インタビュー
「グランサガ」配信直前インタビュー。MMOとは異なるキャラ育成が楽しめるRPG体験と,高級感へのこだわりについて聞いた
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4Gamerは,リリースを直前に控えたタイミングで,プロダクトマネージャーを務める鈴木宏志氏と,マーケティングを担当する松本 航氏のそれぞれにインタビューする機会を得た。
開発背景からゲームとしての魅力や今後の展開,そしてプロモーションにおけるこだわりなど,それぞれの立場から質問に答えてもらったので,まずは鈴木氏へのインタビューの内容からお届けしよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,「グランサガ」の開発背景を教えてください。
鈴木宏志氏(以下,鈴木氏):
本当に単純な理由にはなるのですけど,とにかく面白いゲームを,いいものを作りたいところからスタートしています。そのなかで,馴染みやすい王道的な要素とそうではないものを入れながら,ユーザーの方に触れていただきやすいゲームを目指して開発を行ってきました。
4Gamer:
プレイ動画などを見るとMMOのような印象を受けますが,“魂を込めたRPG”というキャッチコピーが示しているように,基本的には(MMORPGではなく)RPGと認識してよろしいのでしょうか。
鈴木氏:
そうですね。MMOのゲームは縦積み,1人のキャラクターをとにかく育てていくような特徴があると思うのですが,「グランサガ」では横に広げる方向で遊びの選択肢を増やしたいと考えています。実際に触ってみると奥深い戦略的な要素があったりもしますし,そういう意味でもRPG的な要素を押し出しています。
4Gamer:
複数のプレイヤーで同時に敵と戦う“殲滅戦”などのコンテンツもありますが,プレイにおけるソロとマルチの比率はどの程度になる想定ですか?
鈴木氏:
リリースした時点では,ソロ7割,マルチ3割ぐらいになると思います。もちろん,のちのち展開するコンテンツなどによって多少比率が変わってくるとは思いますが,基本的にメインクエストなどはソロでプレイしつつ,要所でマルチの遊びを楽しめるようなイメージです。マルチプレイに関しても,競い合うというよりはユーザー同士で楽しめるようなものをご用意したいと思っています。
4Gamer:
本作を作るうえで,とくに意識されたのはどのようなことでしょうか。
鈴木氏:
まずは飽きられないもの,中長期的な目標が立てやすい状況を用意することに関しては,かなり気を使っています。目標がないと,そもそもゲームを始めようとは思わないじゃないですか。なので,プレイ時間の長い短いに関係なく,何かしらの楽しみを持ってログインができるようにしていきたいです。
4Gamer:
ゲーム画面を見るとまずグラフィックスに目を奪われますが,ビジュアル面でとくに注目してほしい部分を教えてください。
鈴木氏:
キャラクターのデザインなどは差別化できるようにしつつ,突飛なものにはならないようにこだわっています。かつ,それぞれのお客様が自分なりの特色を出せるように,髪型などを変更できる要素も入れているので,そのあたりはぜひ注目していただければと。
4Gamer:
キャラクターの外見変更は,あとからでもチケットを消費することで可能とのことですが,このチケットはどういった方法で入手できるのでしょうか。
鈴木氏:
基本的にはショップでの販売を考えています。ただ今後,もしかしたら何かしらのイベントで入手できるようにするなど,いろいろな展開はできるかなと思います。見た目が変わるという意味では,本作は頭,胴,脚の3部位に装着した装備がそのまま見た目にも反映されるようになっています。
それとは別にコスチューム機能も用意しているので,クリスマスにはサンタ衣装を出すなど,普段とは少し違った外見にすることもできます。そのあたりは随時制作していく予定ですので,お楽しみいただければと思います。
4Gamer:
防具の見た目だけを変更することはできますか?
