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舞台「キューピット・パラサイト」のゲネプロをレポート。異色の日替わりゲスト,ドタバタコメディの見どころに注目
“婚活”をテーマに,本物のキューピットである主人公・リネットが,5人の個性豊かな男性たちを成婚へと導く物語が展開する本公演。お楽しみの日替わり要素は,物語中のデートシーンに登場するキャラクターが異なるだけでなく,日替わりのゲストがステージに登壇するという仕様だ。
本稿では,日替わりデートにギル&シェルビー,日替わりゲストに杉江大志さんが登場したゲネプロ公演の模様をお届けしよう。
【公演情報】
〈公演名〉
キューピット・パラサイト The Stage
〈公演日時〉
2021年11月10日(水)〜11月14日(日)
〈会場〉
全通労働会館 多目的ホール
〈キャスト〉
ギル・ラヴクラフト:こんどうようぢ
シェルビー・スネイル:小林 涼
ラウル・アコニット:中山優貴(SOLIDEMO)
螢彩院・F・琉輝:星元裕月
アラン・メルヴィル:宮城紘大
オーウェン・ヘリオット:工藤大夢
クラリス・ティア:石井陽菜
ボンバー・チョリソー:田中雄飛
マーズ(声の出演):久高将史(カラスカ)
リネット・ミラー:齋藤千尋
ピーター・フラージュ:岩永徹也
〈アンサンブルキャスト〉
飯山真衣
中村美友
安達聖真
〈原作〉
オトメイト(アイディアファクトリー)
〈脚本・演出〉
江戸川 崇(カラスカ)
カラフルな世界で紡がれるドタバタ婚活ラブコメディー
キュートでカラフルなステージ,キャラクター造形が目を惹く舞台は,原作のオープニング曲「恋はあせらず」の曲と共に個性豊かなキャラクターが勢揃いしたオープニングで幕開け。ゲームからそのまま出てきたようなキャラクターたちが,軽やかにステージを動く姿に初っ端からワクワクが止まらない!
ポップなオープニングのあとは,主人公・リネットの回想シーンへ。
実は普通の人間ではなく恋の女神・キューピットである彼女は,父・マーズと喧嘩をして人間界へ降臨! そこでトップ・ブライダルアドバイザーとして,神の力を使わずに縁を結んでいき,父に自分の考えを認めてもらえるように行動しているのだ。行動力の化身かなと思わされる彼女に,人として(女神だが)尊敬せざるを得ない……。
回想シーンに出てくるキャラクターは,首から回想のパネルを下げている。また,リネットの父親も等身大パネルで登場。かなりシュールなひと場面。
神界からリネットについてきた「ちー!」と鳴く神獣のちーちゃんは,可愛らしいぬいぐるみで登場。グッズとして販売してほしいところだ。
ある日,リネットは働いている大手結婚相談所「キューピット・コーポレーション」の社長・シェルビーに呼び出される。彼から言い渡されたのは,社内でも有名な厄介な5人の会員「Parasaite5(パラサイトファイブ)」を成婚に導いたら,昇格させてくれるという話だった。昇格のチャンスに張り切るリネットだが,Parasaite5の5人はとんでもない曲者揃いで……。
資料を貰うも,1人の情報は空欄で彼のことはS氏と呼ぶことに。とりあえず面談をしようと考える主人公に,シェルビーはクールな表情を崩してちょっぴり慌てたような表情を見せたり,シェルビーの秘書でS氏の代理人・オーウェンにアイコンタクトを送ったり,メールを見る彼のそばでPCを必死に叩いたり……。S氏の正体はもしかして!?
