プレイレポート
西部劇×ダークファンタジー「Weird West」プレイレポート。正義の味方にも悪党にもなれる,自由度の高いRPG
本作は,“荒野とガンマン”が象徴的な西部開拓時代の世界に,正体不明の魔女や謎のクリーチャーが登場するという,「西部劇ダークファンタジー」だ。果たして,どんなゲームに仕上がっているのか。今回,発売前のバージョンでプレイする機会を得たので,筆者のプレイの軌跡を辿っていく形で,プレイレポートをお送りしたい。
夫をさらわれ,子を殺され──
ジェーン ベル,怒りのリボルバー
本作には複数の主人公がおり,今回紹介するのはそのうちの1人であるジェーン ベルのストーリーである。
オープニングでは,何やらイスに座らされた人物の首に焼印が押されると,一番左にある柱の額縁に刻印が浮かび上がる。この空間は何なのか,周囲に立っている者たちは何者なのかよく分からないまま,かつて西部で最も恐れられた女性の賞金稼ぎ「ジェーン ベル」の物語が始まる。
夫と子供を持ち,農場で暮らすという平凡な幸せを手にしていたジェーンだったが,ある日,農場にやってきたゴロツキどもに子供を殺され,夫は連れ去られてしまう。
ゴロツキたちは「スティルウォーター」と名乗るギャング気取りの一団で,最近は人さらい業に手を染めているらしい。フローラによると,スティルウォーター一味の1人をグラックルという町で生け捕りにしているらしいので,そいつを締め上げてみることにする。
ここからは自由な操作が可能になる。見下ろし型の画面となり,樽や棚などのオブジェクトを調べると,さまざまなアイテムを入手できる。
本作はキャラクターを俯瞰で見下ろすような視点でゲームが進行する。銃での攻撃は,右スティックで狙いをつける。射線が表示されるので分かりやすいが,動いている敵に当てるには慣れが必要だろう。PC版はマウス操作が可能なので,やりやすいかもしれない。
グラックルの保安官事務所に行くと,フローラが待っていた。元は弾薬を売っていたスティルウォーターが急に人さらいを始めた理由は何なのか,生け捕りにしたスティルウォーター一味の男を尋問していく。
スティルウォーターの男の指を3本ほど折って尋問したところ,現在のスティルウォーターを仕切っているのはシェルビー・クロスという人物で,グラックルから北東へ5時間ほど行った辺りの野営地で仲間と合流するという話を聞き出す。
早速向かってもいいのだが,まずはグラックルの町をぶらりと探索してみることに。だが気をつけたいのは,探索中に得られるアイテム。考えなしに片っ端から拾っていると,そのアイテムに持ち主がいた場合に,敵対行動と見なされてしまう。
いろんな人に話しかけていると,マーガレットという女性が「さらわれた夫を探してほしい」と頼み込んできた。マーガレットの夫がさらわれたのも,同じくスティルウォーターの野営地ということで,依頼を引き受けることに。夫をさらわれたという同じ境遇の者としては見過ごせない。
スティルウォーターの野営地付近に着くと,「ジャンプ」や「しゃがみ移動」などのアクションをひととおり体験する形でクエストを進めることになる。背後からしゃがみ移動で近づけば敵に気付かれず,そのまま密着すれば,締め上げて気絶させることができる。
片っ端から銃を撃ちまくって倒してもいいし,そういう自由度がウリのゲームでもあるのだが,弾薬には限りがあるし,銃声でワラワラと大勢出て来られたら困るのはこちらだ。ここはステルスの練習といこう。
1人ずつ無力化しつつ,順調に進んでいく……が,何度目かで,どうやら戦わねばならない感じの配置に。
一気に銃で倒すべく「不意打ち」状態で奇襲に成功したものの,1発では仕留めきれなかった。操作をもたついているうちに,ダイナマイトを投げられ……。