鈴木氏:
防具に関してはそういった機能を入れていないのですが,防具よりもコスチュームを優先して反映する仕組みなので,そういう意味では防具が変わってもコスチュームの見た目は維持することができます。
4Gamer:
本作のバトルは通常攻撃がオートで行われ,プレイヤーはスキルの発動や移動による攻撃の回避を行うスタイルですが,バトルでのこだわりを教えてください。
鈴木氏:
昔ながらのPCゲームでよくあった,ターゲットを選択すると攻撃し続けてスキルは手動で発動する。そんな王道な形式にしたいとなったときに,スキルを完全手動にしてしまうと,トレンドに沿わないねという話になったんです。それもあってオートでスキルも撃てるようにしたのですが,フルオート推奨というわけではありません。
効率よく戦うには,スキルごとの特徴を理解したり,キャラクターを切り換えて属性相性に対応したりといった工夫が必要なので,手動操作をするとより奥深く楽しんでいただけるものになっています。
4Gamer:
グランウェポンを装備することによって発動できるスキルは,ウェポンごとにアクションも変わってくるのでしょうか。
鈴木氏:
そうです。アクションの種類もたくさんありますし,キャラクターによっては特殊な演出が入ることもあります。今後もここは追加を行っていくので,ご期待いただければと思います。
4Gamer:
東京ゲームショウ2021で公開された金子ノブアキさんが本作をプレイする動画では,操作キャラクターが変身するスキルも登場していましたね。
鈴木氏:
変身可能なグランウェポンは,リリース時には各キャラクターに1種類ずつ実装できればと思っています。見た目が変わるという点が魅力的ですが,変身効果を持たないグランウェポンにもそれぞれの強みや魅力があるので,いろいろなグランウェポンを楽しんでいただきたいですね。
4Gamer:
王道のファンタジー世界を描く本作の世界に関して,こだわったのはどのような部分ですか?
鈴木氏:
キャラクターのバックグラウンドがまさにそうなのですが,まだお出ししていない設定がかなりあるのです。ここも今後ご提供していければと思うのですが,ストーリーやキャラクターについては本当に何か月も相談に相談を重ねて組み上げています。それこそまだ出していない部分もありますし,変えたほうがいいという結論になったものはいまだに更新をしています。
4Gamer:
リリース時点でのストーリーボリュームはどの程度になっているのでしょうか。
鈴木氏:
人によってプレイされるスピードは変わるので,一概にこれくらいとは言えないのですが,少し遊んだだけでメインクエストをやり切ってしまうようなことにはならないと思います。メインストーリーは完全にフルボイスになっているので,声優の皆さんの演技にも注目してほしいです。
ボイスの収録には私も立ち会わせていただいて,収録のなかで声優の方々からご提案をいただいたり,逆にこちらからも相談させていただいたりして,本当に時間をかけて収録を行いました。ひと言ひと言に感情が現れているので,ぜひ音アリで楽しんでください。メインストーリーだけでなく街中にいるNPCなどもすれ違いざまに喋ったりするので,賑やかになっていると思いますよ。
4Gamer:
メインクエスト以外の寄り道部分はどんな要素が用意されているのですか?
鈴木氏:
メインクエストもただ見るだけではないので,進めるなかでバトルに負けてしまうこともあるかと思います。そうなったときのキャラクター育成もある意味寄り道ですし,あとはサブクエストですね。NPCたちとの会話のなかでクエストが発生することもあるので,ストーリーがメインか報酬目的かは人によりますが,そのあたりも楽しめると思います。
グランウェポンを使いこんでいくと信頼度が上昇して,そのグランウェポンのバックグラウンドが読めるような要素も用意しています。こちらもクエスト型になっていて,メインストーリー同様にフルボイスで進行するので,より愛着を持っていただけるかなと。
4Gamer:
グランウェポンとのイベントもフルボイスというのはうれしいですね。
鈴木氏:
メインクエストだけでもしっかり遊べるものになっていますが,そういった要素も遊んでいただくとボリューム的にも満足できるかと思います。
4Gamer:
リリース後の展開についても伺っていきたいと思います。まず公式サイトに掲載されているマップには,最初の舞台となるエスプロジェンのほか,別の国を表すような旗が4本出ていますが,これらの地域はいつごろ登場する予定なのでしょうか。
鈴木氏:
こちらは明言が難しい部分ではあるのですが,あまり長くはお待たせしないように調整したいと思っています。
4Gamer:
リリース時のプレイアブルキャラは6体となっていますが,キャラクターの追加や紐づけられた属性の変更などを行う予定はありますか?
