インタビュー
「ディアブロ IV: 憎悪の器」で加わる新要素“傭兵”について開発メンバーにインタビュー。荒くれ者たちのスキルに注目[gamescom]
「憎悪の器」については,7月に開催されたイベントについて4Gamerでも取り上げたとおり,大悪魔メフィストを封じたネイレルと共に,6番目のエリアとなる「ナハントゥ」へと足を伸ばしていくというアドベンチャーが描かれる。
ナハントゥは「ディアブロ II」の第3章で描かれていたサンクチュアリ南方のジャングル地帯であるが,ここを拠点に活動していたのが,本作で新たに追加される新クラスの“スピリットボーン”だ。
グレイヴ(Glaive)のような長柄の武器を手に密林で生きてきた彼らは,「ジャガー」「イーグル」「ゴリラ」「センティピード」という4種類の守護精霊の力を借りて,それぞれに特化したプレイスタイルを楽しめる。
発売までそれほど遠くない「憎悪の器」だが,これまで秘匿にされてきた新フィーチャーの1つが「傭兵システム」だ。「ディアブロ II」や「ディアブロ III」に用意されていたものの,今回は“シールドベアラー”の「ラヒール」,“バーバリアン・クローン”の「ヴァリャーナ」,“カースド・チャイルド”の「アルドキン」,そして“酔っ払い射手”の「スーボ」という,一癖も二癖もありそうな4人の傭兵に絞られている。いずれもプレイヤーのコンパニオンとして活躍してくれそうだ。
今回は,そんな傭兵システムを中心にして,長らく当DLCの開発に関わってきたゲームディレクターのブレント・ギブソン(Brent Gibson)氏,およびシステムデザイナーのエイズリン・ホール(Aislyn Hall)氏の2人に話しをうかがってきたので紹介したい。
[プレイレポ]「ディアブロ IV:憎悪の器」で追加される新クラス「スピリットボーン」を事前プレイ。精霊の役割や手触りはいかに?
10月8日にリリース予定の「ディアブロ IV」拡張パック「憎悪の器」の事前体験会がカリフォルニア州にあるBlizzard’s Irvine Campusで開催された。この拡張パックで追加される,シリーズを通してまったく新しいクラス「スピリットボーン」をプレイしたので,その内容をお届けしよう。
4Gamer:
今回のイベントで45分ほど「憎悪の器」のスピリットボーンをプレイする機会がありましたが,非常にスピーディで,かつパワーを感じられるクラスでした。ジャガー・トライブで少しプレイしてみたのですが,ビルドはドルイドとバーバリアンの混成っぽいというか……。
ブレント・ギブソン氏:
どのスペックでプレイしたかで変わってきます。もしアタックスピードに特化して近隣戦を楽しみたいのであれば「ジャガー」を,よりダメージと俊敏性にフォーカスするのであれば「イーグル」を,防御的なプレイは「ゴリラ」を,そして毒で時間をかけて敵の集団をキルするなら「センティピード」を,といった具合です。
スピリットボーンは「ディアブロ」シリーズで最もカスタマイズ可能なクラスになっており,もしバーバリアン的なプレイが好みなら,よりアグレッシブなスキルに振り分けるのがいいでしょう。
我々が,このクラスをデザインしていくうえで突き詰めたのが,“ハイブリッド型クラス”ということです。さまざまなクラスの要素を取り入れるのは,実際にはジェネリックなビルドになりがちで,スピリットボーンが新鮮に感じられ,かつその独自性を強調するという調整は意外と難しくありました。
アイズリン・ホール氏:
我々の目標としては,今ギブソンが話したように,プレイヤーがスキルを細かく振り分けていくことでプレイスタイルの変化を楽しめる“ハイブリッド型”にすることと,「ディアブロ II」以来,久々に訪れるナハントゥのジャングルにマッチしたキャラクターを作るということでした。
キャラクタークラスはシリーズを体験していくうえで非常に重要な要素ですが,このメフィストへの信仰によって憎しみに溢れるジャングルで生き抜いてきた人々が,スピリットボーンなわけです。
そのスキルは1つひとつが異なるものですが,それでいてお互いを補完し合っていて,どんな組み合わせでもとりあえずはプレイできますし,そうしてプレイしていくうちに自分のプレイスタイルに合った組み合わせのビルドを作っていけるのです。