そんな感じで初ゲームオーバーとなり,少し手前からやり直しに。ちなみに本作はどこでもクイックセーブが可能なので,こまめなセーブが大事だ。ただし,周囲に敵対中の敵がいる状態ではセーブできない。
そんなこんなで進んでいくと,謎の少女と出会う。なぜかこちらの事情を知っており,口ぶりからは,どうもオープニングの謎の儀式絡みの人物のようだが,スティルウォーターの手がかりを教えてくれた後,消えてしまう。
とりあえず,孤立している敵の背後から忍び寄り,クイッと締め上げていく。しかし,うろついている見張りの数が多いため,面倒臭がって放置していた「締め上げた敵」を発見されることも,しばしば。ただ,プレイヤーが発見されなければ,警戒ゲージ的なものが下がるのは早い。気長にウロウロしながら締め上げていけば,着実に数を減らしていける。
周囲の見張りを地道に倒していき,なんとか野営地中央にある大きな家の前に到着。「何か会話が聞こえるな……向こうにまわってみるか……」とウロウロしていたら,暗くて見えなかっただけで2人ほど見張りがいたらしく,モロに発見されてしまう。
あっさりとやられて,クイックセーブから再開するも,敵の配置上,1人ずつ締め上げるのが難しく,どうしても逃げ回りながらの銃撃戦になってしまいがち。そんなとき,ふと,家の横に積んである薪の山が目に入る。
屋根に上がるところを敵に目撃されていなかったからか,敵はアッサリとこちらを見失った様子。よしよし。こうなれば,こっちのもんよ。
ダイナマイトによって,どうやら全員倒せたようで,増援は来ない。「ところで,ここに何しに来たんだっけ」とか考えながら探索しているうちに,カギを拾ったり,井戸のメモを拾ったりと,キーアイテムが見つかった。
そういえば,井戸があったのを思い出して近付いてみると,フタを外して,「ロープ」を使って下へ行ける様子。マメにアイテムを拾っていたおかげでロープは持っていた。いざ下へ降りると,早速,檻があって,中にはすでに息絶えた人が。まさか,夫がもう手遅れに? と思ったが,全然知らない人だったのでホッと一安心。
地下を進んでいくと,傷を負ってベッドで寝込んでいるスティルウォーターの男を発見。「ベル農場でさらった男が銃を奪って撃ってきた」と言っているところを見ると,夫をさらった張本人なのでは? 銃でもブッ放しておくか……と思ったが,「包帯を渡す」という選択肢が。うーん,わざわざ選択肢が出てくるところを見ると,助けたほうが良さそうではあるが,あいにく,包帯は使い切っちゃって持ってないんだよな。
とりあえず了承し,周囲を探索して包帯を探してみることに。サブクエスト「瀕死のスティルウォーター」が画面上に表示され,期限は,たったの1日。まあ,瀕死だしな。
井戸から出て地上も探してみるものの,新たなカギが見つかったり,受領したけどすっかり忘れていた「さらわれた鍛冶工」の救出対象を見つけたりと,包帯以外のクエストが進展。
その後,井戸の奥のほうでようやく包帯を見つけたのだが,周囲の敵と激戦になり,自分のHPが残り1に。どう見ても自分に包帯を使うべきだが,なんとかこれを負傷していたスティルウォーターの男に渡すと,クエストクリア。デカデカと「生涯の友!」と表示された。
お礼として,マップ上に宝の在処も描き込んでくれたようで,その位置にある「アンドリュー」の墓を掘ると,何かいい物があるらしい。覚えておこう。
ちなみにクエストクリアで「生涯の友」と表示されるNPCは何人かいるようで,ピンチのときに駆けつけてくれるようになる。夫をさらった張本人ではあるが,彼はただの雇われだったらしいので,上からの命令をこなしていただけなのだろう。まあ,生涯の友と宣言してくれるほど感謝してくれているなら助けた甲斐はあったか……と,井戸の奥の探索を済ませる。