鈴木氏:
キャラクターの追加に関しては行っていくつもりですが,属性変更のようなものはいまのところ予定していません。キャラクターを選んで使えるとなると,どうしてもお気に入りのキャラクターばっかり使ってしまいがちですもんね。
ほかのゲームでもそうなのですけど,いつも使わないキャラクターを使ったら意外と面白かった,みたいな体験があるじゃないですか。自分もそういった体験をしてきたので,キャラクターと属性を紐づけることで,各キャラクターに触れる機会を増やしたかったのです。
4Gamer:
ガチャがグランウェポンとアーティファクトとで別々になっているのは,ユーザーにとっての使い勝手のよさを考えてでしょうか。
鈴木氏:
はい。ガチャを回すときって,基本的に欲しいものがあるから回すじゃないですか。グランウェポンとアーティファクトは役割が明確に異なるので,それを同じガチャに入れることでどちらかがハズレという認識になるのは避けたかったのです。おっしゃったとおり,単純に分けてあったほうがユーザーの方にとっての利便性も高いですしね。
4Gamer:
役割で言うと,グランウェポンはスキルなど攻撃に関連するもので,アーティファクトは防具に近いイメージですよね。
鈴木氏:
イメージとしてはそうですね。アーティファクトは特定の状態異常への耐性を上げたり,いずれかの属性を持つキャラクターの攻撃力を少し上げたりするような,補佐的な役割を担っています。
4Gamer:
RADWIMPSさんのとのタイアップなど,リリース前からコラボ展開がありましたが,今後はどのような展開を予定されていますか?
鈴木氏:
コラボレーションについてはゲーム内外で検討しています。まだ具体的に何が,というのが決まっているわけではありませんが,システム的にはグランウェポンや変身機能,コスチュームなどが存在するので,可能性はいろいろとあるかなと思います。
4Gamer:
本作をプレイし始めた人,遊ぼうかと思って悩んでいる人に向けたメッセージをお願いします。
鈴木氏:
遊び始めた方については,まずはリリース時に実装されている物語をある程度進めてみていただきたいですね。序盤は「グランサガ」の世界を手軽に楽しめるような設計にしつつ,ところどころで強い敵も出てくるようにしているので,シナリオとバトルの両方で楽しんでいただけたらと思います。
まだ「グランサガ」に触れていないという方は,プロモーション映像をご覧いただいても分かるとおり,映像の美しさもありますし,さまざまな声優さんのおかげで耳でも楽しめる作品になっています。また,シナリオも体験した人の心を揺さぶれるような物語になっているので,触ってみていただければどこかしらが刺さると思います。なのでまずはいったん触れていただいて,どこがご自身にとっていちばん魅力的かをご覧いただけると幸いです。
以降は,「グランサガ」マーケティングチームで本作のプロモーションなどを手がける松本 航氏へのインタビューをお送りする。短時間ではあるが,これまでに行ったプロモーションの狙いや,今後の展開を伺った。
4Gamer:
8月に公開されたショーケース動画は1本の映像作品のような作りになっていましたが,あのようなプロモーションを行うに至った経緯を教えてください。
「グランサガ」というタイトルや弊社のことが世の中に知られていないときに,どれだけ派手なことをやっても一般の方にいきなり知ってもらうのは難しいと考えておりまして。あとから本作のことを知ってくださった方がさかのぼって見たときに,恥ずかしくないものを出したくて,あの形を取らせていただきました。「このゲーム,なんか普通じゃない」と思ってもらえたら,我々としては嬉しい限りです。
4Gamer:
ショーケース動画や公式サイトは高級感のある作りになっていますが,こちらはどういった意図があるのでしょうか。
松本氏:
我々からはジャンルとしてMMOとは明示してないのですが,普段からゲームに触れられてる方が「グランサガ」を見たときに,パッと見でMMOっぽいと感じる方は多いと思っています。すると当然,既存作品との比較が入ると思うんですよね。そう考えたときに「グランサガ」の強みは何かと考えると,ものすごく尖った部分はなくても,一つ一つの要素(グラフィックス,アクション,ストーリー,声優,コンテンツ)を丁寧に作り込んでいることだと思ってまして。“魂を込めたRPG”という言葉を掲げているとおり,ゲーム以外の部分も心を込めて作っていることを伝えるためにも,弊社からアップするすべてのコンテンツに魂を込めてリッチに仕上げることは意識しました。
