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百合系ADV「推しのラブより恋のラブ」のプロデューサー・古賀秀一氏が作品の誕生秘話を語る。発売後の状況と気になる続編情報も公開
女性同士のドタバタ恋愛劇をコミカルに描いた,百合系アドベンチャーゲームである本作。これまで4回にわたって,シナリオライターや出演声優など,本作のクリエイター陣へのインタビューをお届けしてきたが,今回はいよいよ仕掛け人である古賀秀一さんが登場。本作の誕生秘話から国内外での発売後の状況,そして気になる今後の展開について語られている。はたして続編はどうなるのか?
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・「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
・「推しのラブより恋のラブ」,4週連続インタビューの最終回が公開。主人公役の猫村ゆきさんとヒロイン役の北大路ゆきさんが登場
「推しのラブより恋のラブ」公式サイト
『推しのラブより恋のラブ』応援コラム 第5回
ゲームプロデューサー 古賀 秀一さん の巻
2020年2月28日(金)SukeraSomeroよりドタバタ王道百合コメディ『推しのラブより恋のラブ』が発売されました!
どんな百合ゲーなのか? どんな人たちが制作したのか?
この応援コラムでは連載で「推しラブ」を推すとともに、作品の魅力を皆様へあますところなくお届けしていきたいと思います。
第5回目の本日はいよいよ「推しラブ」の仕掛け人! ゲームプロデューサーの古賀秀一さんのインタビューをお届けします。
古賀さん、よろしくお願いします!
●発売後の反響について
――発売されて1か月ほど過ぎましたが、今の心境を教えてください。
古賀秀一さん(以下、古賀さん):
毎回、発売前はこのゲームが1本も売れなかったらどうしよう。誰にも愛されなかったらどうしよう。でも自信を持って出した作品なのでどうにかなるだろう。自分以外は最高のスタッフを集めてるので大丈夫と自問自答を繰り返しています。
お陰様で発売後、日本での発売だけでは到底達成出来ないような売上本数を記録出来ておりほっと一安心といったところです。
――全世界同時発売でしたが、古賀さんの元へはどんな反応が届いていますか? また、それについてどう感じていらっしゃいますか?
古賀さん:
届いているというか四六時中エゴサしてますが、Twitterなどでは概ね好評を頂いておりありがたい限りです。
表現について従来の作品よりも攻めている部分もあったのですが、こちらの想定以上に理解されていることに驚きました。それが国内のみならず海外も大体同じ反応なのも大きな収穫でした。
元々、日本とか海外とか関係なく百合好き、百合オタクに向けて作品製作をしていたので間違ってなかったという感想です。中国語は全然わからないのですが、甜(甘い)の文字が連呼されていたり、「!」の感嘆符の量で興奮は伝わってきます。
――どんな国でよく売れていますか?
古賀さん:
日本では限定版パッケージやダウンロードサイトでの販売を行っていた関係もありますが、Steam(※1)での販売数では中国が80%以上のシェアを占めております。台湾、香港などの繁體字圏がそれに続き、北米、日本、他地域といった状態です。一桁や二桁の地域もありますが世界中で購入の履歴があるのも面白いです。
※1:世界最大のPCゲームダウンロードサイト
姉妹ブランド(お姉ちゃん)SukeraSparoの『ことのはアムリラート』の中国語版も3月13日(金)にリリースしましたのでよろしくお願いします。
https://store.steampowered.com/app/1044490/The_Expression_Amrilato/
――Steamで「圧倒的に好評」ということで注目を集めていますが、この評価をどのように受け止めていらっしゃいますか?
古賀さん:
普段からSteamのサイトを見る際は売上の目安としてレビューに注目していたので、正直、信じられないような反響に驚いております。最近、機会があってディレクターのちゃた氏の初期企画書を読み返したのですが『無難な作品作りで無難な評価を目指す』の一文がありちょっと面白かったです。今やレビュー数2,000件以上、圧倒的に好評ですからねw
●ゲーム誕生秘話について
――『推しラブ』の制作のきっかけは?
