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魔法使いたちと出会ったころの思い出がステージで蘇る！　「舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1」ゲネプロ公演レポート

2024/06/04 18:30 　colyの育成ゲーム「魔法使いの約束」（iOS / Android）を原作とした舞台の新シリーズ「舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1」（以下，まほステ）が，2024年6月1日に幕を開けた。本稿では，関係者/マスコミ向けのゲネプロ公演の模様をレポートしていく。物語や演出に関する記述，写真が含まれるため，観劇予定の人は注意してほしい。

舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1

■日程
【東京】
2024年6月1日〜9日
劇場：天王洲 銀河劇場
【大阪】
2024年6月15日〜23日
劇場：SkyシアターMBS

■出演（敬称略）
【中央の国】
オズ役：丘山晴己
アーサー役：北川尚弥
カイン役：岩城直弥
リケ役：新谷聖司

【北の国】
スノウ役：陣 慶昭
ホワイト役：樋口明志
（田口 司さんが怪我療養のため，出演見合わせによる代役）
ミスラ役：鮎川太陽
オーエン役：神永圭佑
ブラッドリー役：中村太郎

【東の国】
ファウスト役：矢田悠祐
シノ役：田村升吾
ヒースクリフ役：加藤大悟
ネロ役：坪倉康晴

【西の国】
シャイロック役：山田ジェームス武
ムル役：橋本真一
クロエ役：皆木一舞
ラスティカ役：森田桐矢

【南の国】
フィガロ役：和合真一
ルチル役：大海将一郎
レノックス役：白柏寿大
ミチル役：弦間哲心

真木 晶（賢者）役：大森夏向

【POW-ers（パワーズ）】
（『魔法使いの約束（Promise of wizard）』の世界を表現する人々）
池田航汰
岩崎大輔
黒条奏斗
杉山諒二
土倉有貴
来夢

【声の出演】
ビアンカ役：熊谷彩春

■STAFF（敬称略）
原作 ：『魔法使いの約束』／coly
脚本・作詞：浅井さやか（One on One）
演出：ほさかよう
音楽：坂部 剛
振付：本山新之助

ゆかりの品と共に振り返る，はじめての思い出

　本公演で描かれるのは，原作アプリ内のイベント「エチュード」シリーズより，「悪戯好きな仮面のエチュード〜西の国＆南の国〜」「孤高な盗賊のエチュード〜北の国＆西の国〜」「哀愁のひまわりのエチュード〜東の国＆南の国〜」のエピソードだ。5つの国の魔法使いたちが，授業や依頼を初めてこなす様子が描かれる。

　賢者と，賢者の魔法使いたちが出会ったばかりのころのエピソードのため，本作で初めて「まほステ」を見るという人も，世界観や魔法使いたちの魅力が伝わりやすい物語になっている。ずっと見守ってきた人も，初々しい彼らの関係性にニヤっとするはずだ。

　物語は，魔法舎（賢者と魔法使いが住む寮）で荷物整理をしている賢者が，各国での初めての授業，依頼にちなんだ品を見つけ，その思い出を振り返っていくという形式で進んでいく。

　5つの国に属する賢者の魔法使いたち，総勢21人が集結する様子は，圧巻の一言だ。全キャストが登場するオープニングは華やかで，魔法使いたちの個性溢れるダンスも見ごたえ抜群，目が足りないとうれしい悲鳴を心のなかで上げてしまった。


　最初のエピソードは，西の国の魔法使いたちの思い出だ。明るく社交的な西の魔法使いクロエは，魔法舎でほかの国の魔法使いたちと交流していく。相手を気にかけて踏み込み過ぎず，それでも積極的に声をかけるクロエの健気さ，そして温かく見守る師匠のラスティカとの関係が微笑ましい。


　ある日，南の国の授業にムルと共に参加したクロエは，その影響から西の国の先生役であるシャイロックに，授業をしてほしいと頼む。メガネをかけ，妖艶な家庭教師風に指導しようとするシャイロックとラスティカに，クロエが戸惑うひと幕も（筆者もクロエと同じようにドキドキしてしまった）。元気で和やかな南の国，大人びているけど遊び心を忘れない西の国，授業風景にもそれぞれの国の特色が出ていた。


