レビュー
「時計仕掛けのアポカリプス」を紹介。繰り返される悲しい出来事を乗り越えて幸せをつかもう!
アイディアファクトリーの女性向けブランド「オトメイト」から2021年4月22日に発売されるNintendoSwitch用ソフト「時計仕掛けのアポカリプス」。本作のキーワードとして公式サイトのトップに表示されているのは,「これはバッドエンドから始まる物語」というキャッチコピーだ。主人公が天涯孤独とかそういうこと? そんな安易な考えからプレイを始めた筆者は,完全に考えが甘かったことを思い知らされることになる。
本稿では,発売間近となった本作の魅力に迫っていく。
物語の舞台となるのは,地球の地下深くに作られた小さな街。主人公のラチア・フィーリッツ(※名前変更可能)は,そこで暮らす18歳の少女で,幼い頃に両親を亡くし,幼なじみの家に居候しながら,毎日2人の幼なじみ達とにぎやかながらも平和に暮らしていた。
ところが伝統の祭りが行われる日まで1か月ほどとなった頃,主人公は悪夢を見るように――。
幼なじみのユナカ・ギースベルト(CV:野上 翔)とルデル・クロイツ(CV:寺島惇太)と主人公は,大人たちから危険だから行くなと言われている「地上」へ行くことを夢見ていた。
3人で作戦を練る日々は,わくわくとした気持ちでいっぱい! 地下で暮らす彼らにとって,地上は未知の場所なのだ。しかも街の人たちも誰も行ったことがない場所ともなれば余計に気になるというもの。主人公たちは,誰にもバレないように計画を立てていく。
ある日主人公は,悪夢ではなく見知らぬ青年と会話する夢を見る。自分と話しているのに自分ではないような感覚。不思議に思っていると,そのあと街で夢の中に出てきた人物・ガネット(CV:緒方恵美)と出会ってしまう。
薔薇を自室に飾った晩,主人公はまた悪夢を見て目を覚ます。酷い夢の内容に気が滅入りそうにもなったが,友人たちが開いてくれた誕生日会のおかげで元気を取り戻す。
このまま楽しい日常が続くかと思いきや,伝統の祭り当日。悲劇が次々と起こってしまう。不慮の事故,そしてユナカや街の人々の死――。突然の出来事に泣きじゃくる主人公の前に現れたのは,以前青い薔薇をくれたガネットだった。
箱を受けとった主人公が目を覚ますと,時間が遡っていた。ガネットに初めて出会った場所へ向かう。彼いわく,先ほどまで主人公の目の前で起こったことは,同じ行動をとると再び現実のものとなってしまう。だが主人公の行動次第で変えられるらしい。その話を聞いた主人公は,二度と悲劇が起こらないように奔走し始める。
一度起きた未来とは違う行動をしたり,情報収集をしながら悲劇を回避しようと動く主人公。しかし選択を間違えたり情報が足りなかったりすると,別の形やタイミングで悲劇は起こってしまう。
本作の共通ルートは3章まであり,その間にこの街で起こっていることの真相に近づけば個別ルートへ進める。個別ルートに入るまでが本当に大変だったので(物理的にも精神的にも),プレイしながら主人公と一緒に心が強くなっていった。まさか個別ルートに入るまでに,4回もバッドエンドになるなんて……! 画面の前で何度か呆然としてしまった。絶対彼と幸せになってやる,と最後のほうは血走った目でプレイしていたかもしれない。その行く末に待っていたエンディングに感動したのは言うまでもないだろう。
また,本作は特定の状況になると,攻略対象の1人であるユナカの視点で物語を進めることができる。残念ながら筆者は3人分のエンディングを見たもののそこにたどり着けなかった……。悔しい!
主人公は疑心暗鬼になりかけつつも,悲劇を止めようと奮闘する。そんなとき,側にいてくれる頼もしくもあり,脆い部分もあり支えたいと思える男性達にも注目してほしい。
ユナカ・ギースベルト(CV:野上 翔)
パン屋の一人息子で主人公の幼なじみ。ぶっきらぼうで口が悪いところもあるが,友達思いの優しい性格
ルデル・クロイツ(CV:寺島惇太)
街の相談役の次男で,優秀な兄のことを尊敬している。真面目で頭の回転が速く,機転が利く主人公の幼なじみ
リアン・イェブラム(CV:細谷佳正)
プロのピアニストで,よくバーにいる。いわゆる天才肌でなんでも卒なくこなす。大人の余裕があるように見えるが,どことなく影がある
クアト・ヘルトリング(CV:江口拓也)
親から家督を継いだ若き後継者。みんなに優しい頼りになる街医者なのに,なぜか主人公にだけは塩対応
ジル・ハニッシュ(CV:小野賢章)
ちょっぴり変わっており,主人公をお花ちゃんと呼ぶマイペースな少年。ガネットとは古い知り合いだと言うが……?
彼らや街の人たちを救えるのは,時間をループできる主人公だけ。苦しい場面もたくさん見ることになるが,幸せな結末を迎えるために心を強く持って挑んでほしい。
あと特筆しておきたいのは,オープニングテーマとエンディングテーマを緒方恵美さんが歌っているということ。どちらもめちゃくちゃ素敵なので,そちらもお楽しみに!
「時計仕掛けのアポカリプス」公式サイト
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