古賀さん:
元々、百合作品を手掛けるきっかけになったのが百合ゲームの金字塔と言われる『その花びらにくちづけを』(※2)の商業化をお手伝いしたことでした。
それから新たにブランドを立ち上げて『ことのはアムリラート』(※3)(異世界言語にこだわった作品)『クダンノフォークロア』(※4)(都市伝説をテーマにした作品)などを作ってきたのですが、自らの原点回帰のちょっとエッチなラブコメディに挑戦したいとはずっと思っていました。
そんな所、会社で隣の席のちゃた氏が普段からの僕がおこなっていた百合洗脳に応えるカタチで企画書が出来上がりました。詳しくはこちらのインタビューをご覧ください。
関連記事「推しのラブより恋のラブ」,4週連続インタビュー企画第1弾を公開。キャラクターデザインのDSマイルさん&ディレクターのちゃたさんが登場
ハブロッツは本日,2月28日に発売を予定しているPC向けアドベンチャーゲーム「推しのラブより恋のラブ」の制作チーム(キャラクターデザインのDSマイルさん&ディレクターのちゃたさん)の公式インタビューを公開した。このインタビュー企画は,4週連続で公開される予定となっている。
※2:2006年に第一作目が頒布された百合ゲームの人気シリーズ、キャッチコピーは「らぶらぶで、とってもエッチで、百合ん百合んなラブコメディー♪」
http://mikajyo.pink/
※3:異世界の言語にこだわった異色の百合ゲーム。2017年萌えゲーアワード金賞(コンセプトデザイン賞)受賞。続編の『いつかのメモラージョ』も好評発売中。
http://sukerasparo.com/amrilato/
※4:2019年4月26日発売 百合系フォークロアADV 原画:はねこと シナリオ:志水はつみ と実力派スタッフを集めた作品。コミック百合姫でコミカライズ企画進行中
http://sukerasparo.com/folklore/
――他のクリエイターの皆さんのインタビューを見てみると、いろんなところで声をかけられていますね。古賀さんからもどういう経緯でこのメンバーが集まったのかお伺いできますか?
古賀さん:
ちゃたさんは会社の隣の席、オグリさんは台湾の百合オンリーイベントで日本語でしゃべれる人がいて嬉しくなって、主題歌のよる。さん、鈴湯さんは百合展でのナンパ、エンディング曲の杏花さんはタイアップの売込みメールなど、行き当たりばったりの印象を受ける方も多いと思いますがその通りです。
詳しい経緯は各人のインタビューをご覧ください。
関連記事「推しのラブより恋のラブ」,4週連続インタビュー企画第2弾は楽曲チームが登場。主題歌とエンディングテーマに込められた想いとは
ハブロッツは本日,同社のゲームブランドSukeraSparoより,2月28日に発売を予定しているPC向けアドベンチャーゲーム「推しのラブより恋のラブ」の楽曲チーム(主題歌アーティストの鈴湯さんと作曲家のよる。さん&エンディングテーマ曲担当の杏花さん)の公式インタビューを公開した。
関連記事「推しのラブより恋のラブ」主人公のモデルはとあるVtuber。4週連続インタビュー企画第3弾は物語チームが登場
ハブロッツは本日,同社のゲームブランドSukeraSparoより,2月28日に発売を予定しているPC向けアドベンチャーゲーム「推しのラブより恋のラブ」の物語チーム(シナリオライターのオグリアヤさんと,中国語版翻訳担当のウルホシ ケイジンさん&英語版翻訳担当のメルさん)の公式インタビューを公開した。
――ゲーム制作のチームを作るとき、声をかける基準のようなものがありましたらおしえてください。推しラブにおいてはなぜこのメンバーだったのでしょうか?
古賀さん:
商業のゲームを作っている中でよく、同人はジャンルに対する愛や情熱があるから適わないよなぁといった声を聞くことがあります。売れるために不得意や苦手なジャンルでも売れ筋に手を出す。ある程度理解は出来ますが今のユーザーさんにそんなものが通用するのか?といった疑問もあり、とにかく百合に対する愛がある人を選びました。
だってその方が楽しくないですか?
――古賀さん流クリエイターを口説くコツはなんですか?
