。パドルをパドルのままキャラクターとして扱っている。スゴい。ヤバい。とにかく皆さん,Atariのヤバさをもっと知るべきだと思います。Atariヤバい。
キャンペーンモードのほか,最大4人でのマルチプレイも可能。「PONG」で4Pとなると,まず「Pong Doubles(ポンダブルス)」的な2vs2ルール,あるいは「ATARI TABLE PONG」の派生製品である「Atari Pong Knock Out」のようなデスマッチ形式が思い浮かびますが,フィールドの四隅に各プレイヤーが配置される「Warlords(ウォーロード)」ルールも期待したいですね。
地獄のMissileコマンド
また,Atariは「Missile Command: Recharged」(iOS / Android)を3月26日にリリースしました。これは日本のストアからも入手可能です。
本作は,1980年に旧Atariがリリースした,対空砲で自軍基地に迫るミサイルや爆撃機などを迎撃するゲーム「Missile Command(ミサイルコマンド)」を現代風にアレンジしたもの。「Missile Command」をオマージュして,セガの「SDI」や,コロプラの「アリス・ギア・アイギス」(iOS / Android)において期間限定公開されたミニゲーム「CITY DEFENDER」など,いろいろな発展タイトルが作られたりもしています。
「Missile Command: Recharged」はネオンテイストのアウトラインでオブジェクトが描かれていますが,これは「Lunar Lander(ルナーランダー)」や「Major Havoc(メジャーハボック)」に代表される,旧Atariが注力していたベクタースキャンゲームをオマージュしたものでしょう。SynthwaveサウンドのBGMもベストマッチ。
ビジュアルやサウンドだけでなく,画面全体攻撃や敵砲弾のスロー化といったアイテムの出現,自砲台や砲弾のアップデート,破壊された砲台の自動復活など,ゲームのルールもモダン寄りにリニューアルされています。プレイ回数はスタミナ制で,時間経過か広告動画の閲覧で回復,もしくは340円(税込)の「Infinite charge」を購入すれば無制限でのプレイが可能に。
オマケとしてARモードが備わっており,いつでも好きなところに架空の「Missile Command: Recharged」筐体を飾れます。ここにアップライト筐体があったらいいのに! という日常的に抱きがちな悩みをARで解決できますね!
そのほか,Atariは「Atari Flashback Classics」シリーズ(VOLUME 1 / 2 / 3 / Switch,日本未発売)をPS4 / Xbox One / Nintendo Switch向けに発売したり,「ローラーコースタータイクーン」をベースとするマッチ3パズル「RollerCoaster Tycoon Story」(iOS / Android,日本未配信)を1月にリリースしたりと,旧作IPを積極的に活用しています。ただ,基本的に日本向けの動きが乏しいのは残念なところです。
Atariのしたたり
“感染症”が蔓延する昨今,イタリア南部の都市・バーリのアントニオ・デカロ市長は,ビーチで卓球をしていた市民に「Non è previsto il ping pong, non si può giocare ping pong! Alla PlayStation! Andate a giocare alla PlayStation a casa!(意訳:卓球をすべきではない。卓球をやめろ。家でPlayStationをしてろ!)」と告げました。そんな中,PlayStation 4(や諸々のプラットフォーム)で「PONG」の新作が発表されるというのは,なかなか運命的なタイミングに感じられます。感じられるだろう。感じられるよな?
“感染症”で社会が崩壊した世界を舞台とするジョージ・A・ロメロ監督の映画「Dawn of the Dead(ゾンビ)」では,ショッピングモールに立てこもった生存者たちが「QWAK!」や「STARSHIP 1」,「NIGHT DRIVER」といったAtari(とかMidwayとかナムコとか)のゲームをプレイしていましたが,我々も彼らに倣うべきでしょう。そう,どいつもこいつも家でPlayStationやAtariをしてろ! あと映画を見たりしろ!
……でもゲームセンターの経営不振問題は悩ましいんだよなあ。
そのほか,iam8bitは「PONG」の雰囲気を250分超にわたって収録した6枚組LPレコードアルバムを1972年第4四半期にリリースするとか!
いや……これは四月馬鹿! 嘘だッ!!
We went behind the scenes at @InfrasonicSound to get a glimpse at how this Pong vinyl set was lovingly remastered for the modern era. Take a look. pic.twitter.com/9kaKvwiPUZ
— iam8bit (@iam8bit) April 1, 2020
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