プレイレポート
[TGS 2019]完美世界の「ReEvolve」は,生存や冒険,創造をとおして文明復興を目指すサンドボックスMMORPGだ
プレイヤーは文明が滅んだというこの世界の中で,この地を宇宙から見ていたとされる超科学の名残を頼りに,生存,冒険,創造などをとおして,石器から鉄器の時代へ,工業から科学の時代へと,この星の文明再興を目指していく。
歴史の歩みに伴い,文化や生物,風景や建造物といった面にも変化が起きるが,それらの移り変わりは世界が変わるだけでなく,ゲーム的にも,過程ごとに異なる体験ができる仕組みだという。
キャラクターデザインは,全体的にアニメチックに仕上げられており,そこに「ファンタジー」と「サイエンス」のエッセンスが加えられているという印象だ。作品の舞台となるオープンワールドは,動植物で賑わう肥沃な大地だ。
実際のゲーム画面でもデザインの特徴は生かされているが,この世界はサンドボックスらしく,地形はボクセルグラフィックスで構成されている。それでいて安っぽさを感じさせないのは,木々などの構造物が滑らかなテクスチャで設計されているからだろう。
この世界には昼夜もあり,吹雪や砂嵐といった環境の変化もある。瘴気のガスに火が点けば,爆発が起きるし,マグマの噴き出す熔岩地帯では,水分を取らないと人はものを言えなくなる。とはいえ,これら人類を悩ませる毒も,我々が作り出した装備次第で薬に転じるという。
ロケーションの中には港都市や遊園地などもあり,ある湖には空へ飛び跳ねるシャイニングクジラなどが出没するという。各地では滅びた文明の余韻だという機械が立ちはだかり,ときにはイースターエッグとしても姿を見せる。
残念ながら短時間の試遊では,こうしたコンセプトを実感するには至らなかった。それでもおおよそ本作からは,オープンワールドゲームに求められる,変化や影響といった小さいものをなるべく取りこぼさないようにしたいという考えが散見された。
ゲームの面白さは,どれだけ骨太なゲーム性を確立したかで担保される。当たり前だ。しかし,看板にオープンワールドと掲出されると,ユーザーは無意識で追加の要求をしてしまう。こういう開かれた世界で,面白さなる不思議エネルギーを蓄積してみせるのは,自由な遊びの骨格といった無責任で無秩序な方針ではない。歩いて,眺めて,聞いて,触れたものの変化を実感できる,そういう打てば響く小さな部分にあるからだ。
この作品は今後,世界は広大に,物語は壮大に,展開はダイナミックに,影響はこまごまに,などと喧伝していくのだろう。わずかながらのプレイですら,それを伝えたいのがまざまざと見えた。情報露出で期待感を倍々に膨れ上げさせるのは,MMORPGを標榜するタイトルの義務であり責務であるが,それにしたってさすがにやりすぎだ。今のままじゃ,この世界に行きたいと思わないわけがない。
MMORPGの型枠で,サンドボックス体験
ゲームシステム的には,MMORPGでサンドボックスを体験するのが本作の遊びである。一般的なRPGと同様,冒険して育成してを繰り返す。説明が面倒なのではない。無駄な装飾をするほうがかえってRPGに失礼だ。
操作するプレイヤーキャラクターにジョブの概念はないが,ロールの概念はあるようだ。キャラクターの役割は「武器」「物質ガン」「ペット」に付加されたスキルアクションによって定義される。剣だから前衛,弓だから後衛。そんな風に考えれば済む分,古典的でスマートである。
なお,物質ガンというのは「動物も素材もなんでも吸い込めるガン」であり,その特性を利用して,炎や氷などの魔法的なエフェクトを発現できる。あれだろう,高度に発達した化学は魔法と区別がなんとやらだ。
物質ガンは戦闘以外にも,建築や料理や開発などを推進するためのガジェットとしても扱っていく。プレイヤー的には便利道具であるが,ゲーム的には世界観的を集約したシンボルと言える。
物質ガンを使えば,家をクリエイトしたり,占領地にギルドの基地を建てたりできる。ギルドメンバーと一緒に建築すれば手間を減らせるし,意図がかみ合わなければ手間が増える。ギルドメンバーとは施設のみならず,アイテム類やペットも共有できるとのことだ。仲が良し。
自分達が作り上げた聖域は,憩いに使うも,植物を育てるも,動物を飼うも自由だ。この動物とはペットであり,対峙するモンスターでもある。ローンチ時点では150種類以上の動物と戦ったり,彼らを手なずけたりできるとのこと。動物の中には炎や雷といったエレメントを有するものもいて,それらの特性はアイテム作成時に活用できるらしい。
そのほか,12人vs.12人で戦う大戦場,造船とそれによる大海戦,コミュニティ面では愛や復讐,絆の表現をシステムに落とし込んでいくらしい。求められるプレイ時間,時代の移ろいとそのサイクル,ゲーム進行の可逆性など,まだ見えぬ部分も多いが,細部のディテールにこだわりながらもMMORPGとしてのサイズ感は申し分ない(少なくとも提示されたコンセプトと実際のゲーム画面の説得力のうえでは)。
この「ReEvolve」の存在は,出来栄えによってほかのパブリッシャが賞し,妬む,次代のMMORPGとなり得る。個人的には対抗作品が生まれたそのとき,それらが企画倒れの内実を晒すのか,もしくはより洗練されたハイエンドゲームとして名を立てるのか,この作品のリリースを飛び越えたその先に関心が寄ってしまうのが恐縮だ。でもそういう期待のされ方が似合うゲームなのだと,ブースをあとにした今も思っている。
■提供されたPVよりトリミング