プレイレポート
[プレイレポ]「ドラゴンクエストウォーク」×「ポートピア連続殺人事件」コラボイベント体験記。刑事“ヤスダタ”と共に,現実世界の神戸と京都の現場を捜査せよ!
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「ポートピア連続殺人事件」は,堀井雄二氏が1983年にPC向けにリリースしたアドベンチャーゲーム。そのストーリーを,同じく堀井氏が生みの親である「ドラゴンクエスト」をテーマとしたDQウォークの中で追体験できるのが,このイベントだ。位置情報を利用して,事件の舞台となった神戸と京都に赴くことで,特別なご当地クエストを楽しめる。
DQウォークとポートピア連続殺人事件をよく知る筆者にとって非常に興味を惹かれるイベントで,いつか現地でプレイしたいと考えていたこともあり,神戸へ行く用事のついでにイベントを体験してきた。
本稿では,イベントでプレイヤーが一体どんな体験をするのかを,ゲームのスクリーンショットと現地の写真,そして移植作品の中でも知名度の高いファミリーコンピュータ版「ポートピア連続殺人事件」のゲーム画面なども交え,体験レポートをお届けしていきたい。
花隈町,新開地,神戸港,京都,そして淡路島……
スラミチ&刑事ヤスダタと,事件の手がかりを追え!
まずはこのコラボイベントの主軸となる「ポートピア連続殺人事件」について触れておこう。堀井雄二氏が企画,シナリオ執筆,開発のすべてを手がけ,エニックスから発売された同作は,実在する神戸や京都を舞台に,連続殺人事件を捜査する兵庫県警の刑事を主役としたミステリーが描かれている。主な舞台となる神戸は堀井氏の地元であり,ゲームには同氏の生まれ故郷の兵庫県洲本市(淡路島)も登場する。
1983年にNECの「PC-6001」向けに発売された後,複数のPCに移植され,1985年のファミコン版の発売でその知名度が大きく向上。ファミコンにアドベンチャーゲームというジャンルが定着した。それと同時に本作の衝撃的な犯人の存在が口コミなどで広く伝わり,「犯人は○○」というワードも語りぐさとなった。今回のDQウォークのイベントにも,もちろんそのネタが含まれている。
ちなみにタイトルにある「ポートピア」は,1981年に神戸の人口島ポートアイランドで開催された「神戸ポートアイランド博覧会」の愛称「ポートピア'81」にあやかったものと推察できるが,ゲーム中ではその会場となったポートアイランドに行くことはない。
本題となるDQウォークのコラボイベント「ポートピア連続殺人事件」は,ゲーム内の「クエスト」からプレイ可能だ。プレイヤーのレベルや職業,装備武器などは影響せず,現地に行けば進められる仕組み。クエストに関わる戦闘もなく,移動とテキストを読んで楽しむ方向性はアドベンチャーゲーム的でもある。
コラボイベントは「イベントクエスト」2本と「ご当地クエスト」3本で構成。プレイヤーと共にイベントの主役となるのは,おなじみのナビゲーターで,プレイヤーの相棒「スラミチ」。そして,本作の盛り上げ役としてたびたび登場する「カンダタ」だ。カンダタは青いスーツに赤いネクタイ姿の「刑事ヤスダタ」となって,プレイヤーを「ボス」と呼んで活躍する。ゲームの登場人物も原作に則っていて,DQウォークのモブキャラがそれぞれの配役になっているのも面白いところだ。
コラボのタイトル画面では,サイレンの効果音が鳴る。「ポートピア連続殺人事件」にはBGMが存在しないので,ゲーム中のサウンドはDQウォークのものに準じている |
コラボクエストの相棒となるスラミチ(左)と刑事ヤスダタ(右)。シナリオも「ポートピア連続殺人事件」に準じていて,知っている人なら懐かしいはず |
最初に選べるイベントクエスト「殺人事件の謎を追え!」はどの場所にいてもプレイが可能で,これをクリアすると,神戸と京都のフィールドに「コラボスポット」が出現。スポットのある現地に行ってこれをタップをすることで,ご当地クエストの「神戸編」と「京都編」が解放される。
イベントクエスト内の「ポートピア連続殺人事件」からスタート。イベントクエストはどこででもプレイできる |
容疑者の沢木文江(さわき ふみえ)が登場。耕造の秘書で,事件の第一発見者だ |
コラボスポットがある場所は,原作に登場する地名やスポットに準じているが,神戸と京都はどの順番で回ってもOK。フィールド上のスポットをタップしてご当地クエストを始めると容疑者が追加され,フィールドには彼らにまつわる証言スポットが出現。移動してそれをタップすることでクエストを進められる。
なお,神戸と京都のご当地クエストはそれぞれ原作のストーリー順に解放されていくので,クエストを解放した場所とその内容は必ずしもシンクロはしていない。もし場所とストーリーをシンクロさせるこだわりプレイをしたいのなら,神戸は「花隈町」→「神戸港」→「新開地」,京都は「寺田屋旅館」→「阿弥陀ヶ峰」と巡るのがオススメ。以下のスポットも原作の時系列に沿った順に紹介している。
