プレイレポート
「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」を紹介。基本的な楽しみ方はそのままに,遊びの幅が広がった桃鉄シリーズ最新作
1988年12月のシリーズ第1作が発売されてからおよそ32年。近作ではリリース間隔が空いていたが,子どものころに友人たちと遊んだり,年末年始に家族と楽しんだりといった人も多いはず。そんなパーティーゲームの“定番”として人気の桃鉄シリーズの完全新作が,Switchに登場するのだ。
発売まで1週間を切った本作を先行してプレイできたので,ゲームの特徴や魅力を紹介しよう。
「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」公式サイト
マップが大きくなり,物件数もボリュームアップ!
おなじみの楽しみ方のまま,遊びの幅が広がった
最初に,桃鉄というゲームの基本的な遊び方についてお伝えしたい。
まずプレイヤーは鉄道会社の社長となり,日本全国を回って土産物屋,デパート,レジャー施設といった「物件」を買い集めることになる。桃鉄をプレイしたことがある人やシリーズファンにとってはおなじみのもので,このあたりは本作でも変わらない。
初めて桃鉄を遊ぶという人は,サイコロを振ってゴールを目指す「すごろく」に,物件購入や経営の要素を加えたものをイメージしてほしい。物件購入や経営と言っても,基本は止まった駅(マス)にある物件を購入するだけなので,難しいこと抜きで気軽にプレイできる。
ゲームに参加できる人数は最大4人。CPUを入れて遊べるので,1人で黙々と遊ぶことも可能だ。ランダムで決まる目的地(ゴール)に向かって,サイコロを振って出た目の数だけ,自分のコマを進めていく。
地名の付いた大きな駅に止まったときは,物件を購入することができる。止まれるかどうかはサイコロ次第だが,地方ごとの物件の傾向を把握しておくと有利に戦うことができる。
物件がある駅以外にも,止まるとお金をもらえる青いマスや,逆にお金を失う赤いマス。自身に有利な効果を与えるものや相手の邪魔をするものなど,さまざまな効果を持つカードが購入できるカード売り場のマス,カードがランダムで手に入る黄のマスなどがある。
お金がマイナスになっても突き進むか,それとも一度下がるか……。その一手がその後の展開を左右することもある。ライバルたちの動きをうかがいながら,ときに慎重に,ときに思い切りよく移動し,目的地を目指そう。
一度に振れるサイコロの数が増える「特急カード」,お金を使わずに物件を乗っ取れる「乗っ取りカード」,ほかのプレイヤーを北海道に飛ばして1回休みにする「屯田兵カード」など,カードはユーモアたっぷりでその種類も豊富だ。
カードは使い方次第でピンチを抜け出し,逆転の一手にもなる。ちょっと寄り道になる場合でも,黄色のマスやカード売り場のマスに止まって集めておくのも戦法の1つだ。
一番先に目的地にたどり着いた社長は援助金がもらえる。これを元手に物件を購入しよう。ひとつの駅の物件をすべて購入(独占)するとその駅から得られる収益が2倍になり,大きなアドバンテージとなる。
この「一番乗りでゴールする」「援助金を元手に物件を購入する」が,会社の成長につながる基本となるのだ。
誰かが目的地に到着すると,次の目的地がランダムで指定され,一番乗りを目指し新たな目的地へと向かうというのがゲームの基本的な進め方となる。目的地を目指しながら,援助金や青いマスでもらったお金,1年ごとにもらえる手持ちの物件から収益などを元手に物件を購入し,会社を成長させていこう。
……と,ここまでが「桃鉄」の基本的な楽しみ方。一方で桃鉄には,“ダークサイド”な楽しみ方もある。それは,“ライバルが築き上げたものを崩壊させる”というものだ。そんな邪悪な愉悦を演出してくれる存在が「貧乏神(ボンビー)」だ。
貧乏神は,誰かが目的地に到着した時点で,目的地からもっとも遠いマスにいたプレイヤーについて回る厄介な存在。なにが厄介かというと,物件やカードを勝手に購入(無駄遣い),手持ちのカードを破壊,サイコロの目を1と2だけにするといった悪事を働くのである。
貧乏神に憑かれてしまうと,まともに会社を経営することは困難となる。お金や手持ちの物件が少ない序盤では,あっという間にお金も物件もすっからかんになり,さらに借金を抱えるという状況に陥ってしまうことも。目的地の一番乗りを目指すことはもちろん,貧乏神に憑りつかれないためにもしっかり競争に参加していきたい。
貧乏神が来てしまったときは,“ほかのプレイヤーに擦り付ける”ことでで対処しよう。ほかのプレイヤーと同じマスに停止するか通過することで,貧乏神は離れていく。
一本道だったり,サイコロの目が小さかったりすると「鬼ごっこ」のように擦り付け合いになるため,相手のいるマスにピッタリ止まるか,特急カードなどを使い,擦り付けたあとは一気に突き放すといった戦法を使い,貧乏神とおさらばしよう。
目的地の手前のマスで待ち構える。足を引っ張りたい相手を追いかけまわすなど,ほかのプレイヤーへの嫌がらせに活用するのもアリだが,貧乏神は突然「キングボンビー」へと変化し,より凶悪な邪魔や赤字を生む行動を取るので,なるべく離れてもらうようにした方がいい。
なお,トップのプレイヤーの独走を防ぐため,ほかのプレイヤーが共謀してトップに貧乏神を擦り付けまくるという“戦略”もある。これも基本的な戦い方の1つと言えるが,険悪なムードになったり喧嘩になったりしないようほどほどに……。
