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[TGS 2019]謎の怪生物を声で導くサイコロジカルホラーゲーム「The Voice Inside」をレポート
白と黒のモノトーンで構成され,抽象的な物体が漂う世界。その中で鼓動する真っ黒な心臓から生まれた怪生物が本作の主人公である。怪生物には目がないため,プレイヤーが声で命令し,ゴールへと導いてやらなければならない。
命令に使えるのは簡単な英単語と日本語で,「Move(進め)」で怪生物が前進し,「Run(走れ)」なら走り,「Stop(止まれ)」だと静止する。ほかには「Turn Right(右へ)」で右へ90度曲がり,「Step Right(右ステップ)」で進行方向をそのままに右へずれ,「Sneak(スニーク)」で忍び歩きするなど,20個ほどのボイスコマンドが用意されていた。動きを止めたい場合に「止まれ」だけでなく「待て」でも反応してくれるなど,類語も認識してくれる。
命令の認識は良好だが,たまに指示を出しても聞き取ってくれないことがあった。開発元であるADK Gamesのスタッフによると,会場の騒音が激しいためで自宅で遊ぶ分には問題ないとのことだった。
フィールドにはさまざまな障害物が存在しており,対応を誤るとミスになる。亀裂にさしかかったら「ジャンプ!」,細い橋の上を歩く際に「ゆっくり!」,突然襲ってくる衝撃波をやり過ごすために「隠れろ!」といったように,状況に合わせた命令を出す必要がある。安全に進むには,結構頻繁に話しかけてやらなければならなかった。
怪生物が命令に従ってくれる様は忠実なペットのようである。ゲームを進めていくと,グロテスクな姿をしている彼(?)が,だんだん可愛らしく思えてくるから不思議だ。こちらの指示が遅れてミスになったときなどは,ちょっと可哀想な気持ちになる。声による間接的なコントロールにより,感情移入が深まっているのだろう。
こうして冒険をしていると,頻繁に謎の声が語りかけてくる。基本的には,初めて使うボイスコマンドを教えてくれるのだが,声音が不気味なうえに,耳元で「何かがお前の心に隠れている……その声に耳を傾けるのだ……」など,スピリチュアルなことを囁くので怖い。
また,闇の中に真っ白な仮面が浮かんでいたり,意味ありげな人影が何もいわずに佇んでいたりと,精神にくる系の恐ろしさがある。ホラーが苦手な筆者としては,プレイしたのが賑やかな東京ゲームショウ会場で良かったという感じだ。
本作を開発しているのはドイツの学生2人組で,これが初めて公開するゲームなのだという。学生がこうしたユニークなゲームを作れるというのは,開発環境の発達とともに,インディーズゲーム界の盛り上がりを感じさせるものがある。
The Voice Insideは,現時点ではα版と状態とのことだが,将来的にはVR対応やマルチプレイ,日本語メッセージ対応なども検討されているようだ。2019年内にはアーリーアクセスも始まる予定だそうなので,ホラーが好きな人やボイスコマンドを体験してみたい人は,チェックしてみよう。
Steamの「The Voice Inside」配信ページ
「The Voice Inside」公式サイト
4Gamerの東京ゲームショウ2019特設サイト
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The Voice Inside
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