2022年12月26日,バンダイナムコエンターテインメントは,
「PROJECT IM@S カンファレンス」 を東京・MIRAIKEN studioにて開催した。このカンファレンスでは,同社が掲げる
「アイドルマスター」 (以下,アイマス)シリーズのIP軸戦略
「PROJECT IM@S 3.0 VISION」 や新スローガンの発表,次世代に向けたオンライン環境の展開,非ゲーム領域の新コンテンツ展開などが明らかになった。
まずカンファンレンスでは,バンダイナムコエンターテインメント 第3IP事業ディビジョン ディビジョン長 執行役員
田中 快 氏から,バンダイナムコグループが重点戦略として掲げる
「IP軸戦略」 について説明が行われた。田中氏によるとIP軸戦略とは,IPの世界観や特性を生かし,最適なタイミングで,最適な商品サービスとして,最適な地域に向けて提供することにより,IP価値の最大化を図ることだという。「アイマス」シリーズにおいても,これまでどおりゲーム展開を軸にしつつ,7月に発表された「“MR”-MORE RE@LITYプロジェクト」を筆頭に,さらにIPの可能性を広げるような挑戦をしていくとのことだ。
田中 快氏
続いて,バンダイナムコエンターテインメント 第3IP事業ディビジョン 765プロダクション
波多野公士 氏より,「アイマス」シリーズの今後について,プレゼンテーションが行われた。
波多野公士氏
波多野氏の所属する部署名は,「アイマス」シリーズに登場する芸能事務所の名前と同じ
「765プロダクション」 となっている。この理由は2つあり,1つは「パックマン」や「アイマス」シリーズといったIPを生み出したナムコのクリエイティブへのリスペクトを表すため,2つめは,ゲームに登場する事務所を現実のものとすることにより,多くの「アイマス」ファンが輝かせているアイドルたちを,自分達も責任を持って輝かせていかなければならないという覚悟を示しているのだそうだ。
続いて「アイマス」シリーズの事業戦略が,3つのフェーズで説明が行われた。まずフェーズ1では,これまでのシリーズの展開が改めて紹介された。「アイマス」とは,プレイヤーがプロデューサーとなり,アイドルを育成してトップアイドルを目指すというゲームが原作のIPであること,2022年で17周年を迎えたこと,現在は総勢300名以上のアイドル達が活躍していることが示された。
また「アイマス」シリーズには,「アイドルマスター」「アイドルマスター シンデレラガールズ」「アイドルマスター ミリオンライブ!」「アイドルマスター SideM」「アイドルマスター シャイニーカラーズ」という5つのブランドがあり,「アイマス」ファンはゲーム展開を軸にグッズや音楽,書籍,アニメ,ライブ,イベントなどさまざまな形のコンテンツ展開を介してアイドルプロデュース体験を楽しんでいることも示された。
加えて「アイマス」シリーズは,グループ会社を含む100社以上のパートナー企業の協力により,幅広く事業展開をしている。
軸となるゲーム展開は,スマートフォンゲームを中心に累計ダウンロード数が4500万以上におよぶ。アイドルに欠かせない音楽展開については,累計楽曲数1300曲以上となっており,2022年にはサブスクリプションサービスも解禁されたと波多野氏は語った。
ライブ興行には,2022年はオンラインも含め65万人動員と極めて多くのファンに楽しまれているとのこと。さらに,2023年2月開催の5ブランド合同ライブ
「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」 が開催されることもあらためて紹介された。
アニメにも注力しており,2023年はアニメイヤーと位置付け,4月には「シンデレラガールズ」を原作とするコミックをアニメ化した
「アイドルマスター シンデレラガールズU149」 の放映がスタート。また秋には,2023年に10周年を迎える
「アイドルマスター ミリオンライブ!」 のアニメを放映開始する予定だそうだ。
さらに,オウンドメディア展開も積極的に行っている。現在はラジオ番組6本,Youtubeの公式チャンネルなどを介したゲームやアニメ,ライブの配信を毎月15本前後,そのほかInstagramやTiktokなど幅広いプラットフォームに展開を拡大しており,日々何かしらのコンテンツを提供している状況だという。
そんな「アイマス」シリーズが次に見据えるのが,2025年に迎える25周年だ。本カンファレンスにて発表されるIP軸戦略「PROJECT IM@S 3.0 VISION」には,「アイマス」シリーズが20周年の節目を迎え,それを超えてもなおこれまで以上に多くの人々に知られ,愛され,元気になってもらえる存在になるよう,未来に向けて歩みを進めていくという意気込みと,さらなる躍進への誓いが込められているそうだ。