こうした「目的地への競争」「物件購入による投資」「貧乏神の擦り付け合い」を経て,最初に決めた年数が経過した時点でゲームは終了。終了時に持っていた物件の価値とお金の合計である「総資産」が,一番多かったプレイヤーが勝者となるのだ。
ここまではシリーズ作品でほぼ共通,本作でも変わらない面白さについてお伝えしてきた。ここからは,“本作では何が新しくなったか”を紹介しよう。
なんといっても大きいのは,前作にはなかったネットワーク対戦が可能になったことだ。本体機能でフレンド登録をしている相手と遊べるので,友人や親戚と集まるのが難しそうな状況であればぜひ活用してほしい。
ネット対戦中はスタンプを使ったやりとりができ,ラッキーなイベントを一緒に喜んだり,不幸をあざ笑って心理戦に持ち込んだりと,距離が離れていても“桃鉄らしい楽しみ方”が十分にできそうだ。ゲームとは別に,PCやスマートフォンのグループ通話,ビデオチャットサービスなどを活用すれば,より楽しめるかもしれない。
キャラクターデザインの変更も注目のトピックだ。竹浪秀行氏による新しいキャラクターイラストは,関口和之氏とヒャダイン氏が手掛けた音楽とともに,作品全体の雰囲気をより華やかなものにしてくれている。
キャラクターイラストは長年のイメージがある分,シリーズファンにはなかなか慣れないものがあるかと思うが,新しい桃鉄の形がどのようなものかチェックしてみてほしい。
過去最大級となったマップは,物件のある駅が339駅に,物件数は2201件とボリュームアップ。1人でも大勢でも,これまで以上にたっぷり楽しめるようになった。物件やルートが増えたことでより戦略性が増し,気軽さはそのままにやり込み度も高くなったのは嬉しいポイントだ。
各地に細かい路線や駅が増え,なかでも北海道のマップは従来よりだいぶ広大になった印象だ。
というのも,筆者が北海道で貧乏神に取り憑かれた際,広いうえに貧乏神の妨害によってなかなか進めず,ほかのプレイヤーが本州で目的地争いをしているなか1人だけ北海道を抜け出せずにすべての物件を失ってしまったのである。
人気の旅行先である北海道だが,桃鉄の世界ではあまりのんびり観光は楽しめない。北海道に向かう際は素早く脱出できるよう移動系カードを準備しておくことをオススメしたい。
これも“桃鉄ならでは”の要素の1つだが,「タピオカティー屋」「ハットグ屋」「ひれかつ卵サンド屋」など,ここ数年の世相や流行が反映された新しい物件が増えているのも楽しいポイントだ。さまざまな駅を巡ってこれらを見つければ,「いまでも人気だね」「あったね〜流行ってたなあ」といった形で会話が盛り上がるだろう。
貧乏神のバリエーションも多彩だ。サイコロの目の数に応じた倍率で借金を膨らませる「ビッグボンビー」,取り憑いたプレイヤーの物件を吹き飛ばし,ついでにほかのプレイヤーの物件にもとばっちりを与えるというキングボンビーの息子「ポコン」,路線上を勝手に走り回り,通過した駅だけでなく周辺の駅の物件も破壊し尽くしていく特別列車「デストロイ号」など,にぎやかな顔ぶれの“ボンビーファミリー”がプレイヤーを待ち受けている。
貧乏神に取り憑かれていないからといって,安心するのはまだ早い。日本各地にはゆるキャラを彷彿とさせる「名産怪獣」たちが潜んでおり,プレイヤーにさまざまな被害をもたらしてくる。
厄介な存在かと思いきや,中には良いことをもたらしてくれるものもいるので,一体どんな怪獣たちがいるのかは,ぜひプレイして確認してほしい。
本作で新登場となる「分け目怪獣セキガハーラ」。東軍と西軍のどちらに味方するか質問してきて,答えた方角に大きく移動させられる |
なまはげをモチーフにした「男鹿半島怪獣ナマハーゲンナマハーゲン」。やることはなまはげというより追い剥ぎに近い |
桃鉄の世界は,決して悪意ばかりに満ちているわけではない。特定の駅の物件を独占すれば,ご当地ヒーローたちがプレイヤーを助けてくれる。
新一万円札の顔になることでもおなじみの渋沢栄一や新選組の“鬼の副長”こと土方歳三など,歴史上の人物もヒーローとして登場するので,その土地で暮らしている人や出身者にはなかなか熱いものがあるのではないだろうか。
渋沢栄一は,出身地である深谷駅を独占すると味方になるヒーローだ。ほかの歴史ヒーローがいる都市に出向いて臨時収入を発生させる |
ほかのプレイヤーから物件を強奪(!)する土方歳三。出身地ではなく最後の地である函館のご当地ヒーローとして登場する |
これまでの定番ネタを継承しつつ新たなものが追加されたイベントは,プレイヤー同士の勝負を盛り上げるだけでなく,その場の空気を明るく盛り上げてくれるだろう。
発売前で確認できなかったが,「桃鉄10年トライアル!」の成績を全国のプレイヤーと競うオンラインランキングも用意される。腕に覚えのある桃鉄プレイヤーにとって見逃せないものとなりそうだ。
Switch初となる桃鉄は,ゲームルールの遊びやすさ,操作の快適さ,そして小さな子どもから大人まで広い世代で楽しめる点はこれまでどおりに,マップがボリュームアップしたことで遊びごたえが増した作品となっている。シリーズを遊んだことがある人も,そうでない人も,本作をプレイする際はぜひ周りの人を誘ってみてほしい。本シリーズが長く愛され続けてきた理由がきっとわかるはずだ。
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