プレイレポート
[プレイレポ]初出展された「紅の砂漠」のプレイアブルデモでボス戦を体験。圧倒的な映像美で描かれる高難度アクション[gamescom]
本作は,広大なパイウェル大陸を舞台にしたオープンワールドアクションアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは傭兵団の隊長クリフとなり,仲間たちと共に冒険を繰り広げる。
同社のMMORPG「黒い砂漠」の制作陣が手掛ける次期フラグシップタイトルでもあり,シームレスかつ広大な世界,多彩な戦闘システム,そして深みのあるストーリーテリングが特徴となっている。
PC版と,詳細は未定ながらコンシューマ機版が発売される予定 |
今回のデモ版は,4つのボス戦を体験できるものだ。プレイを始めると短いイントロダクション動画が流れ,その後プレイヤーは謎めいたエリアに飛ばされる。
ここで戦いたいボスを選ぶと,戦闘がスタート。本編での各ボスはさまざまな場所にいるが,サクっとボス戦だけを楽しめるデモ用の特別仕様となっていた。
「紅の砂漠」の戦闘システムは,高いアクション性を持つ。戦いでは,剣と盾,弓などの武器を自在に切り替えながら,多彩なコンボを繰り出せる。また特殊能力も充実しており,「クロウズウィング」と呼ばれる滑空能力や,時間をスローにして精密な狙いを定められる「精密フォーカス」などを使用できる。
環境を利用することで,戦闘を有利に運ぶことも可能だ。例えば,フィールドに燃えている場所があれば,その炎に敵を押し込んでダメージを与えるといった戦術が使える。ただし,プレイヤーキャラクターも炎によるダメージを受けるため,注意も必要になる。
また,キャラクターの行動が環境に影響しまくるのも面白い。回避行動で転がっているときや敵の攻撃を受けて吹っ飛ばされたとき,木や壁にぶつかると,その木が倒れたり壁が壊れたりするのだ。やたらとものが壊れることで,戦闘の激しさがより伝わってくるといえるだろう。
破壊表現すら美しいグラフィックスは,Pearl Abyssが独自に開発した「BlackSpace Engine」で描かれている。広大な風景や細部まで作り込まれたキャラクターモデルやリアルタイムで変化する天候などによって,没入感の高い世界が広がっているのだ。
では,実際に体験した4つのボス戦について紹介しよう。なお,本稿はデモ版に基づいているため,製品版では内容が変更されている可能性がある。
その名の通り,紅に染まった「紅の砂漠」ブースの入口 |
「紅の砂漠」公式サイト
スタッグロード(Staglord)
筆者が最初に挑戦したのは,忘れられた王国の廃墟に君臨する「スタッグロード」だ。人間型のボスで,剣と盾を巧みに操る。
戦闘エリアに入ると,荘厳な雰囲気の廃墟が広がっていた。中央に座す「スタッグロード」の姿は,まさに悲劇の王を体現しているかのようだ。
「スタッグロード」は,素早い剣撃と盾による防御で隙がない。しばらく戦っていると動きを予測できるようになったが,攻撃力は高く油断すると一瞬で大ダメージを受けてしまう。そのため,攻撃パターンを見極め,隙を突いて反撃することが重要だ。とくに大振りの攻撃のあとは,数秒間の隙が生まれるため,そこを狙って攻撃を仕掛けるのが効果的だった。
「クロウズウィング」を使って空中から攻撃を仕掛けることで,「スタッグロード」の守りを崩すこともできた。しかし戦いが進むにつれて,動きが激しくなり,新たな攻撃パターンも追加されるため,最後まで気は抜けない。
ホワイトホーン(White Horn)
次に挑んだのは,白い山々の吹雪から生まれたという「ホワイトホーン」だ。巨大なこのボスは,その姿だけで畏怖の念を抱かせる。
戦闘エリアは吹雪が舞う山岳地帯だ。視界が悪く,足場も不安定なため,まず地形に慣れることが重要だった。
「ホワイトホーン」の特徴は,その巨体を活かした破壊力のある攻撃と,嵐を起こす能力である。とくに,ときどき繰り出される突進攻撃は,避けるのが非常に難しい。
この戦いでは,「精密フォーカス」を活用して「ホワイトホーン」の動きを読み取り,的確に回避することが勝利の鍵となった。また,「クロウズウィング」を使って高所に逃げ,弓での攻撃を行うなど,地形を活かした戦略も有効だ。