5人の男性はそれぞれ,何かしらのパラサイト(寄生)要素を持っており,過去にリネットとルームシェアをしたことがある眼鏡男子・ギルは「失恋パラサイト」だ。リネットのことが好きで,ずっと忘れられずにいるそう。他の男性がリネットに近づいたときに,悲痛な表情で派手に決めるリアクションはかわいそうながらも面白い。
個性が強すぎるParasaite5に手を焼きながらも,面談やセミナーを重ねて,彼らに真摯に婚活アドバイスをしていくリネット。
そして,会社の宣伝も兼ねて婚活シェアハウスTV番組「PARASITE HOUSE」に出演が決まって,共同生活を送ることになる。物語の終盤で,とある事件(?)がきっかけで,ギルとアランが争うのだが,それを経て協調性のなかった彼らが少しまとまり,懸命に頑張ってきたリネットへの感謝の気持ちを覗かせるところは「本当に良かったね,リネット……!」と穏やかな気持ちになった。
ラウルは,趣味の神話トークが通じる(?)リネットに興味津々。神話マシンガントークの勢いは凄まじく,ゲネプロの開演前のアナウンスでも異色を放っていた。
本公演で乙女ゲーム的ドキドキ要員だと思われるアラン。シェアハウスでリネットにリラックスしてもらうために頭をなでたり,セミナー中に他のキャラクターたちの前で実演と題して妖しく迫ったり……!
一見女の子のように可憐な琉輝だが,顔面偏差値の低い女性に向かって美容ミスト攻撃をお見舞い。終盤で見られる,そんな彼がほんのりデレる(?)場面は胸キュン!
お楽しみの日替わり要素。デートシーンとスペシャルなゲスト!
物語の中盤で見られる日替わり要素も魅力のひとつ。婚活セミナーの一環としてリネットがParasaite5とデートをするシーンでは,そのお相手となるキャラクターが日替わりで異なっている。
また,日替わりゲストは「PARASITE HOUSE」の収録という名目で,本人として登場する。キャラクターに恋のアドバイスをしたり,恋の質問に答えたり……と他の舞台ではなかなか見られない演出が楽しめる。2.5次元俳優ファンは必見のコーナーかも!?
ゲネプロ公演の日替わりデートシーンは,ギルとシェルビーが登場! リネットに想いを寄せていたギルは,バラの花束を用意したり,ちょっとの段差でも手を差し伸べたりと紳士的に攻める。ただ,過剰すぎてリネットには「じいやみたい」と言われてしまう……。それでも,かつて一緒に働いていたバイト先の映画館に訪れて楽しい時間を過ごす。
シェルビーの回では,S氏の代理であるオーウェンとのデート(?)が描かれる。S氏の思考に沿ってチョイスしたデートスポットはスポーツジムで,ひとりせっせとトレーニングに取り組みだすオーウェンにリネットはうんざり。激しく動き,雄叫びをあげ,息を切らす彼の姿はここでしか見られない。
ゲネプロでは,日替わりゲストのコーナーに杉江大志さんが登場。
自由なParasaite5に鋭いツッコミを入れながらも,恋に関する質問に答えていると,他のキャラクターが話し出して「今,俺の時間だから!」と声をあげる杉江さん。物語を外で見ていたなかで,ラウルが一番やばそうという感想をもらすひと幕も見られた。癖の強い彼らの相手は大変そうで,舞台上も観客も笑いに包まれ,不思議な空間が広がるコーナーになっていた。
原作の世界観をそのまま具現化したかのような,ポップでカラフルなステージが展開した本公演。強いクセを持ったイケメンたちはもちろん,彼らに振り回されながらも奮闘するヒロイン・リネットとその友人のクラリスもとても可愛らしく,舞台のどこを見ても眼福だなぁと終始うっとり。乙女ゲームらしいドキドキシーンは控えめながらも,思わずクスッとしてしまう賑やかなギャグシーンが満載で,誰でも楽しめそうな印象だ。
また,ピーターとアランのとある秘密について気になる程度に小出しされたり,舞台ではキャラクターたち一人一人との恋を描かずに「舞台が終わったあとにリネットとの関係に何か起こりそうな……?」というストーリー展開だったので,原作を未プレイな方はゲームをしたくなること間違いなし。
あとは,デートシーンが日替わりなので,今回のゲネプロで見られたギルとシェルビー以外のデート模様も気になったりと,何回でも見て楽しめそうだ。
「キューピット・パラサイト」公式サイト
舞台「キューピット・パラサイト」公式サイト
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