そもそも「PROJECT IM@S」は,「アイマス」シリーズのメディアミックス推進プロジェクトであり,2009年からは「2nd VISION」を掲げてメディアミックス展開とシリーズ作品の拡大を図り続けてきた。さらに10周年を迎えた2015年ごろからは“オールアイマス”を標榜し,シリーズの一体感を高めてきたという。
その結果,上記のような事業拡大が実現したわけだが,「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」はそうした2nd VISIONの到達点と位置付けられており,同時に3.0 VISIONへの第一歩でもあるとのこと。
カンファレンスのフェイズ2では,
「3.0 VISION」 の概要が紹介された。次世代を見据えた3.0 VISIONのテーマは,「アイドルプロデュース体験と複合現実の融合」で,20周年とその先を進むための新たな目標であるという。また新たに,「CRE@TE POWER WITH YOU! あなたらしさが,きっと誰かの力になる。」がアクションスローガンとして設定されたことも示された。
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2022/12/26 14:00
これについての施策は2つあり,1つは2022年7月に発表された
「“MR”-MORE RE@LITYプロジェクト」 である。このプロジェクトは,アイドル達の活動の可能性を広げて,ゲーム領域に閉じないアイドル活動の拡大を目的としたもの。名古屋市と「シンデレラガールズ」のコラボに代表されるように,すでに多くの取り組みを実現しており,アイドル達の実在感を高めている。またゲームで培ったXR技術を活用し,たとえばBANDAI SPIRITS主催のイベント「TAMASHII NATION」へのアイドルの出演など,オールバンダイナムコで取り組んでいることも紹介された。
さらにMRプロジェクトの次のステップに向けた新企画として,2023年内に東京・KANDA SQUAREにて765 MILLIONSTARSの興行イベント「MRフェスティバル」が開催されることが発表された。詳細は,後日あらためて公開される。
もう1つの施策は
「アイドルマスター ポータル」 で,こちらは従来の情報サイト「アイドルマスター OFFICIAL WEB」を,インターネットトレンドに沿ったプロデュース活動を実現するWeb3.0型バーチャル拠点としてリニューアルしたもの。リニューアルは段階的に行われ,初期実装はサイトデザインの大型アップデートのほか,バンダイナムコIDを導入して利用者1人1人にあった機能を提供する。なお本ポータルは,すでにローンチ済みだ。
今後はバンダイナムコグループが運営するECサイト「アソビストア」や配信プラットフォーム「アソビステージ」,MIRAIKEN studioとの連携強化や,バンダイナムコIDを活用したサービス,アイドル達と出会える場としてのコンテンツの開発・実装を続々と行っていくという。
カンファレンスのフェイズ3では,そのほかの取り組みや挑戦が紹介された。最初に示されたのは,
「シャイニーカラーズ」と環境省とのタイアップ で,こちらは社会貢献に向けたサステナブル活動への取り組みとのこと。詳細は,後日公開となる。
またバンダイナムコグループ全体の取り組みとして,商品を軸とするコラボや,オフィシャルショップおよび各店舗との連動など,さまざまな展開に注力していくことも紹介された。
カンファレンスの最後には,PROJECT IM@Sの新コンテンツ
「vα-liv」(ヴイアライヴ) が披露された。このコンテンツは,アイドル達がストリーミングプラットホーム上で活躍する,MRプロジェクトに特化したもので,ライバー活動からデビューを目指すアイドル候補生の物語が描かれるとのこと。キャラクターデザインは,森倉 円氏が手がけている。
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より具体的には,視聴者がプロデューサーとなり,配信を通してアイドルをプロデュースするような内容になるという。将来的には,キャラクター1人1人がアイドルとしてデビューできるような,言わば「アイマス」研修生制度のような位置付けを目指すとのこと。なお,カンファレンス後の質疑応答では,「vα-liv」のアイドル候補生達を新たな「アイマス」ブランドにまとめるか,既存のブランドに合流させるかは未定とされていた。本コンテンツのローンチは2023年春を予定しており,それに向けて順次情報を公開していくそうだ。