4Gamer:
特にゲームのスピード感というか,「あれ!? 爽快感がマシマシじゃない?」って思ったのですが,ゲームデザインは何を基軸にしているのでしょう。
ギブソン氏:
そうですね。そのスピード感というのは,「ディアブロ IV」を開発していくうえでとても気を使った部分でした。ゲーマーたちが,実際にどれだけサクサクとプレイしていきたいのかと言うのは,本編のテスト中でもよくわからず,その時点で皆さんが最も快適に感じるであろう部分までバランス調整したのが本編です。
しかし「憎悪の器」では,その我々が当初想定していた“限界値”をさらに上回ったスピード感でプレイできるようになっているので,それに関しては皆さんがどうお感じになるか楽しみにしています。
4Gamer:
「ディアブロ IV」はシーズンが経過するごとに徐々にファンの評価も高まっているという印象ですが,このDLCを開発していくうえでのモチベーションはどのようなものでしたか。
ギブソン氏:
はい。ゲーマーの評価が改善されているというのは我々にとっても喜ばしいことなのですが,実は「憎悪の器」は,本編がリリースする以前から,私たち別動隊がデザインの企画を行ってきたものです。このシリーズの世界は非常に大きく,もはや1つのゲームではとても収まり切りません。今回はナハントゥですが,最終的にはサンクチュアリのすべてのエリアを「ディアブロ IV」という1つのゲームに収めたいという目標があるのです。
ホール氏:
シーズンを通して,「ディアブロ IV」は着実にライブゲームとして成長していっています。我々は常にゲーマーの皆さんのフィードバックを聞き,コミュニティが何を求めているのかを意識しながら,ゲームの方向性だけでなく我々のフランチャイズに対する価値観さえも変化させています。当初から企画や開発が行ってきましたが,そうしたフィードバックを「憎悪の器」に詰め込む時間は十分にありました。
4Gamer:
今回のイベントで,“傭兵”の要素がアナウンスされたのが最大のビッグニュースですね。
ギブソン氏:
そうなんです。これも早くからDLCのアイデアの1つだったので,ようやくアナウンスできてうれしいです。「ディアブロ」シリーズのキャラクタークラスは,そのすべてが特定のプレイスタイルに特化したものであって,それぞれに弱点を抱えています。
ソーサラーなら,タンクとして前で相手を寄せ付けないような傭兵がその弱点を補完してくれますし,バーバリアンなら,後方から支援してくれる傭兵が必要といった具合です。
ただ,その傭兵システムをゲームに組み込むのは大変で,本編の開発中にはとてもじゃないけど間に合いませんでした。シーズン4でアイテマイゼーション機能が組み込まれたことで,ようやく自信を持ってリリースできるようになりました。
ホール氏:
さきほどスピード感についての話題が出ましたが,例えばネクロマンサーのように,ほかよりもスピードのないクラスも存在します。
今回の傭兵システムは単純にプレイヤーの周囲で戦うだけでなく,スピードのバフを与えてくれるキャラクターも存在します。より爽快感を出していくうえで,「憎悪の器」の傭兵たちはゲームそのものにしっかりと組み込まれているのです。
傭兵の1人に“ヴァリャーナ”(Varyana)というキャラクターがいますが,彼女の能力の1つが,プレイヤーのキルストリークのスピードを向上させてくれるというものですから,ネクロマンサーとマッチするだろうと思っています。
4Gamer:
本作の傭兵は4人に限定されていて,「ディアブロ III」のフォロワーシステムとは大きく異なるようですが,ヴァリャーナならバーバリアンというように,それぞれがデフォルトでキャラクタークラスを表現しているのでしょうか。
ギブソン氏:
いえ,彼ら傭兵がどのような存在であるのかはゲームをプレイしてからのお楽しみにしておいていただきたいですが,ヴァリャーナは“バーバリアン・クローン”です(笑)。
4Gamer:
あのデーモンのような子供は何でしょう。
ギブソン氏:
ハーフデーモンの呪われし子,“アルドキン”(Aldkin)ですね。火炎を扱う“シャドウ・メージ”といったところでしょうか。