4Gamer:
クオリティの高さが印象的な一方で,アンバサダーに就任された金子ノブアキさんによるプレイ動画や,小栗 旬さんも出演されているテレビCM,RADWIMPSさんの楽曲を使ったスペシャルアニメ映像など,いわゆるゲーマーに限らない層に訴求するような展開もされていますね。
松本氏:
そうですね。このゲームを日本一にするためのプロモーションを行うのであれば,ゲームジャンルだけではなく,世の中のスマートフォンアプリやエンタメ全般にも通用するレベルじゃないといけないと思っています。それならプロモーション1つ取ってもワクワクしてもらえるような取り組みをしないといけないなと思って,多くの方にとって耳馴染みのある声や世界観を持つRADWIMPSさん。そして我々の世界観を背負って立っていただける俳優として,金子さん,小栗さんを起用させていただきました。
4Gamer:
ロゴデザインを天野喜孝さんが,音楽を下村陽子さんが手がけているという点もゲーマーとしては注目のポイントになるかと思いますが,お二人が参加されたきっかけを教えてください。
松本氏:
やっぱり日本でRPGの王道を貫いて築き上げてきたのは,ビジュアル面では天野さんだと思っていますし,ゲームの思い出として強く残る音楽を手がけてくださるのは下村さんだと思っていて。ここは制作チーム,マーケティングチームともに,お願いしようというのは決めていました。公式サイトでお二人のインタビュー映像を公開していますが,作り手の心情などを知ったうえで見たり,聴いたりしていただくと,より深くゲームも楽しめると思うので,そちらもぜひご覧いただきたいです。
4Gamer:
公式サイトでは下村さんの楽曲を聞くこともできますが,こちらを音楽配信サイトなどでリリースする予定はありますか?
松本氏:
まだ具体的には決まってはいないのですが,要望によっては下村さんと具体的な話を進めていきたいと思っています。ゲームの楽曲は騎士団会館で聴くことができて,ゲーム序盤からすべての楽曲をご視聴いただけます。リリース時にはRADWIMPSさんの本作テーマソング「MAKAFUKA」も収録されていると思うので,そちらも楽しんでほしいですね。
「グランサガ」の正式サービスが11月18日に開始。テーマソングはRADWIMPSの新曲“MAKAFUKA”,スペシャルアニメも公開に
NPIXELは本日(2021年10月21日),スマホアプリ「グランサガ」のサービス開始日が11月18日に決定したことを発表した。これに合わせて,ロックバンド「RADWIMPS」の新曲「MAKAFUKA」を本作のテーマソングに採用したことや,グランサガと同楽曲のコラボによるスペシャルアニメ(30秒Ver)を公開したことも明らかにされた。
4Gamer:
メディア先行試遊会などで配布されたノベルティも豪華なものになっていますが,こういったグッズ展開も積極的に広げていくのでしょうか。
松本氏:
ぜひやりたいなと思って,いま探っているところです。リリース前にも事前登録をしたらZONeさんのエナジードリンクをもらえるようなタイアップを行いましたが,そういったタイアップやライセンス展開は積極的にしていきたいですね。ただ,まずはゲームをちゃんと遊んでもらうことが大事なので,焦らずに一歩ずつ,ユーザーの皆様と共にしっかりと進めていこうと考えています。
4Gamer:
……そろそろお時間のようなので,最後の質問となります。松本さんが「グランサガ」のプロモーションを行ううえで,とくにこだわっているのはどんな部分ですか?
松本氏:
先ほど高級感というお話がありましたが,僕らとしては高級感のなかにも遊び心を常に持たせたいと思っています。例えばファッションブランドのGUCCIさんって,世界中で愛される高級ブランドでありながらも,「ドラえもん」とコラボをしていたりして,触れやすさを出しているじゃないですか。そのコンセプトというか,ユーザーコミュニケーションは参考にさせていただいてます。
4Gamer:
リッチ感は大事にしつつ,お高くとまることはしないと。
松本氏:
そうです。Twitterキャンペーンなどはなるべく多くの方にとって馴染みやすい設計にしつつ,SNSでもフレンドリーにユーザーとコミュニケ―ションを図る。でも公式から出す情報はしっかりとリッチなものにする,というのは心がけています。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
――2021年11月5日収録。