古賀さん:
誠実さですかね。ちょっと格好をつけた言い方になってしまいましたがあまり見栄を張ったり、嘘をつくと後で自分の首を絞める結果になるので、なるべく細かい企画内容や予算などをお伝えしています。
――メインビジュアルの誕生秘話があるとお伺いしました。ぜひ教えてください!
古賀さん:
ちょうど10月の初旬にメインビジュアルのラフがDSマイルさんから4種あがってきてどれももちろん素晴らしかったのですが、なにか一味足りないと悶々としている中、台湾の百合オンリー(※5)に参加しました。
そこで見たイベントのキービジュアルのウエディングドレス姿の百合カップルに衝撃を受けました。
※後で知ったのですが台湾でその年の5月に同性婚が認められ、長年続いた同人作品のキャラ同士の結婚を祝っての企画だったようです。
ウエディングドレス姿で逃げる花嫁、それを追いかけるウエディングドレス姿の花嫁。名作映画「卒業」の一幕を彷彿とさせるシーンが思い浮かびました。みんな好きなやつだ尊いと僕の脳内でなりました。
大幅な変更にも関わらず快く受け入れてくれて、尚且つ最高のビジュアルに仕上げてくれたDSマイルさんには大感謝です。
作品のキャッチコピーも 「――結婚しよ」の一言から始まる、♀と♀の追いかけっこ!に修正し、この作品はイケるとなりました。
※5:2019年10月19日開催 Comic Horizon07−いつか一緒に輝いて−百合向ONLY
主催:GJ工作室
http://ch.gjs.tw/
――今作、18禁アペンドをつけたのはなぜですか?
古賀さん:
みんな好きだと思ったから……
――もうひとつの特徴として、日本語と英語と中国語(簡体字、繁体字)を選べ、Steamで全世界配信という形で発売されたことがあるとおもいますが、なぜこうした発売の仕方にしようと思ったのでしょうか?
古賀さん:
元々、『ネコぱら』(※6)以降の日本発祥のビジュアルノベル作品の海外販売の流れに大変興味をもっており、その花の初の海外翻訳版である『A Kiss For The Petals - Remembering How We Met』に携わった経験から、日本ではニッチなジャンルでも海外まで目を広げればその数は拡大するという確信はありました。
そんな中で昨年に販売した『いつかのメモラージョ』(2019年3月15日発売)と『クダンノフォークロア』(2019年4月26日発売)のパッケージ版に関して、国内のPCパッケージ市場全体の冷え込みもあり苦戦したのも直接的な原因になります。
※6:2014年12月30日からSteamで配信が始まった記録的大ヒット美少女ゲームアドベンチャー、現在テレビアニメも好評放送中です。
https://nekopara-anime.com/ja/
●「推しのラブより恋のラブ」について
――このゲームの制作中で印象深いことはなんですか?
古賀さん:
大変だったことは色々とあったと思うのですがもう忘れちゃいました。楽しかったことはDSマイルさんからあがってくるこちらの想定を毎回凌駕したクオリティのビジュアルをいち早く拝見出来ることです。
――古賀さんの思う、推しラブの見所は?
古賀さん:
キャラクターの顔が良いところです。すごく馬鹿な発言だとは思いますが、映画でも役者さんの顔が良い(可愛い、綺麗だけでなく味があるも含む)作品はそれだけで価値はあると思います。
また、ライターのオグリアヤさんが仕込んだ百合同人界隈の裏ネタは考察する価値はあると思います。
――古賀さんの推しキャラは誰ですか?
古賀さん:
恋ちゃんです。最近、年齢のせいで前頭葉の機能が弱っているので涙もろいのですが、若い女の子が真っすぐに一生懸命、自分の感情に素直に行動するする姿がキラキラしていて眩しくて泣けてきます。恋ちゃん頑張れ!
●今後の展開について
――あく恋に魅了されたファンの皆様が、今、一番知りたいだろうことをお聞きます!ラジオ、復活しますか?