戦いが進むにつれて,「ホワイトホーン」の攻撃はより激しくなり,嵐の規模も大きくなっていく。最後は文字通り嵐の中での死闘となり,緊張感のある戦いを楽しめた。
リードデビル(Reed Devil)
3番目のボスは,かつてスラム街の住人だったという「リードデビル」だ。小柄ながら高い機動力を持つこのボスは,予想外の動きで翻弄してくる。
戦闘エリアは,葦の生い茂る沼地。視界が遮られやすく「リードデビル」の素早い動きを追うのに苦労した。
「リードデビル」の特徴は,その予測不可能な動きにある。剣での攻撃に加え,投げ矢なども使ってくるため,完全に防御しきるのは難しい。さらに戦いが進むと分身を作り出し,より複雑な攻撃を仕掛けてくる。
この戦いでは,「精密フォーカス」を使って「リードデビル」の動きを見極めることが重要だった。また分身が現れたときは,本体を見分けて集中攻撃を行うことが勝利への近道となった。
環境を利用した戦術も有用。葦を燃やして「リードデビル」の隠れ場所を減らすことで,戦いを有利に進められる。
クイーン・ストーンバック・クラブ(Queen Stoneback Crab)
最後に挑戦したのは,ほかのボスとは一線を画す「クイーン・ストーンバック・クラブ」だ。巨大な蟹のような姿をしたこのボスは,特殊な攻略法が必要となる。
戦闘エリアは,ボス自体の背中だ。不安定な足場と,絶え間ない揺れが特徴的で,バランスを取るのに苦労した。
このボスとの戦いは3段階に分かれていた。まず最初は,背中にある弱点を見つけて破壊する必要がある。弱点は硬い殻に覆われているため,何度も攻撃を当てなければならなかった。
第2段階では,「クイーン・ストーンバック・クラブ」が激しく暴れ,プレイヤーを背中から振り落とそうとする。ここでは「クロウズウィング」スキルを使って空中でバランスを取り,安全に着地することが重要になる。
すべての弱点を破壊すると最終段階に入り,「クイーン・ストーンバック・クラブ」の動きが一時的に止まる。ここで「スポットライト」スキル(詳細はよく分からなかったが,おそらく弱点を照らし出す能力)を使用し,最後の一撃を与えるのだ。
ここでの戦いは,ほかのボス戦とはまったく異なる戦い方が求められ,パズルを解くように,攻略方法を探る面白さがあった。同時に,巨大ボスに立ち向かう圧倒的なスケール感も味わえた。
絶妙な操作感が生む高難度のアクション
今回体験した「紅の砂漠」のデモは,はっきり言って難しかった。会場にいたスタッフが頻繁にアドバイスしてくれなければ,一体も撃破できなかったかもしれない。
各ボスの攻撃力はかなり高く,ちょっとしたミスで大ダメージを受けてしまう。とくに「リードデビル」の素早い動きや,「クイーン・ストーンバック・クラブ」の特殊な戦闘ルールは,プレイヤー泣かせだろう。
取材したのはgamescom初日のビジネスデイだったが,試遊待ちの行列ができていた |
しかし難度が高い一方で,操作感は非常に洗練されている。武器の切り替えやスキルの発動はスムーズで,プレイヤーの意図した通りのアクションをとりやすい。また,「クロウズウィング」による空中移動や「精密フォーカス」によるスローモーション射撃など,特殊能力の使用感も心地よい。
なお,初めてのプレイで基本的な動きで精一杯ということもあり,ほとんど試せなかったが,格ゲーばりのコンボもあり,慣れれば華麗に戦えそうだった。
「紅の砂漠」のデモプレイでは,本作の魅力を存分に味わえた。美しいグラフィックス,緊張感のある戦闘,そして多彩な戦略性は,プレイヤーを強く惹きつける。
とくに印象的だったのは,各ボスの個性的な設定と戦闘スタイルだ。「スタッグロード」の悲劇的な背景,「ホワイトホーン」の圧倒的な存在感,「リードデビル」の予測不可能な動き,そして「クイーン・ストーンバック・クラブ」の独特な戦闘ルールは,それぞれに深い没入感をもたらしていた。
「紅の砂漠」は,壮大なファンタジー世界での冒険と,緊張感のある戦闘を求めるプレイヤーにとって,間違いなく注目の一作となるだろう。今回は戦闘にフォーカス体験だったので,正式リリースの際には魅力的なストーリーも楽しみたい。
「紅の砂漠」公式サイト
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