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[gamescom]「Kerbal Space Program 2」開発者インタビュー。難度の高さはそのままに,チュートリアルの実装でより遊びやすいゲームに
2015年にメキシコのSquadが開発した前作「Kerbal Space Program」は,カーバルと呼ばれる異星人が宇宙船を作り上げ,大気圏外へ脱出し,やがては月面への着陸や,太陽系のほかの惑星に進出していくまでを体験できるという,壮大なシミュレーションゲーム。何より特徴的なのが「失敗しながら技術を改良していく」という,プレイヤーに根気強さを要求するゲームシステムだ。
筆者も「Kerbal Space Program」では地球からの脱出に成功したものの,大気圏外では生命を維持することもできず,月面着陸を夢見ながらも途中で諦めてしまったクチだ。その理由は,ゲーム中のさまざまな局面を打破していくための科学的知識を持っていないということに尽きる。
しかし,Star Theory Gamesのクリエイティブ・ディレクターであるネイト・シンプソン(Nate Simpson)氏によると,続編となる「Kerbal Space Program 2」ではそのあたりの遊びやすさが大きく向上しているという。
4Gamer:
私以外にも,前作で太陽系への進出を諦めてしまったゲーマーは少なくないと思いますが,今回はそのあたりの改良も行われているとか?
ネイト・シンプソン氏(以下,シンプソン氏):
ええ。「Kerbal Space Program 2」における大きな変更点が,充実したチュートリアルを用意しているということです。ご存じのように,前作はゲームシステムの説明が不十分で,プレイヤーの自発的なトライアル&エラーに委ねている部分が多くありました。
そのため,プレイヤーはどうすればまっすぐ飛び立てるのか,どうすれば大気圏外に出られるのかといったことについて,YouTubeに掲載されたプレイ動画を見たり,熱心なファンのサイトをチェックしたり,あるいは掲示板に書き込んだりして,情報を集めていたわけです。
4Gamer:
私もそうでした。
シンプソン氏:
そうした情報交換の過程で得られるコミュニティの形成や,自発的な知識の獲得といったことを阻害したくはないのですが,あまり好ましいゲームデザインではありません。そこで本作では,例えばどのような材料が必要になるのかといった科学的な情報を,映像付きのチュートリアルで表示することで,プレイヤーが無駄な時間を過ごすことなくプレイできるようにしています。
4Gamer:
それによって,より多くの人に受け入れられるようになるわけですね。
シンプソン氏:
正確には,“より多くの人が根気強くプレイを続けていけるようになる”ということです。ゲームプレイを簡単にするとか,知的な好奇心や,研究することのやり甲斐を阻害するといったことはしたくはありません。
もちろん,チュートリアルを無視して別のことを始めても,常に画面上に指示が出るといった押しつけがましいものではなく,行き詰まったらいつでもチュートリアルに戻ってこれるようなシステムになっています。
4Gamer:
今回リリースされたトレイラーでまず気づいたのは,進出した惑星にコロニーを建設できるようになっていたことです。
シンプソン氏:
ええ。1つの惑星ですべての物資が手に入るわけではないので,資源収集のメカニックを用意して,進出した先々の惑星や軌道上でコロニーの建設が可能になっています。軌道上に建設した宇宙ステーションに,宇宙船の経由地となる発着場を設置することも可能です。今回は複数の太陽系を用意していますから,最終的には恒星間を移動できる技術を身につけていかなければなりません。
4Gamer:
月面着陸後にいきなり別の太陽系を目指すことも可能なのでしょうか?
シンプソン氏:
可能だとは思いますが,遠征中にどのようにカーバル達を生存させていくのかなど,かなりハードルが高くなるでしょうね。プローブを飛ばすだけなら,プレイヤー同士で,どれだけ早く別の太陽系に到着できたかを競うタイムアタックのような遊び方を楽しめると思いますが,しっかりと技術開発を重ねながら次世代エンジンなどの新しいテクノロジーを身につけ,恒星と恒星の間に漂う流星群や放射能雲にきちんと対処していったほうが,宇宙開拓を行うという点では手っ取り早いかもしれません。
4Gamer:
確かに。
ちなみに,ほかの太陽系には何か変わった特徴はありますか。
シンプソン氏:
ほかの太陽系には,双子星の“レスク”と“ラスク”といったようなものがあり,重力がまったく違うために軌道を利用するのが難しく,近寄りがたい雰囲気になっています。グラフィックスエンジンがさらに洗練され,座標の計算も行われるので,クレーターの山肌に着陸してしまったせいでロケットが倒れたりといったことも起こります。
4Gamer:
ほかの恒星に行くための技術は現在の地球にもありませんが,そのあたりはファンタジーなのでしょうか?
シンプソン氏:
ファンタジーと言えばファンタジーですが,本作では人類の英知を駆使したテクノロジーを,さまざまな専門家に相談しながらリアルなものに仕立てています。例えば,原子力エンジンにも複数のカテゴリーが存在し,今回のトレイラーでは“ニュークリア・パルス”という技術を使ったエンジンが紹介されているんです。
実際,ポンポンと小さな核爆発を繰り返すことによって宇宙船を推進させるという研究は,アメリカでは1960年代に行われており,その危険性から研究計画は打ち切りになってしまいましたが,本作であれば,大気圏外に建設したローンチパッドから,ニュークリア・パルス・エンジンを利用した最新ロケットを飛ばせるかもしれません(笑)。
4Gamer:
なるほど。いずれにせよ,宇宙物理学や工学の知識が必要になりそうですね……。
シンプソン氏:
いやいや。実は私自身,大学では物理学の専攻を希望しながら,その難しさから諦めて芸術関連に変更してしまったんです。そんな私でも「Kerbal Space Program 2」で宇宙船を飛ばせるんですから,皆さんも大丈夫ですよ(笑)。
2020年中のリリースが予定されている「Kerbal Space Program 2」は,前作同様MODなどもサポートしており,より幅広いファンに支持されるゲームに仕上がることは間違いないだろう。すでに公開されているSteamのストアページでは,インタフェースの日本語化も表明されており,チュートリアルを見ながらじっくりと宇宙船やコロニー作りに励むことができそうだ。
「Kerbal Space Program 2」公式サイト
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