スピリットボーンをジャガーでプレイした際に「The Hunter」という火炎の範囲ダメージを与えるアルティメットスキルがありますが,アルドキンは同じようなスキルを持っています。
つまり,「ジャガーのスキルが好きだけどほかのビルドでプレイしたい」というときに,アルドキンをコンパニオンにするといいわけです。
4Gamer:
それぞれにバックグラウンドがあるようですが,DLCの中でもより詳しい彼らのストーリーが描かれるのでしょうか。
ギブソン氏:
はい。我々の描きたかったことが,彼ら傭兵は「ディアブロ」という世界の一部であるということです。彼らはサンクチュアリを救える力を持つヒーローではないかも知れませんが,魔界と戦う意志を持っており,少しだけヒーローにはない特殊なスキルを持っている存在なわけです。
プレイヤーは彼らを探し出すクエストがあり,それぞれにストーリー・デベロップメントがあります。やがては「マーセナリー・デン」(Mercenary Den)でプライマリーとセカンダリーの傭兵を自在に設定できるようになります。
4Gamer:
それぞれにインベントリーやスキルセットがあるのですか。
ホール氏:
はい,専用のスキルセットはありますが,インベントリはありません。彼ら専用の武器があり,ユニークなコスチュームをまとっています。スキルについてはプレイヤーがアサインできるので,酔っ払い射手の“スーボ”(Subo)ならクラウドコントロールに特化させるといったことも可能です。
インベントリはなく,“バータリング”(Bartering)というシステムがありますが,それぞれの傭兵には“ラポート”(Rapport)という評判システムが存在して,プレイヤーは彼らの評判を向上させられます。
このラポートでスキルのアンロックを行うのですが,同時に“ペールマーク”(Pale Mark)という一種の通貨を獲得し,それを溜めて彼ら傭兵からギアを購入できます。
4Gamer:
傭兵たちを,元の世界に連れていくことも可能なのでしょうか。そもそもスピリットボーンで最初からゲームをプレイできますか。
ギブソン氏:
できますよ。傭兵は「憎悪の器」のクエストに組み込まれているので,ナハントゥまでストーリーを進めていかないとアンロックされませんが,ベースゲームの最初からスピリットボーンを育てたいというのなら,当然プレイヤーの選択の1つとして可能です。
4Gamer:
今年の春にGame Passでも「ディアブロ IV」がプレイできるようになりましたが,相当数の新しいプレイヤーが参加して来ていると想像します。
ホール氏:
そうですね。ベテランプレイヤーと,これまでシリーズをプレイしたことのないという新しいゲーマー層が混在している状況ですが,より多くのゲーマーの皆さんに楽しんでいただけるようになったのは喜ばしいことです。
「憎悪の器」では新しいプレイヤーでも一緒にプレイできる人を探しやすい機能として,“パーティ・ファインダー”というフィーチャーをご用意しています。
今回のDLCには,「ダーク・シタデル」という4人向けの新しいエンドゲームダンジョンや「アンダーグラウンド」というタイムアタック型ダンジョンがあるのですが,そうしたコンテンツに参加したいのにフレンドがいない時などは,募集のポストをすることで簡単に仲間を見つけられます。
さまざまなコンテンツに,誰でもアクセスできる環境を整えていくのが我々の目標の1つでもあります。
“シーズン 6”の開始と同時になると予想される「ディアブロ IV: 憎悪の器」は,2024年10月8日に,PCおよびPS5,PS4,Xbox Series X|S,Xbox One向けにリリースされる。新しいクラスであるスピリットボーンに加え,今回のインタビューの焦点にもなった“傭兵”システムなど,新しいフィーチャーの数々が楽しめそうな大型DLC第1弾となるだけに,これまでのファンだけでなく,新しいゲーマー層にも大きくアピールしそうだ。
「ディアブロ IV」公式サイト
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