プレイレポート
「RPGタイム!〜ライトの伝説〜」プレイレポート。友達のケンタくんがノートに手書きで作ったRPGを遊ぶ,手作り感の表現が凄まじい
DeskWorksが開発する本作は,友達のケンタくんがノートに描いたRPGの世界を遊ぶという,「手作りノートアドベンチャー」なるジャンルで展開されるタイトルだ。東京ゲームショウ2018のメディアアワード4Gamer部門の大賞に輝き,昨年のTGSにもプレイアブル出展されて話題を集めた。
今回プレイしたのは,TGS 2021に出展された体験版よりも少し先の範囲となる,ゲームの第1章「はじまりのどうくつ」をクリアするところまでとなるが,その序盤から本作の斬新な魅力を十分に味わうことができた。
手描きのノートにみっちり描き込まれた世界
作り手のケンタくんがプレイヤーをいざなう
本作の舞台は放課後の教室。友達のケンタくん(10歳)から誘われて,一緒に遊ぶことになるのが,ケンタくん謹製のRPG「ライトの伝説」である。手描きのノートで作られたゲームブックにドットビーズのステータス画面,伸び縮みするHPゲージはメジャーで表現し,手元の音楽プレイヤーがBGMを奏でる。
手作り感あふれ,懐かしさも感じられる演出だが,実際にゲームをプレイしてみると,その体験は驚きの連続であった。
最初に触れるであろう「説明書ダンジョン」はチュートリアル……というより,ケンタくんが作り上げた世界に入っていくための“序章”というべきだろうか。身近なもので工作をした作られた説明書は,メモをめくると分かるマップ紹介,ギミック絵本のキャラクター紹介,パラパラ漫画のトレイラー,スタッフ(ケンタくん1人!)紹介などで構成されており,ケンタくんのマルチな才能には頭が下がる。将来の夢はゲームクリエイターだそうだが,これほどの才能があれば,引く手あまたであろう。
そしていよいよ本編に突入するわけだが,ケンタくんは引き続きゲームマスター(プレイの進行役)として登場する。
平和な光の国に,魔界に住む魔王デスゴッドの軍が突如襲来。激しい戦いの末,姫が魔王によってさらわれてしまう。そこに現れるのが,主人公の「勇者ライト」だ。プレイヤーは勇者ライトとなって,姫を助け出すために魔王軍が待ち受ける光の国を旅するのである。
マンガによるプロローグでは,コマンド入力をするシーンも |
ラストは人形劇に。さすが,オープニングも凝っている |
プレイヤーの分身となる勇者ライトは,ノートに広がる世界にサラサラと描き込まれていき,その一部はアニメーションとなっている。芸人の鉄拳さんが手がけるパラパラアニメーションをさらに細かく描写したような印象を受けるが,本作ではこれをプレイヤーが自分で動かせるのが特徴的だ。
狭い通路で落石が。当たればひとたまりもなく,割と初見殺しなギミックが多いのだが,演出のひとつひとつが面白い |
スコップのような形をした伝説の剣を手に入れた! |
早速穴を掘るシーンが登場。どんどん掘ればいい物が見つかるかもしれない |
穴を掘ったら上履きが!? 裏に何か付いているようだ |
ゲームはテーブルトークRPGのように,勇者が訪れた先で何が起こるかはゲームマスターのケンタくんだけが知っている。突然目の前の道がなくなったりするハプニングが発生することもあるし,何もなかったところに宝箱が出てくるなどの嬉しいイベントも起こる。中にはライトの命に関わるイベントもあり,進み方を誤るとあっさりゲームオーバーになることも。とはいえ,ケンタくんも先を見せたいからか,ゲームオーバーからは簡単に復帰でき,攻略のヒントもくれる。
宝箱が描き込まれたと思ったら,目の前の足場が消されてしまった。ちゃんと消しゴムのカスが出るなど,芸が細かい |
ヒントを頼りに探索をするシーンも。細かいところにいろいろな仕掛けがあって楽しい |
「フードメニュー」では,フードを食べてパワーアップができる |
ハプニングでゲームオーバーになってしまった。その場所をクリアするためのヒントも任意で見られる |
第1章から仕掛けは盛りだくさんで,ケンタくんによって手描きで描写されたり,消しゴムで消されたりしながら,常にどこかしらで何かが発生するので,見ていて飽きることがない。さらには,別途用意された立体工作を使ったシーンになることもあり,ケンタくんの技術力や演出力,そして凝りっぷりに何度も驚くだろう。
「解説モード」にすると,背景のいろいろな場所を調べられる。隠れキャラを見つけられるかも!? |
特定の世代には懐かしいボクシングゲームで対決するシーンも |
敵である魔王軍の魔物とのバトルも発生する。例えば,第1章で見られたバトルはターン制で,攻撃時はノートに描かれた魔物に対し,アナログスティックで任意の場所と方向を決めると,鉛筆の剣で斬りつけて(=斬撃を描き込んで)攻撃する仕組みだ。ここにもまた謎解き的な要素があり,特定の手順を踏むと勇者に有利なことが発生するといった具合に,イベントのような感覚で楽しめる。
ファイヤーマンが現れた。鉛筆の剣で攻撃しよう |
こちらは横スクロールアクションでのバトル |
魔物には弱点があり,それを見つけて攻撃すると効果的だ |
ボスを倒すと勇者がレベルアップ! |
章の後半にはモグラ叩きや野球ゲーム,ドット絵のアクションゲームなど,さまざまなミニゲームが組み込まれている。前後の展開も含めて,徹底して手描きや工作による手作り風演出にこだわって作られているため,いわゆる「ミニゲーム集」のような匂いがせず,アイデアがふんだんに詰め込まれたおもちゃ箱といった感じだ。
構想15年,開発9年という壮大なプロジェクトによって完成した大長編を堪能しよう
本作は,ポイント&クリック式のアドベンチャーゲームのような感触で,ケンタくんの進行とゲームデザインのおかげで誰にでも楽しめる内容だ。
徹底したアナログな演出を現代の技術によって違和感なく構築し,しかも同じパターンを流用するのではなく,イベントごとに違った見せ方やプレイフィールを持たせていて,ゲームを進めるごとに新鮮な驚きを体験できる。聞けば「構想15年,開発9年」という,恐ろしく長い開発期間を経て完成したそうで,企画当初は2Dのみのゲームだったが,開発中に3Dの演出も盛り込めるようになり,現在の形になったという。
工作で作られたものは3DCGによって表現されている |
第2章で街にやってきた勇者は仲間捜しに奔走。会話シーンなどもあるようだ |
今回プレイできた第1章でもその面白さを十分味わうことができたが,第2章からは仲間も登場するとのことで,道中はさらに楽しいものとなりそうだ。ちなみに,机をよく見ると,本作は第7章のあとエンディングとなっている。これだけ盛りだくさんの演出がまだまだ続くとは,その作り込みには本当に感心してしまう。ぜひこの新しくも懐かしい,斬新なゲームを堪能してほしい。
「RPGタイム!〜ライトの伝説〜」公式サイト
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RPGタイム!〜ライトの伝説〜
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(C)DeskWorks / Aniplex
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