プレイレポート
「Zumba de 脂肪燃焼!」はレクチャーなしのフィットネスゲーム。ぶっつけ本番で理屈抜きに“身体を動かすこと”を楽しもう
本作をひとことで表現すれば「画面の前でズンバを踊るゲーム」。ゲーム内には,ペレス氏をはじめとしたカリスマインストラクターが実写で登場するので,彼らを手本として踊っていく。
踊る際には,Joy-Conに「Joy-Conストラップ」を装着し,それを手首にはめてプレイしていく。Nintendo Switchの場合はソフトさえ買えば遊べるが,Nintendo Switch LiteユーザーはあらかじめJoy-Conを用意する必要がある。
プレイヤーのダンスをスコアで評価してくれるのに加え,課題が出されたり,消費カロリーが表示されたり,後述する「フィットネスポイント」に応じて「フィットネスレベル」が上がっていったりする。こうしたインタラクティブ性がモチベーションを維持する助けになってくれる。
このゲームでズンバを踊っていくうえで,重要なのはタイミングだ。振り付けによる身体の動きがJoy-Conでチェックされ,タイミングに応じて「MISS」「GOOD」「GREAT」「ZUMBA」というように評価される。これをもとに「スコア」「テクニック」「達成率」といった数値が算出されるので,より高い値を目指すという音楽ゲーム的な遊び方も可能だ。
こうした数値はフィットネスポイント(RPGでいう経験値のようなもの)に変換され,一定値が溜まるとレベルアップするので,モチベーションが高まる。また,1日ごとに「一定時間以上プレイする」「規定以上のカロリーを消費する」といった「目標」が提示されるので,達成するために頑張るのもいいだろう。
本作をプレイするにあたって筆者は,「踊る際のゲーム的な誘導が極めて少ない」ことにかなり驚いた。
一般的にフィットネスゲームといえば,「このゲームでは身体をどう動かすべきか」をチュートリアルで教えてくれる。そして,新しい動きが出ると,短いプログラムを反復練習して覚えていき,その後にほかの動きと組み合わせていく。練習から本番,応用といった流れが作られているものだ。
しかし,本作では,ステップの踏み方や身体の動かし方はおろか,チュートリアルすら存在せず,「ズンバとはどういうものか」を教えてくれたりはしない。いきなり本番に放り込まれ,複数の動きを組み合わせたダンスを採点されることになるのだ。
動きの見本は,画面に表示されているインストラクターたちの踊りで,曲の特定パートだけを踊って振り付けを覚えるモードもない。もちろん,最初のうちはまともに踊れない。曲の中で振り付けが変わる前にプレビューが表示されることがあるが,表示時間がかなり短い。ズンバの経験がある人であれば違うのだろうが,未経験の筆者は大いに戸惑ってしまった。
このゲームの作りは,「ズンバの理念」や「実際のレッスン」に基づいたものであるようだ。実際のズンバのレッスンでは,インストラクターは振り付けについて事前説明をすることはなく,生徒はインストラクターの様子やジェスチャーを見よう見まねでやってみるという。また,そもそもズンバは振り付けの正確性を競うものではなく,自分のレベルに応じてダンスにアレンジを加えることも許されているらしい。正確に踊るのではなく,感じたままに踊って楽しみながらエクササイズをするのが,ズンバということなのだろう。
こうした理念を理解したうえでプレイを続けていると,ある程度動きの感触が掴めてきて,初見の曲が出てきても戸惑うことがなくなった。
そして,インストラクターたちの動きを追いかけるだけではなく,より負荷を増すように派手に動いてみたり,動きのキレといった,ゲームのスコアには反映されない部分の楽しさも意識できるようになってきた。このあたりは一流インストラクターのダンスが実写で見られる本作ならでは,といったところだろうか。スコアやテクニックが低くてもプレイを中断されたりはしない。まず大切なのは身体を動かすこと,その楽しさを味わうことなのだ。
本作には30以上の曲が収録されており,好みの曲を踊ることもできれば,複数曲がセットになった「フルプログラム」を選択することもできる。フルプログラムには15分の「ショート」(4曲),30分の「レギュラー」(8曲),60分の「ロング」(15曲)というメニューがある。「低負荷」のメニューであれば,日頃から運動をしていない人でも安心だし,「高負荷」を選べば,運動の実感を味わうことが可能だ。特にロングだと低負荷ですら700キロカロリー以上を消費でき,筆者の場合はタオルどころかシャワーが必要になるくらいの汗をかけた。
このゲームはあくまでダンスを使ったフィットネスであり,「特定の箇所に負荷をかけ,翌日に筋肉痛とともに“効いている”実感を味わう」筋トレとは別物であると感じた。
プレイする際の注意点としては,ゲームでは踊りながらステップを踏むので,特に左右方向には大きなスペースを確保したほうがいいだろうということだ。また,軽く飛び跳ねることもあるので,ヨガマットなど防音対策があるとベター。フィットネスゲームに慣れている人であっても,振り付けを覚える関係上,まずは単曲で始めるといいだろう。
振り付けを早く覚えるポイントは,手の動きと足のステップを同時に覚えようとするのではなく,どちらかに集中するのがコツだ。ロード中のTIPSによると,まずはステップから覚えるのが良いそうだが,筆者は腕の動きが止まってMISS判定が続くことに抵抗があったため,手から真似するようにしていった。振り付けの中にはDJプレイを模したものや,半身になってポーズを決めたりするようなカッコいいものもあるので,踊ってみて自分に酔いしれてみよう。
レッスンでは言葉を使わないというズンバの理念が表現されているのに加え,いきなり振り付けを採点されるので,筆者のように初見で驚く人がいることは想像に難くないが,このゲームは“そういうもの”であるということを念頭に置いておこう。
ただ,それでも踊り方のレクチャーや基本ステップのチュートリアルくらいは欲しかったところ。あと,本作にはボーカル入りのさまざまな曲が使われているが,内容を理解するために日本語訳の詞を入れてほしかった。
ともあれ,とりあえず身体を動かして楽しむことにフィーチャーしたズンバ。筆者は,今回のプレイを通じて複雑な動きを混ぜてキレキレなダンスを踊るインストラクターの人たちへの尊敬を新たにした次第だ。
「Zumba de 脂肪燃焼!」公式サイト
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