神戸のコラボスポットは3か所。Google Mapでスポットのある場所を検索してみると,ユーザーによって該当地が登録されているので参考にしてみよう |
こちらが京都のコラボスポット。2か所あり,直線距離で8kmほど離れている。ちなみに神戸〜京都間の移動は,JR神戸線の新快速で1時間程度だ |
証言スポットはフィールド上にランダムに出現し,タップするとクエストが進行する。現地を離れても出現するが,ご当地クエストは開始から48時間の制限時間があるので要注意 |
ご当地クエスト内の「ポータル」から,クエストごとの容疑者と進行度(捜査率)を確認できる |
■ご当地クエスト 神戸編1話:花隈町
「ポートピア連続殺人事件」が始まるのは,この神戸市中央区の花隈町で,事件の被害者,山川耕造(やまかわ こうぞう)の屋敷がある。
スポットは阪急電鉄神戸高速線の花隈駅からほど近い「花隈公園」の側の交差点にある。現地の風景をどこかで見たことがあると思ったら,今年Steamで配信された「SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE」に登場した花隈町のシーン(実写)であった。
■ご当地クエスト 神戸編2話:神戸港
港町でもある神戸の主要港湾の神戸港。耕造の数少ない親類の山川俊之(やまかわ としゆき)が近くに住んでいる。
スポットは神戸港の「メリケンパーク」内にある。最寄り駅は市営地下鉄海岸線の「みなと元町」駅だが,花隈町のスポットから徒歩15分程度の距離なので,DQウォークのプレイヤーなら難なく歩けるだろう。
ここにはDQウォークの兵庫県のランドマークの一つ,「神戸ポートタワー」があるので,「おみやげ」も忘れずに取っておきたい。なお,神戸ポートタワーは2023年10月現在,リニューアル工事中。再オープンは2024年春となっている。
■ご当地クエスト 神戸編3話:新開地
JR神戸線の神戸駅から徒歩5分ほどのところにある繁華街。詐欺の常習犯で容疑者の1人である川村まさじ(かわむら まさじ)が,耕造と揉めている様子を目撃されたスナックがあり,彼の知り合いのストリッパー,夕日おこいが出演する劇場もここにある。
スポットは街中の五叉路の交差点にあり,特別な場所ではないが,かつてはその周辺に多数の映画館や劇場が存在していてたという。ゲームに登場するストリップ劇場(のモデルとなった劇場)も実在したが,1995年の阪神淡路大震災後に閉館したそうだ
■ご当地クエスト 京都編1話:寺田屋旅館
こちらは京都に2か所存在するコラボスポットで,京都市伏見区の「寺田屋旅館」。耕造に多額の借金があった平田(ひらた)が事件の前後に宿泊していた旅館で,原作では実際に赴くことはなく,電話で女将から証言を取るだけとなる。
スポットは実物の寺田屋旅館のすぐ側の交差点にある。最寄り駅は京阪中書島駅だが,京都駅からは近鉄京都線に乗り,桃山御陵前駅から徒歩(約12分)がオススメだ。
■ご当地クエスト 京都編2話:阿弥陀ヶ峰
京都のもう1か所のスポット。寺田屋旅館に宿泊した平田が向かった山で,そこで彼の変わり果てた姿が発見される。堀井氏がその恐ろしげな名称で選んだ場所だそうで,山中には豊臣秀吉を祀る「豊国廟」がある。スポットがあるのは山の西側にある京都女子大学で,山を登る必要はない。
スポットまではJR京都駅八条口から乗れる「プリンセスラインバス」のルート1に乗るのがオススメ。通学用に使われる路線バスだが,一般も乗車可能だ。このスポットに立ち寄った後,同じルートのバスに乗って「京阪七条」バス停で下り,七条駅から京阪本線に乗れば,上記寺田屋旅館最寄り駅の中書島駅に行ける。
最後のご当地クエストの舞台は淡路島の洲本市
堀井雄二氏の故郷で,聖地「ドラゴクエスト記念碑」もある
五つのご当地クエストをすべてクリアすると,最後のコラボスポット「洲本市」が解放され,現地でタップするとご当地クエスト「淡路島編」が始まる。劇中のクライマックスで訪れる淡路島で,一体どんな出来事が待ち受けているのかは,ぜひ自身で体験していただきたい。
神戸から淡路島の洲本市に行く場合,JR新神戸駅または神戸三宮駅から出ている直行の高速バスが便利だ。平日・休日とも30分〜1時間おきに出ているので乗降は楽だが,片道1時間半程度の乗車時間がかかることを考慮して行動しよう。これまでと同様,ご当地クエストを解放したら,制限時間内なら捜査はどこででも進められる。
最後のコラボスポットは,これまでの五つのご当地クエストをクリアすると出現する |
行方が分からなくなった沢木文江を追い,洲本へと向かう |