金庫には「暗号化されたリレイ」という物が入っており,これを解読しないと,夫が連れ去られた先が分からない。リレイというのは一方通行の通信のようなもので,ゲーム中,ちょっとしたお知らせのようなものがNPCから届いたりする。ちょうど井戸から出て町へ戻ろうとすると,保安官のフローラから「グラックルの町のお店が営業を再開し始めた」とのリレイが届く。スティルウォーターの一味を結構倒したので,町にも活気が戻ってきたのかもしれない。
西部劇RPG,始まる
メインストーリーはあるが,“どう攻略するか”は自由だ
ゴーストタウンのようだったグラックルの町は少しマシになっていて,人の姿もポツポツと見えるようになっていた。マーガレットの夫・ゲンジョウも無事に帰還しており,鉱石類があれば武器の強化をしてくれるようだ。
正直なところ筆者は,ゲーム開始からしばらくは,本作がどのジャンルに該当するゲームなのかがよく分からない状態でプレイしていた。見下ろし型の画面構成で,ステルスしながら敵を気絶させたり,草むらに隠したり,といった部分だけを見ると,「Desperados III」や「Shadow Tactics: Blades of the Shogun」などのステルス・ストラテジーを想起する。実際,画面構成が似通っていることも相まって,その部分だけを切り取れば,プレイ感覚は近い。
しかし,グラックルの町が活気を取り戻しつつあるこの段階から,「これはRPGだ」と理解してくる。
レベルや経験値といった成長要素はないものの,武器や防具を店で購入・強化,「ニンプの骨」や「黄金のスペードのエース」によるアビリティ・パークの開放によってジェーンは徐々に強化されていく。マップの移動中にスティルウォーターや凶暴な動物に遭遇するが,これはランダムエンカウント式の「RPGの戦闘」だ。戦って勝ち,経験値ではなく武器や食肉を得る。それらを活用してもいいし,売却して換金してもいい。西部開拓時代のサバイバル感にあふれた,立派なRPGなのだ。
とりあえず,手に入れた暗号化されたリレイの解読をするべく,解読をしてくれるNPCに持っていくと,なんと300ドルの解読費用がかかるという。た,足りん……。
何か金目の物を得ねばと,スティルウォーターの男を助けたときに教えてもらった,お宝が埋まっている場所に行ってみることに。マップを開いてみると,ものすごい右のほうに目的地が表示されている。結構な道のりだが,お金のためだ。
ゲーム中の説明を見る限りでは,これまでに拾ってきたアイテム類を売るための「雑貨店」とやらがあるはずなのだが,筆者は雑貨店の位置がなかなか分からず,周辺地域をウロウロしていた。しかし,単なる筆者の見落としだったようで,グラックルの町にもあった。ようやく手持ちがいっぱいだったアイテム類を売却してスッキリ。これでようやく所持金が300ドルを超えた。
解読したリレイを元に向かった町の町長に,連れ去られた夫のことを聞くと,「その情報を聞きたければ,ある農場の権利書を持ってこい」という。この町長がものすごい悪人面だったため,「暴力で解決してみようかな」と思って町長をナタで攻撃してみたら,周囲の護衛が敵対してボッコボコにされる流れに。町長はそんなでもないが,護衛が強い。そりゃそうか。
というわけで力に任せるのは諦めて,町長の取引に応じることに。若干たらい回し感があるが,夫の行方を探るためにはやむを得ない。
しかし,農場の権利書を手に入れるということは,どう見ても,その農場のNPCとは敵対することになりそうな流れ。嫌だなあと思いつつも農場を探っていると,金庫を発見。あるとしたら,この中だろうが,開けるには「ピックツール」が5つも必要。ピックツールは,稀に拾えたり,店で売っていたりするのだが,5つとなると大変だ。