　その後，シャイロックたちは各国の得意な魔法や，変装を魔法で見破る方法などをていねいに説明してくれた。あらためて，世界観を振り返ることができた。


　賢者の魔法使いとしての初任務で，西の国の魔法使いたちは仮面舞踏会に潜入し，南の国の魔法使いたちがサポートすることになった。この任務には政治的な意味があり，今後のためとはいえ，フィガロの思惑で若い魔法使いの晴れ舞台が決められたことにシャイロックは納得いかない様子だ。

　そんな2人を気遣って，任務を成功させようという気持ちを強くするクロエの姿勢に，ほかの魔法使いたちも感銘を受けて……。頑張る若き魔法使いたちと，彼らをそれぞれの立場から支える魔法使いたちの絆が感じられる物語になっている。


　穏やかな西の国のエピソードとはうって変わって，北の国は冒頭からミスラとオーエンによる壮絶なバトルからスタートする。強さがすべてで，個人主義な北の国にとって，ほかの魔法使いと一緒に過ごす魔法舎での生活は受け入れがたいものがあり，戦いに発展することもある。

　豪快なアクションや，プロジェクションマッピングで魔法使い同士の戦いが表現されていて，迫力あるシーンを堪能できるのは舞台ならではの楽しさだなと感じた。


　北の国の先生役であるスノウとホワイトが，協調性難ありのメンバーのキーマンと考えているのが，盗賊団の首領だったブラッドリーだ。スノウとホワイトは，減刑や盗賊団時代の仲間の罪を不問にすることで，ブラッドリーを懐柔する。スノウとホワイトにおだてられ，分かりやすく上機嫌になっていくブラッドリーがかわいい。


　ブラッドリーの呼び出しで，シャイロックの酒場に集まった北の国の魔法使いたちは話し合いを始めるが，うまくまとまるはずもなく。悪友同士のような軽快さがありつつ，不穏で，殺伐とした北の国らしさが詰まったシーンを堪能できた。そんな彼らに，シャイロックたち西の魔法使いは進化することの魅力を説くのだった。


　周囲に恐れられるほどの強い力を持ちながら，弱みと言える部分を隠し持っている北の国の魔法使いたち。賢者の魔法使いとなって，彼らがどう変わっていくのか，その最初の一歩を見守れるエピソードになっている。

賢者の魔法使いたちの過去が垣間見えるエピソードも

　東の国の物語は，ファウストの過去に深く関わる内容になっている。東の国の魔法使いの先生役であるファウストは，魔法舎に来たあとも自室に引きこもってばかりいる。それには彼の辛い過去と，前回の＜大いなる厄災＞との戦いで負った奇妙な傷が影響していた。彼が苦悩する様子や，美しくも哀しみをまとった歌声は，見ていて胸が痛くなるほどだ。

　そんなファウストを，面倒見のいいネロや過去を知るレノックスがそっと見守り，彼は部屋の外に出られるようになっていく。


　あるとき，東の国に帰っていたシノとヒースクリフから，ひまわり畑で起こっている異変の話が賢者たちに語られる。その異変は，ファウストとレノックスの同志だった魔女，ビアンカの呪いにまつわるものだった。東の国と南の国の魔法使いは，その異変の解決に向かうことになる。


　一緒に任務に挑むことで，シノとミチルが互いの理解を深めたり，ファウストとフィガロの過去や想いが語られたり，魔法使い同士の交流も見どころになっている。


　今回，任務に参加しなかった中央の国の魔法使いたちも，スノウとホワイトの指導でリケがかわいいポーズをしたり，カインがオズをダンスに誘ったりと，見せ場が用意されている。Part2での彼らの活躍も楽しみだ。


　本公演は，DMM TVにて，6月1日13：00公演（初日），22日18：00公演，23日13：00公演（千秋楽）がライブ配信される（見逃し配信あり）。3公演FULLパック（座談会特典映像付き）は1万1000円（税込），各公演は3800円（税込）となっている。チケットの販売期間や見逃し配信期間は公演ごとに異なるので，販売サイトで確認しよう（外部リンク）。

　また，2025年1月29日にBlu-ray（1万1000円/税込）の発売も決定しており，6月1日より全国のアニメイト（通販含む）で予約が開始されている。初回製造特典には，実際の公演のライブ音源とBGMを収録したCDがつくので，欲しい人は予約しておこう。

「舞台『魔法使いの約束』エチュードシリーズPart1」公式サイト

（C）coly／舞台まほやく製作委員会