現地のバス発着場の洲本バスセンターから徒歩2分の洲本市民広場には,「ドラゴンクエスト」ファンの聖地ともいえる「ドラゴンクエスト記念碑」があり,ここもまた兵庫県のランドマークにもなっている。訪れた際は必ず立ち寄りたいところ。
また淡路島には,テーマパーク「ニジゲンノモリ ドラゴンクエスト アイランド」もあるが,今回のイベントクエストとは関わらないので立ち寄っていない。なお,洲本行きの高速バスには,パークを経由する便もあるようだ。
最後のご当地クエスト「淡路島編」をクリア後,エンディングクエスト「犯人は……」が解放され,それをクリアすることで,イベントは終了となる。こちらはご当地クエストではなくイベントクエストのほうにあり,解放後は現地でなくても進められる。
このコラボクエストでは,ご当地クエストクリアすると,ここでしか手に入らないものを含めたゲーム内アイテムが報酬として手に入る。一部を除き,エンディングクエストまで進めなくても入手が可能だ。それらもいくつか紹介しよう。
最もインパクトがあるのはプレイヤーの装備,「ヤスのお面」(★4,あたま)と「ヤスのスーツ」(★4,よろい上 ※上下扱い)だ。キャラクターが装備すると,なんとファミコン版「ポートピア連続殺人事件」のヤスの姿になれるというもので,メガモンスター討伐時や助っ人登録時に目立つこと間違いなし。防具としての性能は低めで,見た目変更向けの装備である。
「ARフレーム」は,ゲーム内機能「モンスターAR」や「キャラAR」でAR撮影をする際に使用できるフレームのこと。ファミコン版「ポートピア連続殺人事件」ゲーム画面風の写真が撮れる。全6種類が手に入る。
ご当地クエスト限定の「おみやげ」は「ヤスダタの虫眼鏡」。「エクストラおみやげ」の扱いで,ゲームに直接の影響はない。クエストを一つでもクリアすれば入手でき,ほかのおみやげと同様,フレンドにあげるために追加購入することもできる。
また,エンディングクエストをクリアすることでしか手に入らない報酬もある。見た目装備の「ちょうちょのあざ」(★4,よろい上)は,多くは語らないが,装備するとキャラクターが上半身を露出し,肩に蝶の形の赤いあざが表示されるというもの。また限定称号「犯人は○○」は,ドット絵の神戸港の背景に文字が重ねられた凝ったもので,これもまたインパクトがある称号だ。
「ちょうちょのあざ」は上半身装備。右肩のあざに注目。ちなみに女性キャラが装備すると,青の水着姿になる |
限定称号「犯人は○○」は,事件解決の証だ |
そのほか,自宅を捜査本部の取調室風に飾れる家具やテキスト称号など,ゲームプレイへの影響は少ないものの,ご当地イベントをクリアした記念になる報酬が多数手に入る。
現地を回ってクエストを進めるだけなら
2日間で余裕あり
今回の筆者のイベント体験は2日間で,公共交通機関ですべて巡ることができた。具体的な動きとしては,初日昼前に京都に着いて,阿弥陀ヶ峰→寺田屋旅館と巡り,神戸へと移動。JR神戸駅近くにホテルを取っていた関係で,翌日は朝8時過ぎから新開地→花隈町→神戸港の順に移動してクエストをこなし,三宮のバスターミナルから11:40のバスで淡路島へと向かっている。
各所をのんびり観光していたりするとこうはいかないかもしれないが,それでも各所でクエストや記念撮影は行っていて,淡路島で最後のクエストを解放したのは2日目の13時頃だったので,ドラクエ記念碑の撮影や現地で食事をする余裕もあった。
ただし同じ淡路島の「ドラゴンクエスト アイランド」にも立ち寄ったりするとなると,スケジュールをあらためなければいけないだろう。今回取材をしたのは平日で,土日や祝日の場合,交通渋滞に巻き込まれてしまう可能性もある。このあたりは電車やバスを使った旅の難しいところで,余裕を持って行動するようにしたい。
位置情報ゲームの地域限定イベントは旅の大きな目的になる。観光にあまり興味がなくても,目的地に行くことで目に入り心動かされるものがきっとあるだろう。さらに今回のコラボが「ポートピア連続殺人事件」ということもあり,ゲームのシナリオとともに「聖地巡礼」を楽しめるのも魅力的だった。
ゲーム上はスラミチやヤスダタが主要キャラになっているが,セリフは原作を踏襲していているので,原作をプレイしたことがあるなら,当時のことを思い出せるはず。実際,筆者も彼らのセリフを懐かしく読みながら進めていた。
DQウォークではこのコラボイベントのほか,各県4か所のランドマークで手に入る「おみやげ」や,出向いた先で楽しめる「おでかけキャンペーン」などもある。ゲーム自体を楽しむ旅はもちろん,旅行や出張のついででもいいので,位置情報ゲームならではのお楽しみをぜひ味わっていただきたい。
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