「逆に農場の人たちを皆殺しにでもしたら,誰かが金庫の鍵を持っていたりしてラクに開けられないかな?」と暴力に訴えてみると,「復讐が始まった!」と表示され,どうやらヒデキ サイトウ氏に追われる立場に。夫の行方は知りたいけど,この展開もちょっとなぁ……というわけでクイックロードしてピックツールを集める旅に出ることに。
マップ上をウロウロしているうちに新たな町はいくつか見つかっていたので,サブクエストをクリアしながら何度か出入り。お店の品揃えは時々変わるようで,ピックツールが2つまとめて売られていたりすることもあり,なんとか5つ揃えて盗み出すことができた。
権利書を町長に渡すと,クイックベンドの町にいるエセックス・マストという男が行方を知っているという。
クイックベンドの町に向かうと,「創造的な問題解決」という説明が表示される,どうやらこの街では,クエストをクリアするための手段が複数あり,正面突破で敵を倒していくも良し,こっそり忍び込んで目的を果たすもよしとプレイスタイルによっていろいろな攻略法を採れるらしい。
今回は,用意されている手段の中ではわりと正攻法と思われる方法で,重要人物を「早撃ち」の場に引きずり出す。西部劇っぽくなってきた。地面に描かれた円の中に立ち,3つめの鐘が鳴ったら撃っていいらしい。
しかし,「鐘の音って……ああ,いま鳴ってるこの音か。さっきも鳴ってたっけ……ってことは次がもう3発目かな?」と適当な感じで撃ったところ,どうやらまだ2つめの鐘だったらしく,その場は騒然となり,町ぐるみでの撃ち合いに。「3つめの鐘で」って言っているのに,2つめで撃ったらそりゃ怒るよねワハハ。
結局,敵対した人たち全員を葬ることで解決したのだが,これ,最高に頭悪い解決法じゃないかな……。この後,建物の中に囚われていたエセックス・マストを発見し,夫の行方を聞き出すことに成功。近くの鉱山に連れていかれたらしい。
……と,こんな感じで筆者のプレイの軌跡を辿ってみたが,いかがだったろうか。
極悪非道な悪人プレイも可能だが,だいたいは何かしらの反撃をくらうことになるので,必然的に難度は上がる。撃ち合いになると,やはり生きるか死ぬかの事態になってしまううえ,スティルウォーターのような悪人以外を不用意に殺すと,名声もガクンと落ちてしまう。
なので,筆者は家の住人が出かけたのを見計らってからスッと家に入り,棚などを物色してアイテムをいただいたり,夜間にピックツールで侵入して,寝ている住人の懐をまさぐってアイテムをいただく程度の悪行に留めている。ピックツールを消費してお店のレジを開けてみたら2ドルしか入ってなかったときは,その店の経営状況が不安になった。
ただ,どんな状況でも,とりあえずクイックセーブを活用して「ここでこんな行動をしたら,どうなるんだろう」とと好奇心そのままに試していけるのは楽しい。また,本稿の範囲だけでもかなりのボリュームがあり,それなりに寄り道をしながらすべてクリアすることを考えると,結構なボリュームになるのではないだろうか。
最初のほうはステルスゲームの雰囲気があったが,グラックルの町の施設が回復してからはRPG感が強くなってきて,この西部劇世界での賞金稼ぎ生活を堪能できる。
自由度が高いため,時には柔軟な思考が必要となることもあるが,柔軟になりすぎて「お金を稼がずに,店を襲っちゃえばいいのでは?」と店主に牙を剥くと,保安官が出てきてエラいことになる。悪事も働けるが,悪人として生きるには強さが必要なのだ。
西部劇ダークファンタジーという世界設定だけでも珍しいが,本作はそこに高い自由度を加えた,唯一無二の存在感を誇るRPGだ。プレイヤーの行動の結果の数だけ,異なるストーリーが生まれる。本稿を読んで少しでも興味が出たら,ぜひ触れてみてほしい。
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