古賀さん:
『推しラジ』は非常に良いラジオ(2020年最高の百合ラジオ)だと思いますので是非、復活させたいです。パーソナリティ2人の関係性が発展しているのでそちらも注目です。ただ現時点でお伝え出来ることはありませんのでしばらくお待ち下さい。
関連記事※インタビュー記事にラジオのリンクあり「推しのラブより恋のラブ」,4週連続インタビューの最終回が公開。主人公役の猫村ゆきさんとヒロイン役の北大路ゆきさんが登場
ハブロッツは本日,同社のゲームブランドSukeraSparoより,2月28日に発売を予定しているPC向けアドベンチャーゲーム「推しのラブより恋のラブ」の4週連続インタビュー企画第4弾として,声優チーム(速星あくる役の猫村ゆきさんと古館 恋役の北大路ゆきさん)の公式インタビューを公開した。
――推しラブイベントはいかがでしょうか!
古賀さん:
新型コロナが落ち着いたら何かやりたいですね。ただ作品の性質上(18禁要素があるため)出来ることが限られている部分もあるので課題は色々とありそうです。
――ずばり、続編出ますか?
古賀さん:
出したいですね。一旦、物語として完結はしていますが私自身も二人の物語をもっと見てみたい気持ちはあります。ただこればかりは私ひとりでは決められないのでここで約束は出来ません。
●古賀さんご本人について
――最近、百合みを感じた出来事などありますか?
古賀さん:
最近という訳ではないのですが、自分の傾向として同じ作品に携わった人を推す傾向にあるのですが、推し同士の交流が垣間見える瞬間に百合みを感じます。例えば『推しラブ』のDSマイルさんと『クダンノフォークロア』のはねことさんの神絵師同士のTwitterでのやりとりや、『ことのはアムリラート』の凜役の長妻樹里さんの誕生日をルカ役の内田秀さんがサプライズでお店を予約して祝う姿などを微笑ましく見てます。(キモイですね……)
――最近のおすすめ百合作品は?
古賀さん:
2020年は頭からとんでもない作品が連発されているので気が抜けません。『マイ・ブロークン・マリコ』(※7)と『水野と茶山』(※8)は百合というジャンルでは括り切れないものを感じます。とにかく感情が揺さぶられます。おすすめです。
※7:(個人的)この百合漫画がすごい2020決定です。下記のリンクから1話が無料で読めますので是非よろしくお願いします。
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CB01201022010000_68/
※8:クラブカルチャーと百合を描いた名作『アフターアワーズ』でおなじみの西尾雄太先生の最新作、現代の百合版ロミオとジュリエット。下記のリンクから1〜3話まで無料で読めますので何卒よろしくお願いします。
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB01201395010000_68/
――「推しラブ」がどんな人たちに届くといいと思いますか?
古賀さん:
色々と大変な世の中ですがこのタイミングで明るく楽しい作品が出せて良かったです。好きな人がいる人、推しがいる人、全人類、なんだったら異星人にまであくると恋の物語が届けば良いなと思います。
――最後に作品を楽しんでくれた皆さまへ、そしてこれからプレイされる皆様へ、メッセージをお願いします。
古賀さん:
自分の半径1m(隣の席)から生まれた作品が世界に届いていることを実感させてもらっております。改めて作品を楽しんでいただいた皆さまにお礼申し上げます。そして好きは伝播するんだ、色々な壁を越えるんだということが分かりました。『推しラブ』は2020年の百合のみならず恋愛観、オタク感や時代の空気を非常に良く表現できている作品だと思います。でもサクッとプレイできるので多くの方にプレイしていただけると嬉しいです。
これからも世界に百合を溢れさせます。どうぞよろしくお願いします。
――ありがとうございました!
最初はほんの数人の百合愛が熱源となり、こうして『推しラブ』は世界へ広がっていくことになったのですね。
そして、届けられた作品をここから育てるのがファンの力!
みなさんの声援のおかげでこのまま終わる気配はないような……!?
まだまだ目を離せない『推しのラブより恋のラブ』
引き続き応援よろしくお願い致します!
プロフィール
古賀秀一
ゲームプロデューサー。
「百合ゲーは美少女がキャッキャ、ウフフと作っている」がモットーなので自称美少女。最近ようやくVTuberの楽しみ方がちょっとわかる。
※性癖コンビを履修予定
- 関連タイトル:
推しのラブより恋のラブ
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